ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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いっつも2番手だなこの主人公コンビ!
まぁ書いてるの私なんですけどね!


第58話「最終決戦②─過去を今を捨て、未来へ─」feet.R

 戦闘中域、その中央。

 今最も激しく戦闘が行われているそこに、私達はいる。

 

「ハアッ!」

「レイメイごめん! そっち行っちゃった!」

「大丈夫、もうカバー済み!」

 

 レイダーガンダムをガンビットで八つ裂きにして、一息吐く。

 寸分の油断もままならない、この戦場はまさしく地獄だ。1機倒しても3秒後にはアラートが鳴る。だが、これでそれも過ぎ去ったような気がする。

 強いランカー達が引き付けてかれたおかげで、こちらの被害はこれぐらいで済んだ。それでもここまで消耗するのだから、この戦いが激戦であることに変わりないが。

 

「ふぅ…………、これでしばらくは大丈夫、かな」

「まだわかんない。けど、今のところはこっちに向かってくるのはいないよ」

「ビリーヴ、大丈夫? 大事な役目貰っちゃってるんだし、無理しなくてもいいのに」

「平気。レイメイがいるから、わたしもこの子も元気いっぱいだよ」

「そっか。じゃあ、私も頑張ろ──」

 

 アラート音が鳴り響く。ビリーヴがエスカッシャンを展開して上からの攻撃を防ぐが、立て続けに下方向からの敵影を確認する。

 

「あいつはッ……! ハッ、ビリーヴ!」

「え!?」

 

 こちらのガンビットで下からのビームを掻き消す。

 派手な角をつけた黒いシナンジュ。スタルのスタイン・シュバルツだ。

 

「スタル!!」

『アタシもいるよ!』

「レイメイ、危ない!」

 

 スタルだけじゃない。

 後ろを見ると、そこにいたのは黒いコアユニットにプロヴィデンスを模したアーマーを装着した、去年のレイドボスに似た機体だった。さらにそこから聞こえる声は、これまでクスィーやルブリスウルなんかで聞いてきた、あの声だ。

 

『片や私、片やオールレンジを主軸とした高トルクの機体。まさしく完璧な挟み撃ちというわけさ!』

「囲まれちゃった……!」

「しつこいなあいつ……」

 

 不利な状況にも関わらず、私は苦言を呈する。

 しつこ過ぎないか、あの女。2度ならともかく3度も来るとかもはや執念が強すぎて怖い。

 とはいっても、完全に囲まれてる状況なのには変わりない。幸い、数は2対2だから、ここは二手に分かれて各個撃破がベターなんだけど、ビリーヴのことを思うと2人で協力した方がいいと思う。というよりは、ビリーヴの役目から考えて私が彼女を守らなければならない。

 

「ビリーヴ、私が2人まとめてやるからサポートお願い!」

「ううん、大丈夫。1体1でやろう」

 

 冷や汗が垂れる。

 今のビリーヴならそう答えると思ったけど、心配だからできればそうしたくはない。

 

「でも……」

「レイメイ、わたしを信じてほしい」

「ッ…………!」

 

 できれば彼女の元を離れたくはない。でも、こう言われてしまったら、受け入れざるを得ない。

 つくづく悪い女に育ってしまったと思う。でも、私はそんなちょっとわがままで優しいビリーヴが大好きだ。

 

「…………わかった。無理しないでね。もしピンチならワープしてくるから!」

「うん! じゃあ、レイメイはこっちの人お願い!」

「……え? スタルは?」

「わたしがやるよ」

「さすがに厳しくない!? スタル、めっちゃ強いよ!?」

「がんばる。それに、わたしからお話できることもあると思うから」

「え、ちょ──」

 

 行ってしまった。

 まぁ、パーメットリンクでネクサスの状態は私からでも確認できるから本当にピンチなら駆け付ければいい。それに、今度こそこいつに引導を渡してやらなければいけない。

 

『やっと誰の邪魔もなくあんたを捻り潰せるよ』

「できる前提で言うの、やめない? できなかった時に示しつかないよ」

『どうであれ、やれればいいんだよッ!!』

 

 飛んでくるドラグーンのビームをガンビットで受け、立て続けにやってくるビームの雨を回避していく。右、上、下、左。ジグザグ状のレーザー群も掻い潜って、プロヴィデンスに接近する。

 

