続航宙軍 2章 テオとエラ 003
おいらはテオ、ガンツでは珍しくない孤児です。母ちゃんは、エラが生まれてすぐに、突然の病で死んでしまい。オヤジは、もう3年も会ってない。多分、この魔の大樹海で死んだかもしれない。
2年前、アラン様との出会いが無かったら、おいらも死んでいたかも知れない。今、こうして生きていられるのも、シャイニングスターの従業員として雇って貰って飯と住まいがあったからだ。それで今では、給金も貰えている。
まだ、クランがガンツにあった時、厩舎の掃除をしながら、メンバーの格闘訓練を陰から盗み見ながら、拾った木を削って見よう見まねで剣の素振りをしていたら、アラン様に見つかって、その時物凄く怒られると思ったら、そのまま、メンバーの訓練場に連れて行ってもらい、一緒に訓練に参加させてもらえた。
今では、『精霊の雫』を加護を頂き、午前中は学校に行き午後は、シャイニングスター予備軍の訓練に参加している。
それも、その中のリーダーに抜擢され、新しく入った自分より年上の人相手に、模擬戦で指導している。そう、コリント流剣術の資格で2段の腕前になった。
2年前、アラン様がコリント流の腕前が分かるように階級制度を新たに設けられ、10級から始まり、9,8と上がり、0級になった時点で初段と呼ばれ稽古着の帯が白から黒色になる。 このレベルは正式にコリント軍の予備軍の資格を得られる。さらに階級は、2段、3段と上がり7段から9段まで紅白帯、そして最終10段が赤帯になる。勿論、10段は、3人しかいません。そう、アラン様、セリーナ様、シャロン様です。
クレリア様は、7段の紅白、エルナ様が8段、ダルシム将軍が9段です。
えっ、おいらは、これでも18歳未満の中ではトップの実力なんですよ。他に帝国流格闘術でも、漸く初段になりました。将来は、勿論、正式団員というか、軍の一員になり、来るべき【大いなる災い】に向けて少しでもアラン様に恩返しが出来るように頑張ってます。
私は、エラです。母ちゃんの顔も父ちゃんの事も殆ど覚えていません。顔も忘れてしまっています。母ちゃんは、生まれてすぐに病で亡くなったとテオ兄から聞かされていました。2年前、アランあにきと出会う前は、毎日空腹で、嫌な思いでしかありません。でも、アラン様、そう、本当はそう呼ばないといけないお方なのに、私だけ”あにき”と呼んでも良いというアラン様のお墨付きをもらいました。もう、その時は、飛びあがるほど嬉しかったんです。
ある時、テオ兄に無理やり引っ張られて、転んでけがをしました。服に穴が開くほど、膝を擦りむき、大泣きしていた時に、アランあにきは、優しく抱き起してくれて、そう後で気づいたんですが、膝の擦りむいた傷が治ってました。確か、高価な【ヒール】という魔法をかけてくれていたんです。そう、一回千ギニーですよ。千ギニー、、後で知りました。さらに、今着ている、このワンピースも買ってくれたんです。
それから暫くして、シャイニングスターのクランで働かせてもらって、、もう、それ以来あにき、、そうアラン様が大、大好きになってました。
ある時、アラン様が、ドラゴンという魔物を倒し、さらにもう一頭を仲間にしたっていう報告がホームの中であったときは、ガンツでは大騒ぎになっていました。でも、私は、アラン様が無事だったことの方が、何倍も嬉しかったんです。ホームに、戻って来た時に、頼まれてもいないエールをすぐ、アラン様のところに持っていきました。ううん、そう、ただただ、アラン様のそばに行きたかったんです。
その後も、グローリア様にも会わせてもらって、行く途中に肩車してもらって、肩車ですよ。初めてでした。お兄ちゃんが羨ましいそうに私を見てましたよ。
もう、グローリア様に会った事よりもその肩車が、、忘れられません。最初は、ちょっぴり怖かったけど、今までにない景色がそこにはありました。今でも、あの時のアラン様の頭のそばで、、このままずっとそばにいられたらって、、どんだけ思い願ったかわかりません。
今は、新しいホームのそばで、食堂の手伝いをしています。それに、隠れてテオ兄のように一緒になって剣を振ってみたり、格闘技の練習も始めました。
テオ兄って凄いんですよ。精霊様の加護ももらって、若い新人の指導をしているんです。まだ、5歳の私は加護は貰えてませんが、もうすぐ6歳になるので加護を貰って、もっとアラン様の為に頑張って強くなりたいです。いつか、そう、およめさんにしてもらえたらって、分かっています。こんな私じゃだめなことくらい、でも夢見てもいいですよね。そんな夢を、、
そんなある日、朝起きたら、体がだるく目の前がぼやけています。でも、気を引き締めて、頬を叩いて出かけようとしたら、、目の前が突然真っ暗になって、、
「サリーさん、た、大変でず。エラがエラが突然倒れて、声をがげても、返事しなぐで」
と涙声で、従業宿舎のサリーさんのところに飛び込んできました。
「わ、わかりました。すぐ、医務室に連れていきましょう」
「は、はい、、わがりまじた、エラになにかあったら、うぅ、母ちゃんが倒れた時と同じなんだ、、エラが、エラがしんじゃうよ~」ともう、言葉になりません。
「大丈夫よ。ここの医療メンバーは優秀で、ヒールの達人たちがいるから、、ね。テオちゃん、気をしっかりね。あんたが、不安になったら、エラちゃんが余計心配するんだよ」
とテオ君を落ち着かせています。
この報告を、ナノム通信でアラン様にすぐ繋がりました。突然、会議中にも関わらず、中断して部屋を飛び出されて、エラちゃんの元にいかれました。
『イーリス、状況を教えてくれ』
『はい、エラちゃんが突然、高熱を出し、そのまま意識が無くなりその場で倒れたようです。今、医療スタッフがヒールをかけてましたが、回復しないので、『精霊の雫』の投与をしようとしています』
『その、『精霊の雫』を投与するのを、直ちに辞めさせてくれ、緊急命令だ。今、エラちゃんのところに俺が向かうまで、そのまま、「ヒール」をかけ続けてくれ』
『わ、わかりました。至急命令を実行します』
『私は、イーリスです。医療スタッフの方々に緊急命令です。エラちゃんへの『精霊の雫』の投与を中止してください』
といって、強制的に医療スタッフの行動を抑制しました。
『今、アラン様がそちらに向かいますから、その間「ヒール」をかけ続けて下さい』
と、緊急命令を行いました。
そして、アラン様が、エラちゃんのいる病室に訪れました。手には虹色に光る約1cmほどの玉をもっていました。
ここで、本作にはない場面で、エラちゃんが転んで服を破くシーンがあったのですが、コミック版では膝に怪我をしている様子が描写されています。服が破けるほどすり転んだら、当然と思い、こそっとヒールをかけて直したと追記しました。