今回やたらと悪役ムーブかましてるこの銀髪の兄ちゃんは味方です。もう一度言います。味方です。
先陣に切り込んだ俺は、フォースの奴らより先に敵の本丸を叩いていた。
『ハハハハハッ!! 撃て撃てェッ!!』
全身バラバラになって全方位から攻撃してくる機体、ターンX。なんか今まで見てきたやつと違って着膨れしているが、こいつの相手は厄介だ。
ビームを剣で消し去り、シェキナーのビームをぶちかます。避けられたが、照射で振り切る。
別方向からのさっきのより高火力の一撃が飛んでくる。シールドで受け切り、使い物にならなくなった盾を本体である頭部に投げつける。これもまた回避される。
『当てられるかよ! 一般ダイバーごときがァッ!』
飛ばしている四肢を集め、人型に集約する。そして、背部から取り出したライフルとバズーカをこちら向け、撃ってくる。
そんなものはさっさと避け、ビームサーベルを持って接近する。
『無駄無駄ァ!』
近付いてまずは相手の武器を両方とも破壊する。が、本体がサーベルの間合いに入る直前に相手の脚部が分離、砲門をこちらに向けてくる。仕方なく後退して、ビームを回避。するとターンXが巨大な爪を持って接近してくる。
『有志連合になァ!! 勝ち目なんかァ! あるわきゃねぇだろォォッ!!!』
爪が赤熱を帯び、攻撃態勢に入る。四肢は全て繋がっていて分離するつもりもないと思ったため、サーベルを投げて直接本体に当てようとした。
だがその直前に、横から2機の影が突っ込んできて、ターンXを丸ごと破壊した。
「ッ!」
突っ込んできた機体は、乳白色とライトブルーを基調とした機体、シャフリヤールのセラヴィーガンダムシェヘラザード。ランキングはともかく知名度は高い機体だった。
「まさか、これ程とは……。だがキミのガンプラは、泣いているよ…………」
『……黙って、やられてください』
機体はもう1機の機体によって両腕を切断され胸部をメイスで砕かれており、間を置かずして爆散した。
残ったのは、歪な黒いガンダムのみ。
「随分頑張ってんな」
『うるさいです。あなたも、倒します』
「そりゃ勝手だが、ンなもん振り回されたらたまったもんじゃねぇ」
『………………』
拠点内部から宙域に出て、大剣とメイスでぶつかり合う。パワーは完全に、あちらが上か。
力を緩め、わざと弾き返される。追撃を狙って振り上げる右腕に接近し、回り込み大剣で右腕を殴りつける。
『ッ……!?』
ヒカリが衝撃でメイスを離す。メイスを蹴って遠ざけ、その勢いのままに取り付く。
HADESを起動し、装甲の隙間にビームガンを放とうとするが、パワーで負け引き剥がされる。
ヒカリは、サイドのスラスターユニットから2対の太刀を取り出す。
「この際だから言っておくぞ、ヒカリ。
『いいえ! もうこれしかありません……! もう、何もわからない…………だから!!』
「このガキ…………」
ビームサーベルを取り出し、展開。
滑空砲の砲弾を焼き切り突撃、太刀と鍔迫り合いになる。
バルカンでツインアイを狙い、視界を奪おうとするが、フェイクデカールによる耐久強化で効果は全く無い。この線は無しか。なら…………。
サーベルを仕舞い、すぐに離脱。空振りした太刀を見ながら、ビームガンからサーベルを発生させ、背後に回って肩の付け根に刃を通す。
『後ろを!?』
「ッ…………!! 素で硬ぇなァッ!!」
正面から来るテイルブレードを避け、攻撃を中断して追ってくるテイルブレードから逃げる。
要塞の外壁に着地し、立て続けに迫ってくるテイルブレードを回避。それらを杭にして突撃してくるバルバトスにピストルとビームガンを撃って目をくらませる。熱と光で視界を奪い、その隙に背後に回り、シェキナーの4連装ミサイルとガトリングを喰らわせる。
『ああああッ!!』
ダメージと衝撃が大きく、外壁にめり込むバルバトス。俺はそいつに覆い被さるようにして、その頭を掴んで外壁に押し付ける。
『うぐっ……!』
「ゴミの掃き溜めにいる癖に何故気付かない? 何故馬鹿げた希望を見出そうとしてる? 人間っつーのは、テメーが考えてる程甘っちょろくもねぇし賢くもねぇんだよ」
『それ、でも……あの人達は……!』
「お前とあいつらじゃあ根本の”価値観”が違う。ガンプラはお前が自殺するための縄か? 違ぇだろ? ただの自己満足を得るためのストレスの捌け口だ。今その役割を放棄してここにいるのはお前だ!」
『違う!!』
ヒカリが叫んだ直後に場を離れ、テイルブレードを避ける。ピストルを取り出してビームサーベルを展開しようとした、その瞬間……。
「ッ、ビーム!?」
そのピストルがテイルブレードの放つビームによって破壊された。
オルフェンズ系のガンダムは、通常の機体2機分の出力を持っているとされる。つまり、今のビームはそのバカ出力から繰り出される荷電粒子砲…………よく作り込んでやがる。
バルバトスが起き上がり、旋回して接近してくる。スラスターの出力を上げ、相手を消耗させる。
