ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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男女平等な微リョナ要素あります。注意


第24話「有志連合戦③ ─悪魔はどこにも─」feet.B, A

 止まれない。レイメイはそう言った。

 シルヴィーも、止まる気はないみたい。

 じゃあ、私はどうだろうか。ここで止まっていいだろうか。

 

──こんなものに夢を見る愚か者が何故こんなにも多いのか!!

 

「わたしも、この人のこと嫌いになってきた」

 

 わたし達のGBNを、偽物だって言った。こんなものって……わたし達を愚か者って言った。

 なんだか初めてだ。こういうの。

 レイメイのうわきを問い詰めてる時とも違うこの感覚。

 私はこの人を”憎んでいる”。生まれて初めて知った感情。マイナスに振り切った、レイメイが発してきた恐怖の根源。

 わたし、レイメイと同じになれてるのかな。

 

「レイメイ、早く倒そう。あの人のガンプラ……なんだか可哀想」

「うん、当然。それにしてもビリーヴ、敵幹部キャラみたいなこと言ってくるね……」

 

 てきかんぶ?

 敵で、幹部……偉い人? それは…………。

 

「てきかんぶって、あの人のことでしょ?」

「まぁうん、それはそう」

 

 だよね。

 

「とりあえず…………あいつは私達で倒す」

「うん」

「実力はかなり高い方だろうけど、驕り昂ってる分私達の方が上手く立ち回れると思う」

「ガンビット落とされないように、わたしも頑張る」

「ありがと。じゃあ、行くよ!」

 

 ガンビットの操作感は、まだよくわからない。けど、レイメイがわたしが扱いやすいようにってしてくれたのが伝わる。

 だってこんなにも速く、思い通りに動いてくれる。

 

『まだ向かってくるか、愚か者!!』

「言葉のファンネルはちゃんと仕舞え、この欠陥品!!」

 

 シルヴィーのビームソードを、黒いガンプラがビームアックスで受け止める。次いでもう片方のビームソードで攻撃しようとするも、ビームライフルに邪魔をされた。

 

『何度やっても同じ事、愚民は愚行を繰り返すから愚民なのだ!』

「だったら愚民はお前の方だ。私達を敵に回した愚行を、部屋の奥で悔いてろ……!」

 

 レイメイが一度、推力を切る。相手の行くままに機体が押し返され、一定の段階でもう一度粒子を放出させる。

 そして、止まった場所に待ち伏せていた4基のガンビットを一斉に浴びせる。

 

『なんだとッ!?』

 

 ビームライフルに被弾し爆発が起こるも、肝心の本体には無傷。ビームが弱かった……?

 

「ビームコーティング……!? じゃあビーム攻撃はあんまりか……。ビリーヴ、ガンビットの内シールドビットは全部防御に回して。クロービットは私が使う」

「わかった。絶対守る」

 

 12基のガンビットを周囲に展開、どこから攻撃が来ても守れるようにする。

 そしてクロービットは本体に接続、操作をレイメイに預ける。

 

『小癪な真似を、バグの分際が人の真似事などッ……!!』

「当然だよ。わたしは”人の想い”から生まれた存在なんだから」

『巫山戯た事をォ!!』

「ふざけてない。大真面目。ここは私の生息圏だから。ゲームに本気で怒ってるそっちの方が、よっぽどふざけてる」

『黙れェッ!!!』

 

 図星を突かれたのか、黒いガンプラが闇雲に突っ込んでくる。

『相手を煽る』……アノマロカリスに教わったことだけど、上手く出来てるのかな。まぁ、レイメイの思い通りならいいや。

 

「ビリーヴ上出来……! 近付くのを待ってた!!」

『何っ……?』

 

 シルヴィーの脚に接続した4本のクロービット。これを立てて黒いガンプラの盾に蹴りつける。

 

『馬鹿が、シールドを狙うとは!』

「狙ってるわけ、ないッ!!」

『なっ、ガ八ッ!!』

 

 思いっきり蹴ってる分パワーは盾の方に振ってる。そしてガラ空きになった懐に、ビームを叩き込む!

