「…………」
「…………」
無機質な壁と各々好き勝手置いた雑多なインテリアが並ぶフォースネスト。
そこでは、お互いにガチガチに意識しながら目を逸らしている2人の男女がいた。イチャイチャカップルのオマケ付きで。
((き、気まず…………!!))
前回のあらすじ。
突如親父から言い渡された縁談、渋々受けて行った先にはなんとフォースメンバーのコネコ、コナミ ネコがいた! しかもどうやら無理やり結ばされた婚約らしく…………これからオレ達、どうなっちゃうの〜!?
はい。そんなラブコメ作家も腰を抜かしてユニバースって叫ぶような出来事が先日行われました。どないなっとん。
とりあえず怪訝な目というか、そんな興味ありそうにこちらをまじまじと見るのやめてくれませんかビリーヴさん。
「2人ともチラッとお互いを見ては目を逸らして…………一体どうしたの?」
「ッ!?」
話しかけてきたー!! 終わったー!!
この知識欲モンスター! 話しかける前に触らぬ神に祟りなしって言葉を辞書で引いてこいや!
ほらお前の彼女さん驚きすぎて口あんぐりじゃねーか! ほらぁ!
「び、ビリーヴ。レイメイの口開きっぱだからキスして欲しいんじゃない?」
なんでこれで通ると思ったオレ。バカじゃねぇの。
「うん? あ、ほんとだ」
「えちょ、そういうことじゃな──」
通ったわ。バカップルだったわ相手。
(カスミさん、強引に引き剥がした……!?)
さて、ビリーヴの興味はとりあえずレイメイに移すことができた。しかしまだ障害となる存在は残っている。
「おつでー…………こいつらまたイチャついてっし」
アマネ、ダイバーネームをアノマロカリスというオレの昔からの親友だ。
こいつは家庭環境がちょっと特殊で、その影響で人の性格や悩み、本性までを見るだけで読み取る人間離れした観察眼を持っている。
ただでさえ他の人から見て明らかに様子がおかしいのにそんなアノマロと出くわしたら……。
「…………」
「……よ、よぉアマネ」
(こいつら絶対なんかあったじゃねーかッ!!!)
こいつら絶対なんかあったって思われてるぅッ!!
そしてオレ達の事情を隠す上で要注意な人物がもう1人……。
「おっはよーござっさーす!!」
カグラことカグラ、オレのもう1人の親友である。
カグラは昔から教師となることを目指して人生を歩み、今年から晴れて本物の教師となった生粋の教育者。その分、人を見る力はアノマロ程では無いが高い。
つまり、秒で勘づかれるのは秒読みもいいところだ。
(…………この2人絶対(自主規制)なことになってんじゃ〜ん!!)
ほら絶対気づかれてる! あと絶対誇張されて認識されてる!
おい、何故笑う。なんでこっち見遣ってからクスクス笑ってるんだ。どこのツボにハマったの?
「え、いや2人ともなんかカスミ達への反応おか──」
「レイメイ足出して」
「いや流石に無理!?」
そしてこの2人はブレない。ビリーヴはいい加減TPOを弁えてから甘えてて欲しい。
「ちょっ、ビリーヴ! いい加減に観念して……わぁっ!?」
「ひゃっ!?」
レイメイが肩を掴んでもっともっととせがむビリーヴの腰を掴み引き剥がそうとするも、バランスを崩してレイメイを上に密着する形となった。いやそうはならんやろ。
(なっとるやろがい!)
