ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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クロネコもっとイチャつけ


第32話「FIANCE」feet.K

 ひとつ、ビームマグナムで狙い撃ち。

 ふたつ、ビームスマートガンで薙ぎ払い。

 みっつ、ビームサーベルで切り捨てる。

 

「残弾6……ラックと増加フレーム据え置きにしといてよかった」

「こ、これで残りのガンヴォルヴァは10機……なのです!」

 

 コネコはもうアグニが破壊されてグランドスラムで対抗している。そういや、『水星の魔女』のアド・ステラ世界は実弾兵器が条約で禁止されてたな、宇宙が汚れるとかなんとかで。ノレアの言う通りどの口が言うんだか。

 

「……? 3機降りたぞ」

「えっ、お、追いかけるのです!」

「いやいい。あっちはシルヴィーとルブリスウルがやり合ってるとこだ」

「だったら尚更じゃ……!」

「いや、見たい」

 

 水星の魔女14話。初登場したガンヴォルヴァは、エアリアル・リビルドのスコア6に巻き込まれる形でオーバーライドされ、元の主人であるルブリスウル、ソフィ・プロネを襲った。だとすれば、この対処法も……。

 

「あ、あれって……!」

「スコア6…………」

 

 3機のガンヴォルヴァの対処法、『スコアを上げて奪い取る』をレイメイはやった。

 スコア6はアノマロがオレを通して禁止に指定したイエローカードだ。それを切ったことに憤慨などは感じないが、少し引っ掛かりがある。

 以前の有志連合戦で起こした、光の結晶体。全身を覆うサイコシャードが、今回は発生していない。

 

(やっぱあれは、バグの副作用か)

「カスミさん、前!」

「あ…………?」

 

 無防備なオレを捉えたガンヴォルヴァが、こちらにライフルを構えて佇んでいる。あーらら、無防備はどっちだか。

 

「ファンネル」

 

 飛ばしていたシールドファンネル2基を集合させ、ガンヴォルヴァの攻撃を防ぐ。続いてビームキャノンを向けて発射。いとも容易くガンヴォルヴァは破壊される。

 

「そこも見えてる」

 

 後ろからビームサーベルで斬りかかろうとするガンヴォルヴァに、中学時代にやっていた空手部の時のような蹴りをお見舞いする。直後にアームドアーマーVNを展開し、胸部のエンジン毎引き千切る。

 

「残り5」

「いや、これで3なのです!!」

「おおっ」

 

 落ち着いてからコネコの方を見ると、ガンヴォルヴァの攻撃を避けながら鮮やかに切り裂くオールマイトストライクの姿が。これで2体同時撃破、目まぐるしい成長に思わず感嘆の息が漏れた。

 

「チューハイみたいな一気で、ケリをつける!」

「学生には共感しづらいのです……」

 

 NT-Dを起動。脚部から次々へと装甲が展開し、アンテナが2つに割れてデストロイモードへの変形が完了する。

 

「さぁーて、バナナ味君ごっこを始めるか」

「バナナ味君ごっこ……?」

 

 デストロイモードへの変形により開放されたスラスターを吹かして、ガンヴォルヴァ1機に取り付く。

 

「ここから出ていけ、チーターッ!!」

 

 ある程度離してから突き飛ばし、ビームトンファーで串刺しにする。

 

「バナージさんそんなことしないのです!?」

「意外とするかもしれないだろ!」

 

 まぁねぇわなとは思いいつつも、ここはノリが一番大事。今破壊したガンヴォルヴァのように、押し負けたらそこでアウトだ。

 

「全くもう……! でもこれで、終わりなのですッ!!」

「ああ!」

 

 コネコがグランドスラムでガンヴォルヴァを叩き斬り、同時にオレもマグナムを構えてもう1機のガンヴォルヴァに当てる。

 同時撃破で、残り0。これであの喧しい集団が戻ってくるかと思えば少し複雑だが、まぁそれがヴァルガの本来あるべき姿なので良しとしよう。悪いものには蓋。大事。

 

「さてとコネコ」

「はい、どうしたのです?」

「オレ…………サブフラ無いからおぶってくんない?」

「え?」

「今も落ちそうで常に推進剤消費してるんだわ。悪い」

「えぇ……?」

 

