ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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chapter4ようやくの戦闘回です
過去話ばっかやってたchapter3よりは導入早め


第54話「月光のガンダムネクサス」feet.B

「で、できた…………」

「ほんとに出来ちゃった…………」

 

 目の前に立っている、青と白を基調としたガンプラ。

 4枚に広がる羽根を持ち、大きなライフルを持っていて、サーベルは元のより強化されている。そして、各部に接続されている11基のガンビット。

 この機体こそがわたしのガンプラ、名前を『ガンダムネクサス』と言う。この名前はミナがつけてくれた。『繋がり』や『絆』という意味を持っているらしくて、とっても素敵な名前だと思う。

 私は自分よりふた周りほど小さいこのガンプラの頭を撫でる。

 

「……よろしくね、ネクサス」

「まさかビリーヴがほんとにガンプラ作っちゃうなんてね……」

「意外?」

「ちょっとね。人間と違ってELダイバーは普通、ガンプラと同じくらいのサイズだし。ビリーヴはMGサイズで作ったからそのHGのガンプラよりは大きいけど、それでもって感じでしょ?」

「うん。わたし達からしたらガンプラは自分よりずっと大きいものが普通だから、シルヴィーの時も思ったけど、ガンプラが自分より小さいのってなんか不思議」

 

 GBNにログインすればきっとこの子もシルヴィーと同じくらいの大きさになると思うけど、リアルでのネクサスもいいと思う。

 ただ、この子とゆっくりお話している時間はあまりない。

 

「ミナ、早くログインしよう。この子の慣らし運転する時間、あんまり取れないでしょ?」

「うん、確かにそれもそうだね」

 

 私達はダイバーギアを用意して、意識をGBNへと移した。

 

────────────────────

 

 そして、現在。

 わたしは信じられない光景を目にしていた。

 

「また、負けた…………」

「まだまだ、これからだよ」

 

 目の前には、白と紺を基調とした1体のガンプラと、その周囲を飛び交う6基のビット。

 そこから発せられる優しい男性の声は、このGBNにおける『チャンピオン』のものであった。

 

 事の顛末はこう。

 GBNにログインしてから、慣らし運転とばかりに色々なミッションをこなしていった。ネクサスの調子も良くて、二人三脚といった感覚でどんどん白星を増やしていったと思う。

 そうしていると、突然チャンピオンのクジョウ・キョウヤがやって来て、特訓なら是非付き合いたいと言ってきた。レイメイは『きっといい経験になるから』と渋々承諾した。わたしはよくわからなかったけど、そんなわたしを否が応でもわからせるような地獄の時間が、そこから小一時間は続いた。

 

 単純に言って、当たらない。

 ネクサスが持っているライフルは擬似太陽炉? というものを内蔵している大型のもので、いわゆるシルヴィーのとは違い高威力で連射ができない。なのでさっきからずっと無駄弾を撃って、たまに弾かれて、次を撃つ頃には撃墜されているような状態が続く。ガンビットが11基あるから大丈夫なように思うけど、キョウヤが操るビットの攻撃が激しすぎて防戦一方。レイメイからは『ファンネルに対応できてるだけ英雄レベル』と褒められたけど、手も足も出ていないのでは意味がない。

 つくづく、この人がチャンピオンである所以を感じられる。なるべくしてなったという納得と、その強さに少しの寂しさを感じた。

 この人は、自分より強い人に飢えているのだろうか。

 

「君のライフルは強力だ。当たれば僕の機体でもただでは済まないだろう」

「でも、速すぎて当たらない……」

「なら、それを利用すればいいさ」

「え?」

「さぁ、続きを始めよう」

 

 再びビットが展開される。ダメージが回復したネクサスを起こしてから、キョウヤの言葉について考える。

 速すぎるのを、利用する…………? いったいどういうことなのだろう。皆目見当もつかないけど、この戦いの最中で答えを見つけろという意味だと思う。

 

 ………………こんなとき、レイメイならどうするだろうか。シルヴィーなら、多分距離を詰めてビットを迂闊に撃てないようにするはず。でも近接戦では相手が上手だろうから、近距離での撃ち合いを選ぶと思う。捌かれて格闘戦に持ち込まれそうになったら、GNストームを起こして近づけないようにする。

