ソロモン宙域前衛、そこでは激しい戦いが続いていた。
前後左右全てに敵がいて、それら全てを捌くためにガンビットを酷使。加えて本体での攻撃も行わなければならない。私達はもうクタクタだった。
「はぁ、はぁ……」
「レイメイ、大丈夫?」
「私的には、ビリーヴの方が心配……」
「私は大丈夫、アノマロカリスとの特訓の成果だよ」
「なら良かった……」
シルヴィーのガンビットはそれら自体がGNコンデンサーとしての役割を果たし、本体のパワーダウン時にドッキングすることで粒子を急速補充する事が出来る。
まぁ、それはあくまでガンビットが全快の時に限るんだけど。今はガンビットも本体も粒子の節約に務めなければいつ動けなくなるかわからない状態。いくら半永久的にGN粒子を放出するオリジナルの太陽炉といえど、休息は必要なのだ。
「レイメイ、前!」
「またッ……!?」
前方を見上げると、おびただしい数のMS。いや、あの形状は。
「これ、Gビット……?」
『フラッシュシステム、全開!! そんでもってェ、起動!!』
「ぅあっ……!」
中心に陣取るガンダムDX。そして、それを囲む大量のGビット全てがフェイクデカールを起動する。
「うぐ、ああっ…………!!」
「ビリーヴ!!」
『アハハハハッ!! 滑稽だなぁ! ガンプラに声? 馬鹿馬鹿しい……そんなもんが聞こえるなら心が壊れるまで悲鳴を聞かせてやるよォ!!』
「あああああっ!!」
「こいつッ…………!!」
ビリーヴのこと弄びやがって…………!!
粒子残量は、大分心許ないけど……! ガンビット全部繋げば本体だけでも倒せる……!
「ごめん、ビリーヴ……ガンビット全部ドッキングしてもらっていい?」
「う、うん……!」
周辺に散らばっていたガンビット全てがシルヴィーに集まる。
「ありがとう、ここからは私に任せて」
「レイメイ…………!」
さぁ、このクズ野郎をアカウント毎引き剥がしてやる。二度とGBNの床を踏めると思うな。
「パーメットスコア、2」
スコア2に引き下げ、サブアームを展開。これで推力が一面に集中し、少ない粒子量で高い機動力を発揮させる。
(これでDXまで一点突破……!!)
ビットオンフォーム、高速巡航形態。瞬発的なスピードはこの形態が1番。
Gビットの弾幕網を掻い潜り、DXに急速接近。パワーダウンでロクな威力は無いけど、ライフルのビームソードモードで……!
「ハァッ!」
『ハッ、その程度の威力で勝てるかよッ!!』
「ぐあっ!!」
シルヴィーの一撃は相手のビームソードが容易く受け止め、そして弾き返される。加え、おまけと言わんばかりのキックを食らった。
(揺れっ──はっ、粒子残量が!? 今のキックで漏れ出たの!?)
シルヴィーの機体出力は現在20%、完全に虫の息だ。これじゃあ装甲に粒子を流すことなんて出来ないし、GNフィールドなんて以ての外。
本格的に、ヤバい……!
『このまま、死ねぇッ!!』
接近してきたGビットが一斉にライフルを構える。不味った、飛ばし過ぎた……!
「レイ、メイ…………!」
「ごめん、ビリーヴ。でも! 他のみんながきっと──」
「違う! なにか、くる!」
「え……?」
「アヴァランチレックスバスター!!」
ビリーヴからの警告を聞いた瞬間、私達を囲んでいたGビット達が極太のビームによって破壊された。
『なっ……!?』
「だ、大丈夫ですか!?」
シルヴィーを守るように前に降りて来た白い翼のSDガンダム、『エクスヴァルキランダー』。背中からはシルヴィーと同様にGN粒子を放出している。
「助けに来たよ! レイメイさん!」
「ダブルオースカイメビウス…………リクさん!」
そして、エクスヴァルキランダーに続くようにダブルオースカイメビウス、『BUILD_DIVERS』のリクが応援に駆けつけてきてくれた。
「ブレイクデカール……じゃなくて、フェイクデカールでしたっけ。リクさんは前に1度戦ったんですよね?」
「うん、俺のハイマットフルバーストでも倒し切れなかった」
「そうなんですか!?」
リクと敬語ながら親しげに話す少年の声。ビリーヴは頭を抑えながら、状況が飲み込みきれず混乱していた。
「れ、レイメイ。あの白いガンプラは?」
「エクスヴァルキランダー……ビルドダイバーズのガンプラ……!」
「ビルドダイバーズ、リクの仲間?」
「あぁいや、仲間だけど違うというか……ビルドダイバーズではあるけど別のフォースというか……」
