アノマロがやられた。
正直前線張るやつなんていつ死んでもおかしくないし、あいつが倒されたところで戦局は変わらないのでダメージは少ない。ただ、敵陣営であいつを倒せるバケモンがこの戦場にいるという事実に少し引いた。
この後遭遇しないことを願いたい。いや、ホントマジで。
『機体を乗り換えたところでなぁ! 殺れば全部一緒なんだよッ!!』
「しつこ……」
バスターソードでの攻撃をビームシールドで受け流し、アルケーから距離を取る。
GN系の機体の実体剣は、実体の刃にGN粒子をコーティングすることで、GNビームサーベルとほぼ同等の殺傷力が付与されている。しかも仮に対ビームで対抗しても実体剣はそれを貫通してくるので、
『行け、ファング!!』
アルケーのスカートアーマーから、計10基のファングが射出される。ファングはビームサーベルを展開し、オレ目掛けて突っ込んでくる。
オレは背部から伸びるビームサーベルを引き出し、ビーム刃を発生させた状態で投げる。さらにファンネルのビームで正確に狙い撃ち、ビームサーベルを破壊。ビームコンフューズと呼ばれる荒業で、拡散したビームが6基のファングを一斉に破壊した。
生き残った4基は散開し、オレの背後を狙う。それらを狙い、ビームマグナムを撃ちながら横方向に振り、撃ち出したビームをシャワーのようにして拡散、拡散してもなお強烈な攻撃力を持つメガ粒子が残りのファングを全て破壊する。
『なっ、嘘だろ!?』
「否が応でも
ビットコンテナにビームマグナムを格納。
アルケーが撃ってくるビームをビームシールドで防御しながら接近し、ビームサーベルで斬りつける。相手はビームシールドで防御、そのまま反撃しようとする。
ファンネル6基を飛ばして、6方向からアルケーを撃つ。相手は咄嗟に避け後退、オレは残ったもう6基のファンネルも展開する。
「遠隔誘導兵器ってのはこう使うんだよ」
ビットコンテナからターン・クレイバズーカを2丁取り出して装備。弾はさっきとは違い通常弾に切り替えている。
そしてファンネルを様々な方向に散開させてアルケーを追わせる。アルケーは関節を狙ってくるビームを躱しながら浮上し、上からバスターソードで殴りかかってくる。
「カスミさんっ!」
「ッ!」
右斜め下から、コネコのフリーダムが自身のカラドボルグをオレに投げ渡してくる。
なるほどこれなら、下からでも叩き潰せる。
『ウオオオラアアアァァァッ!!!』
巨大なビーム刃を展開し、バスターソードと真っ向勝負をかける。フェイクデカールで底上げされた出力は例えカラドボルグでも少し油断しただけで押し負けそうな勢いがある。
だがオレの敵じゃない。こいつにはバスターソードでワンチャン突撃かける以外の戦い方が出来ないから、後ろがガラ空きだ。
「ファンネルッ!!」
『テメッ!?』
展開したファンネルを集め、アルケーを狙い撃つ。
四肢と擬似太陽炉を徹底的に破壊し、戦闘不能にまで追いやる。蹴り上げて距離を作り、カラドボルグを持つために投げ捨てたバズーカを拾って狙いを定める。
「はぁ…………っし」
『クッソ──!』
弾をコクピットに命中させ、破壊。
これでコピー連中ともおさらばだ。
「カラドボルグ、ありがと」
「ふふふ、当然! なのです!」
「にしても、あいつ1人で倒したのか」
「はいなのです! 強かったけど、私も成長してるのです!」
「すごい。マジで助かった」
「さっき私も助けられましたし、おあいこなのです」
「うん。で──」
アラート音。これはモビルアーマー用だ。
上空を見上げると、そこにいたのは黒いネオジオング。
「あ、あれは……!」
「スタルのやべーやつか、って…………!」
ネオジオングがサイコシャードを形成し、機体内部から大量の子機を飛ばしている。
次の瞬間、黒い波動が宙域全体を襲った。
「ッッ──!!」
全身がぞわりとするような感覚がして、嫌な予感がしてくる。
