寒冷基地にて大型の対艦刀を構える、赤いストライク。
対するは、強化装甲に守られたブルデュエル、大量の火器を装備したヴェルデバスター。そして、黒い翼を背負ったストライクノワール。
ぶっちゃけてしまえば、難易度ミスった。
「わっ、ちょっ! これキツイのです!」
対艦刀をものともせず突っ込んでくるブルデュエルの猛攻をコネコは剣で受け盾で受けを繰り返しており、完全に防戦一方となってしまっている。しかもヴェルデバスターの正確な援護のオマケ付き。
「だったらもう……えいっ! なのです!!」
ブルデュエルから逃れるべく、コネコのオールマイトストライクはストライカーのブースターを下に向け、勢い良く上空へとジャンプした。しかし、ジャンプしたオールマイトストライクはヴェルデバスターが捉えていた。
「バスターの的だよ!!」
「お前の攻撃なんか、当たらないのです!」
容赦無く飛んでくるビームライフルの射撃を偏向スラスターを巧みに吹かして回避。回避。回避。
何これ、こんなの初心者の動きじゃない! 射線を完全に掻い潜ったストライクは真っ先にヴェルデバスターに突貫をかけた。
「まずは援護役のお前からなのですっ! …………きゃあっ!?」
だが、オールマイトストライクの巨体は、細いアンカーによって振り回され、一気にストライクノワールの方に引き込まれた。
ストライクノワールは自身のストライカーから対艦刀を引き出しており、相手が空中で無防備な状態を、一気に串刺しにするつもりだ。
「ッ……!! させるかァ! なのですっ!!」
コネコはオールマイトストライクの偏向スラスターで姿勢をストライクノワールの方へ向け、自身も対艦刀で斬りつける。突きの姿勢から咄嗟に受けの姿勢に変えたストライクノワールは、自分が若干不利な状態で鍔迫り合いをすることになった。しかし、ストライカーでブーストをかけており、コネコのオールマイトストライクを押し出すつもりだ。だが、オールマイトストライクも負けじとブーストを吹かせる。お互い一歩も譲らない、互角の戦いだ。
そこに水を指すのは、格闘特化のブルデュエル。
「邪魔ァ!! なのです!!」
ブルデュエルを察知したコネコは一気に押し出してストライクノワールとの鍔迫り合いを中止し、空中から殴り掛かろうとするブルデュエルの横腹を、対艦刀でぶっ叩く。しかしそこは安心のフェイズシフト装甲、実体剣の対艦刀では歯が立たない。しかし核エンジンから繰り出される莫大な出力を押し返し切れず、そのまま横へ吹っ飛ばされる形に。
ブルデュエルの背後に陣取っていたヴェルデバスターの射撃もシールドで防ぐ。
押し出して姿勢を崩したストライクノワール、吹っ飛ばされて無防備のブルデュエル、そして未だ銃口をオールマイトストライクへと向けているヴェルデバスター。どちらを先にやればいいのか、それは明白だった。
……だが。
「そっち……? そっか」
「ビリーヴ……?」
「やるなら一番、強いヤツッッ!!!」
普通なら正面で銃口を向けているヴェルデバスターから倒した方が安定している。しているが、それだけでは駄目だ。
強くなるために、多少は無茶な選択を取らなければ、経験値は取れない。それがコネコの答え。コネコが狙ったのは、真後ろにいる、姿勢を崩したストライクノワール。
「駆動系ならぁッ!!」
ストライクノワールを踏みつけ、肩部と胴体を繋ぐ関節部分に対艦刀を刺し込む。根元から腕部が落ち、無防備になったところにオールマイトストライク左腕部のビームキャノンをコクピットに向け、撃破。
だが、その隙を狙ったヴェルデバスターの銃口が再びコネコの方へと向けられていた。
「ぐッ……!!」
「コネコ!!」
ブルデュエルも控えてる中、振り向いて迎撃するには時間が足りない。これは、いわゆる「詰み」というやつだ。
『…………まだ、だ』
…………閃光。
瞬間、ヴェルデバスターは飛んできた巨大なメガ粒子の塊によって跡形もなく吹き飛ばされた。私を含め、その場で状況を理解した者は誰1人いなかった。
しかしコネコはその好機を逃すまいと、ブルデュエルへ突撃。メインカメラをアーマーシュナイダーで潰した後、コクピットへ腰部にマウントしていたアグニを向ける。