 姿勢を崩した相手はそのまま蹴り飛ばされ、無防備に背中を見せる。

 

「ふっ、飛っ、べェェェッッ!!!」

 

 そして、そのままクロービットを接続したライフルで背中から殴り飛ばす。

 

「ふぅっ、よし!!」

 

 至近距離からのビームは多分そんなだろうけど、ここまでの戦いと今の一撃でかなり消耗してるはず。

 ある程度回復したのか、両腕を損傷したダブルオースカイがこっちに近づいてくる。

 

「レイメイさん!」

「っ、リクさん! ダメージはどうですか!?」

「スカイブレイザーはやられたけど、腕自体はまだ使える。まだ戦えるよ!」

「ぼ、ぼくもです…………」

 

 スカイに続いてエクスヴァルキランダーもこっちに来る。直前で顔を覆うシールドみたいなものを展開していたようで、何とか片目が潰れてるだけで済んでいる。

 

「よかった、パルさんも無事なんですね!」

「でも、アヴァランチレックスバスターもやられたし……内部のダメージは酷いです。ここからは援護するくらいしか……」

「十分だよ! レイメイさんがあれだけやってくれたら後は僕達だけで──」

『無駄だ…………!』

 

 …………え?

 

「あ、あれは……!?」

「ま、まさか……」

 

 敵のアジトに亀裂が走り、2つに割れる。

 そしてその中から、黒く巨大な巨神が現れた。

 

「ネオ・ジオング…………!!」

 

────────────────────

 

 ひとつ、ふたつ、みっつ。

 虎と俺が突っ込み、熊が突っ込む。

 自分のカバーは自分でやれ、そのスタンスによる連携とも言えないようなものは、他の者から見れば異次元であっただろう。

 

「よくやった熊。蜂蜜をやる」

「今は魚の気分だな。ブリで頼む」

 

 こいつはなんで軽いジョークに対して真面目に答えてんだろうか。

 

「うおおおッ!!」

『ギャアアーッ!!』

「よし、これでソロモン内部に入れるな!」

「上出来だ虎。早速乗り込むぞ」

 

 ギャザだっけ、あー違うわガザCだわ。とりあえずそいつを軽く捻り潰した虎がソロモン入口への航路を開いた。

 早速内部に入ると、岩石と機械の混じった無機質な道が見える。

 

「こっからは降りて探索か」

「する必要あんのか?」

「ある。悪人を殴る瞬間が人間1番気持ちいいんだ」

「この光景……昔を思い出す」

「は? お前偵察ミッションとかやんの?」

「おっと……なんでもない」

 

 少し不審な熊はともかくとして、MSから降りて人が通れる通路に入る。そして動きやすいよう、アバターを素顔が見えない人型のものへと換装。

 人が通れるサイズだけあってMS用の道とは違い、完全な鉄の通路。生きてる感じがしないこの無機的な空気……やっぱGBNはよく作り込まれてる。

 

「人がいる感じはないな。音も聞こえねぇし」

「いや、黒幕は絶対に隠れてるはずだ……!」

「ああ、それに何処かにMAのような決戦兵器を隠してる可能性もある」

「とにかくどれも見つけ出さねぇと、だな」

 

 この2人は多分シンプルにスタルを倒して追放、それで平穏なGBNを取り戻そうっていうつもりだ。だが俺はその限りじゃない。

 GBNのサーバーで発見されたコンピューターウイルス。現在解析と削除に勤しんでるがプロテクトが固く難航しているそれには、特定のデータを消す機能が組み込まれているのがわかった。その特定のデータがなんなのかはわからないが、もしそれがシステムの中枢を破壊するようなもんだったら取り返しがつかないことになる。

 タイミング的にほぼ確実にスタル絡みの代物だし、なんならスタルが雇ったとかいうハッカーがやった可能性もある。スタルのリアルを明かし、サイバー犯罪対策課にかける。それが俺の目的だ。

 

「手分けして探すぞ。もしなんかの防衛システムが働いてもテメェらならどうにかなるはずだ」

「了解だ!」

「見つけ出したらすぐに伝える」

 

 入り組んだ分かれ道に各々進んでいく。

 さて、これで邪魔なのは居なくなった。スタル、もしくはそいつに繋がる人間を探し出して、そいつから情報を抜き取る。

 

(ま、見つけなけりゃ元も子もねぇが)

 

 道なりに進み、個室となっているところは軽くチェック。道が分かれていればそこをある程度進み、引き返す。

 必要なのは大まかなマップの全体像だ。ユーザーがデザインした基地であれば既知のデータは使えない。例え細部がわからなくても、どういう道からどういう風に分かれているかは知っておきたい。

 万が一負けた際も、このデータを頼りにここの制圧の難易度は劇的に下がる。

 

(何もねぇ……つーか、もぬけの殻?)