「ほら息巻いといてこの程度!!」

『これだけな訳ないだろうっ!!!』

 

 左腕部の大出力のビームサーベル。私に襲いかかってくるこれを、ビームソードで受ける。この発振部はシールドも兼ねてるだろうから固く、ガンビット如きの豆鉄砲じゃあ効力はないはず。

 ……うざい、イライラする。

 

「お前マジで何? なんで私に突っかかってくるんだよ!」

『そんなの決まってるさ、あんたが気に食わないからだよ!! 余裕こいて勝ち組みたいな面して、あんたみたいなのが本当に弱い人間をさらに惨めにする!』

「はっ!?」

 

 パワーで押し切られ、距離を取ってドラグーンが狙う。その包囲網を潜り抜けていくが、彼女の執念が宿っているとしか思えない動きで翻弄していく。

 

『本当の弱さってのはね、単に力の問題じゃない……心の弱さだよ! 言葉が、意思が、そういうものが弱いから流されて、良くない方向に行っちまうのさ!』

「だから何だよ! 流されてマスダイバーやって他の奴らに不幸振り撒く手伝いしてるのはお前だろ!!」

『心の弱い人間はァ! 強い人間に嫉妬する!! 画面の向こうでヘラヘラしながら弱いアピールしてる奴が大嫌いなんだよ!!』

「それは概ねわかるけど! んなこと酒の席で愚痴ってりゃいいだろうが!!」

(不味い、粒子残量が……!)

 

 強く、俊敏に動いていく。常に一定の距離を取っている上攻撃が絶え間なく、充電しながら交代交代でやってくるからあっちのガス欠も無い。こちらのガンビットは防御に手一杯で攻撃に回せない。

 おまけに、ずっと動いてて粒子をバンバン使っているから、太陽炉からの粒子供給が間に合わずコンデンサーの残量が赤ゲージだ。

 

『アタシはあんたが大嫌いだ!! 仲間に囲まれて、好きな奴と添い遂げられていて、それで人生楽しいですっていうあんたを見てると反吐が出る!!』

「じゃあ忘れろよ!! お前にマイナスしか生まないなら、お前の中に私はいらない!!」

『そう出来たらよかったねぇッ!!』

 

 ビームライフルによる攻撃をガンビットで防ぐ。拡散した光が辺りを照らし、戦場を彩る。花火のようだと、思っているほど余裕はない。

 コンデンサーの粒子が圧倒的に足りないから、トランザム・ドライブでドラグーン毎一掃は出来ない。オーバーライドも、パーメット通信とドラグーンじゃ回線が違うから無理。

 詰みというわけじゃないけど、かなり面倒でクるものがある。簡潔に言うと、キレそう。

 

『人には忘れたくても忘れられないものってものがあるんだよ! 辛い現実、拗れる人間関係、自分を蝕む孤独……なのにあんたはそんなものないように日々を謳歌してッ!!』

「…………は?」

 

 腕部の冷却フィンから局所的にGNストームを起こし、ビームを防ぐ。

 

「人のこととやかく言うのは別にいいけど…………私が経験した全てのこと、嫌なもの、黒歴史、それを……なかったものにするなァッ!!!」

 

 シルヴィーツヴァイのシェルユニットが、一瞬だけ白い光を灯す。直後に発生したGNストームが周辺に伝播し、プロヴィデンスの電気系に障害を起こす。

 

『ぐああああっ!!? い、一体何が……!?』

「自分はいくらでも否定すればいい! いくらでもそれはできる! でも、他人を否定するならそれ相応の覚悟をしろッ!! お前らがバカにしてるELダイバーだって、ビリーヴにだってそれが出来てる!! なのに言うだけ言って無責任に、ただの被害妄想でその人の苦悩を消すなよ!」

 

 ガンビットを展開する。

 粒子の流れが激しい。シルヴィー(こいつ)も珍しく怒っているみたいだ。

 

「私はお前を許さない! 他人を自分を肯定するための当て馬だとしか思っていないお前を、絶対に許さないッ!!」

 

 ガンビットを一方向に向け、狙いを定める。もちろんプロヴィデンス本体だ。

 軽石みたいに穴だらけにしてやる。

 

「…………ハアッ!!」

『ッ……!!』

 

 ガンビットの攻撃に反応して、相手も即座にドラグーンで迎撃してくる。だがこちらはGNフィールドで受け流しながら複雑な動きでビームを避け、逆にこっちのビームで相手を牽制する。プロヴィデンスのドラグーンに防御機能はない。

 接近して、ビームソードで斬り掛かる。相手もビームサーベルを展開して受けるが、そのまま振り下ろし切る。直後にクロービットを足部に接続して、相手を掴む。すぐ後ろに、投げ飛ばす!