「アグニは、効くのですッ!!」
いやそれ言ってない。
一直線に撃ち放たれたビームはブルデュエルの胴体を貫き、即死判定のコクピット部分に風穴を空けた。その直後に、ゲームクリアを告げるウィンドウが空中に浮かび上がった。
『mission clear』
「ふぅ……なんとかなったのです。けど……」
コネコは達成感を感じながら、先程のメガ粒子の塊が飛んできた方向を見る。
「さっきの、なんだったんだろうね」
「はいなのです。多分、たまたまディメンションに来てた人がアシストしてくれたんだと思うのですけど……」
あのマグナムの軌道、完全に待ち伏せていたというか、あそこに来るのがわかってて撃った感がある。ビームマグナムは射速が遅い上、反動が強く、相当強固に作られていなければ即エラーを起こす。ましてや狙撃なんて以ての外だ。
なのにあのタイミングでコネコを巻き込まず、正確に撃ち抜くなんて。相当の手練のはずだ。
そして、そのマグナムを使う手練に1人、心当たりがある。
「それにしても、ビリーヴ、よくコネコがノワール狙うってわかったね」
「うん、コネコのガンプラが『こっちを倒したい』って言ってた……ような気がしたから」
「随分曖昧なのです……。でも私もそう思ってたから、なんだかオールマイトストライクと繋がった気分で嬉しいのです!」
『それは何より』
「え……?」
通信越しに声をかけられ、上空を見上げると、そこにはいつぞやの銀色のユニコーンガンダムが、前は取り付けていなかったアームドアーマーWCを背負って姿を現していた。
「あれは……!」
「銀色の、ガンプラ……」
『その声、ヴァルガのサバーニャか! まさか先客がいたとは…………」
こちらに着陸しながらガンプラの表示を解き、同時に白みがかった金色の髪に白いコートを来た青年が現れる。
「あ、あなたは……!!?」
「え、コネコ知ってるの?」
「知ってるも何も、あのガンプラのみならずイラストや音楽でも多彩な才能を発揮する超大人気トップG-tuberの『カスミ師範代』なのです!! 私大ファンで……!」
「お、おぉ。サインぐらいしか送れないけどサンキュー」
「あのビームマグナムはカスミさんが撃ったのです!?」
「うん。つーかそもそも、このミッション多人数向けだろ。あの位置のバスターはアシスト無しじゃ崩せなかった。とはいえ単騎であそこまでやれるのはマジ凄い。ホント凄い」
「も、勿体ないお言葉なのです……!」
カスミ……どっかで聞いたことあるような名前だ。えっと、確か…………。
「……あ、新作アニメのキャラデザやってる人だ!」
「うぐ、やめて。ラフの段階で永遠に迷子になってるの思い出すからやめて」
迷子になってるんだ…………。
「ねぇ2人とも、わたしだけ置いてけぼりなんだけど……」
「あー! ごめん、ちょっとリアル寄りの話になっちゃって!」
「その子、言動からしてELダイバー? 見たことないけど」
「最近生まれたビリーヴっていうELダイバーなのです」
「あ、えっと。おはよう……じゃなくてこんにちは」
「こんちゃ。……って、どんどん本題から逸れてくんだが……?」
本題、まぁ確かにこの人がここに来たってことはコネコに用があるんだろうけど。挨拶ばかりで話題が逸れていくとは流石有名人だ。
「えー、こほん。ダイバーネームコネコ、君を、うちの『フォース』に招待したい」
「…………え!?」
「あ、あと2人もついでだし来てよ。アイツその方が喜ぶだろうから」
「えぇ……?」
「ふぉーす……?」
まさかのご勧誘。私やコネコはともかく、ビリーヴに関してはフォースがなんなのか知らない。私がフリーだったし今まで出くわすことも無かった(ビリーヴと会った時のモヒカン共はフォースだったかもしれない)から、教えることもなかった。いやとにかく、私がフォース入りか。
「アイツ……ってのはカグラっていううちのメンバーのことなんだけど、アイツが華が欲しーって駄々捏ねてメンバーの勧誘に向かわされたんだよ。それで白羽の矢が立ったのがコネコ、君だ。最高に教えがいのある動きだった」