カグラのツッコミが聞こえた気がする。気のせいか。
「あ、ビリーヴごめ……」
「んん…………」
「ッ……!?」
それより、なんか凄い気まずくなってきた。あかん、これGBNじゃなかったらおっぱじめるつもりだぞこいつら。あかん。
「じゃ、じゃあオレはこの辺で〜」
「オイ逃げんなカスミィ!」
3人に先んじてそそくさネストの外へ逃走。逃げるは恥だが役に立つってね。で、銀色のボールことアノマロがすぐ横にくっついてきてるわけですが。
「何? アノマロ、またなんかミッション付き合えって?」
「ミッションはミッションでも運営からの極秘ミッションだ」
「あぁ、偵察っつーか調査の」
「そう」
「……いや唐突だな?」
気まずい空間から逃げた直後とは思えないシリアスな会話だ。いやほんと。
「人手は多い方がいいだろうし、いざって時にダミーになる」
「囮ってことじゃねぇか」
「実際お前の役回りもそんなんだろ?」
「敵陣即突っ込んで立派な囮になってくれるのはどこの誰ですかねー」
「聞こえない」
「で、オレは何すればいいの?」
「俺の分身」
「はーん。なるほどよくわかんない」
「フェイクデカールの流通場所を調べる、その為にお前には俺の手足として働いてもらう。わかったか」
「了解」
ということでやって来たのはスラム街っぽいディメンション。
アノマロ曰く『木を隠すなら森の中』とのことで、要するにチートを取引するならやばいブツを取引するような場所の方が可能性が高いんだとか。
アノマロはハロから一転、行動しやすいようリアルと同じ見た目で顔が見えないよう黒いコートのフードを深々と被っている。オレは既に顔が割れてて結構有名なので、フード+ブシドーの仮面でカモフラージュ。本編ではぜんっぜん出来てなかったけども。
「おいお前」
「あ? ンだよ藪から棒に」
「この辺で違法パッチが取引されてるような噂は聞かなかったか?」
「あー、知らねぇけど。ただこの辺はGBNに不満があるヤツらが愚痴ったりするグループみてぇのがあっから、そことか調べりゃいいんじゃねぇか?」
「わざわざそれっぽいとこまで言ってくれてどうも」
「俺は俺でズルして勝つような狡い連中なんざ大嫌いなんでな。アレだろ? フォースフェス滅茶苦茶にしたとかいう連中が使ってたのを言ってんだろ?」
「さぁ、それはどうかな」
木星帝国に居そうな凶悪な面持ちの割に結構優しいな……。
「さて、そこ調べっか」
「信じていいのか?」
「嘘なら何もねぇで終わりだ。貴重な情報、行ってみる価値ぐらいはあんだろ」
木星帝国みたいなやつからの情報の元、GBNの愚痴を言い合う終わってるグループについての聞き込みを続ける。出てくるパズルみたいな情報を繋ぎ合わせてグループの中枢を探り、マップに大まかな位置から細かい位置までマッピングする。
ちなみにオレはメモ係。耳がいいから妥当な振り分けだ。
「さて、大体この辺か」
「わかったところで方向音痴のお前じゃなぁ……」
「方向音痴は直ってんだよ。いいからさっさと行くぞ」
「へー、わかった」
こいつ昔は頭を抱えるくらいの方向音痴だったのに、探偵業やってく中で進化したんだな……染み染みする。
────────────────────
スラム街への聞き込みをしていきその通りに進んでいくうち、わかりやすい裏路地の広場に屯っている皆さんを見つけた。
「よぉ。GBNアンチの癖にログボは貰ってるツンデレ集団ってのはお前らか?」
いや、直球!!!
人の地雷を軽々踏むな! 危ないでしょうが!