機体設定を確認すると、サイコミュ機能がオフになっていて、オンにならない。これは…………。
「サイコミュジャック…………!」
ファンネルはパイロット……主にニュータイプや強化人間の放つ感応波を電波に変換して操作する漏斗型の遠隔誘導兵器。つまるところ、同じ機能を持つ機体がより強い感応波を放てば、相手のファンネルを奪うことが出来る。それがサイコミュジャック。
現在ファンネルやビットコンテナが全く作動してくれない。しかもこいつは設定上、サイコフレームを発展させたコスモフレームを全身に採用した馬鹿げたサイコミュの塊みたいなMSだ。反応が嘘みたいに悪い。
「スタルあいつ!」
突っかかりたいが、今この状態で狙うには余りにも準備が出来ていなさすぎる。というかサイコミュジャックをかますためだけにあんなことをやったのかが不明だ。確かにサイコミュを奪えるレベルならOO系の脳量子波とか掻き消せそうだが、そもそもドラグーンの量子通信やガンビットのパーメット通信なんかもある。
………………それら全部を引っ括めた、総合的なビット兵器の停止? いや、加えて副次的効果による機体本体の無力化ないし弱体化も狙ってると見た。アノマロ程じゃないがオレの洞察力も優れていると思う。
となると、コネコも不味いか。
「コネコ、平気?」
「へ、平気かと言われれば…………」
「不調? まさかNJC貫通されたとか……」
「いえ。電気系統が色々イカれたみたいで、ディアクティブモードになっているのです」
「マジか……」
宇宙空間でしかも元々の彩度が低いから気付かなかったが、確かにコネコのフリーダムはディアクティブモードに移行している。
「おまけにビーム兵器もボロボロ、全身砲台みたいなこの機体にとっては致命傷なのです……」
「マジかぁ…………」
これは相当不味いことになった。どっちも完全に不調、これは流石に今襲われたら勝てるか怪しい。コネコはバルカンとジークフリートしか使えないし、オレはほぼ全身ニプス。終わった……。
「……あ、アラートは生きてるのです!」
「うーんそれは良かねぇなぁ!!?」
とか思ってたら早速だよ畜生!
急いで全方向確認…………ができない。これもサイコミュ制御だった。全くもう自分で作っといてなんだけどジ・Oかよこいつは。
「うわぁぁぁぁっ!!」
「ッ! なんだ!?」
突然巨大なデブリに機体が1機突っ込んできた。いや、衝突したが正しい。
「あ、あれはビルドダイバーズの……!」
「ビルド、ダ…………?」
ビルドダイバーズ。
全身が震え立つような言葉。地雷というか、トラウマというか、そういうものが込み上げてくる。
「お前らぁっ!! 助けろぉっ!!」
その情けなく聞き馴染んだ声で辛くも現実に引き戻される。
そして上空から降りてきたのは、ウーンドウォートをコアとした、クスィーガンダムやペーネロペーにも似たシルエットを持つ機体、『ガンダムTR-6アテナ』。
そいつに乗っているのは、カグラだ。
「カグラ先輩!?」
「えー途中でばったり会ったBDのおふたりね? 連中にボッコボコにされたわけですよー!」
「連中ってなんだよカグラ……」
「そりゃあいつらに決まってんだろ! ほら見ろ上から来るぞ気をつけろー!」
どこかで聞いたようなフレーズを流して上を見上げると、3機のMSがそこにいた。
1機は、ダブルオーベースの全身銀色の機体。
1機は、νガンダムを模したさっきと同じコアの機体。
1機は、まんま去年の侵攻ミッションのボス機体。
『ビルドリバイバル…………ここで加勢か』
『どいつもこいつも強面だなぁ』
『いーじゃんいーじゃん? どーせスタルんのおかげで不調なんだしっ』
「………………うわ、なんだこの三馬鹿」
『三馬鹿言うなぁ!』
νガンダムが反論してくる。
いや、だって、これもう疑いようのない三馬鹿じゃん。強化された3人が乗ってるやつじゃん。後々ジェットストリームアタックとか仕掛けてくるやつじゃん。
