ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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さぁ、ライブ感が強まってきたぞ


第17話「DECLARATION」feet.K

 ハハハ。やっちまったぜ。

 

「フェイクデカール掃討作戦、前哨戦と行こうか」

 

 そうフード越しに相手の赤軍服の男、スタルを睨みつけながら宣言するアノマロを見つめながら、オレは密かに後悔していた。

 どう考えてもやらかした。昔から「視野が狭い」とか「何も考えてない」とかよく言われるのに何一つも改善されていない自分が腹立たしい。

 相手が潜伏していること、そしてアノマロが尾行しようとしていること、それら一切に気付かず考え無しに声をかけてしまった。それもまぁまぁな大声で。

 バレたけどまぁ、何故かあっち側から近づいてきてくれたから結果オーライ、って感じだけど? それはそれ、これはこれ。結果論とかではなくシンプルにやり方の問題。

 

(静かに近付いた方が良かったかな……いやビックリさせて声出させちゃったら何も変わんないし……)

 

 考え事をしていても事態は何も変わらない。ここはヴァルガと同じような世紀末ディメンションながらフリーバトルの申請無しでは戦えない。にも関わらず、互いに格闘戦の構えを取って睨みを効かせている。

 そしてオレはそれを後ろから見ているだけである。だって隙ないもん、あの2人の間に入ったところでお互いの拳がオレの前後を貫くだけだよ。

 

「…………ん? カグラ?」

 

 あぐねていると、突然カグラからチャットが入ってきた。フォース専用のやつだ。

 

『カ〜ス〜ミ〜く〜ん?』

 

 あ、怒ってるわこれ。2人差し置いてイチャコラ現場から逃げ出したの完全に怒ってるよこれ!

 

『アノマロ先輩〜?』

 

 しかもコネコまで来た! アノマロも被害食らってんじゃん今それどころじゃねぇけど!

 とりあえず、言い訳という名の事実を伝えて事なきを得よう。そうしよう。

 ということでかくかくしかじか、極秘任務について色々濁しながら解説。なんとか納得してもらってチャットは事なきを得た。帰ったら何があるかわからないけど。

 

(で、どうやって介入しようか……)

 

 アノマロのキレのいい一撃をスタルは華麗に避け、すぐに反撃をパンチを顔面に仕掛けようとする。だがアノマロはガンプラバトルでの経験から受け止め、逆にその手を取って投げ技をかける高等テクニックを披露する。

 

 …………どうしよう。隙がない。

 オレはオレで学生時代、空手部のエースとして活躍していた時期はあるが。あれはワンツーマンの試合で且つ互いに準備万端だから出来たことで。

 今の試合のしきたりとかゼロのガチ戦闘、及びダイバー間のイザコザは前提条件が違いすぎる。土俵に立つどころか土俵とか何処吹く風でおっぱじめてんのよ。

 

「あー、どうすれば」

 

 もういっそ帰るか?

 だってオレ要る? あいつリアルでもめっちゃ強いからな、昔は危ないことばっかしてたし。

 ダメに決まってるだろ。親友を置いてすたこらさっさはクズのやること。やはり参戦した方が…………。

 

「グッ……!」

「あ、アノマロ!!」

 

 アノマロが相手の強い蹴りを諸に食らってよろけてしまい、顔を隠す為のフードがスタルによって握られる。

 

(不味い、このままじゃアマネの素顔がバレる……!)

 

「愛なきものよ、その素顔を見せてもらおうか」

「ッ…………」

 

 スタルがその過程を愉しむように、弄ぶようにゆっくりとフードを脱がせる。

 そうして出てきた素顔は…………。

 

 …………首から上が銀色のハロであった。

 

「は?」

「…………キモっ。──ブハァッ!?」

 

 スタルが思わず零してしまった一言の直後、その顔面に拳を受け後退る。その衝撃でスタルがフードから手を離した隙に、アノマロはその体勢を整える。

 うわぁ、やりやがったよあの野郎。

 

「人ン顔見てキモいとは随分な言い様だなァ……!」

「──フゥ、野蛮人め」

 

 どっちがだチート野郎。

 お前らが嘘みたいに重くなるようなツール配ってるせいでGBN運営に派遣されたうちの会社の社員が全員死んだ目になるんだよ! 働き方改革! 社会人の心を労れるようになりましょう!

