ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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全編かけてのカスミ回
少年漫画にありがちだけど、最終決戦で主役じゃないベテラン同士の戦いって尺取るしその間主人公空気になるよねって


第63話「最終決戦⑦─COSMO GENERAT─」feet.K

 ビームマグナム一発。これは避けられる。

 ビームガトリングガン何十発。これも避けられた。

 

 こいつ、速い。

 相手のライフルから放たれたビームを、ビームシールドで防ぐ。

 

「ッ、ハァ……!」

「大丈夫か?」

無問題(モーマンタイ)。だがこのままじゃジリ貧」

「ああ。だがアーマーがない以上、戦法を変えるのは無理だ」

「狙撃仕様のウラヌスは流石にキツイしな」

「どうする?」

「元アヴァロンのヒロト的には?」

「…………あの機体とは何度か戦ってるけど、乗り手が違う。俺と戦ったのはもっと無機的な動きだった」

「そりゃシステムだからな…………まぁいい。となるとやっぱりワンチャン博打にかけるしかないか」

「博打?」

 

 オレの提示した言葉に、ヒロトが疑問を投げかける。これはやればまぁ出来そうではあるけど、出来なかった時のリスクが大きいからやりたくなかった方法だ。

 オレがサイコミュを使えないのは、さっきの波動で一斉にサイコミュジャックを喰らって、それが維持され続けているからだ。つまるところ、扉につっかえ棒が置かれて開けられない状況。

 だから…………その扉ごとぶっ壊す。

 

「さっきのジャックを、オレが全て塗り替える。ヒロト! 気を引いてくれ!」

「……ああ、わかった!」

 

 ヒロトはオレの言葉に従い、マニファービットを持ってアルスアースリィ(教えてもらった)に接近していく。

 

『さっきまで随分話し込んでましたけどぉ、無駄ですよぉ?』

「無駄かどうかはわからない。でも、少しでも勝てる可能性に賭けたい」

『へぇ〜? じゃあその自信ごと粉々にし〜ちゃおっ!』

 

 サイコミュを強くする方法は1つ。ただ強く念じること。

 GBNのシステムはとても優秀だ。プレイヤーの想定した動きに、システムがある程度合わせてくれる。この機能を応用することで実装を果たしたのがサイコミュだ。フルダイブ型であることを利用し、直感的にサイコミュを感知する、まるでニュータイプになったかのような感覚。これを掴み取る。

 

(…………少し不味いな)

 

 ビットコンテナは感知できている。だがそれ以下のサイズであるサイコミュの感知に難儀している。しかも感知したところで、枷でもつけられてるように動かすことが出来ない。

 それでも、諦めない。

 折角丹精込めて作ったのに、それをこんな訳の分からない形でめちゃくちゃにされて、腹が立って仕方が無い。

 一矢報いておかなきゃ気が済まない。

 

「何寝てんだよファンネル共………………オレに、従え」

 

 取った。

 UIにファンネルが12基、きっちり揃って表示されている。戻るように命令すると、しっかりと全てビットコンテナに格納された。勿論、このビットコンテナのコントロールも取り返してる。

 

「よし、行くぞビビッド・ゼロ。脚本家も知らない特大技を食らわしてやれ!」

 

 ビビッド・ゼロと共に大きく飛び立つ。ジュピターヴと戦っているアルスアースリィがオレを見て、すぐにそのライフルを向けてくる。

 

『やっと出てきた! じゃ、バイバーイ!!』

「カスミ!」

 

 大型のライフルから、高威力の禍々しいビームが発射される。さっきと違って、ビームシールドじゃ防げない威力だ。アレをまともに喰らえば確実に腕は吹っ飛ぶ。

 

「……コスモジェネレートシステム、起動!」

 

 機体各所のコスモフレームが赤く発光する。そして、ビビッド・ゼロに向かって撃たれたビームはその目の前で反射し、軌道を次々に変えてアルスアースリィのライフルに直撃する。

 

