まさかそのライブ感のままクロートとくっつくとは…………
戦いが始まってから数分、もう多くのダイバーが激戦に明け暮れている。
かくいう私も、キリのないマスダイバー達に根を上げていた。
「ぜ、ぜんっぜん減ってないのです!!」
開戦の合図というように、チャンピオンが放ったAGE-FXのダイダルバズーカ。絶対にアレが出してはいけないような火力で多くの敵を薙ぎ払い、マスダイバーの戦力を大きく削ったかに見えた。でも、結果はご覧の有様で、見た目よりも全然減っていなかった。
私はビームライフルとビームキャノンの両手持ちで中距離から敵を倒している。エネルギー切れの心配はないけど、対応に遅れると撃墜されるので気は抜けない。
「これで、12っ!」
高速で動く敵を捉え、フルバーストでインフィニットジャスティスを倒す。これで12機落としたことになるから、ジオンではれっきとしたエースパイロットだ。
だがそこで、機体各所のセンサーが熱源を感知する。
「ッ!?」
四方からのビーム。威力は低いけど、照射されれば確実に切れるこれは、ファンネルが発するビームだ。
後ろを振り向くと、ビームガトリングガンを構えたクシャトリヤがこちらを見ていた。
『落ちろォッ!!!』
叫びと共に放たれる無数のビーム。ハイマットモードを起動し、盾でコクピットを守りながら退避する。
前、横、後ろから絶え間なくやってくるビームの雨をかわして………………っていや、無理なのです!?
「これ以上は、やばっ──!?」
3基のファンネルが、私の死角を確保する。
もうダメかと思ったとき、新たに大きい熱源反応を感知した。咄嗟に盾を構える。
「ハイパー・お腹ビーム!!」
「えっ」
私を撃墜しようとしていたファンネルが拡散ビームによって破壊される。
私は、そのビームを放った者を味方だとすぐに認識した。
「そーしーて! さらに、お腹ビーム!!」
『グッ…………!』
続いてクシャトリヤに対して高威力のビームが発射される。クシャトリヤはIフィールドで威力を分散させて回避、ビームを撃った機体が私の目の前に現れる。
「さぁピンチを救出……って、効いてなくない!?」
「あ、あなたは……!」
丸い重装甲に白黒のボディ、蛇腹状の腕に備え付けられている丸い爪、きゅるるんとした丸い目。目の前にいるのは、フォース『BUILD DIVERS』のメンバー、モモのモモカプルだ。
『ビルドダイバーズか、落とすッ!』
「ひっ!? この人めっちゃ怖いんだけど!?」
「急に頼りなくなったのです……」
この人、誰かに似ていると思ったら、うちのカグラ先輩とムーブが少し似ている。どちらかと言えばあっちの方がすこしやかましい気はするけど。
「はっ、危ないのです!」
「うひゃあっ!?」
モモ先輩の前に出て、クシャトリヤのバインダーから放たれるメガ粒子をシールドで防ぐ。こちらのダメージは薄いけど…………この人の機体は些か攻撃力が弱すぎる。ファンネルを搭載している機体とはどう考えても分が悪い。
「お、おぉ……! 大丈夫なんだ!」
「カスミさん監修なので、スペックの諸々は折り紙つきなのです!」
「なんだかよくわかんないけど、すごいね!」
「またファンネル、来るのです!」
左右に分散して敵の攻撃を避ける。その後二手に分かれて追ってくるファンネルをハイマットモードで逃げながら、脚部のクスィフィアス・レーザー砲で迎撃。あんな小さい的には当然当たらないが、牽制にはなる。
「とうっ、はあっ! うわあっ!? あ、あっぶな……うひーっ!!?」
対してモモ先輩は、妙な掛け声と共に奇跡的な機動で辛くも避けている。
「あの人はギャグ時空の人間なのです…………?」
思わずそんな言葉が漏れてしまうほど、緊迫した戦場とは思えないような声だった。
「もぉー怒ったよ!! くらえ必殺、てっててー! 爆弾!!」
「え」
「おりゃー!!」
機体のオーバージェスチャーで怒りを表現したモモ先輩が、懐……というか、どこからともなく木箱型の爆弾を取り出す。なにあれ。
そしてその爆弾をクシャトリヤ目掛けてぶん投げた。クシャトリヤは避ける様子もなく、爆弾はバインダーに当たり、特に何も起こらない。
「…………あれ?」
「……モモ先輩、宇宙には酸素がないからものは燃えないのですよ」
「え? いやだってそこかしこでバンバン爆発してるじゃん!」
「あれは宇宙でもそうなるタイプのものなのです。レトロな火薬爆弾が宇宙で爆発するわけないのです」