 

「いい加減やめにしないか? ここは中立ディメンション。機体で闘うことは出来ないし、殴り合ったところで無駄に疲弊するだけ。専用の武器で耐久値をゼロにしてもリスポーン地点にワープする。不毛な争いだろう」

「だったら乗んじゃねぇよ。大人しく俺達を丸め込む形で行けばよかったのに」

「演出だ。既に多くの人がこの現場を見ている」

「は……?」

 

 辺りを見渡してみると、確かに多くのプレイヤーがアノマロとスタルを取り囲むように集まっている。

 つまりこれは、嵌められたわけだ。

 

「……ハハッ、で? だからなんだよ。運営がバックにある俺達に人目で脅しかけても無駄だ」

「ククッ……かァ、まだわからないのか能無し」

 

 とぼけたようなアノマロの物言いに対し、スタルは笑いと怒りの混じった声で返す。

 これは重要なことを言いそうだから、録音、いや録画しよう。

 

「私がGBNに不満を持つ者達を先導し、杜撰な運営を討伐する! 貴様らの呼ぶフェイクデカールの力を持ってしてな!」

「は……?」

 

 …………何を言ってるんだこいつ。

 スタルのその言葉をすぐに飲み込めず、ただ冷や汗が頬を伝う。

 取り囲むギャラリー達もざわめき始め、スタルはその反応を予測通りと言わんばかりに口角を上げて続ける。

 

「第二次有志連合戦より3年! もはや当たり前の存在と認識されたELダイバー……だがあれは元を辿ればGBNのバグが人の形を得たものに過ぎない! 『ダイバーの思い』などと曖昧なものでバグを看過するのを許していいのか!!」

 

 へ、ヘイトスピーチ…………!

 こいつ、ELダイバーに対してとんでもないこと言いやがった……。人格否定とか差別発言とかじゃなくて、根本から異物扱いだ。

 

「テメ──」

「そ、それもそうだ!」

 

 ………………は?

 

「運営はバグを容認している!」

「良く考えればELダイバーとかただのバケモンじゃん!」

「バグと会話するなんて信じられない!!」

 

「ッ……、はっ…………!!」

 

 そうか。

 なまじ自分を馬鹿だと思える馬鹿は、頭がいいように見えるやつによく従う。

 それらしい主張をして、それらしい顔をしている人間に…………思考を忘れたヒト(ゴミ)は付き従うんだ。

 

「……、アノマロっ──」

「録画は?」

 

 そしてその醜い人間に晒されたアノマロを心配して声をかけるも、それを遮るようにアノマロがオレの肩を叩く。

 

「し、した……」

「ダイバーネーム『スタル』を通報する。その録画も合わせてだ。行くぞ」

「わかった……」

 

 でっち上げられたカリスマのスタルを称賛する歓声を尻目に、オレ達は運営の元へと向かった。

 

────────────────────

 

 スタルの名称とダイバールック、そして彼の放ったフェイクデカールの使用宣言と、ELダイバーへの差別的発言を運営に届けた後の動きは、まさしく迅速と言わざるを得ないものだった。

 解析は驚くほど早く進み、僅か1日を持ってそのスタルに対し警告を送り、運営と通信で会話できる状態となった。

 そして今、ゲームマスター自らが出向き、スタルとコンタクトを取っている。

 

「もう一度言う、フェイクデカールはGBNの秩序を破壊する危険な代物だ。そしてELダイバーはバグなどでは無い! GBNのシステムが生み出した善良な副産物だ!」

『ならばこちらももう一度言う。発言もフェイクデカールの使用も取り消すつもりは無い。もう既に私の口車に乗った者達全員にフェイクデカールを流し、特に信用に値するものにはフェイクデカールの普及活動も行わせている』

 

 会話は一方通行だ。どちらも価値観に根底からの差があり、交渉が通じるような状況では無い。

 

『そして、ここからは宣戦布告ということになるが…………。フォース、ビルドダイバーズ。彼等が愚直に動いてくれたお陰でガンプラバトルの有り様は変わってしまった』

「…………」

 

 ビルドダイバーズ。

 様々な奇跡を生み出し、新進気鋭の活躍を遂げる注目のフォース。今や同名のもうひとつのビルドダイバーズも名を上げ、その名称は最早知らぬものはいないという程になった。そんなフォースの名を名指しで出すということはやはり…………。

 

『第二次有志連合戦、素直にバグの消去を認めれば良かったというのに。奴らがよく働いてくれたお陰で今もバグの根底が消え去らない事態が続いているのだ』

「ELダイバーサラをバグ呼ばわりとは、極まってんな」

「アノマロ」

 

 名前だけを呼んで注意を促す。アノマロは抵抗の意思を示すように目を切長にするが、何も言わず中継の方へと目を向ける。

 

『だがそんな3年にも続く異常事態は終わりを告げる』

「終わりだと? 何を言っている……?」

『GBNはバグと戯れるカオスでは無い。元よりガンプラバトルを行う場所だ。ならば、そんなGBNの終わりはガンプラバトルで締めくくるべきじゃないのか?』

「ガンプラバトル…………変則フラッグ戦の再現か」

『ルールはこうだ。勝利条件はお互いの出せる全戦力を以て敵を殲滅する。私達が勝利した暁には、GBNの解体と、GPDに次ぐ新たなガンプラバトルシステムの開発を要求したい』

「はっ!?」

 

 こいつ本当に滅茶苦茶言ってるんだけど!?