『はぁっ!!?』

「これは…………!?」

 

 コスモジェネレートシステム。

 バラ撒いたサイコシャードを操り、目視不可の鏡面状のサイコフィールドを作ってビームを反射させるシステム。基本的な効果はヤタノカガミとほぼ同じだが…………。

 

「使い方が違う!」

 

 両手にビームマグナムを持ち、両方同時に放つ。アルスアースリィを狙ったそれを迎え撃つため、アルスアースリィは手の平にビームサーベルを発生させて切り払おうとするが、そうしようとしたところでビームは反射。軌道を変え、背中に直撃する。

 

『ぐあぁっ!!』

「かった……」

「博打には成功したみたいだな」

「……ああ。悪運強いタイプなんで」

 

 実際はわからない。だが、今ここに勝機が見えたことがその証拠になるだろう。

 

「じゃあ、俺も本気でやれる」

「今まで本気じゃなかったのか? だったらあいつは哀れだな」

『こいっ、つらァ…………!!』

 

 アルスアースリィが強く怒りを顕にしている。

 センサーに反応。遠くから、プラネッツシステムのアーマーが3つ同時に来ていた。

 

「ヒロトのアーマー? 遠隔で操作できたのか」

「いや、ヒナタに頼んで飛ばしてもらった」

「なるほど」

 

 流石はヒロトの正妻。

 まぁそれはいい。わざわざアーマーを4つフルセットで集めたってことは、ヒロトにも何か思惑があるはず。

 

「アースアーマーを奪われた時、俺の機体でもあれと同じことができるなら…………!」

「オレの博打に乗ってもらったんだ。今度はオレがヒロトの囮になってやる」

「いや、その必要はない」

「へぇ?」

『何? 何するつもり…………?』

 

 ヒロトがいきなり、自分のアーマーを全てパージした。そして、他のアーマーの一部がコアガンダムIIに集まってくる。

 

「…………エクストラリミテッドチェンジ!」

『はっ──!?』

 

 ヒロトがそう叫んだ瞬間、アルスアースリィから全てのアーマーが剥がされる。そのアーマーはコアガンダムIIの胴体と頭部に接続。右脚、ライフル、腰部をウラヌス。左脚、右肩をサターン。右腕、バックパックをジュピター。左肩、左腕をハデスが形成し、カラフルなアーマー形態が爆誕した。

 

「マジかよ……」

「いくぞ、カスミ!」

「……了解!」

『ンな姿になっても、こっちにはブレイクブーストがあんだよ!!』

 

 随分と小柄な姿になったアルスアースリィ……いや、アルスコアガンダムは、その全身から赤いオーラを発生させる。両腕からビームサーベルが発生し、殴るように突っ込んでくる。

 ヒロトのU7シュートライフルは小柄故の身のこなしで避けられる。オレもファンネルとコスモジェネレートの合わせ技で変則的なビームを撃ち牽制…………がしかし、これもなんとか対応された。

 ヒロトより前に出て、アルスコアのビームサーベルをビームシールドで受ける。ワイヤーで繋いだバズーカを真上から撃つが、直前に離れて回避される。

 続けて回り込んだヒロトによる突進プレスが炸裂。これも勢いに押されず逃げられた。

 

『キャハハ! 気合い入れてもこの程度とかまじウケるんですけど〜!!』

「俺達の動きに対応してる!」

「問題無し!!」

 

 全方位のファンネルによる波状攻撃を避けたアルスコアが手からビームを撃ってくる。幸い威力は大したことないからシールドで防ぎ、左手にビームサーベルを持って衝突。威力が拮抗する中、オレはヒロトが背後に回るのを認識する。

 

「カスミ!」

「そう来る!」

 

 即座にその場から離脱。壁がなくなり、ヒロトが左肩の大量の砲門を開放する。

 

「ツインハモニカ砲!」

『ざーん、ねん!!』

 

 大量のビーム群が一斉にアルスコアに襲いかかる。アルスコアはビームサーベルを形成している手を広げ、扇状のビームシールドにして防いだ。

 