 サブフラは、ガンヴォルヴァ数機仕留めるために自爆特攻させた。狙い通りの攻撃は出来たが肝心の飛行手段を手放したので、このままだと絶対落ちる。

 だがそうはならない。こんなオレにも理解を示してくれるカノピッピがいるので。

 

「あーもう! 手のかかる婚約者なのです!」

「ごめんな」

 

 腰から掴まれてなんとか飛行フォームを保とうとしている。生身だったらやばいな、この体勢。色々と刺激が強い。

 しばらくおぶられていると、下からボロッボロのシルヴィーが飛んで帰ってきた。右腕とアンテナは折れ、所々の装甲はヒビが入っている。ガンビットも見当たらない辺り、消失したのだろう。

 

「た、ただいま……」

「おかえり。ま、降り積もる話はあれど今は再会を喜んだらどうだ」

「さっき色々済ませたところだよ」

「色々、ねぇ」

 

 まーこいつらのことだ、キスして一発KO対ありってところだろう。なんてわかりやすいんだ。

 

「とりあえず、フォースネストに帰るのです?」

「……そ、そうしよっか」

 

────────────────────

 

 自分のMSドックから出て、フォースネストへと向かう道中。

 皆は普通にエリア移動でワープするし、オレも時間が無いときはそうするけど、せっかく疲れない体なんだから少し楽しんでみたい。

 

「カスミさん?」

「あ、コネコ」

 

 しばらく歩いていると、恐らく自分のドックから出たであろうコネコと会った。

 

「ちょうどよかったのです。話したいことがあって」

「話したいことって?」

「カスミさんは…………ビリーヴ先輩の記憶が消えた理由を、知ってるんじゃないのです?」

「ッ……!」

 

 不味い、図星を突かれた。隠してたつもりだったが、存外コネコの観察眼も鋭いらしい。

 憶測の話。ビリーヴのメモリーが消滅した直前、例のコンピューターウイルスの作動が確認された。好機と捉えた運営がウイルス消去に躍起になるが、苦労は叶わずウイルスは目的を果たして消滅した。タイミング的に、そのウイルスはビリーヴのメモリーデータを消去した可能性が高い。

 いや、もしかしたら運営の尽力でメモリー消去に留まっただけで、実際はビリーヴそのものを消してしまっていたのかもしれない。

 

「……なんで?」

「やけに、落ち着いてると思ったからなのです。普通、フォースメンバーが記憶喪失なんて……カグラ先輩もショックで来なくなるくらいなのに」

「あー、カグラはなぁ……」

 

 カグラはイチカちゃんのことがあるから仕方ない。アマネは意識はしてるだろうけど気にはしてなさそう、かくいうオレもそんなだし。

 

(コネコは、ビリーヴのために色々してくれてたわけだし……)

 

 ちょっとくらいは話してもいいかな、と思ったとこで1歩踏みとどまる。

 それは、ただの公私混同だ。社会人として、1番やってはいけないことだ。

 

「…………知ってる。けど、言えない」

「ど、どうしてなのです?」

「GBNの運営が直々にトップシークレットにしてるからだ。守秘義務ってやつで、違反は出来ない」

「……だったら、仕方ないのです……」

 

 納得はしてくれたようだけど、真実が知れなくて残念な顔をしている。思わず、そっと頭を撫でてしまった。

 

「え…………?」

「…………あ! え、えっと、コネコが辛そうな顔してるのが嫌でその、つい……!」

 

 反射的に手を離して後退りする。

 は、恥っず…………!!世のカップル達はこんなこと平然とやっているのか? リア充、恐ろしい……!

 

「す、すみません…………」

「……ふふっ」

「え?」

 

 謝ったら何故か笑いが返ってきた。え、なんで?