 

『そちらが勝てば私のアカウントのアクセスを拒否すればいい。フェイクデカール使用者を先導する私が消えれば掃討も容易いだろう』

「我々がそのバトルに乗るとでも? 我々は今すぐにでもそちらのアカウントを凍結できるんだぞ」

『してみろ。今すぐGBNを終わらせたいのならな。』

「何?」

『ハッカーを雇っている。私のアカウントが凍結された瞬間にハッキングを開始する手筈だ。日本のハッカーが世界中の手練と相手できるかな?』

 

 日本のハッカーも決して侮れるものでは無いが、だとしても世界レベルを相手にするのは流石に厳しいだろう。何より、所詮は一般企業でしかないGBN運営であれば、尚更の事。

 

「…………ということだ、どうする? スポンサー」

「スポンサー?」

「オレの親父の方な」

「あー、把握」

 

 うちの親父の会社は、システム系でGBNに投資と技術援助をしている。自分の息子であるオレが楽しめるようにってことだ。感謝はしている。

 でもお陰でオレの素性が要人として運営にバレてしまったわけでして。そこはちょっとはた迷惑な話だ。

 

「うーん、乗ったらいいんじゃないですか? ガンプラバトルしたがってる連中なら、ガンプラバトルで納得させればいいと思います」

「そうか。なら、クジョウ・キョウヤに今再び有志連合の再結成を頼まなければならないな」

 

 有志連合、3年前に集まったきり何の音沙汰も無く結成されることの無かった合同組合。オレも一応その枠組みにいる。きっかけはまぁ、ただの逆恨みだったわけだが。

 

「……ということだ。フェイクデカールは必ず殲滅する」

『やれるものなら、やってみるがいい』

 

 その言葉を最後に通信は切られる。

 最後まで話の通じないやつだった。

 

「クジョウ・キョウヤを呼び出す。君達は帰ってもらって構わない」

「そうさせてもらいます」

「改めて礼を言わなければならない。ありがとう、君達のおかげで当初の予定より早くフェイクデカール掃討へと漕ぎ出すことができた」

「……いえ、そちらの迅速な判断と行動があったからこそです」

 

 心做しか、手が震える感覚がする。

 落ち着け。落ち着け。自分から行ったことだろ、称賛されて当然の、当然のことだ。

 だから、オレは。オレは。

 

「っ……て」

 

 アノマロがその球体で軽い体当たりをしてくる。まるで震えを掻き消してくれるように。

 

「今日はもうログアウトしとけ。非日常の後は日常で生きてリフレッシュが1番だ」

「…………うん、そうする」

 

 ゲームマスターを一瞥してから、ログアウトボタンを押す。

 意識が一瞬遠のき、電子の海を通過してから現実空間へと引き戻された。

 

「…………はぁ」

 

 昨日の今日で、大変なことになってきたな。婚約者ができて、その相手がネトゲで一緒に遊んでる相手で。それで、今日その事にドギマギしてるかと思いきや、GBN存続の危機に立たされた。

 こんな展開、ラノベでもそうそうないだろうな。

 

「ルシファーの、あの改造プラン。ちょっと試してみるか」

 

────────────────────

 

「──へぇ、いつの間にやらそんなことになってたとはねぇ」

「で、どうする? カスミの、クロートのこと」

「心配してんの?」

「いや? でもあいつ、これでもう3回目だろ。周りの期待に押しつぶされそうになるのは」

「心配してるんじゃん」

「うっせ」

「……ま、今回も多分どうにかなると思うよ」

「そうやって慢心してたらすぐ不幸な目に遭うのは、俺達の人生のテンプレだったろ」

「ハハッ! それもそうだ。でも今回は違う…………『ビルドリバイバル』っていう、最高のイレギュラーがあるからね」

「ふーん…………。じゃ、俺もそのバグに賭けてみるとするか」

 




謎のダイバー、スタル。GBNの未来や如何に……。

chapter.1完結!この段階で一番好きなキャラクターは?

  • レイメイ/アカツキノ ミナ
  • ビリーヴ
  • コネコ/コナミ ネコ
  • カスミ
  • カグラ
  • アノマロカリス
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