「は、はぁ……。それにしても、カスミさんがフォースに所属していたなんて知らなかったのです」
「そりゃオレ以外メディア露出してないし。いや、アノマロはしてるかな……」
アノマロ、という存在も多分フォースメンバーなのだろう。聞く感じからして少数、小規模のコミュニティだとわかる。そこに私達3人を引き入れるということは、つまり……。
「とどのつまり…………ナンパってこと?」
「ナンパて。まぁ実際その通りなんだけど」
「同意するんだ……」
「ほらとりあえず、ネスト行こう。入るかどうかはうちのメンバー来てから決めてもらいたいし」
「カスミさんのフォース仲間、きっと素敵な人ばかりなのです!!」
「んなことないよ。1人は日夜ネットに妄想垂れ流してる重度のオタクだし、1人は元不良の廃ゲーマーだし」
カスミの口から語られたチームメイトの説明は何やら仰々しいというか、錚々たる面子で思わず身震いしてしまった。とはいえ、そう軽く言えるということは信頼の現れでもある。
「ビリーヴちゃん、どうする?」
「知りたい。行きたい!」
よし、3人目の承諾も得たし、カスミのフォースネストへレッツゴー。
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エリア移動と少しの徒歩の先に待っていたのは、近未来的で無機的なドアだった。
「『フォース:ビルドリバイバル』…………」
「特に意味は無い。オレが適当に付けたからな」
「はぁ…………」
ドアのキーロックを解除している間に、このカスミという人物について考える。なんというか、この人にはヴァルガの連中にある「愛故の野蛮さ」というものよりは「愛故の高貴さ」を感じる。ヴァルガを根城にしている奴らは普通にカスみたいな連中だけど、その中には作中のジオン残党を再現したようなゲリラフォースというのも幾つか存在する。あいつらはガンプラが、ガンダムが好きだからこそ野蛮人みたいになっているんだろうけど、この人はどちらかと言えば真逆だ。トレーズ閣下を思わせるようなエレガントさと、現代人っぽい俗っぽさ、そして私に似たようなガンプラへの依存ともいえる情熱。
……これはあれかな、親近感ってやつなのかな。
「カグラー、新メンバー連れてき──」
「ウェーーーーイ!!!!」
「ぎゃあむっ!?」
カスミがドアを開けた瞬間、部屋の中からピンク髪をハーフアップで括った女性が私目掛けて覆い被さってきた。
「ようこそうちのフォースへ!! 何ちゃん? あたしカグラって言うんだけどというか君ちょー可愛いねー!! お姉さんのドストライク的中もうこのまま夜のトランザムバーストしちゃう? しちゃう? ねぇねぇへぶっ」
「やめなされ」
カグラと名乗る女性が頬擦りしながら私に言葉の洪水を浴びせてきたところで、カスミが彼女にチョップをかました。
なんなんだ、なんなんだ一体……。
「きっさっまー、この天才美少女カグラちゃんの頭頂部にチョップを食らわすとはいい度胸じゃないか!!」
「新入りを脅かすな。面食らってんじゃねぇか」
「えーだって溢れる感情が抑えられなかったんだよー? 私はテメーらみたいなクソ陰キャとは違ってちゃんと全うに彼女作ろうって努力してるから」
「何も関係ねー……」
左右を見渡すと面食らったコネコと、同じく面食らったビリーヴが唖然として突っ立っていた。そして私はまだ頬擦りと抱き締められた感覚が残っていた。地味に、誰かにああいうことをされたのは初めてだったから。
「はぁ、改めて。こいつはカグラ。レイメイとビリーヴ視点ではTR-6乗ってたやつな」
「ガチレズライター教師美少女ダイバーことカグラちゃんでーす! 夜は気をつけなよー?」
「属性が渋滞してるのです……」
金髪猫耳なのです口調のストライク乗りも相当属性過多だと思ったけど心に留めておく。
「レイメイちゃんねぇ……ほぉ、君には類稀なる同性愛の才能がぼへっ」
「やかましい仕事の邪魔だ」
とんでもないことを言いそうになったカグラを今度は銀色の…………ハロ? ハロが体当たりで阻止した。
…………え、ハロ!?