あとスタルのこと『スタルん』って呼んでるやつ初めて見た。なんだあのメスガキ無駄に立派なレイドボス機に乗りやがって。
「てわけでコネコちゃん! カスミ! リっくん! あいつらにジェットストリームアタックを仕掛けるよ!」
「お前は誰だよ」
「カグラだよぉ!」
「お前も行けよ」
「この図体で行けると思うか!?」
「その図体だから行くんだろうがァ!!」
さっきまでのトラウマはどこへやら、アテナの背後を蹴って催促する。
「はいはい行きますよ行けばいいんでしょ! もぉファンネル全部なくなっちゃっても〜…………」
「今ファンネルとかただの機雷だから」
「え、そうなん?」
「ネオジオングを見ていない?」
「見ていた」
「じゃあなんで知らないんですか」
「特に何もなかったからです」
「こちとら操作系ほぼサイコミュだぞ! おかげで今動けるので精一杯だしコネコ見てみろ!! 叩いたら死ぬぞォ!!」
「そこまでヤワじゃないのです!?」
『貴様等ァ!!!』
敵のことをほっぽり出してマシンガントークを繰り広げていると、突然ELSダブルオー(仮称)の人がキレ出した。
『それが敵に対する態度か!! 我々は今! 臨戦態勢なんだぞ!!! それをなんだくだらない話などしおって! 正々堂々戦えッ!!』
「…………」
「…………」
「…………いや、チーターに言われたくないのです」
切り出したのは意外にもコネコだった。
至極真っ当な返しである。チーターごときに説教されるなど屈辱的だ。というか、こっちで説教したい。
「3人に勝てると思ってるわけ?」
「あっちも3人だぞ」
「…………3の2乗で、こっちが9!」
『ふざけているのかッ!!』
「さっき聞いたフレーズなのです」
なんやかんやで戦闘開始。
コネコはディアクティブモードで戦えないので実質3対2。圧倒的に不利。
『キャハハ! その程度なんですかー?』
「あークソ! 精度ゴミ!」
『本調子でないカスミを倒すなど、赤子をひねるよりも造作の無いことッ!!』
オレが相手取っているのはレイドボス機とELSダブルオー(仮称)。近接も狙撃もこなすレイドボスと近接特化のダブルオーによる攻撃は流石に厳しいものがある。
「ぐ、うぅ…………!」
「あ、お、起きたのです?」
どうやらオレ達が戦ってる中、回復したダブルオースカイメビウスが目覚めてしまった。
やめろやめろ目覚めるな。戦力的には助かるけどオレのメンタル的にやめてくれ。それじゃあプラマイゼロなんだよ。プラスにしたいんだよこっちは。
「……はっ、ダブルオーダイバーは!?」
「だ、ダイバー? ダブルオーならあっちで、カスミさんが戦ってるのです!」
あーあ、さよならオレのメンタル。やだやだ普通に言葉交わしたくないんだけどどうすりゃいい? コネコ助けて? 今だけ操縦代わってくんない? オレならディアクティブでも結構なんとかやれるよ? ダメ? システム上ダメすか? マジすか…………。
「ッ、やめろォォォッ!!」
回復したリクがすぐこっちに向かって飛んでくる。やめてこないで。
しかしそんな思いが通じるはずもなく、リクはダブルオーの方に真っ直ぐ向かって激突する。
『お目覚めか英雄』
「これ以上、ダブルオーダイバーで誰かを、GBNを傷付けるな!」
『知らん。スタルの意向だ。私はこの機体のことなど知らん!』
「ぐああっ!!」
ダブルオースカイはダイバーに軽く足蹴にされ、蹴り飛ばされる。追撃のワイヤーアンカーによりダメージを喰らうが、負けじとドライブユニットのビームキャノンを向けて放つ。だがそれもダブルオーダイバーのドライブユニットのGN粒子の放出によって防がれ、GNソードIIのライフルモードで反撃。ダブルオースカイは両腕のスカイブレイサーで防御していく。
なんか、勝手に戦闘してくれて良かった気もする。それよりこいつがやばい。ウザいし強い。
『ほらほら反撃しないとー? やられちゃいますよ〜?』
「チッ……」
本当に腹が立つ。