「ええぇー!?」
モモ先輩って、私より結構年上だった気がする。確か、第2次有志連合戦の時点で中学生らしいから、大体前後ぐらい? なんか、すごくアホっぽいというか、先輩としての威厳がないというか…………。
クシャトリヤは舌打ちしながらバインダーで爆弾を退かし、一言。
『ふざけているのかァァァッ!!!!』
「ひいいいいいぃぃぃぃぃっ!!!!」
物凄い形相のクシャトリヤがファンネルを飛ばし、モモ先輩を集中砲火する。モモ先輩はモモ先輩で、これまたギャグ漫画のような動きでなんとか避け切っている。
ここは絵面に引くところだけど、私はあることに気付いた。今敵のヘイトはモモ先輩に向かっていて、私は完全に放置されている。
(と、すれば…………)
パラエーナを引き出して、クシャトリヤに狙いを定める。けど、すぐに気付いてこちらにメガ粒子砲を撃ってくる。
「ッ……、やっぱり気付くのです!」
ビームをシールドで受けて、ビームライフルをリアアーマーにマウントする。そして、右翼から対艦刀『ジークフリート』を引き抜く。
今、このフリーダムガンダムリベリオンは、恐らく強大な魔物に挑む勇者のような出で立ちをしている。
「これなら、Iフィールドは使えないのです!」
盾を構えながらクシャトリヤに突撃する。相手はすぐにビームサーベルを構え、ガトリングで牽制。だけどそんな攻撃じゃこのシールドは割れない。
「はあっ!」
ジークフリートの一撃はビームサーベルが受け止める。相手がガトリングを構える前に、レーザー砲からビームサーベルを発生させて蹴り上げる。
『ッ!!』
相手は咄嗟に反応し回避、コクピットは避けたがバインダー2枚をまとめて斬ることができた。アスラン・ザラの機体の発想は近接戦において言えば最強かもしれない。
クシャトリヤはそのまま離脱し、私から距離を取る。でもそのすぐ後ろには、さっきまでダルマにしようと集中砲火していたモモカプルの姿が。
『しまっ、ファンネルの操作が疎かに──!』
「リベンジ! お腹ビィームっ!!!」
間合いに入ってすぐ放たれたソニックブラストがもう2枚のバインダーを吹き飛ばす。機動力の重鎮を担っていたバインダーを全て失ったクシャトリヤは、もはや水を失った魚も同然。
『く、クソ! ファンネルッ!!』
相手は焦って苦し紛れのファンネルを撃ってくるが、フリーダムには”コレ”がある。
「マルチロックオンシステム、起動」
敵機を表示するセンサーがファンネルと本体を照準に入れる。そして、機体が持つ砲門を全て展開し、大きく翼を広げる。
「ハイマットフルバーストッ!!」
展開した砲門を全て撃ち放ち、ファンネルを次々に撃墜していく。最後にはクシャトリヤ本体にもビームが向き、相手のIフィールドの出力を上回ったビームキャノンによって破壊された。
「…………や、やったーっ!!」
「な、なんとか倒せたのです……!」
「きみすっごく強いね! わたしだけじゃやられるところだったよぉ」
「いえいえ! モモ先輩が引き付けてくれなかったら、あそこまで持っていけなかったのです。これでおあいこ、なのです!」
「そっか! じゃあわたし、仲間と合流しないとだから! きみもやられないでね!」
「はい! 達者なのです!」
そう言ってモモ先輩はこの場から去っていく。あの機体、攻撃力はともかく、防御力と機動性は高いらしい。
ゆっくり手を振っている時間はないので、旋回して別方向に向かおうとする。でもそこで、突然のアラートが降り注いだ。
「わあっ!?」
「うぎゃあーっ!!」
そして飛んでいたモモカプルが高出力のビームによって撃墜される。あの人、倒されてもギャグに振っている。
『漁夫の利…………ご苦労様でしたァ!』
上を見上げると、黒いコアユニットにZZガンダムを模したアーマーが装着されている機体と、同じコアユニットに今度はアルケーガンダムのアーマーが装着されている機体が佇んでいた。
「その声、前のと同じ……!」
『機体を強化した! フェイクデカールも前のとは別物だぜェ!!』
『お嬢ちゃんの機体も随分ド派手になったなぁ! もう1回遊んでくれよ!!』
ブレイクブーストを起動した2機が襲いかかってくる。1人は接近、1人は後方に構えていて、1人じゃ分が悪い。
でも、この状況から応援を出して間に合うわけがない。一応出して、なんとか持ち堪えるしか…………!
