ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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バトランダムパート2


第43話「激闘のシルヴィーツヴァイ」feet.R, N

レイメイ」

「はい」

「すぐやられちゃったね」

「はい」

「どうしてなのかな」

「敵スナイパーお構い無しで突っ込んでいきました」

「それはどうして?」

「思わず舞い上がりすぎました」

「自業自得っていうんだよそれ」

「はい」

「何か言うことは?」

「本当に申し訳ありませんでした」

「うん。じゃあ気を取り直していくよ」

 

 先走りすぎた反省も一塩、待機時間を過ぎて戦線に復活する。さっきは本当の本当にやらかしたので、さっさと戻らないと。

 戦場の中心を観察する。目に見えるのはイージスパラディンとスカルライダーの取っ組み合い。お互いのビーム刃がぶつかり、辺りが眩い光に照らされている。次にハーデインとルシファーの撃ち合い。ハーデインは残り4枚のリフレクタービットを上手く使って攻撃を捌き、優勢のルシファーはビームトンファーで攻め続けている。そしてウォドムポッドとオールマイトストライクの攻防。コネコはお得意のグランドスラムによる質量兵器での攻撃でウォドムポッドを追い詰めている。あいつもう鉄血の機体使った方が良くない?

 

「レイメイ、どっちから行く?」

「どっちもなんか優勢っぽいし、迂回して拠点目指した方がいいかも」

「うん。それがいいね」

「よし、じゃあ早速………………ってうえぇっ!?」

 

 粒子を吹かして飛ぼうとしたところで、イージスパラディンとの鍔迫り合いに勝利したスカルライダーが自害してこっちに転送されてきた。何してんのこの人!?

 

「え、アノマロ!? なんで!?」

「オバヒって機体がほぼ鉄塊だったからリスポーン選んだ」

「死にゲーか何か?」

「骨を切って肉を断つ…………みたいな?」

「知らん。つかお前らさっさと行け。あっちのパルウィーズとヒナタはもう復帰してるぞ」

「やばっ!?」

 

 私が2人を引き付けないとカスミとコネコが2対1の状況になってしまう。急いで向かわないと!

 などと意気込んでいる暇はなかった。

 

「ッ、レイメイ!」

「わかってる! 機影2……コアガンダムとそのアーマー!?」

 

 ガンビットのセンサーが写したのは、コアフライヤーへ変形しているコアガンダムIIとそのアーマー、赤いマーズアーマーだった。

 

「どうやらメイが分離して、カスミがその対応に当たってるっぽいな」

「それでフリーなヒロトがこっちに来たと!」

「俺の復活まで気張れよー」

「他人事みたいにィ!!」

 

 悪態を吐きながらも即座に臨戦態勢へ。まぁいい、こいつには初陣を台無しにされた鬱憤がある。どの道潰したかったのには変わり無し!

 

「パーメットスコア、7」

 

 機体胸部のシェルユニットが緑に輝き、血液のように全身がGN粒子で満たされる。そして、スラスターから粒子を吹かしてコアガンダム目掛けて突撃する。スコア7は通常ならデータストームの負荷で稼働時間は終わってるけど、ことシルヴィーツヴァイにおいてはそのようなデメリットはない。というかあったらロクに使えてない。

 

『コアチェンジ、ドッキングゴー!』

 

 私と同様、ヒロトもまたその掛け声を合図にマーズアーマーとドッキング。マーズフォーガンダムとして反撃。お互いの剣が火花を上げて激突する。

 

『なんてパワーだ…………!!』

「出力はこっちの方が、上!!」

 

 ビームの出力を上げ、相手の剣を弾き飛ばす。隙を見せずクロービットを接続し、クローアームとなった足でマーズフォーを掴み取る。

 

『なっ!』

「ツヴァイの名は伊達じゃないッ!!」

 

 そして有り余る程の出力のままに機体を投げ飛ばす。マーズフォーは大きな砂煙を上げて地上に叩きつけられる。あれだけの勢いならダメージも相当なものだろう。

 しかしこの世界には『落下死は生存フラグ』というジンクスが存在する。何より高いパワーと堅牢な装甲による格闘仕様なんだから、あれくらいで音を上げるはずがない。

 私は追撃のため、地上に降りた。

 

「………………………………ッ!!」

 

 突然起き上がったマーズフォーが腕部のクローで殴りかかってくる。咄嗟に避けたが、その後もう一方の腕で足を掴まれ、そのパワーによって遠くへと投げ飛ばされる。

 

「うわあっ!?」

「っつー……! 流石格闘戦特化なだけある!」

 

 マーズフォーは私の方に向き直すと、手から離れていた双剣を持って構える。私もそれに合わせてビームソードを構えた。

 

「ガンビット、増やす?」

「お願いビリーヴ。換装するだけで出力のベクトルまで変わるとかチート過ぎんでしょこいつ…………!」

 

 上部銃口にGNソードビット、下部銃口にGNクロービットを接続。コンデンサーを2つ直結にしたこの”ヘラクレスバスターソード”なら、こいつのフィジカルともやり合えるはず。