 

『ぐぅッ! ッ、ドラグーン!!』

 

 流石の馬力と言ったところ、すぐに体勢を直して追撃するガンビットにドラグーンを向かわせる。

 だがそれも予測済み。

 ツインドライブ搭載機が使える機能、『量子ワープ』。追撃に向かわせたガンビット全てをワープで私の方に引き戻す。

 

『なっ……!? 一体何をする気だい!』

「そういえば初見か、だったら喰らえばいい。トランザム・ドライブ」

 

 さっきの長話で粒子は充分溜まった。1分も持たないけど、これぐらいあれば問題は無い。30秒もあれば私は宙域のド真ん中からラビアンクラブを目指してロータスチャレンジを終わらせられる。そのGBN最速とも言える力を今、発揮する時だ。

 粒子を一斉に解放し、周辺をGNストームで満たす。シルヴィーが、私自身が台風の目だ。

 

「そのドラグーンをぶっ壊す!」

『い、行け! アタシを守るんだよォ!!』

 

 ドラグーンが四方八方からビームを放ってくるが、GNストームに掻き消されて本体には届かない。

 私はこの嵐を操り、1番火力の高い円錐状のドラグーン3基を的確に破壊する。

 

『ッ!? この、化け物ォッ!!!』

 

 罵倒しながらプロヴィデンスがビームサーベルを展開し、突っ込んでくる。だがそれも粒子の嵐を突破することは出来ない。

 ライフルを向け、相手のライフルを狙い撃つ。

 

『ぐああっ!!』

 

 ライフルの爆発に巻き込まれ、プロヴィデンスが後方に飛ばされたところでトランザム・ドライブを解除する。

 

『なんなんだい……! 一体、どうしてそこまで…………!!』

「決まってるでしょ。私は私が守りたいものを守る。お前らの信念なんか知らない」

 

 ドライブ用の粒子を供給していたガンビットを展開する。相手の残るドラグーンは8基、対してこちらは18基フルセットだ。

 

『ッ……!! ……ドラグーンッッ!!!』

 

 最後の抵抗で、相手がドラグーンを展開し、こちらに砲門を向ける。本体も左腕部に内蔵されているビーム砲を撃ってくる。

 まず本体の攻撃を避け、そこを狙う3方向のビームをガンビットで防御。ライフルを向けて、直後のライフルを狙ったビームを避け上のドラグーンを撃ち抜く。その脇にもう一方のライフルを使って左側のドラグーンを撃つも今度は避けられる。

 本体はこの隙に位置を移動し、ドラグーンに参加して攻撃してくる。ガンビットのビームでビームを相殺し、反対方向のビームもガンビットで防御。そのまま攻撃に転じる。

 機体を回転させて、ライフルを左右方向に向ける。さらにガンビットに全方向カバーさせ、目視で無限に飛び回るドラグーン達を追う。

 

 原点通り、乱れ撃ってやる。

 ガンビットによるデタラメ撃ち、ライフルによるデタラメ撃ち、本体とドラグーンの動きを牽制して、1基、2基と撃墜。本体は掌にビームサーベルを発生させ、二刀流で凌いでいる。プロヴィデンスにあんな機能はなかったはずだけど、今は落とすことに集中。

 残り5基。デタラメで撃つのをやめ、ガンビットを直接向かわせる。ビームを防ぎながら、直刺しで破壊。もう1基を、クロービットで誘導してビームで破壊。本体にもビームを撃ってダメージを与えて、ドラグーンの挙動を見切りビームソードで両断。残りの2基も、サブアームに持たせたビームサーベルで斬り裂く。

 そして、本体の右腕部をビームで焼き切り、左腕部をソードビット2本を刺して肩から切断する。

 

『ッッ……!! あ、あああっ……!』

 

 ついでに、クロービットをかすめて頭部のバルカンも潰す。全ての武装を失ったプロヴィデンスは、無い手をジタバタと動かしているだけだ。

 ビームソードにソードビット、クロービット2基を連結、ヘラクレスバスターソードを形成。刺突の体勢を作る。

 