私の心配は、杞憂に終わる。
『ぐわあああッ!!!』
私とアルケーの中間。いや、そこからアルケーの方に寄ったところに閃光が現れる。眩い光とつんざくような耳鳴りが、相手を怯ませる。
そして、その隙を突くように上空からビームが降ってくる。
『ッ、クソがッ!!』
アルケーは咄嗟にそのビームを避け、後ろに下がった。
『チッ、ンだテメェ!!』
「ファンネル」
上空からさらに、さっきのクシャトリヤよりも多いビームの雨が降り注ぐ。アルケーは持ち前の機動力で回避していくが、攻撃に転ずることができない。
『クッ、これじゃファングが使えねぇ!』
『……そこか! ぶっ飛べェ!!』
機体の位置を捉えたZZがダブルビームライフルを放つ。しかしその攻撃は、あの黒いガンダムのビームシールドとサイコフィールドによって防がれた。
『サイコガンダムMark.4か……!? いや、じゃあビームシールドはなんなんだ!? あれはなんなんだよッ!!』
私の目の前に、黒いガンダムが降り立つ。
「カスミ、さん……?」
「ダメージは?」
「え、と、特には」
「了解」
私の前に降り立ったのは、カスミさんがビルドした機体『ビビッドガンダム・ゼロ』。その手にはビームマグナムとクレイバズーカが握られている。
「なんで去年のゲリライベントの機体がここに……? 再現したのか?」
「去年?」
「なーんか見慣れねぇやつもいるし、まぁいいや。コネコ、手を貸せ。よくわからんし、今は猫の手も借りたい気分」
機体越しにカスミさんが私に助けを求めてくれる。凄く嬉しいけど、ちょっと洒落た物言いにこだわってるせいか言い方が気に食わない。
「……そこはネコの手”が”じゃないのです?」
「はい! わかりました助けてくださいお願いします!」
「当然なのです!!」
指摘を遮るように早口で言ってくる。2人並んで、敵を見据える。
「第3次と同じ構図だけど……」
「あの時の私達とは別人なのです!」
「よく言った。オレは余裕だけど、壁越えと行こうじゃないか」
あの時だって勝てたけど、今は前とは違う。同じやり方はきっと通用しない。
だから、私のこの新しい剣と、カスミさんの新しい色で、全く新しいあいつらを倒さなくちゃいけない。
「アルケーはさっきの通り、オレの機体と相性がいい。そっちはフル装備で高機動! ZZを上から取れる!」
「はいなのです! この勝負、絶対に勝つのです!!」
さっきのように二手に分かれ、私はZZの方に向かう。
『喰らえッ!』
ZZから放たれる無数のミサイル。この機体のシールドはビームに対しては無類の強さを誇るけど、対実弾はあまり得意じゃない。だから私は盾を捨て、ビームサーベル2本を取り出す。
翼が当たらないよう避け、マニピュレーターの基部を高速で回してビームサーベルをシールド代わりにする。ミサイルを引き付け、ビームサーベルに当てて誘爆。VPS装甲ならこの程度の爆発は造作もない。
ZZは生存を確認してすぐにダブルビームライフルを私に向けてくる。避けるように宙を漂う盾を拾い、続いてくる2射目をシールドで防ぐ。機体を一撃で溶かす程の威力があるから、この盾でも流石に厳しい。
それでも、私は負けない。
ここには、GBNには私が私でいられるための全てがあるから。もう、抜け殻のような人生は送らない。それはきっと、カスミさんも同じはずだ。
カスミさんはアルケーのファングを引き付け、ビームライフルでビームのカーテンを作り、引き付けたファングを破壊している。
私も、負けてられない。
『しぶといな……。落とすのが面倒だ!』