「なんだお前……」
「いや? お前らがチーターと繋がってる又はチートを持ってるっつー噂を聞いたんでな。気になって会いに来たんだよ」
「チート? なんだそれ」
「知らねぇよ! 青臭ェガキは帰れ!」
ここの民度もたかが知れてるわ。オレら一応社会人なんすけど。
アノマロが一歩ずつ踏み込みゆっくりとグループの中心に迫り、奥のリーダーらしきダイバーと対峙した。
「お前が取り仕切ってんだな。赤軍服」
「赤軍服? フル・フロンタルが着こなすネオ・ジオンの軍服をカスタムしたものだ。まさかガンプラバトルをしているというのにそんなことも知らないのか?」
「知るかよ。俺はお前らと違ってガノタじゃねぇし、そもそもアニメも見たことが無い」
「そうか…………」
アノマロの言葉を聞いた赤いネオ・ジオン軍服の男は、何かに落胆したように溜息をついてからこう言い放つ。
「やはり偽物か……お前のようなガンプラへの愛も理解も無い者が強者と持て囃される」
「は?」
「……やれ」
男の合図がかかると同時に、オレ達の周りを屈強なダイバー達が取り囲み、合図をかけた男はさらに奥へと逃走した。
「アノマロ、選択肢ミスっただろこれ」
「想定内。全員ぶっ潰す」
攻撃に備え、指を鳴らして臨戦態勢を取るアノマロカリス。それに倣って、オレもアイテムボックスから刀を取り出す。
「武器とは卑怯な真似してくれるじゃねぇか……インフルエンサーさんよぉ!!」
バレてんのかよ……!
ダイバーの1人がオレの前に突っ込んでくるのを横に避け、進行方向に合わせて刃を置く。彼は真っ二つに斬れ、データの海に還る。
ダイバーのアバターには機体同様の耐久値があり、これは全てのアバターにおいて一定。これが無くなると機体同様に消滅、専用のディメンションに強制転送される。特にELダイバーはそれが死に繋がるわけだけど、それっぽいやつはいないし全員斬って大丈夫だな。
「ヒョロガリがァ! 死……ごハァッ!?」
「テメェが死ね!」
「グホッ!」
「うああァッ!!」
アノマロの方は、殴りかかってきた相手の腰まで姿勢を低くし、腹に一発食らわせた。痛覚がある訳では無いがダメージを食らったというイメージから殴られた相手は悶え、その隙に蹴りを貰い、後方のもう1人の方に吹っ飛ばされて消滅した。
…………こいつ、GBNどころかリアルでも馬鹿みたいな身体能力してんだよな。生身でMSとやり合えるリアルGガンなタイガーウルフともやり合ってるし、そりゃこうなるわ。
「ま、待って──」
アノマロがアイテムボックスから取り出した拳銃を横たわっているダイバーに向け、脳天に直撃させて消滅させる。
「アノマロ、ここは任せてアイツ追え!」
「わかった!! こっち来る前にちゃんとフラグ折っとけよ!」
「ああ!!」
アノマロが奥の方に向かうのを確認しながら、それを追うダイバー達を斬り裂く。
(1人で捌くのキツイなこれ……!)
でも請け負った仕事はちゃんとする。それに、親友の為だ。泣き言は言ってられない!
(こいつら、黒ってことでいいんだよな……)
「かかってこい、チートに頼らないと強くなれない弱虫共!!」
────────────────────
赤軍服野郎を追って来たはいいものの、流石に許した時間が長すぎた。
(どこに行きやがったあの野郎……!)
愛も理解も無いとかほざきやがって、俺だって一応ガンプラの機能ぐらいは暗記してるし、どんな対処をすればいいのかも考えてんだよ!
アニメ見れてないのだってこっちの金銭的都合! 何も知らねぇ癖に語ってんじゃねぇ!
……はぁ、無駄にキレたところでアイツは見つかんねぇし。
「カスミが取り逃した連中が追いついてきたしな……」
後ろに陣取るガチムチ筋肉博覧会みたいなダイバー連中。全くしつこい奴らだ。
ひとえにこいつらがカルトみたいなメンタルしてるからなんだが。
「俺達の事嗅ぎ付けやがって……!」
「ぶっ殺してやる……!」
「フェイクデカール探ってたのも知ってた訳か……」
筒抜けなのはどっちだクソが。
さっさとこいつら片付けてあの軍服野郎のダイバーネームとかフェイクデカールの情報とか諸々引き出さなきゃいけねぇ、面倒な仕事にも程があんだろ。
「ま、金の為だし。なぁ!」
「ッ!?」
スタングレネードを取り出して相手側に放り投げる。びっくりしたアイツらが無防備に逃げようとしてる隙にその場から退避する。
バーカ俺の顔割れない限り俺の負けにはならねぇんだよ! じゃあな屑共!