「まるい……」
「ハロなのです……」
「あぁ、俺はアノマロカリス」
「ダイバールック弄るのめんどいからってハロの姿になったそうだ」
「キャラメイクスキップ派だからねー」
このキャラの濃さを見れば、恐らく先述の重度のオタクというのがカグラで、廃ゲーマーというのがアノマロカリスのことなのだろう。だけど、アノマロカリスがメディア露出? こんな銀色のハロ何処でも見掛けるとはいえネットとかで見たことないんだけど……。
「俺は元より仕事兼暇潰しでログインしてるだけだ。そんな所でタイムロスるわけないだろ」
「おかげでお前でサッカー出来るけどな?」
「オレが球技苦手で良かったな。得意だったらお前の三半規管が大変なことになってたぞ」
「コイツら……! ……お前らもこんなゲス共が嫌なら断ってもいいんだからな?」
「あぁいえお気になさらず……」
コネコはまぁ入る気だろう。ビリーヴは入れるかはともかく、フォースというものに興味があるなら恐らく入る。
本当、同調圧力っていうのは日本人にとって強敵だ。3人中2人が入るなら、あと1人が入らないといけなくなるのだ。
「私は入るのです! 末永く、よろしくなのです!」
「猫耳少女〜! そういうのでいいんだよそういうので!」
「ふむじゃあコネコは追加確定として、2人は?」
「……どうする?」
「うーん、入りたいかな。わたし、この人達のことも知りたい」
「……そっか」
ということで、ここに新生『フォース:ビルドリバイバル』が誕生した。私はあんまり乗り気じゃないけど。
フォースというのに入ると、否が応でも誰かに合わせないといけない。私はそれが大の苦手だった。でも私は気の弱い人間だから、こうやって流されて、失敗して、怒られて……。だから複数人で動くのは嫌だったんだ。ソロプレイは気軽で良かった。なのに。
ビリーヴ、あなたのせいで、私はソロプレイの楽しさよりも、みんなで遊ぶ楽しさに価値を見出してしまった。入る気の無かったフォースにも、入ってしまった。
これから私がどうなるか、予想もつかないや。
怒涛の新キャラ3人追加!
キャラ&機体解説
オールマイトストライクガンダム
コネコがレイメイと共に作ったオリジナルストライカーを装備したストライク。全身に偏向スラスターの増設や高い推力、そして動力源を核エンジンに変更したことによるエネルギー問題の解消で、初心者にも扱いやすく圧倒的に強力な機体に仕上がった。
オリジナルのオールマイトストライカーはエールのような大型のスラスターに加え、対艦刀グランドスラムを2本、アグニを一基マウントしており、実弾に強いSEED系の機体にはアグニを、ビームに強い鉄血系の機体には対艦刀を使う臨機応変の戦い方が可能。
ストライク本体は赤と白を基調としたカラーリングに変更され、ストライカーは紫と差しの黄色が入った無骨なカラーリングとなっている。
特殊アイテム
・ニュートロンジャマーキャンセラー
SEED作中に登場するシステム。GBNではSEEDシリーズの核エンジン搭載機に搭載しなければ稼働しない代物となっているが、その分出力は折り紙付きである。
兵装
・アーマーシュナイダー×2
・頭部75mmバルカン砲イーゲルシュテルン
・ビームライフル
・対ビームシールド
・左腕部メガキャノン
・グランドスラム×2(オールマイトストライカー)
・折り畳み式超高インパルス砲アグニ(オールマイトストライカー)
・ビームサーベル×2(オールマイトストライカー)
カスミ
トップG-tuberとして多大な人気を誇るイラストレーター兼作曲家。
ガンプラの製作技術のみならず、その操縦技術も高く、更にはそれらのコツをまとめた講座を動画として投稿していることから、ファンからは「師範代」と呼ばれている。
意外とウブでコミュニケーションが苦手。
ダイバールックは金髪に白いコート、明るい緑の瞳がチャームポイント。
カグラ
教師として働きながらWEB小説を執筆している社会人ダイバー。
自らを同性愛者だと言い、日頃より彼女が欲しいと強請っている(たまに一部の女性ダイバーに本気で欲情しているので嘘では無い)。
ダイバールックは派手なピンク髪をハーフアップにし、セーラー服の上に白いパーカーを羽織っている。
アノマロカリス
仕事とその合間の暇潰しのためにアカウントを作ったダイバー。
暇潰しとはいえ、重度の廃ゲーマー且つ中途半端が嫌いで、その実力はSSSランクでランカーとも大差無いカスミに匹敵する。
ダイバールックは銀色のハロ。