こいつのライフルは長射程も想定したもので、その影響か普通のより威力がずっと高い。このビビッドガンダム・ゼロのビームシールドじゃ2枚重ねにしないと貫通してしまう。
『もー、来ないならずっとこのまま痛めつけて──ッ、』
レイドボス機が横に放たれたビームをすんでで避ける。当たればよかったのに。
いやなんにせよ、あれは味方の狙撃だ。
『……あのですねー、見えてるんですよ? ビルドダイバーズのヒロトさん?』
「ヒロト……?」
レイドボスが射線の方向にライフルを撃つ。デブリの中から出てきたのは、天王星のスナイパー、ユーラヴェンガンダム。
「マジでヒロトか!」
「コアチェンジ、ウラヌスtoジュピター!」
ヒロトはウラヌスアーマーを脱ぎ捨て、素早くジュピターヴガンダムへ換装、ビームガトリングガンで反撃に入る。
「……無事ですか、カスミさん」
「敬称は略してよし、こいつめっちゃウザかったけど、今お前と出会えてかなり気分良くなったよ」
「わかった。連携して倒すぞ、カスミ」
「了の解!」
仲間とはいいものだと思う。
ビルドリバイバルは元々身内だけのフォースだったけど、コネコ達が来てからはなんというか、フォースとしての集まりも良いと思うようになった。
嫁に影響されたのかもしれない。それでもいいや。
とにかく今は、こいつをぶっ倒してついでにスタルもぶっ飛ばして、さっさと祝勝会で焼肉行きたい。
もちろんフォースのみんなで。ヒロト達ビルドダイバーズも、誘ってみてもいいかもしれないと思った。
次回、戦いの行方、TR-6アテナの強さは…………?
ちなみに三馬鹿は堅物がダブルオーダイバーエース、メスガキがアルスアースリィガンダム、それ以外がフェイクνガンダムです。それ以外て
機体解説ver.4
VMS-0010 ビビッドガンダム・ゼロ
カスミがガンダム新作アニメーションの主人公機を模倣し、さらに加えて自分なりの改造を加えた機体。
本物との差異はネイビーを基調としたガンダムマークII(ティターンズ仕様)のようなカラーリングと、両腕のビームシールド、バランサーが左寄りの両利きであるカスミに合わせたものとなっていることなどが上げられる。
作中設定では、捕らわれたRX-0フェネクスのサイコフレームを解析して作られたコスモフレームを全身に宿したフル・コスモフレームであり、全身がサイコミュによって制御されている。
バックパックには4基ものビームサーベルと大出力のブースター、2点のハードポイントが設けられており、ここに様々なオプションを搭載できる。
本機に搭載されているのはビットコンテナと呼ばれるもので、ライフル4丁、バズーカ2丁、ファンネル12基、予備弾倉・Eパックを積載した計8基のコンテナ型のビットである。ライフルはフェネクスのデータを元に作られた模造品のビームマグナムで、威力は本物に劣るがその分取り回しが改善されている。バズーカはターン・クレイバズーカと言い、逆手持ちで運用される。ファンネルはコスモフレームを使用した遠隔誘導兵器で、小型且つ高出力で照射も可能。ライフルとバズーカは両方共折りたたみ機構を備えている。
作中では『ヘルメスの薔薇の設計図』の基盤となった機体とされ、本機もその名に恥じない性能をしている。
特殊システム
・インテンション・オートマチックシステム:フル・コスモフレームによって実現した副次的なシステム。ユニコーンやシナンジュのものと同様思考操作が全面に来るシステムとなっている。
・コスモジェネレートシステム:カスミが搭載したオリジナルのシステム。詳細は不明。
武装
・頭部バルカン砲2門
・ビームサーベル×4
・ビームシールド×2
・サイコシャード発生器×2
・ビームマグナム×4
・ターン・クレイバズーカ×2
・ファンネルビット×12
・ビームマグナム用予備弾倉×6(全部で60発分)
・クレイバズーカ用予備弾倉×4(閃光弾、ナパーム弾等)
・ビームダガー×2
・ビットコンテナ×8
・トリモチ・ランチャー