ビルドダイバーズはGBNにおいて2つある。リクが率いる『BUILD_DIVERS』と、カザミ率いる『BUILD_DiVERS』だ。どういう経緯で同じ名前になったのかはわからないが、とにかくこの2つのフォースは名前こそ同じだが、その中身は全く違う。
「よくわかんないけど……とにかく、助けに来てくれたんだよね!」
「当然です! って言いたいんですが、流石にこの数はちょっと萎縮しちゃって……」
「ごめん、私の機体、動けるようになるまで5分ぐらいかかっちゃうから……」
「それまで足止めしろってことでしょ? 大丈夫、行くよ! パルくん!」
「は、はい! こんなの、エルドラの時に比べたら……!」
Gビットの大群に突っ込むダブルオースカイと、それを援護するエクスヴァルキランダー。巨大なウィングと潤沢な粒子が生成するGNフィールドが私達とシルヴィーを守ってくれる。
『クソッ、ビルドダイバーズがッ!!』
「トランザムインフィニティ!!」
ダブルオースカイの機体表面が赤く輝き、両肩のドライブユニットから光の翼が展開される。その姿はまさしく天使そのもので綺麗だ。
「レイメイ、うわき?」
「えっ違……んっ!?」
「っ……、どっちが好き?」
「び、ビリーヴです…………」
「よろしい」
ビリーヴ、いつの間にそんな言葉を……。
自体は一転、私の方に強力な増援がついたおかげですっかりこちら優勢だ。
『くっ、クソ! 守れGビット!!』
「意味無いよそんなの、ハイマットフルバーストッ!!」
ライフルに接続していたメビウスビームキャノンをドライブユニットに移動、砲門を正面に向け盾のようにDXを遮るGビット群に、ダブルオースカイ自身が持つ全ての砲門を撃ち放つ。
Gビットは跡形もなく粉砕されるも、その影に潜みながらDXは右腕と引き換えに生還する。
『た、助かった!!』
「ごめん! 倒し切れなかった!」
十分すぎる。こんなにGビットの数を減らしてくれた上に時間を稼いでくれたなら、もう大丈夫だ。
「ありがとうリクさん、ここから先は私達に任せて」
「もういいよね、行くよ。シルヴィー」
「「パーメットスコア、3!」」
私達に応えるようにシルヴィーのシェルユニットが赤く光る。ビリーヴが全てのガンビットを操作し、逃亡を図るDXをクロービットで串刺しにする。
『グアァッ!? な、なんだ……!?』
「ごめんね、わたしがELダイバーで」
『は、はぁ!?』
そして残るガンビット全てをDXに向け、その正面に私達が陣取る。
「でも、わたしもELダイバーとして生きたいから。だから、ごめんね」
『待っ──』
ガンビットから放たれるビームを諸に喰らい、DXはデータの海へと還った。
「す、すごい……」
「シルヴィーも強化したんです。私とビリーヴ、ふたり一緒に戦えるようにって」
「僕、あんまり役に立てなくてすみません……」
「あの時助けてくれただけで十分ですよ」
通信に映る茶髪の青年と大きい耳を持つ中性的な少年。パルウィーズは、私達としてははじめましてだ。
「えっと、改めてレイメイって言います。パルウィーズ……さん?」
「あ、パルで大丈夫ですよ」
「じゃあ、パルさん」
「むぅ……」
う、視線が痛い。
「自分のこと差し置いてあだ名で呼ぶな」と言わんばかりの視線が……。
「わたし、ビリーヴ。レイメイの大切な人」
「え? あっ、はい。パルウィーズです」
「レイメイのこと狙わないでね。レイメイはわたしのものだから」
「は、はぁ……」
「ちょっとビリーヴ、パルさん困ってるって……」
「ハハハ……」
嫉妬心を隠すこともしないビリーヴにリクが思わず苦笑する。これまでの前例があるからどこでやらかすかわかったもんじゃない。
ガンビットを散らして周囲を警戒。戦闘はかなり進んでもう多くの機体がソロモンに着陸してるけど、念の為警戒を強める。
シルヴィーのガンビットは汎用性を高めた複合兵装。センサーとしての役割も果たすのだ。
「敵、いませんね」
「粗方敵の本拠地に行っちゃったのかなぁ……」
「じゃあもうソロモンまで向かいます?」
思い切って提案してみる。全員半永久炉なので補給はどうにでもなるし、何より全員近接特化だ。敵が近くにいないと真価を発揮できない。
「俺の仲間もみんなあっちにいるし、それもアリかも」
「ぼ、僕あんまり自信ないです…………」
「パルウィーズ、腰抜けなんだね」
「こっ腰抜け!?」
「ちょっとぉ!?」
またビリーヴが爆弾発言かましたぁ!
な、なんで? なんでそんな……パルウィーズを目の敵に?