「人間、捨てたものじゃない。例え辛くても、忘れられなくても、諦めないで進んで、道を切り開く!」

 

 フェザービット8基を接続して、推力を強化。そのまま、プロヴィデンスへと突撃。ヘラクレスバスターソードはコクピット部分へ直撃し、相手をバックパック毎貫き通す。

 

「だから安心して、過去と今の自分を捨てられる」

 

 最後にその言葉を残して、剣を引き抜く。

 プロヴィデンスは、声も上げず爆散した。

 

 これでようやく、あいつから逃れられるかもしれない。天丼は3度までと、江戸時代から決まっているはずだ。

 深呼吸をして、肩を休めていると、突然アラートと共に通知がやって来る。

 

「…………え、アノマロがやられた……?」

 

 これは予想外だ。まさかあいつがやられるとは、腐っても「マギーより強い」とかほざけるだけ強かったのだから、落とされるとは思っていなかった。

 続けて、アノマロからの通知が届く。

 

「アノマロ? ……これ、座標? ここに向かえってこと?」

 

 まさか仇討ちでもしてくれると思っているのだろうか。だったら図々しいことこの上ないけど、あいつを倒せるレベルの相手がスタルやチャンピオン以外にいるなら行っておいて損は無いはずだ。

 量子ワープ用のゲートを作ろうとしたら、またもう一通通知が来た。しつこいな、自分が死んだら自動で送られるプログラムでも仕込んでたのか?

 

『ここに行け。お前らが1番やり合いたいやつがいる』

「……やっぱり、あの子か」

 

 改めてワープゲートを繋ぎ、座標の周辺までワープする。

 

 そこに待っていたのは、黒と赤の機体。2本の太刀を持ち、武者と悪魔を組み合わせたような意匠のディテールが彫り込まれていて、その角は大きく歪んでいる。

 ヒカリの鬼武者、ガンダムデモニックバルバトスだ。

 

『………………やっぱり、あなたなら裁いてくれる』

「やるよ。1人、遅れるみたいだけど」

 

 ごめんね、ビリーヴ。

 先にこの子とガンプラバトルして待ってるから。

 だから、早く悪魔(スタル)を倒してね。

 




次回、ビリーヴも気になるけどアノマロは一体…………
レイメイの心情と超スローモーションで繰り広げられるウルトラヤバい操縦テク

機体解説ver.4

AGP-X1 アルスコアガンダム(コピー)
去年、突如開催されたゲリラ侵攻イベントのボスを、スタルが独自に解析してコピーしたガンプラ。
その解析の精度は高く、スペックはコピー元と殆ど変わらない。さらに新型フェイクデカールによりその性能は桁違いに強化されている。
アルスが使用したアルスアースアーマーやフェイクνアーマー、デビュアスアルケーアーマーやリバースターンXアーマーの他、スタルのメンバーが独自に作ったZZモチーフの∑∑アーマーやプロヴィデンスモチーフのロストプロヴィデンスアーマーなどが使用されており、プラネッツシステムも健在である。
これらは他のコピーガンプラと共に、フェイクデカールとセットで社会現象を引き起こしたゲームを壊す祭りに参加したい荒くれ者に売り付けられ、マスダイバーの軍勢を膨らませる要因となった。

特殊システム
・プラネッツシステム:ヒロトのコアガンダムと同様のシステム。アーマーの装着やリミテッドチェンジ、ヒロトのアーマーを奪う等の芸当も可能。
・ブレイクブースト:フェイクデカールによって付与されたシステム。機体のスペックを危険域レベルまで引き上げる他、使用者のイマジネーションに対応したスペックの変動を引き起こす。

武装
・コアスプレーガン
・マニピュレーター兼用ビームブレイド×2
・ダブルビームライフル(∑∑アーマー)
・ダブルキャノン/ハイパービームサーベル×2(∑∑アーマー)
・ダブルバルカン×2門(∑∑アーマー)
・ハイメガキャノン(∑∑アーマー)
・21連装ミサイルランチャー(∑∑アーマー)
・ピクウス76mm近接防御用機関砲×2門(ロストプロヴィデンスアーマー)
・ユーディキウム・ビームライフル(ロストプロヴィデンスアーマー)
・複合兵装防盾システム(ロストプロヴィデンスアーマー)
・ドラグーン×11(ロストプロヴィデンスアーマー)
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