 呼応するようにマーズフォーの双剣もビーム刃を展開。そして突っ込み、私達に振りかざしてくる。

 

「ッ……、!」

『パワーが上がった!?』

「やられてばかりじゃない!!」

 

 光の翼を小規模クラスに展開し、出力を向上。このパワーで押し込んで山に衝突させる。

 

「うがっ!」

 

 だが、直後に膝蹴りを喰らい、右脚のキックで横に弾き飛ばされる。さっきとは違い倒れ込まず着地し、刀身を折り曲げ”ヘラクレスバスターキャノン”にしてマーズフォーを狙い撃つ。

 

『っ、ライザーソードは使わせない!!』

 

 あの重厚的な攻撃群からは想像もできないような軽やかさでビームを避け、懸架していた大剣を振り下ろしに接近してくる。

 

「レイメイ!」

「アイシー! 避けるよ!!」

 

 大剣の重い一撃を数瞬の隙に避け、上空へと逃げ去る。さしものあいつも飛ばれたら近付けないだろう、武器の投擲程度じゃ決定打には──

 

『リミテッドチェンジ!』

「…………は?」

 

 どこからともなく呼び出されたウラヌスアーマーからライフル銃身部が射出、大剣と共に懸架していたコアスプレーガンに接続してスナイパーライフルへと仕様を変更する。

 

「ちょっ──!」

 

 正確に狙いを定めた狙撃がシルヴィーツヴァイの肩を貫く。確実にコクピットを狙っていたがなんとか避け、被弾した肩も装甲が吹っ飛んで関節が丸出しになった程度で済んだ。とはいえ、ピンチなのには変わり無し。

 

(マーズフォーの追加アンテナは近接用の地形インプットが目的のはずで狙撃用じゃ……! まさかあいつ目視で撃ってきた!? んなバカな…………)

 

 さっきまで私達を斬り倒そうとしてきた戦士の瞳が、その時だけ狙撃手の眼をしていた気がした。

 被弾の衝撃で、機体は墜落する。

 

「……………………強い。ビルドダイバーズ名乗るだけある」

『そっちこそ。よく作り込んだガンプラなだけはある』

「じゃあ、うちの子自慢でもしようか!!」

 

 その言葉の意味を汲み取ったヒロトは、マーズフォーの大剣と斧を繋ぎ合わせ、1つの巨大な剣”ハードヒートレヴソード”にして前に構える。

 

「パーメットスコア8、トランザム・ドライブ」

 

 シルヴィーツヴァイの機体表面が1度だけ赤く輝き、その後機体はパーメットの白い光を灯す。両腕と脚部、果てはバックパックからも過剰なまでの粒子が放出され、機体全体が粒子の嵐、GNストームに包まれる。

 ヘラクレスバスターソードを携え、マーズフォーに習うように構える。

 

「呼応してる。2人が、ガンプラと一緒に繋がってる!」

「私も、シルヴィーの思いが伝わってくる気がする!」

『…………、ああ。俺もだ』

 

 剣を持ち直し、そこから巨大なビームの刃を生成する。

 

「…………ライザーソーォォドッッ!!!」

『うおおおおおッッ!!!』

 

 大剣同士の強烈なぶつかり合い。空気が震え、草木は飛び散り、ただ散る火花の光だけが周囲を照らす。

 

「やあああァァァッッ!!!!」

 

 その激しい激突を制したのは、私のシルヴィーツヴァイだった。

 ビームの刃に巻き込まれたマーズフォーは巨大な爆発を上げ、その煙から────

 

「コアガンダムっ!?」

 

 直前でアーマーを脱ぎ捨ててまで直撃を避けたらしく、その右手にビームサーベルを構えてこちらに突っ込んでくる。

 

「レイメイッ!!」

「────なっ」

 

 完全に間合いに入る手前でビリーヴが操るガンビットに全身を貫かれるコアガンダムII。しかし、完全に沈黙する前にサーベルを投げてシルヴィーツヴァイのコクピット部分を突き刺した。

 この勝負は、お互いに引き分けだ。

 

────────────────────

 

 私の鈍い斬撃は容易く避けられ、また相手のハンドガンも私の機体には決定打にならない。

 

「ちょろまかと、いい加減当たるのです!」

『そういうわけにはいかない』

 

 グランドスラムを投げるが当たらなかった。お返しとばかりに肩のビームシールドが投げつけられる。これは対ビームシールドを使って防ごうとしたが、出力的に押し負けるのでシールドを捨ててなんとか防ぎ切った。

 

『さっきはなんだと聞いてきたが、お前の方こそカスミにとってどういう存在なんだ』

「そ、それはっ……!」

 

 恥ずかしさで少し言葉が詰まる。でもすぐに気持ちを切り替え、思い切りよく叫ぶ。

 

「しょ、将来を誓い合った仲……ですけどっ!!」

「…………そうか」

 

 メイさんはそう淡白に返す。

 

「生憎だが、私にはそういうものがわからない。だがきっといいことなのだろう。よかったな」

「………………」

 

 それは、メイさんなりの優しさなのだろう。フォローだったのだろう。

 だが、それが逆に私の逆鱗に触れた。

 

「煽ってるのです!?」

 