「落とされたくないから、絶対に落とすのです!」
シールドに隠していたパラエーナを2基とも引き出し、ZZに向かって撃ち出す。
『ヴェスパー!?』
相手は驚きながらも避け、バックパックのビームキャノンを放ってくる。
翼からジークフリートを引き抜き、その勢いでビームを斬り伏せる。
『何っ!?』
「終わらせるのです!!」
ビームキャノンを取り出して、ダブルビームライフルを狙い撃ちにする。そして、ジークフリートとビームキャノンを合体、ビーム兼用大型対艦刀『カラドボルグ』にする。
『……上等だァッ!!!』
ZZはビームサーベルから長身のビーム刃を出し、対抗しようとする。でもカラドボルグはあんな爪楊枝には負けない。
ビームキャノン部分の発射口とジークフリート部分のビームの発生部分から巨大なビーム刃が展開される。私はそれを振り被り、ZZに突っ込んでいく。
「はああああァァァッ!!!!」
お互いに突撃し、ビームサーベル部分で鍔迫り合う…………ことはなく、相手のビームサーベル毎機体本体を真っ二つにする。
『なぁんだとぉぉぉッッ!!!!?』
ZZは断末魔を上げながら派手に爆発した。
自分の力だけで敵を倒したのは、NPDのミッションを除いて、今回が初めてかもしれなかった。
次回、因縁の相手とレイメイが邂逅!
モモカプルって、サイズ的にどっちかといえばカプールですよね
機体解説ver.4
ZGMF-X10AS フリーダムガンダムリベリオン
コネコがビルドした、フリーダムガンダムのカスタム機。
『自由を求め、運命に抗う正義の翼』という意味を込め、キラ・ヤマト、アスラン・ザラ、シン・アスカの乗機の要素をこの1機に落とし込んでいる。
まず、パラエーナは機体構造上の問題から、翼に格納する形からガンダムF91のヴェスパーのように背部からアームで伸び、胴体部の隙間を通して使用する構造に変更。その分翼には装備ラックが追加され、対艦刀ジークフリートとメデューサ・ビームキャノンを懸架している。クスィフィアスはレールガンからレーザー砲に変更され、照射性のビームでサーベルのように焼き払う。またサイドアーマーから脚部に変更したことで、∞ジャスティスのようなビームサーベルで蹴るような芸当も可能。
カラーリングはデスティニーのように赤と青とライトグレーを基調としたトリコロールで、理論上はミーティアも使用可能。
コネコが最終決戦に向け、自分自身の『好き』を踏襲した結果生まれた、全部乗せと言える機体。機体名のガンダムは通称ではなく、幾度となく世界を変えるため戦ってきた英雄の名として正式に採用されている。
特殊システム
・Nジャマーキャンセラー:SEED系の核動力機に搭載されているシステム。Nジャマーの機能である核分裂の停止を阻害できる。
・マルチロックオンシステム:フリーダム、ストライクフリーダムに搭載されているシステム。フルバースト時に何機もの敵をロックオンでき、作中ではキラやアスランほどのコーディネイターしか使えないものだが、GBNではオート機能があるため一般人でも問題なく使える。
武装
・ピクウス76mm近接防御機関砲
・ルプス・ビームライフル
・ラケルタ・ビームサーベル×2
・クスィフィアス・レーザー砲×2
・パラエーナ・プラズマ収束ビーム砲
・メデューサ・ビームキャノン
・対艦刀ジークフリート
・ビーム兼用大型対艦刀カラドボルグ(ジークフリート、ビームキャノン連結)
・アンビデクストラス・ハルバード(ラケルタ・ビームサーベル2基連結)