続航宙軍 1章 婚約発表と、色々 014
こうして奇跡の中での、陛下来訪祝いと使徒の公表での祝賀会が終わろうとしていた。
興奮のるつぼの中、最後に再び壇上に上がったアラン様が
「皆に、これから、発表することがある。来るべき日に備え、ここにアラン・コリントは、これから名を上げるものと婚約することを報告する。
一人目、クレリア・スターヴァイン
二人目、セリーナ・コンラート
三人目、シャロン・コンラート
三人とも壇上に上がってきて欲しい」
そうして、3人が驚いたように、壇上に登り、アランの前に立った。
「これが、婚約を示す指輪だ。各人の右手の薬指を前にだしてくれるかな」
そう言われた3人が恥ずかしそうに手を前にだしたら、一人ずつその指に宝石の輝く指輪がはめられた。
そのとたん、会場が割れんばかりの大音量で、おめでとうコールが響きわたった。
「「「「「「「「おめでとうございます!!!」」」」」
「「「「「素敵!!!」」」」」「「「「「「キャー」」」」」」」
「クレリア、遅くなったけど、これからも僕を支えて欲しい」と告げた。
その顔は、大粒の涙を流しながら頷いていた。
「セリーナにシャロン、、本当に今までありがとう。そしてこれからも、色々大変だけど、必ず幸せにするからね」
と、いったら、二人とも、泣き出してアランの胸に飛び込んでいった。その二人をしっかり支えて頭をそっと撫でていました。
こうして、これから来る【大いなる災い】に向けて最初の一歩が踏み出されました。
そんな中、その光景に目に涙をためながら、胸を押さえ苦しんでいる独りの女性がいました。
そう、カリナさんです。ことの発端は、アリスタ様とガンツの外での帰路の途中に、不幸に見舞われました。そう盗賊による拉致。それは女性にとって最も忌むべき出来事です。女性としての生きる幸せを奪われたのです。運よく、アラン様に助け出されましたが、名誉回復のためにその者達を嬲り殺ししたものの、本来受けた心と体の傷は癒されることはありません。今でも、その時の悪夢を思い出し枕が涙にぬれているんです。
そんな中、まるで、そういうことがなかったかのように接してくれる一人の男性、そう、アラン様との出会いです。その後、グローリアへの初搭乗にも、声をかけてもらい、その美しい空を堪能しました。その時そばには、優しく微笑んでくれたアラン様の姿を忘れることが出来なくなりました。
そう、もし、叶うなら、この方と添い遂げたい、妻でなくても愛人でもいい。この方に身をゆだねたいと、心から慕うようになっていました。
それが最近、特に強くなっています。このコリント領の商業ギルド長に就任したため、毎日のようにアラン様のお顔を見られるようになったため、さらに思いが強くなっていきました。
でも、今宵の【使徒】様の発表とクレリア様、セリーナ様、シャロン様とのご婚約発表を見て、、そう、胸が締め付けられるほど、苦しくなり、この場にいられなくなってしまいました。本来は、もっとアラン様のため、この命を捧げられるのなら、そう願ってがむしゃらに寝る間も惜しんで仕事をしていました。そう、そうしていれば、あの、忌まわしい思いに苦しまなくなったのですが、今宵の出来事で、余計自分を卑下していくようになっていきました。
[死にたい、、もう、これ以上苦しみたくない。どんなに恋慕っても、叶わぬ夢、ああ、ルミナス様なぜ私はこの世に生まれたのですか? こんな自分なら、生まれなかった方が、、よかった]とただ目からは止めどもなく涙が流れ続け、意識が薄らいでいきます。
そして華やかな壇上から、遠ざかりながらコリント領の北門に向かって、まるで魂がぬけたようにふらふらしながら歩きだしました。
そう、そこは、このコリント領から魔の大樹海に繋がる門。普段は門番がいますが、今宵は全領民のお祝いのため、一人もいません。但し、守護のゴーレムが一体門番をしていました。
『ココカラサキハ、キョカナクバトオレマセン。ヒキカエシテクダサイ』とゴーレムが声をかけています。でも、今のカリナさんにはその忠告が耳に入りません。
そのまま、無理に通り抜けようとしたら、突然、後ろから抱き寄せるられるように止められました。その手を払いのけようとして、振り向くと、そこには涙を流しながら、私を抱きしめているアラン様がいらしていました。
震える声で「いやっ、このまま大樹海に行かせてください」
「それは出来ないよ。カリナ。君は僕にとってかけがえのない女性(ひと)だ。もし、居なくなったりしたら、その悲しみに耐えられないんだ。君が欲しい」
といって、より強く抱きしめられました。
「い、いゃ、離して、、」と声は出すけど、体は、むしろ抱きしめられていたいと、この時をどれだけ待ち焦がれたか、こうされたかったかって、、でも、私は、「わ、私は、けがーー」と言いかけた唇にアラン様の唇が重なった。
「あぁ」、もう、言葉になりません。長い口づけでした、体中の力が抜けていくようでした。
そして、唇が離れたらアラン様が「もう、二度と、自分を卑下しないで欲しい。もう、君を決して不幸にしないと誓う。そして、我が妻となり、二人の子供をしっかりと育てて欲しい」
と言われ、そのままその場で泣き崩れて、今までの緊張の糸が途切れたように、意識が無くなりました。
目が覚めたら、そこは、ベットの中でした。そして、横にはアラン様が、
「漸く、目が覚めたかい」と声をかけられました。
ふと胸元を見てみたら、生まれたままの姿でした。
「もう、新たな婚約者として皆に伝えた。結婚式は後日するけど、カリナだけは、先に結ばれたいと思ってこうしたんだ。もう、これからは、あの忌まわしい思い出を全て塗り替えるよ。本当の喜びを分かち合おう。そして、この指輪を貰ってほしい」
と言われ、泣き出してしまいました。そして、そのまま翌朝まで、女としての幸せな時を過ごしました。
個人的に、カリナさんが女性として幸せになってもらいたいという思いで、この文面を書きました。何度も読み返し、書き直しては、消して、カリナさんの想いをどう表現していいか、この場面が一番大変でした。