「わたし達のことは助けてくれたのに、よくわかんない」
「い、いえ……ヒロトさん達は僕よりもずっと強いので……」
「ヒロトって?」
「僕達のフォースのメンバーで、すっごく強い人なんです」
「そうそう、コアガンダムっていうガンプラを使ってて──」
ガンビットのセンサーが反応する。
「ッ、リクさん!」
「え…………っ!?」
ダブルオースカイの横で爆発が起きる。
バズーカによる砲撃だったらしいが、直前にガンビットのGNフィールドとスカイの腕部にあるスカイブレイザーが展開され、爆発を防ぎ切った。
「な、なんですか!?」
『戦地の中お喋りとは、随分余裕だなビルドダイバーズ』
「その声、中継の……!」
このフィールドにいる皆が中継で聞いた声。ダイバーネーム『スタル』、この戦いを引き起こした元凶の声だ。
『お初お目にかかるな、ELダイバー。GBNの歪みの象徴』
「黒いガンプラ…………」
スタルの乗っている、黒いシナンジュ。頭部のカメラはツインアイに変更され、ブレードアンテナは己を誇示するかのように大型化されている。
『さぁELダイバーと協調する者達よ、このスタイン・シュバルツが相手しよう!!』
「ここでトップが来たなら好都合です! 3人で!!」
「ああ! トランザムインフィニティ!」
「僕も……! 行くよモルジアーナ、ガンドランザム!」
「「パーメットスコア5、トランザム!!」」
ダブルオースカイメビウス、エクスヴァルキランダー、そしてシルヴィーの機体表面が赤く染まる。
このトランザム3連発なら、流石のシナンジュも高機動についていけないはず……!
「はああぁぁっ!!」
『甘い』
メビウスアロンダイトを構え高速で突っ込むダブルオースカイをスタルはシールドで受け流す。
「最大出力、アヴァランチレックス──うわぁっ!?」
『温い』
ヴァルキランダーがトランザムによって威力が増したアヴァランチレックスバスターを構えるも、チャージ前に破壊されてしまう。
「ガンビット直結GNキャノン、フルパワー!!」
GNロングクロービット4基をライフルに接続し、最大出力のビームを放つ。
『そして、弱いッ!!』
「「きゃあぁっ!!」」
だがその間を縫い、シールド裏のビームアックスで弾き飛ばされてしまう。
「くらえ!!」
『甘いと言っているッ!!』
メビウスビームキャノンの攻撃も防がれ、逆に接近を許してしまう。
『実に醜く、これこそ偽物!! 私が求むガンプラバトルとは程遠い!!』
「ぐッ、うぅ……!!」
ビームアックスの振り落としをスカイブレイザーで受け止めるが、出力の差で押されている。
「頼むっ、ダブルオースカイメビウス!!」
リクの声に応じ、光の翼の出力が高まる。しかし、それでもフェイクデカールに強化されたシナンジュには届かない。
『その光も!! ゲームのバグの成した業ァ!!』
「ぐあああっ!!」
「リクさんッ!!」
至近距離でライフルを喰らい、深刻なダメージがダブルオースカイに入る。
反応したパルウィーズがシナンジュに接近する。
「あなたは僕が!!」
『現実逃避者ッ!!』
「っ……!」
『自機の破壊を躊躇う者、マナーのなっていない浅はかなるプレイヤー!! これら全てが強者として崇められているこの世界が愚かしいッ!!!』
「うぐっ、ああっ!!」
「パルさん……!」
ビームアックスで弾かれ、ビームライフルで何度も殴られ、最後にはスラスターユニットによる推力を乗せて蹴り飛ばされる。
これが、こんなのがガンプラバトル……!?
『終いにはどうしようも無い
ELダイバーをバグ扱い……。
こんなヤツが、こんなのが今ものうのうと生きてる。この世界で、GBNで、怒り、嘆き、そして戦いを愉しんでいる。
あぁダメだ。許せない。
ELダイバーを、ビリーヴを否定するこいつを許容出来ない。
どうしようもなく、こいつを殺したい。
「ビリーヴ、カバーして」
「え……?」
「私、もう止まれない」
私の言葉にビリーヴは若干震える恐怖を感じつつも、頷いてくれた。
「……ついていく。決めたから」
「っ……、うん。行こう、一緒に」
この最愛の人は、どこまでも私を肯定してくれる。
さぁ、この社会のゴミを、徹底的に壊そう。ビリーヴ。ガンダムシルヴィー。
次回、フェイクデカールVSGUND-ARM&フルサイコフレーム
原作キャラも沢山出てきて大盛り上がり!
キャラ解説
パルウィーズ/パトリック・アレクサンドル・レオナール・アルジェ(初出:『ガンダムビルドダイバーズRE:RISE』)
フォース『BUILD_DiVERS』のメンバー。かわいい担当。
1年間ビルドダイバーズとして戦い成長はしたが、根っこの部分は変わらない様子。
現在もエルドラに度々赴き、ヴァルキランダーの背中に山の民の子供を乗せたりしている。
使用機体はSDのガンダムアストレアにガンドランダーと聖獣をモチーフとした要素を入れたSDガンダム、『エクスヴァルキランダー』。アヴァランチレックスバスターはエクスヴァルキランダーに合わせたカラーリングにリペイントされている。