「とは言っても手がかりゼロ……どうするか」
と思ったが、どうやら杞憂みたいだ。
紛れた人混み(というにはあまりにも少ないが)の中に赤い軍服の人影を発見。このスラムディメンション、郷に入っては郷に従えのスタンスが普遍的な中そんな目立つ格好でいたらバレるに決まってんだろ。
(さて……尾行開始だ)
「あ、いた。アノマロー」
…………はっ!? カスミ!?
「バッカお前声出すなって……!」
「そこか!」
あーもうめちゃくちゃだよ!!
突如俺の後ろから呼びかけてきたカスミのせいでアイツに居場所バレたんだけど! 逃げられるでしょうが…………ってあれ? なんかこっち向かってきて──
「フンッ!!」
「グッ!?」
ヤツがかけてきた蹴りを咄嗟に構えて受け止め切る。
「真の『ガンプラバトル』を知らない偽物を、私はこの世から駆逐する……!」
「宗教の勧誘ならお断りだ……!」
仕方ない。普通にとっ捕まえて尋問するつもりだったが…………強引に殴り倒して拷問するに方針転換だ。
「…………これ、もしかしてオレ戦犯なのでは?」
もしかしなくてもそうだよこのド天然!! 昔からホント変わんねぇな!!
まぁあっちが強めの思想持ちで逃げなかったから結果オーライだけど!
「私は『スタル』……GPデュエルの再興を目指す者」
「俺は、名乗るつもりはサラサラ無い」
フェイクデカール掃討作戦、前哨戦の開始と行こうか。
GPデュエルの再興、スタルとは一体。
キャラ解説ver.2
レイメイ/
かつてGBNを放浪し、迷惑ダイバーを見つけてはとっちめていたSランクダイバー。
ガンプラの出来や操縦技術も相当なもので、日々シノギを削るランカー達も目を見張る程。
最近は相思相愛の彼女に死ぬほど愛されて眠れない日々が続いている。
使用機体はサバーニャを近接用に改造し、GUNDフォーマットとNT-D、フルサイコフレームを採用した妖精、『ガンダムシルヴィー』。
ビリーヴ
ダイバー達の持つ知識欲から生まれたELダイバー。その為人一倍何かを知ろうという意識が強く、よく散歩に行き道行く人に声をかけては何か知識を披露させるということをしている。
最近は自分の恋心に気付き、その後すぐにレイメイと恋人になれたことで愛が暴走気味。
アノマロカリス/小泉《コイズミ》アマネ
個人ランク31位の超実力派ダイバー。
ガンダム好きがランキングを網羅していく中、ゲーマーとしての実力のみ、それもたった一年でこの地位に上り詰めた。
ストレート且つ辛辣な発言が目立ち、また使用機体も他人が作ったガンプラということから多数のダイバーから嫌われているが、本人としては時と場合によってヒールを演じることも辞さない様子。
使用機体は大型実体兵器と複合ビーム兵器を併せ持つ骸の騎士、『スカルライダー』。
カグラ/水無月《ミナヅキ》カグラ
教師を続けながらGBNをエンジョイする美少女ダイバー。
普段はおちゃらけた言動や行動でただふざけているのかと思いきや、時折その人の核心を突いた言葉や、的確なアドバイスを出してくる一面を持つ。
使用機体はウーンドウォートにドラムフレームやアームを付け足し、バイアラン・カスタムをイメージした装備を取り付けた『TR-6 ウーンドウォート・バイカスタム』。最近は『TR-6 バイアランII』とすることも。
chapter.1完結!この段階で一番好きなキャラクターは?
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レイメイ/アカツキノ ミナ
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ビリーヴ
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コネコ/コナミ ネコ
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カスミ
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カグラ
-
アノマロカリス