 そこまで考えて、ネクサスではこの戦法ができないと気付く。ネクサスはレイメイが手伝ってくれて、初心者のわたしでも扱いやすいようなバランスの良い機体に仕上がっている。だからシルヴィーみたいな、”特化型”の動きは出来ない。だから、似たような方法を考える。

 

「っ…………!!」

 

 思考を巡らせているうちに、キョウヤのビームソードによってネクサスが一刀両断される。真っ二つになったネクサスが落下してから、ネクサスが元の状態に戻る。

 また、負けた。でも得るものはあった。この機体もまた、近接戦に重きを置いている仕様になっている。近接というよりは格闘戦だけど、動きは一緒だ。じゃあつまり、シルヴィーがやられたくない戦法をやればいい。

 

「次、お願いします!」

「ああ、もちろんだとも!」

 

 互いに武装を再展開する。

 チャンピオンはライフルとビットでこちらを撃ちながら近付いてくるので、距離を取る。

 

「ビリーヴが逃げる…………?」

「ほう、そう来るか!」

 

 次々と放たれるビームをガンビットで防ぐ。そして突っ込んでくる4基のビットを狙ってライフルを撃つ。

 

「いやいや、あのライフルで撃ち抜くのは………………はっ!?」

 

 高威力のビームは容易く避けられる…………が、その道をガンビットが狙い撃つ。

 

「ファンネルが…………!?」

「よし」

「フフッ、いいじゃないかっ!」

 

 キョウヤがライフルを捨て、背中の剣を引き抜く。グリップが折り畳まれて、銃口が開き、巨大なビームが放たれる。

 わたしはガンビットを連結させて、コンポジットガンビットシールドを形成。ビームを正面から受け止める。すかさず分離、即時に攻撃に移すがキョウヤは気にも止めずビームソードを持って突撃してきた。

 

「来るっ!」

 

 大きく振り被った一撃を、もう一度シールドを形成して防ぐ。もう一方の腕から発生したビームサーベルを見て、咄嗟に蹴って距離を取る。

 距離を取ってから、スラスターを全開で吹かして離脱。そして、ライフルのもうひとつのグリップを展開し………………撃ち抜かれる。

 

「ッ…………!?」

「あーっ!!」

 

 レイメイの驚愕する声が聞こえた。

 後ろを見ると、キョウヤのビットがネクサスのコクピット部分を捉えていて、ここまで誘導されていたのだと気付く。

 

 これは、疑いの余地もない完璧な敗北だった。

 

「ど、どうすれば勝てるのぉ…………」

 

 疲労と敗北感でその場にへたり込む。

 どうしようもないのだろうか。それはそうだ、だってこの人はこのGBNの頂点に立っているチャンピオン。今まで越えられた人間はひとりとしていないのだ。

 

──僕だけでは奴を倒すことはできない。

 

 ふと、彼がそんなことを言っていたのを思い出す。キョウヤにそこまで言わせる相手…………スタルはどれほど強力で、凶悪なのだろう。

 どんどん思考がよくない方向に向かっている。それはわかっているのに止めることができない、こういうのを不安というのかもしれない。

 

「……、ネクサス? 怒ってるの……?」

 

 ネクサスの声が聞こえる。わたしはその声をぼんやりとしたものでしか理解できないけど、わたしが諦めたらどうするんだと叱っているような気がする。

 この子は怒りっぽくて、素直じゃない。でもわたしやレイメイ、シルヴィーのことは好きでいてくれているみたいだから、悪い子じゃない。わたしとレイメイの大切なガンプラだ。わたしを、勇気づけてくれる。

 

「…………ありがとう、ネクサス。もう大丈夫だよ」

 

 そうだ。わたしは諦めるわけにはいかないんだ。泣いているあの子達を、助けるんだ。

 レイメイと一緒に。

 シルヴィーと一緒に。

 

「ネクサスと、一緒に…………!」

 

 墜落した先の地面からもう一度立ち上がる。もう何度目かはわからない、けど。

 

「もう一度、お願いします!」

「…………。ああ、勿論だとも!」

 

 絶対に勝つと願って。

 キョウヤのライフルから撃たれるビームをシールドで防御し、接近してくる前に上空に逃げる。キョウヤがビットを飛ばしながら近付いてくるので、ガンビットを分離しながらライフルを放ち、相手の動きを阻害する。

 

「もしかして、誘導してる……!?」

 

 正解。レイメイはよくわかっている。

 キョウヤを誘導して、わたしが狙いやすい位置に置くのが狙い。上手く行くとは思えないけど、少しでも有利になるなら……!