「なっ!」

「ダハックの手の平シールド!?」

『仕様になくても、フェイクデカールならこんなこともできるんでーす!』

 

 これは驚いた。だが、度肝を抜くような戦法で勝てるのはその辺の雑魚だけだ。

 こいつの腕は、真ん中レベル。

 

「ハアッ!!」

『ッ!』

 

 コクピットをシールドで守りながら、ビームサーベルで攻撃。サーベル同士の戦いでは、僅かにあちらに有利がつく。チート有りと無しのどうしようもない差……これを埋めるのが、こいつを作ったオレの役目。

 

『わかってるよ〜? その機体、シールドの発生器とサイコシャードの発生器が一緒くたなんでしょ〜? じゃーあ、それ壊せばいいってこと!!』

「チッ……!」

『ほら図星!』

 

 フリーの手のサーベルでオレのビームシールドの発生基部を突いてくる。一応ビームコーティングはしてるが、突きの角度じゃそれを確実に超過する…………、これは結構不味い。

 腕を使って、ビームシールドで相手の左手を払う。お互い両腕が塞がれた状態で向かい合い、コスモフレームの力を引き上げる。

 

「ぶっ飛べッ!!!」

『ぅえっ──!?』

 

 自分の周りに、アルスコアを拒絶するサイコフィールドを起こす。大きく吹っ飛ばされたアルスコアにヒロトがライフルによる狙撃を食らわせる。

 

『ウッ……ザイんですけど!!』

 

 狙撃は回避された上、みるみるうちに接近されライフルを破壊される。ヒロトはすぐに切り替えてサーベルを引き抜き、アルスコアと激突。

 何度も何度も切り結び、その勢いは互角。だがさっきの波動の影響を、ヒロトのコアガンダムIIも受けていないわけじゃない。その消費の差が徐々に露見していき、ついに左腕が刺し貫かれ、破壊される。

 

『これでおしま──ッ!?』

 

 トドメに振り被った一撃が何かによって反射される。

 コスモジェネレートシステムはただビームを弾くサイコフィールドを遠隔で発生させるだけのシステム。だがそれを極めれば、こういう使い方だって出来る。

 

「ウオオオォォォッッ!!!」

 

 虚を突かれ、生まれた隙は見逃さない。

 最大出力で突撃し、コアガンダムIIの腹部を掠め、アルスコアガンダムの胴体を貫通する。

 

「俺達の、」

「勝ちだ!!」

『畜生ォォォォッッ!!!!』

 

 アルスコアガンダムは叫びながら爆発。それに伴い、エクストラリミテッドチェンジのアルスアースリィの部分も塵となって消滅した。

 それを見届けてから、オレは1つ息をついた。

 

「あっっっっっっっっっぶな…………!!」

「なんとか勝てたな」

「なんとかな、でも危うく死なば諸共になるところだった…………」

「いいだろ、ならなかったんだし」

「よく言うよ…………。で、ヒロト。お前んとこのフォースは?」

「まだ戦ってるはず。そっちは?」

「1人除いて全員無事。だけど、1人連絡が取れてないから、様子を見たい」

「そうか。じゃあ、解散だな」

 

 別れの言葉を述べてから、それぞれ別の方向に向かった。

 

 見つけた。

 ガンダムネクサス。ビリーヴの機体だが、なにやら様子がおかしい。全く動く気配がない。

 

「で、オマケに敵の反応か……」

 

 方向からして、確実に浮いたコマであるネクサスを落としに来ている。

 目視で確認。あの特徴的な手の形をしたバインダーは…………G-ジャイオーンか。

 ジャイオーンがこちらに気付いたようで、その特徴的な頭部をこちらに向けてくる。

 

『先客……いや、敵か!』

「撃ってこい! 食事は邪魔されたくねぇだろ!」

『そうか、お望みとあらば!!』

 

