続航宙軍   作:ytaki33

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アラム聖国の憂鬱その2

続航宙軍 2章 アラム聖国の憂鬱その2  008

 

 今、司祭シモンは、お忍びの旅姿で馬を途中で何回も乗り継いで、通常一月掛かる道のりをわずか一週間でコリント領にたどり着いた。途中の馬替え時以外は、殆ど無休、さらに馬上で干し肉のような携帯食をかじりながらの移動である。元は、山岳の猟師の出の司祭であり、こうした荒業が可能だった。

 

「ここが、ガンツなのか。5年前に訪れたときは、石作りの城壁が、見たこともない継ぎ目のない灰色の城壁になっている。それに、門の両脇の巨人は何なのだ。兎に角、この信書を【使徒】様にお渡ししなければ」

と、検問所へ続く列に並んだ。

 

『精霊通信。アラム聖国からの使者の方が、ガンツの検問所に現れたもようです。護衛のイザーク様から情報を頂きました』

 

『了解です。丁重に対応し、直ぐにアラン様のいる帝都ポラリスにお連れ下さい』

 

『了解です。直ちにご案内致します』

 

と、検問所の検問官へ、精霊通達が送られました。今では、殆どの帝国民は『精霊の雫』の加護を受けていて、兵は勿論、護衛や警備担当者も、ナノムによる通信が可能で、直ぐに連絡が付きます。

 

 今、検問所の担当官が、シモン司祭の並ぶ列に近づいていきました。

「すいません。旅のお方、驚かせてすいません。【使徒】アラン様から、丁重にお連れ頂くよう連絡を受けました。列に並ばなくても大丈夫なので、私と一緒に帝都までご案内致します」

と深々と、丁寧な礼をして挨拶されました。

 

 一瞬、素性がばれたのかと思ったが、この担当官の態度が威圧的ではないのと、美しい女性の方だったので、思わず頷き返し、一緒に行くことにしました。もし、胡散臭いあのギード隊長なら逃げていたでしょうけど、、、やっぱ、美人は得ですよね。

 

 こうして、シモン司祭は、帝都に向かうのですが、そこには見慣れない馬が繋がれていない馬車のような乗り物に案内されました。そうです。かの職人たちが最初に考えた魔石から回転動力に変化する魔石モータを使った乗り物だったのです。最高速度は、時速120kmまで出る魔石EV車です。

 

 「シモン司祭様ですよね。本当に長い道のりを大変だってしょう。でも、ルミナス様はずっと見守っておられたんですよ」

 

 まぁ、内情偵察しながら、ペテロ大司教の周辺調査してましたから、道中はドローンを1機専属で配備し、途中の魔物などは全部ドローンが対応していました。

 「えっ、ル、ルミナス様が、、我々の祈りが、、届いていたんですね。うぅ~」とその言葉を聞いた途端に、今まで張りつめていた思いが解放され報われた事を知って、咽び泣きしています。

 

「まずは、アラン様まで、ご案内します」

と言って、魔石モーターカーが移動し始めました。

 

「クーーン、ビーー、キーー」

と独特なモーターの回転音が徐々と速度を上げています。さらに、ガンツから帝都までの魔石モーターカー専用道路で、所要時間約1時間で帝都まで行けるようになりました。

 

シモンさん、びっくりしてますよ。

「す、凄い、何だこの速さは、それに殆ど揺れがない」

 

「はい、この車両には、道の凹凸に対して、振動吸収用サスペンションという機構が装備されていますので、殆ど振動なく移動出来るんですよ」

 

「なんという、技術なのだ。アーティファクトといってもおかしくない。これは誰が作られたんですか?やはり、【使徒】様なんでしょうか?」

 

「まぁ、【使徒】様といえば、最終的にはそうなりますが、【使徒】様より授かった精霊の加護を頂いた職人たちが考え出したものなんですよ」

 

「えっ、これを一般の職人がですか。なんという世界なのだ。あぁ、ルミナス様~」

と車内で祈りだしましたよ。

 

 そうしているうちに、帝都ポラリスの城壁と、あの銀色に輝く門までやって来ました。車両用にはそのまま立体交差で、門を通らず、そのまま帝都まで入都出来るようになっています。

 正面には、10万人収容出来る円筒形の約高さ100mの大聖堂があり、その横に新たに、各国の首脳陣が訪れるように、迎賓館を建設していました。

 

 「この、大きな建物は、なんですか?」

 「はい、この正面にあるのは、10万人が一度に礼拝出来る大聖堂ですよ」

 

 「こんな、大きな礼拝堂なんて、アラム聖国にもありませんよ」

 

 「さらには、100万人収容出来る礼拝堂も建設予定ですよ」(イスラム教の予言者のモスクが100万人だそうです)

 

 「えっ、100万人、、、なんと、まさにここは、ルミナス様の聖都です。あぁ、我々の信仰は、なんだったんだ」

と頭を抱えてうずくまってしまった。

 

 暫くして、帝都のアラン様がお待ちしている迎賓館までやってきました。

「さあ、到着致しました。私のあとに一緒に付いて来て下さい。アラン様の所へご案内致します」

「えっ、このような格好ですが、失礼に当たりませんか?」

 

「大丈夫ですよ。使徒様やルミナス様の見前では、生きとし生けるもの全てが平等なのです」

 

「あぁ、これがまことの信仰なんですね」

そういうなり、涙を流しだしました。

 

「さぁ、この部屋にいらっしゃります。どうぞ、お入り下さい」

 

「はい、わかりました」

とドアを開けたとたんに、中にいたアラン様がシオンさんに抱きつかれました。

 

「よくぞ、ここまでの苦難の道の中、参られた」

と言われたと思った瞬間にシオンさんの体が薄っすらと光りました。そうです。アラン様がここまで疲労困憊のシオンさんに【ヒール】の魔法をお掛けしたようです。

 

「おぉ、このような、薄汚い者に触れられ、さらに癒しの光が、、なんと勿体なき事、もうじわげありません」

と涙声で謝っています。

 

「ルミナス様のもと、我らは家族同然の間柄ですよ。今は体を休めて下さい」

とアラン様がお声をかけてますが、

「いえ、一刻も早くこの信書をと」言いかけたとき、アラン様が

「全て、理解しています。この信書はペテロ大司教様ですね。今、ペテロ大司教は、アラム聖国で、投獄されてしまいました。但し、この後、私が救いにまいります。数時間後には、この帝都で再会出来るでしょう」

 

「えっ、ペテロ様が、何故?」

 

「詳しいことは、後で話しましょう。まずは、ご自身の体を労わって下さい。これから先は我らにお任せください」

 

 こうして、その後、シモンさんは用意された施設に案内され、その部屋でそのまま死んだように眠りにつかれました。

 

 さて、アラム聖国に乗り込みますか!

 

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