 

「なるほど、面白い。だがそれでは勝てない!」

 

 キョウヤのビットをネクサスのガンビットで防ぎながらどんどんビームを放つ。だけど、キョウヤのビットが3つ連結することで段々と追えなくなっていく。

 

(まずい、でも!)

 

 まだ諦めはしない!

 あのビットの動きには規則性があって、一定のリズムでビームを撃っている。つまりそのリズムを読み取って、そこを突く。

 ガンビットを集結して、相手のビットの動きを確かめる。

 

(今撃って、1、2──)

「わっ!?」

 

 速い! しかも、リズムが一定じゃない!

 いや、リズムをずらして対策を取りづらくしている。さすがはチャンピオン、抜かりない。

 それでも、それに気付けるだけわたしだって成長してる。レイメイの、ビルドリバイバルの戦いを見てきて、その経験が今活かされている。

 

(不規則なわけない。複数のリズムを一定の流れで……………………いや)

 

 キョウヤはチャンピオンだ。わたしなんかじゃ到底読めないよう複雑なものになっているはず。だったらこんなことをしていてもキリがない。

 狙うなら、一発一発の隙を突いた方がいい。

 

「………………今っ!」

 

 ビットのいる位置と、その前、後ろにびっしりとビームを放つ。そのうち一撃が当たって、鳥のような形状のビットが爆発する。

 

「当てた!?」

「当たった!」

 

 撃ち落とせた…………!

 だけど、油断は禁物。すぐにビームソードを持ったキョウヤがこちらに向かってくる。

 

「すごいじゃないか。僕も負けていられないな!」

「ここまで来たら、勝つ! 勝ちたい!」

「いい心意気だ! ガンプラバトルはそうでなくては!!」

 

 ガンビットを動員して、キョウヤの動きを阻害する。斬り払われる前に撤退して、発射体制に入ったネクサスの方へと引き寄せる。

 

「すごい、ビリーヴが成長してる……!」

 

 背中の羽根が展開し、空から膨大なエネルギーが降り注ぐ。羽根がキャッチして、ライフルが点火。次々に接続されていくガンビットのエネルギーも掛け合わせて、1つの巨大なキャノンへと変化する。

 

『Get leady, TRYAGE SYSTEM』

「サテライトシステムか、ならば私も本気でやらせてもらう!」

 

 キョウヤが剣を構え、頭上から雷が落ちてくる。その雷は剣に収まり、イラストのような紋様を映す。

 

「え、オービタル!?」

「ハアアアアッッ!!!」

 

 そんなレイメイの驚き……というか若干引いている声は届かず、紋様は1つのエネルギーの塊のようになって、わたし達へと向けられる。

 対して、わたしのネクサスも準備はバッチリだ。

 

「ガンビット・サテライトキャノン!!」

 

 ライフルに込められた莫大なエネルギーを一気に放出する。キョウヤが放ったビームと正面からぶつかり合い、辺り一帯を吹き飛ばしながら互角に競り合っている。

 レイメイは難を逃れるため、シルヴィーツヴァイの中に避難していた。

 

「ッッッ……!! っ──」

 

 ジリジリと削り合い、機体自体の格差が生じる。わたしとネクサスは、やがて降り注ぐ光によって撃墜された。

 

────────────────────

 

「いやぁ、実にギリギリの戦いだったよ」

「勝っておいてよく言うなぁ…………」

 

 特訓終了後、わたし達は3人で反省会を開いている。

 キョウヤの後ろには、ついさっきまでわたしとネクサスを散々落としていったガンダムTRYAGEマグナムが佇んでいる。この子はキョウヤに似て心優しいけど、闘争心が並のガンプラよりも高い。ガンプラバトルへのリスペクトがかかせないようだ。

 ネクサスは威嚇しないで仲良くしていて欲しい。シルヴィーが困ってる。

 

「ビリーヴ?」

「あ、ごめん。ガンプラの声聞いてて。なんだっけ?」

「チャンピオンのファンネル落としたって話。しかも2回もなんて、すごいじゃん!」

「そ、そうかな」

「すごいよ! 流石私のパートナー!」

「え、えへへ……」

 