 

「別に、ちょっと驚いただけなのです! 撫でられるの嫌とかじゃないから、安心していいのです」

「ほ、ほんと……?」

「どうして嘘つく必要があるのです? 私は、カスミさんの前では偽らないつもりなのですよ」

「……そう、か」

 

 コネコは本当に優しい。自分には勿体ないくらいの、良い人だ。

 自分に好意を向けてくれること、ストレスフリーでいてくれること、そして、こんなオレを受け入れてくれること。それが、めちゃくちゃに嬉しくて、自分の心の壁が崩れてしまう。

 

「カスミさん、ちょっと前屈みになってほしいのです」

「わ、わかった」

 

 コネコの言う通りに前屈みになると、頭がコネコの胸元へと引き寄せられる。

 

「ッ…………!?」

「カスミさんは心配性なのです……。もっと心に余裕を持って、持てるように甘えて……いいのですよ?」

「コネ、コ……」

「カスミさんはかっこいいけど、たまにすっごく可愛くなるのです。そんなところも、大好き……なのです」

 

 抱き寄せられた手で、後頭部の辺りを撫でてくれる。まるで赤ちゃんをあやすかのように。

 多分、今のオレの顔は他の人にはとても見せられないぐらい酷いだろう。なにせ、当たっている。大きいとも小さいとも言えない、小振りながらしっかり存在を主張する、胸が。

 そりゃ女の子の胸を触りたいっていうのは男の夢ではあるけどさぁ、初手がこれは刺激つえーのよ! いや、胸を触るってそれイコールベッドインなんだから割とこっちの方が先ってのもあるのか? だとしてもちょっとやばいぞこれ、非常にけしからん。

 

「あ、あはは……。これすっごい恥ずかしいのです……」

「…………もう少しこうしてて欲しい」

「ふぇっ!?」

「けど! これ以上はオレの尊厳パラメータが削れるのでやっぱやめていいです!!」

「どっちなのです!?」

 

 正気を保つため、勢いよくバッとコネコから離れる。マジで危なかった、リアルだったらほんとにヤバかった。

 

「……ふふ、ははははははっ!! やっぱりカスミさん面白いのです!」

「だ、だからなんで笑うんだよ!」

「だってさっきから脚プルプルしてて今にも倒れそうだったし、行き場を失った手があわあわしてたし!」

「あ、あれはっ、足元への負担がですね……」

 

 あぁ、いいな。これ。

 昔に還ったようで違う、この感じ。前に進んでるって、感じがする。

 

 しばらく話し込んでから、2人で並んで歩を進める。コネコもエリア移動せずに歩いていくつもりだったようだ。

 

「唐突な話だと思うのですけど、カスミさんってリアルの私とGBN(こっち)の私、どっちが好きなのです?」

「え」

 

 過去一困惑と驚きの混じった「え」だったと思う。

 

「そ、それは…………内面のお話でしょうか……?」

「そうじゃなくて、見た目の話なのです」

「見た目?」

 

 え、ああ、そっち? そっちなの? そっちなのかぁ…………。

 

「一目惚れって…………どっちのことなのか、わかんなくて」

「あぁ、そういうこと?」

 

 それ気にしてたのか……気にするよな、華の女子高生だし。

 にしても、どっちかと言われてもなぁ……。どっちのコネコも可愛いし、甲乙つけ難い。最初に会ったのはGBNの方で、なんとなく活発で元気な…………オタク向けするアバターだなと思った。リアルの清楚な感じとは真反対で、あのお見合いの日はそれはもうびっくりしたわけだけど、となると…………。

 

「…………そういうことなら、リアルの方……かも? GBNで会った時は、なんか元気な感じだなぁとしか思わなかったから」

「なるほど…………なのです」

 

 オレの出した答えに対し、コネコは少し思案するような反応をする。そして、メニューを開いて操作をしてから、コネコの髪が黒く染まり、伸びてロングのようになる。それはまるで、リアルのように。

 

「…………え!?」

「こっちの方が好きなら、こっちで行きたいと思うのです」

「えぇ……? 元のダイバールックもめっちゃ可愛いしいいと思うんだけど……」

「でも、どうせなら好きな人の好きな方がいいのです」

 

 いやそう言われても…………まぁ、いいか。本人がそう言ってるなら。それに、すごく可愛いし。

 

「……どう、なのです?」

 

 せっかくオレのためにルックを変えてくれたわけなんだし、その分オレが返さないと示しがつかない。

 

「……コネコ」

「はい?」

 

 コネコの顎に手を乗せて、自分の方に引き寄せる。

 そして、その仄かに赤みがかった頬に、口付けを落とす。

 

「…………、え?」

「めっちゃ似合ってる」

 