 

 最初から不自然過ぎる人気の無さは感じていたが、いくらなんでも異常だ。まるでここを捨ててとんずらこいたような。

 …………”ような”じゃねぇな。マジでここは捨てられた可能性が高い。逆探知喰らう前に撤収とは所謂”無敵の人”の癖によく考えてる。スタルは結構頭が切れるクチか? 切りてぇのはその舌なんだが。

 

 コツン。

 

「ッ…………!!」

 

 足音。ついに第一村人発見か。

 音はヒールか? スタルのものじゃない、あいつは軍人が使うブーツだった。ヒールにしては重みがあるな……革製。女性が付けるのと同じだ。

 女性ダイバー……ネカマ? どっちでもいい。とりあえず重要なのはいることだ。

 ……クソ、クロート並の聴力なら位置を特定出来るのに。左にいることしかわからん。部屋にはいないし、奥の方。隣の廊下か……。

 

(近くなってくるな……適当な場所に隠れ、いや。歩くスピードが速い。確実に位置がバレてる。懸命なのは…………正面激突か)

 

 音が段々と近付いてくる。恐らく突き当たりの向こうにいる。迷い無く進んでいるから、俺の意味は把握済みだろう。

 だったらもう、シンプルに生身で戦うだけだ。

 

「っ…………!」

 

 銃を取り出し、突き当たりから飛び出す。

 眼前にいるのは赤いフードとマントを被った女性ダイバー。身長は体感160程度。服装は侍衣装に洋風のイメージを足した様子。フードの中身は見えないから、俺と同じで見れない構造だろう。

 

「っ、なっ……!?」

 

 銃を構えて撃ち出す。無論飛び出した勢いでの体勢で当たるわけはないが、威嚇にはなる。

 そのままナイフを取り出して突撃する。

 

「ッ、刀……!?」

 

 ナイフでの刺突に対し、相手は懐から刀を引き抜いて応戦。上から叩き落とすように振り被る。

 

(剣術アリか……なら!)

 

 ここは狭い通路。そしてこのシチュエーションならいけるはず。

 ナイフを持っていた手から力を抜き、ナイフを捨てる。半ば拘束状態だった身体が解き放たれた。

 脚で壁を蹴り、落ちる前にもう片方脚を出し、壁を渡る。

 

「壁をっ……!?」

 

 女の後ろに回り込み、そして反応して振り返る前に蹴り……上げる!

 

「かはッ……!!」

 

 女の身体が後方に吹っ飛び、受け身をとって落下する。あの感じからして、格闘系以外のなんらかの武術は身に付けてそうだ。

 となると、やはりこいつはスタル側のエージェント。てっきり見た目変えてくると思ったが、スタルが女装してた訳じゃないっぽいな。

 女の胸ぐらを掴み、壁に叩きつける。

 

「くッ…………!」

「変な抵抗すんなよ。俺の言う通りにすれば解放してやる」

 

 脚をジタバタさせて抜け出そうとしたので、腹に一発入れて黙らせる。

 GBNは全年齢対象。過度な痛みなんかは無く、ふわりとした微妙な感覚だけを感じる。だがそれは痛覚に限った話。衝撃による揺らぎは完全に再現されている。

 

「あうっ、があ…………!」

「初めての尋問はどうだ、お嬢さん」

 

 壁に磔のまま、首を折らない強さで持って宙吊りにする。浮遊感と落下の恐怖を感じ取る絶妙な位置、口を割らせるのは上手くいくはず。

 

「質問はひとつ。スタルの本名を言え。お前らは1度リアルで会ってるはずだ」

「ッ……!」

 