 ジャイオーンの砲門が揃ってこちらを向き、一斉に放ってくる。雨あられのビームに対し、コスモジェネレートシステムで対応。曲がったビームはジャイオーンの乗り手からすれば見当違いの方向へと飛んでいく。

 

『ビームが曲がった!?』

「システムの格が違う!」

 

 ビームマグナムを取り出し、ジャイオーンを狙い撃つ。ジャイオーンはビッグアームユニットのファンネルを射出しながら防御し、そのまま破壊される。

 もう一方のビッグアームユニットからもファンネルが射出され、全6基のファンネルから赤いビームサーベルが展開される。

 

『ならばこちらは、ビームサーベルで投槍で!』

「かかってこい、ファンネル!」

 

 こちらも同様にファンネルを射出。物凄い威力で飛んでくるソードファンネルを避けながらビームマグナムを拡散して撃ち、相手を牽制する。

 相手も同様に、ファンネルの弾幕網を突破してビームライフルを正確に撃ってくる。このビームは左腕のビームシールドで防御した。ファンネルを反射させて軌道に変化をつけるが、これも対応される。随分練度の高いやつ。

 

『自分のビームも反射している……。反射板のようなものを使っているな』

 

 ……こいつの言葉遣い、なんかGレコっぽいというか富野節というか…………。マスダイバーじゃなかったら仲良くなれそうだ。

 それはいい、今は敵だ。ファンネルを避け続けるジャイオーンを誘導して、その方向にマグナムを撃つ。

 

『ッッ!!』

 

 今度は右手のビッグアームユニットを破壊した。さらにビームライフルに飛び火し、相手は慌ててライフルを捨て、爆発に軽く吹き飛ばされる。

 これで相手の武器はファンネルと頭部のレーザーだけ。想定通りに相手はレーザーを撃ってきたので、ビームシールドでガードしながら避ける。そしてビームサーベルを引き抜いて投げ、マニピュレーターからワイヤーを飛ばして巻き付ける。

 

『ッ、突き刺せ! ファンネル!!』

 

 オレを狙って一斉にやってくるファンネルは、コスモジェネレートシステムで反射させて対応する。

 

『何ィ!?』

「ビーム・サーベルでェ!!」

 

 ワイヤーを鞭のようにしならせて、離れた位置のジャイオーンの胴体を真っ二つに斬る。ジャイオーンは爆発、撃破された。

 邪魔者は倒したので、急いでネクサスの方に向かう。見たところシェルユニットは完全に死んでいて、生きているのに撃墜されたかのような状態だ。

 

「ビリーヴ」

 

 呼びかけには応じない。接触通信でも無理ってことは、ビリーヴは今気を失ってる可能性が高い。

 普通、GBNはプレイヤーの意識が途絶えた時点でゲームを強制終了する機能がついているが、ELダイバーの場合これは適用されない。元々GBN側の存在な上、下手にやるとデータが霧散して事実上の死を迎えるリスクがあるからだ。

 かといって放置し続けてもこいつをずっと守れる自信はないし、何よりなんかレイメイに申し訳ない気がする。

 

「…………どうすりゃええねん、これ」

 

 2人を応援に呼んでもいいが、焼石に水な気がする。それにここはネオジオングに近い。今は向こう側の相手に気を取られているが、いつこっちに来てもおかしくはない。今の装備は、ネオジオングを相手取るには貧弱すぎる。

 

「起きる気配ないし、マジで起きてくれよ……おい」

 

 軽くネクサスの頭を叩く。何も起こらない。

 ビリーヴはアンチドートをここぞという時にぶっぱなして戦況を変える大役を担ってる。ここで寝てもらっちゃ困る。

 

「…………レイメイがどうなっても知らねぇぞ」

 

 そう釘を刺しといて、見守ることにした。

 




次回、ビリーヴは目を覚ますのか…………。
アルスアースリィの頭部アンテナは構造上コアガンダムIIにつけるには大分無理がありますが、なんとかなったということにしといてください
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