元より、俺がこいつを倒す必要は無い。
『私はもう、希望を求めません。偏った理想を追って破滅することも。でももう私には道がない…………だから、こうでもしないと私は進めないんです!!』
「馬鹿が! ンなことしか考えらんねぇからこのザマなんだろうがッ!!」
バルバトスに取り付き、左肩に手の爪を食い込ませる。テイルブレードによって掴んでいる右腕を串刺しにされるが、誘爆する前にその左肩を引きちぎる。
これで関節は丸出し、左腕毎持っていければよかったが背に腹は変えられない。
バルバトスを離れ、複雑に連携するテイルブレードを避けながらシェキナーを投げ付ける。切り裂かれる前に左腕のビームガンでエネルギーパックを撃ち、爆発させる。
『くッ……!』
左腕はテイルブレードのビームに被弾し、爆発。両腕を失った俺にはもう”これ”しかない。
「あいつらでどうにかなるか、ならないか……こればっかりは完全に賭けだな」
『え……?』
両腕を失ったまま、バルバトスに突撃する。
『…………ッ、まさか……!?』
リミッターを外した推力で抵抗を振り切り、拠点の外壁に突っ込む。
そして、自爆スイッチを押して、自爆する。
『Control lost』の文字が写るゴーグルを外し、現実空間へと目を向ける。目の前にはパソコンを操作しているイチカ。大学のレポートでもやっていたのか。
「お兄ちゃん、お疲れ様」
「……俺にはカウンセリングとか無理だな」
「あの子のこと?」
「ああ」
流石に名前は言ってないが、中学生のマスダイバーがスタルにヤバい状態にさせられていることは伝えてある。
「カグラさんの大変さを少しは思い知った?」
「なんであいつ?」
「学校の先生だからかな」
「関係あるか?」
「あるんじゃない?」
「適当だな」
「好きなだけかも」
「それだろ」
スマホを起動して、コネコの父親……コナミグループのボスに電話をかける。
『もしもし……探偵くんかい?』
「はい。…………そういう呼び方やめてくれません?」
『ハッハッハ、すまないね。霧雨くんのご友人と聞くから、つい気が緩んでしまう』
「はあ…………、まぁいいですけど。で、本題なんですけど」
『あぁ、そうだった。それで? 妻は一体どんなことを……?』
「真っ黒ですよ。叩けば出てくる埃ぐらいには。まぁこういうこと言うのは主人である貴方に失礼だと思いますが」
『そうか……。ちょっと、受け入れるのに時間が欲しい。詳しいことは後日聞くよ。これでも、妻のことは心の底から愛していたからね』
「人間ってのはあらゆるものに表と裏を作り出すものです。貴方を愛していた奥さんも、上辺のものじゃなくて本物だったと思いますよ」
『ああ、そうだね。そう思っていいんだね』
「…………では、また後日余裕がある日に」
『頼むよ。それじゃ』
電話を切ると、イチカがなんか複雑な顔をしていた。
「……なんだよ」
「いや、やっぱりお兄ちゃんが敬語使ってるの変だなって」
「どういう意味だゴラ」
なんにせよ、俺の活躍はここまでだ。あとはあいつらに賭けるだけ。
賭けは嫌いだ。
これ以上考えるのは無粋な気がした。らしくない言い方だが、飯綱ヒカリを救える可能性を持っているのは現状、あの2人しかいない。後から出会ったやつが全てを変えるかもしれないし、一生闇を背負ったままお先真っ暗の人生を過ごすかもしれない。
それでも、今はあいつらに託してみたい。
二度と俺達のような人間を生み出さない、いつか言った言葉のままに生きてみることにした。
「…………負けたら承知しねぇぞ」
「ん、なんか言った?」
「ああ、疲れたってな」
「ふふ、本当にお疲れ。お兄ちゃん」
次回はスタルVSビリーヴ、因縁の戦いは一体……!
あの、やたらキャラが強かったリバースターンXのモブは一体なんだったんだろうか…………
機体解説ver.4
RX-81SR スカルライダー(改)
クロートが作り上げたスカルライダーをイチカが改修したガンプラ。
大まかな相違点は予備のビームサーベルが1本に減り、サイドアーマーのもう一方がシェキナー用のエンジンユニットになったことと、ジャイアント・ガトリングが複合型特殊兵装シェキナーへと変更されたこと、両腕の内蔵ビームガンがボックスタイプのビームサーベルとの兼用になったことの3点のみ。
他にも関節部の補強や武装の細かな調整等、クロートやカグラ、使用するアマネの監修の元様々な点に手が加えられている。
特殊システム
・HADES:ペイルライダー系に搭載されているシステム。戦闘能力の底上げやスペックの向上などにより一定期間ニュータイプをも凌駕するような状態となる。このスカルライダーはシステムのリミッターが一切なされていないため、オーバーヒートするまで敵を倒し続けるキリングマシーンと化す。
武装
・60mm頭部バルカン砲
・ビームピストル/ビームザンバー×2
・ビームサーベル
・ビームガン/ビームサーベル×2
・バスターソード
・複合型特殊兵装シェキナー
・シールド