ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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短いですが必要な話だと思ってます


第53話「結論:私が望むガンプラバトル」feet.H

「優勝は、ツカサ選手・コウイチ選手ペアだぁー!!」

『ワアアアァァー!!!』

 

「………………!!」

 

 今でも忘れることはない。

 あの日の熱を、歓声を、血湧き肉躍るような激しい戦いを。

 私を一瞬で魅了してしまった。

 ”ガンプラバトル”、それが私にとってどれだけ重いものなのか。

 

 この人は知らない。そのはずなのに。

 どうしてだろう。この人ならわかってもらえると思っているのは。

 

「あなた方にとって、ガンプラバトルとはなんですか?」

 

 問いかける。

 彼女は口を固く結び、少し考えるような動作をしてから、返事をした。

 

「…………逆に聞くけど、あなたにとっては?」

「私にとって?」

「揺らいでるんでしょ。自分の信念が正しいのか」

「っ…………」

 

 思わず後退りしようとして、膝の裏がベンチに当たる。

 自分にとってのガンプラバトル。そんなもの、決まりきっている。

 

「…………この前も言った通り、私にとってガンプラバトルはスポーツです。手ずから作ったガンプラを自らが動かして、戦って、何度壊れようと立ち上がる、そんな熱い信念のぶつかり合い。実機を使うからこそ、宿る想いは計り知れない」

「じゃあ、あなたはGPDをやったことがあるの?」

「っ……、ありません、けど、その情熱は、誰よりも覚えているつもりです」

「だったらそれは、ただの理想の押し付けだよ。この世には、妥協しなきゃいけないこともある」

「妥協したものが理想であるはずがありません。最上の要求であるからこそ理想なのです」

「最上だから、叶わないと知ったときの絶望は計り知れない。私は少なくともそう思うよ」

「………………」

 

 私も、この人も、自分の意見を全く譲ろうとしない。この人は、理想を追い求めて潰れたのだろうか。

 

「……めんどくせぇなぁ、さっさと結論言えよ。紅月ミナ」

 

 話が泥沼と化すのを見越して、小泉さんが催促する。

 

「…………楽しかったんでしょ、あのときのガンプラバトル」

「え……?」

「私にはわかるよ。憎んでても、悲しくても、ガンプラバトルをすることへの感動が伝わってきた」

「私が、GBNを…………?」

「素直になりなよ。今ならまだ、やり直せる」

 

 彼女が手を差し伸べてくれる。

 あのバトルを楽しんでいたのか、そうでもなかったのか、私にはわからない。訳がわからなくなって、感情に身を任せて、そのまま殴りつけるように言葉を発していた。そんな状態だったのに、わかるわけがない。

 そうだ、わかるわけがない。

 

「…………私のこと知りもしないで、そんなこと──!」

「あなたのガンプラは、泣いてた」

「っ……!」

「あのとき泣いてたのは、痛かったからじゃなくて、あなたを心配しているからって、あの時は言った。自分を必死に言い聞かせて、自分を殺しているようなあなたを見て、すっこぐ辛かったんだと思う」

 

 突然彼女の手の上に乗っていたELダイバーが口を開く。

 彼女は、ELダイバーはマスダイバーにとっては運営の脆弱性を示すための存在であって、ただのバグでしかない。それなのに私は、彼女の言葉に胸を打たれていた。

 

(私はバルに、そんな思いをして欲しかった訳じゃない)

 

 ただバルといつか、楽しくガンプラバトルができればいいと思っていた。だけどいつの間にか、こんな形ですることになっていて、どうしてこうなったんだろうと何度も思った。

 揺らいでいるというのは、完全に図星だ。

 

「ねぇ、あなたは、あのガンプラにどんな想いを込めて作ったの?」

「…………私は」

 

 私は、バルと、デモニックバルバトスと、一緒に………………!

 

「私は…………私は、ただ」

「うん」

「一緒に、ガンプラバトルが、したくて」

「そうなんだね」

「壊れても、何度も直すって、私の初めてのガンプラだから、って…………でも」

 

 引き出されるように胸の奥底が明らかになっていく。純粋な想いを、ただそのままの姿で、少しずつ露わにしていく。

 でももう、私は、マスダイバーという輪の中にいて、逃げ道が見つからない。だから、

 

「もう、引き返せない!」

「ッ…………」

 

 紅月さんの肩を掴んで、突き放す。

 

「そんなに私のことを止めたいんだったら、次の戦いで、かかってくればいい! 私は逃げも隠れもしません!!」

「ヒカリ…………」

「私はもう、マスダイバーとしてしか生きられません。あの世界において私は排除するべき敵…………なら、その役目を、あなた方が担ってください」

「は……? 待ってよ、私そんなこと──」

「やろう。ミナ」

「ビリーヴ……?」

「一緒にやろう、ガンプラバトル。ミナのガンプラと、私のガンプラで」

「………………え?」

 

 立ち上がったELダイバーがそう宣言する。それに対し、紅月さんは驚いたような声を上げた。

 

「戦うよ、あなたの言う通り。だからお話はそのときにしよ。ね?」

「…………ELダイバーが、ガンプラを作るんですか」

「うん。やってみせるよ」

「そうですか…………、なら、そのときはそのときで」

 

 私は踵を返してベンチに置いてあった鞄を持つ。

 ELダイバーがガンプラを作る…………そんな奇なことが起これば、マスダイバー達の認識も変わるかもしれない。勿論、私も。

 この2人に期待してみてもいいのかもしれない。この2人なら、今の私を”断罪”してくれるって。

 

 ……時計の針は6時を指している。今の時期ではもう真っ暗だ。

 

「では、これで解散にしましょう。あんまり遅いといけないので」

「わかった。じゃあね」

「また、GBNで」

「…………はい」

 

 振り返って2人を見ると、駅の方に向かって歩き出していた。今日は家に帰っても誰もいないけれど、中学生だし、夜が更けるまでには帰っておいた方がいい。

 

「話は済んだか?」

「はい、一応」

 

 話している間、ベンチにずっと座っていた小泉さんが口を開く。

 

「なら良かった……が、もし自傷行為みてぇな真似でも考えてるんだったら()した方がいいぞ」

「ッ…………」

「わかったならもう帰れ」

「………………わかりました」

 

 小泉さんが駅とは違う方向へと向かっていく。私も、鞄を持って家に帰った。

 




次回、ビリーヴの才能開花!
アマネくんが良い兄貴分過ぎて我ながら推せる

キャラ解説ver.4

ヒカリ/飯綱ヒカリ
フェイクデカールを使用する中学生のマスダイバー。
幼少期に見たGPDの試合に憧れる1人の少女だが、GBNへの世代交代やスタルの介入などが重なり、その憧れは歪んだ執着とGBNへの強い恨みへと変貌してしまった。
現在は自身の正しさや罪悪感から迷いが強く出ており、精神的に危険な状態。

chapter.3完結!この段階で一番好きなキャラクターは?

  • レイメイ/紅月ミナ
  • ビリーヴ
  • コネコ/小南ネコ
  • カスミ/霧雨クロート
  • カグラ/水無月カグラ
  • アノマロカリス/小泉アマネ
  • サモネ/小泉イチカ
  • ヒカリ/飯綱ヒカリ
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