 状況がイマイチ飲み込めなくてぽかんとしているその顔は、どこまでも綺麗だった。

 

「…………ふ、ふふ。コネコオレのこと面白いって言ったけど、コネコも大概じゃん!」

「ふぇ……? え、えぇ…………!?」

 

 これに拗ねたのか、そこから一日中オレの言うこと聞いてくれなかったけど、それでもなんだか幸せだった。

 なにもこれまでの人生が嘘に思えるくらいの大きな幸せじゃなくていい。ひとつひとつの小さな幸せを丁寧に噛みしめて、自分の人生の総評をA+にできたら、それでいいんだ。

 これからもそんな人生を、コネコと送っていきたい。そう思えているなら、オレは自分を、コネコの婚約者の自分を、好きになれるかもしれなかった。

 

────────────────────

 

 そして、月日は流れる。

 

 3年前の『BUILD DIVERS』がクリアして以来、1度もクリアを許していない超難関ミッション、『ロータスチャレンジ』。

 15分以内に大気圏を突破し、フル装備のラビアン・クラブのコアユニットを破壊するというミッションで、オレ達は残り1分まで追い詰められていた。

 

『ハーッハッハッハ!! 年貢のお”サメ”時だな!!』

「B級映画みたいなことを……!」

 

 ビームザンバーを振るいマーメイドガンダムと競り合うスカルライダー。超強力なIフィールドと強固な肉壁、そして制限時間は残り1分弱。クリアは絶望的と思われた。

 だが、オレ達には『秘策』があった。

 

『さぁ! 今にもミッション失敗の時が迫っているぞ!!』

「問題ない。元よりオレ達は”露払い”だからな」

『なんだと……?』

 

 オレの発言をロータスは訝しみ、そしてその言葉の意味は、数刻を待たずとして知ることになる。

 

「パーメットスコア、”8”……!」

『ッ…………!!?』

 

 突如巻き起こる、粒子の嵐。一部の機体は巻き込まれ、鉄屑となって消滅する。

 そして、そのトルネードの中心はただ一点、『目標の中心』を目指して直進した。

 

「起動おっそ……! ラグってんのかと思ったぞ!」

『なんだ!? これは一体……!』

 

 そして、トルネードの中心は直ぐにラビアン・クラブの中心に取り付き、発生させた白いフィールドで要塞全体を覆い被せる。

 そのあまりにも速すぎる事態には、流石のロータスも驚きを隠せないでいた。

 

「状況は刻一刻を争う……一気に行くよ、ビリーヴ!!」

「うん!」

 

 取り付いた要塞から1度離れ、サブアームに懸架していたビームライフルを取り出す。そして、肩部のソードビットをライフル下部のビームガン部分に直結し、その銃口を要塞、ラビアン・クラブに向ける。

 

『ハッ、バカが! コアユニットのIフィールドはライザーソード如きでは破れんぞ!!』

「ツインソード、ライザーァァァァッ!!!」

 

 ライフルから発生した、超巨大なビームサーベル。それはロータスの言葉に反し、コアユニットごと要塞を貫いた。

 

『なっ、なんだとォッ!!?』

「うおおおおぉぉぉッッ!!!」

 

(Iフィールドが機能していない……!? まさか、あの短時間でシステムをオーバーライドしたというのか……!!)

 

 機体のビームライフルから発生したビームは要塞を丸ごと両断し、真っ二つにして大爆発を引き起こした。

 

『TIME:14,38,574』

『FORCE BUILD REVIVAL LOTUS CHALLENGE COMPLETE』

 

 巻き起こる歓声。

 1年前のver.エルドラを除く、3年前以来のミッションクリア。この日、人々の脳に刻み付けられただろう。

 逆転の要となり、レコード勝利を飾った彼の妖精の名を。

 

「これが新生、『ガンダムシルヴィーツヴァイ』の力だ!!」

 




絶望の先、希望を求めて妖精は進化する!
これにてチャプター2は完結、次回からチャプター3に入ります!多分相当時間空くので気長にお待ちください!!

chapter.2完結!この段階で一番好きなキャラクターは?

  • レイメイ/紅月ミナ
  • ビリーヴ
  • コネコ/小南ネコ
  • カスミ/霧雨クロート
  • カグラ
  • アノマロカリス
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