 奴らの心理状態から推測を立てた所謂当てずっぽうだが、女の反応を見るに図星だったらしい。

 

「匿名で集まったか? なら顔の特徴、集会場所、なんでもいい。とにかく奴に繋がる情報を全て言え」

 

 さて、これは脅迫に繋がるだろうか。

 だとしたら少し不味いが、まぁ誰も見れないし警察には易しく聞いたとでも言えばいい。

 

「えっな、なんで……」

「私情以外に無い」

「その私情って……」

「今質問しているのは俺だ。お前の学校は疑問文に疑問文で答えろとでも教えてんのか?」

 

 声は少し涙ぐんでいて、今にも泣き出しそうだ。心の壁は割りつつあるようだし、このまま攻めていく。

 

「ぐっ……、うぁ……」

「GBNで何悶えてんだお前。もがもが言ってりゃ喋れなくてもしゃーなしとでも思ったのか?」

「ちが、ぅ……!」

 

 苛立ちからか少し手に力が入る。首を絞められていると錯覚を起こした女が一層苦しみ出す。

 意外に手強い。やっぱネトゲで脅してもこの程度か、現実でやったら普通に捕まるし。仕方ない。

 手を離して再び胸ぐらを掴み、地面に叩きつける。

 

「う……! あぐッ…………!?」

 

 そして腹に片脚を置いて体重をかけながらゆっくりしゃがみ込む。錯覚の精度は高いけどやっぱゲームっぽい感覚が邪魔なんだよなぁ……視覚的な恐怖に訴えかけるしかないか。

 

「さっさと言え。こっちも暇じゃねぇんだよ」

「ひっ……、ぃ……!」

「怯えるくらいなら早くしろ!! このチーター野郎ッ!!!」

 

 恫喝を前に怯え切った女は震えて霞んだ声で、ゆっくりと言い放った。

 

「……ヒカ、リ」

「あ?」

「飯綱、ヒカリ…………です」

「飯綱ヒカリ……それがスタルの本名か」

「顔、はわかんなくて…………でも、集まったのは、瀬谷区の……公園で…………」

「…………瀬谷区の公園で集まった、その中心が飯綱ヒカリ。それでいいんだな」

「は、はいっ…………!」

 

 信憑性はともかく、やっと情報らしい情報が出てきた。

 

「そうか。ご協力ありがとう」

 

 弾丸を撃ち出し、女のアバターの耐久値をゼロにする。アバターは光の粒子となって消滅した。

 

(…………さて、後はスタルを戦場で見つけてしばき倒すだけか)

 

 俺がいる基地内が大きく揺れ始める。

 どうやら、丁度よくヤバいのが動き出したらしい。

 

「……急がねぇと機体潰れるな、こりゃ」

 




少女が告げた言葉は真実か、或いは……。

機体解説

MSN-06Sb スタイン・シュバルツ
スタルが駆る漆黒のシナンジュ。
外装パーツは黒く塗られたシナンジュそのものだが、カメラアイがシナンジュのベースとなったシナンジュ・スタインと同じツインカメラとなっており、頭部アンテナがディランザ専用仕様のように大型化されたものになっている。
それ以外に元との差異は無いが、機体自体がフェイクデカールの使用を前提とした改造が施されており、その能力は計り知れない。更にはGPDに使用されているような対ビームコーティングや、桁外れな程に頑丈なシールドは並大抵の機体では突破は不可能と思われる。

特殊システム
・インテンション・オートマチックシステム:GBNの機能の1つである思考を機体操作に取り入れるシステムを全面に押し出す強化システム。ユニコーンのものと同様。
・ブレイクブースト:違法ツール、フェイクデカールに搭載された性能強化システム。乗り手のイマジネーションを元に思い通りのスペックになるよう強化され、そこに過剰なまでのステータスバフを重ねる正しくチート級の力だが、違法ツール故にGBNのサーバーに強い負荷をかけるデメリットが存在している。

武装
・頭部バルカン砲
・ロングビームライフル
・ハイパーバズーカ
・ビームアックス×2
・ビームサーベル×2(両腕部)
・シールド
・グレネードランチャー(オプション)
・ビームガトリングガン(オプション)
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