 アーマーシュナイダーを取り出し、ストライカーを外してメイさんに突っ込む。機動力の前に飛べるだけのストライカーはもはや邪魔なのだ。

 

『いや、そんなつもりは無かったのだが……』

「確かに結婚は確約されてますけど! まだデートも1回だってしてないし対面したの2回だけだし18歳になるまでキスとかその先とかできないのです!! それをあなたは適当によかったなとか言いやがってぇ!!」

『よ、よくわからない…………!』

 

 アーマーシュナイダーをぶん投げ、弾かれるのを確認しながら残るグランドスラムで斬りかかる。体勢的に避けれないのを察知したメイさんは左肩のシールドで対応、しかし空いている脇腹に蹴りを入れて突き飛ばす。

 

『ぐッ……やるな……!!』

「コケにされた恨み、思い知るのです!!」

 

『Battle ended』

『Winner:Build Revival!!!』

 

「──はっ!?」

『なんだと!?』

 

 これからというところで、突然戦いの終わりと自軍の勝利が告げられる。

 表示の直後、フェードアウトしていたカグラ先輩からの通信が入る。

 

『イエーイ! 盛り上がってたみんなみってる〜? キミたちがウダウダ戦ってる間にお姉さんが拠点ぶっ壊しちゃった!』

「……っ…………!」

 

 まさに絶句だった。送られてきた映像は火ダルマと化しているビルドダイバーズ側の拠点と、その上空に居座るプリムローズの姿。

 

『ま、お姉さんもピンチだったから本体自爆させちゃったけど』

「やってくれたのですカグラ先輩…………!」

 

 戦いに水を刺された怒りと無事に勝利して良かったという安心ではらわたがそれはもう凄いことになっている。あれかな? とりあえずあの人殴った方がいいのかな?

 

『すみませ〜ん! 僕がもっとしっかりしていれば……』

『いや、これは目の前の敵に気を取られ、拠点防衛が疎かになった私達フォース全体の責任だ』

『ヒロトごめん……。私全然役に立てなくて』

『ヒナタが気に病むことじゃない。今回はマッチングが悪かった。むしろ今回の反省を活かしていくべきだ』

『それが大人の特権だって、フル・フロンタルも言ってたしな!』

 

 こちらが少しギスギスしているのに対し、あちらは対称的にアットホームでほんわかとしている。うちはこう、なんか、尖ってる人が多いからあんな空気観なのかな?

 

「サモネちゃん。今回のバトル見てどうだった?」

「カスミさんだけ苦労背負いすぎじゃないですか……? お兄ちゃんはずっと同じ相手だったし、他は漁夫の利だったし」

「…………サモネちゃんの優しさが沁みる。その優しさずっとカグラに注いでくれよな」

「なんであたしの親目線なんだよお前! 十分過ぎるくらい貰ってるから今度はあたしが返す番なんじゃい!」

「お前が優しさねぇ……」

「なんだアノマロお前嫁いびりか? 姑枠獲得したのか? おん?」

 

────────────────────

 

「はぁ…………全くこの三馬鹿は……」

「仲良さそうだよね」

「うん。それはそうね」

 

 三馬鹿が言い合ってるのをほぼ無傷の拠点から眺めている。なにやらコネコはこの勝ち方に不服そう。自分でぶっ壊したかったのかな。

 

「あいつらのことはひとまず置いといて、挨拶行こ。ビリーヴ」

「うん………………いやごめん、ちょっと待って?」

「え?」

 

 途端にビリーヴが耳を澄ます。

 

「──なにか、聞こえる」

「シルヴィーの声じゃなくて?」

「違う。これ………………悲鳴?」

 

 瞬間。コクピット内にアラームが鳴り響く。

 

「ッ!?」

 

 アラームの先、頭上を見上げると、こちらに向かって刀を振り下ろしながら降下してくる機影があった。

 咄嗟にサブアームからビームソードを取り出して受け止める。その機体は、黒と赤の武人を意識した装甲に、ガンダムタイプ特有のフェイスを侵食している巨大な牙、そして一際異彩を放つ曲がりくねった2本の鬼のような角。

 一見、ガンダムバルバトスルプスをベースにした機体は、武者装束を見に纏った鬼の容姿をしていた。

 

「──”あれ”だ……」

「あれ……?」

「鬼武者…………。わたしの記憶を奪った、ガンプラ」

「え…………!?」

 

 ビリーヴが突然、衝撃的なことを口にした。こいつが、ビリーヴのメモリーを食ったってこと…………!?

 機体から接触回線で通信が入る。少し幼さを残す少女の声だ。

 

『…………私のガンプラバトルを、取り戻す』

 

 通信と共に1人の少女が写る。アバターは黒いフードを被っていてよく見えないが、前髪が右目の方にかかっていて少し隠れている黒髪のダイバー。

 

「来たか、マスダイバー」

 

 不意にアノマロカリスがそんなことを言い出した。

 目の前がこの鬼武者に覆い隠されていて見えなかったが、上空からは多数のフェイクデカールを持った機体が押し寄せてきていた。

 




次回、マスダイバー再襲撃!
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