 すりすりと寄ってくるレイメイを受け入れる。人目があるとちょっと恥ずかしいけど、レイメイに褒められるのはすごく嬉しい。

 

「僕もこう言ってはなんだけど、トライファンネルが落とされるなんて思ってもなかった。凄まじい成長速度だ」

「あ、ありがとうございます」

 

 キョウヤからも褒められる。レイメイと違ってなんだかむず痒い。

 

「この調子なら、きっと次の有志連合戦でも頼りになるだろう」

「本当?」

「ああ。君はELダイバーとして、重大な役目を持つことになる。君のその強さがあれば安心だ」

 

 そうか。

 わたしはマスダイバーのみんなに嫌われてるELダイバー。だから、わたしが明確な意志を持って止めるっていうことには、大きな意味がある。

 

(だからあの子は、わたしがガンプラを作るって言って驚いたのかな)

 

 ガンプラバトルのために、ネクサスを作った。

 元々わたしも1人で戦ってみたいという思いはあったけど、シルヴィーのことが大切だから言えなかった。だから正直に言って、この状況は都合がいいともいえる。

 でも、わたしはシルヴィーのことも、ネクサスのことも、レイメイのことも大切だ。そしてみんなが好きでいてくれるわたし自身も大切で、守りたい。守るために戦うんだ。

 

「…………あの」

「ん?」

「わたしは、この世界が好きです。この世界にいるみんなが好きです。GBNが、ガンプラが大好きです。だから守りたい、その思いはきっとみんなも同じなんだと思うけど、今ここにいるのはわたしだから…………何か、出来ることはありませんか?」

 

 キョウヤに問いかける。レイメイの方を見ると、なんだか心配している様子だけど、わたしのことを見守ってくれているみたい。

 

「…………あるとするなら──」

 

 第4次有志連合戦。

 ガンプラバトル……1つしかないと思っていたものには、軋轢があった。

 これは、その軋轢をなくすための戦い。

 

 勝利の鍵を握るのは、わたしだ。

 




次回、ビリーヴが成長していく中、カグラは──
この回のTRYAGE、原作にないトライスラッシュブレイドにキャノンモード搭載されていますがチャンプだったらやりかねないということで許してください

機体解説ver.4

XVX-0911/N ガンダムネクサス
ビリーヴがビルドしたガンプラ。
ガンダムエアリアル(改修型)をベースに、ガンダムキャリバーンの要素やガンダムシルヴィーとの連携を意識したスタイルに改良。そのためビットオンフォームの接続フォーマットも異なる。
武装はビームライフルとビームサーベル、エスカッシャンのみとシンプルで扱いやすい仕様となっており、エスカッシャン以外の操縦は素人のビリーヴでも扱いやすくなっている。ビームライフルは擬似太陽炉を内蔵した大型のものになっており、単発で高い威力を発揮する。またビームサーベルもガンダムXのものをベースとした高出力のものを採用、エスカッシャンは11基中3基が刺突性を高めたものになった。
GUNDフォーマット自体に手は加えられていないが、サテライトシステムを搭載しており、ガンビットライフルの使用時に背部スラスターが展開され、放熱板として機能する。この際のガンビットライフルは、必殺技『ガンビット・サテライトキャノン』となる。
ビリーヴ曰く、性格は天邪鬼だが心優しい。所謂ツンデレ。
あるシステムの起動のため、エスカッシャン用のハードポイントがベース機より多く設けられている。

特殊システム
・GUNDフォーマット:『水星の魔女』シリーズに登場するガンダムタイプに搭載されているシステム。ELダイバーのビリーヴは通常のダイバーよりもフィードバックが強く、エスカッシャンの扱いの上手さもここに直結している。
・サテライトシステム:ガンダムX系統に搭載されているシステム。月からマイクロウェーブを受信することで、MS単体では出せないような莫大なエネルギーを得られる。

武装
・ビームバルカン
・GNビームライフル
・ビームサーベル×2
・エスカッシャン(ビットステイヴ×11)

chapter.3完結!この段階で一番好きなキャラクターは?

  • レイメイ/紅月ミナ
  • ビリーヴ
  • コネコ/小南ネコ
  • カスミ/霧雨クロート
  • カグラ/水無月カグラ
  • アノマロカリス/小泉アマネ
  • サモネ/小泉イチカ
  • ヒカリ/飯綱ヒカリ
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