続航宙軍 2章 神機 対 神機 012
もうすぐ、日が暮れようとしています。アララテ山は、かつて、古代文明の発祥の地と云われ天より光輝く船が舞い降りて、この地に文明をもたらしたと碑文に記載された場所です。
そうです。アデル政府が滅ぼしたサイアン帝国の母星が消滅させられる前に逃げ延びた者達がここにたどり着いたとされている場所でした。
その後、約2000年の時を経て、元居た住民との間にアラム聖国国民が存在しているのです。その中で、唯一サイアン人の血を受け継ぎそのリーダーの血族が今の法王家なのです。
「もうすぐじゃ、あの神機さえ動かせば、【使徒】という者達も皆殺しにできるわ。その後はこの世界は儂の天下じゃ。始めからこうして居れば、煩い輩に文句言われる事も無かったのじゃ、今に見ておれ、皆を後悔させてくれようぞ」
漸く、ルター達の早馬部隊が、法王の乗る馬車に追いつきました。
「急げ、法王を聖域に入られたら、手出しができなくなる。馬車を取り囲め!」
「「「「「「はっ、直ちに」」」」」」と、馬車を取り囲むようにレジスタンスの一行が馬車を止めた。
「何をする。法王たる我に逆らうのか!」
と法王が錫杖を手にし馬車を降りて来た。
「何を、ルミナス様の教えに背く、背反者よ。捕らえて罪状を天下に知らしめる」
「ふん、戯けたことを、我が法王こそが正義じゃ、儂に逆らうもの全て灰に帰するまでじゃ」
そういうと、錫杖を掲げて
『この者ら全ての動きを止めよ【聖なる緊縛】』
と唱えると、自分以外の周りの全ての人間が動けなくなりました。まぁ、護衛達もですけど。(そうです。アラン様のスキル【聖なる硬直】と同じ効果のある。アーティファクトの錫杖です。
「これが、我が力じゃ。思い知ったか。まぁ、今殺してもいいが、先に聖域に行き、その後【裁きの火】で全てを燃え尽きさせるわ」
そういうと、そのまま、聖域に入っていった。そう、もう、これ以上他の何人もこの聖域には入れないのです。サイアン人のリーダーの血を受け継いだものだけが入れる場所だったのです。
法王は、本来この神機を使う際の重要な事柄を知らずに使用しようとしています。まぁあの法王がまともに聖典や碑文を読んでいるとは思えませんがね。結局これが自分の最後になるとは夢にも思わなかったでしょう。そう、最大のリスクを背負う事が。
「おお、これが、神機の【漆黒の翼】か、なんという壮大な魔力を感じるぞ。あははは、これで儂の天下じゃ」
その時、法王に対して、禍々しい声が聞こえてきた。
『我が名、【漆黒の翼】の守護者ルシファーじゃ。うむ、そなたは【供犠の血】の持ち主じゃな、して、搭乗する覚悟は如何に』
と問うてきました。そうです。この神機に乗るというとこは、己の命を捧げる覚悟がないと使用出来ません。一度、乗り込むと、死ぬまでその機体を使い続ける事。すなわち降機するには
死ぬしかないんです。最後の守りのための犠牲者となる気概がないとこの神機は扱えないんです。
しかし、そうしたことも知らずにこの法王さん使おうとしていますよ。
『搭乗する覚悟って、笑わせないでくれ、我こそがこの神機にふさわしいものだ、さっさと搭乗させよ』
と息巻いています。
『あい、分かった。その覚悟しかと受け止めた【搭乗ーー】』
とルシファーが唱えると、法王の体の周りが光りだした。そして【漆黒の翼】のコクピットへと誘われた。
◇ ◇ ◇
『アラン様、今、アラム聖国の神機が機動しました。早々に聖なる翼に『搭乗』してください』
とアテーナからの通信が入りました。
『了解です』
【搭乗アテーナ】
と唱えて、聖なる翼に乗り込みました。
『現在、アララテ山頂上付近にアラム聖国の神機が出現しました』
と偵察していたD21からの通信を受けました。
(ドローンさん達も、82機いますからね、、色々な機体を使わないとね、、で、何故21号、、好きなサッカー選手の背番号が21なんです。)
『了解。【多次元ワープ】アララテ山頂上』
そうです。この神機には、最大2光年までの距離を時間と空間を超えた多次元移動が可能なんです。ただし、最大距離を使用したら、使用エネルギーの半分を消費します。また戻った時点で空になります。再び使用するには、数日、竜脈のもとに放置しなくてはなりません。今回は、数千kmなので、約1%も使用していません。
『あの、機体は、我が【聖なる翼】のプロトタイプです。それも竜脈のエネルギーが使えない機体です。サイアン人がこの地に来た時にある理由で作られたもので、あの神機が使う【殲滅の黒炎】は、内部に搭乗した人間の生命力をエネルギーに変えて使用します。技を行使後、搭乗者は死にます』
『えっ、それって知って使ってるのかな?』
『おそらくは、知らないかと。そのために搭乗するさいに中のAIが注意を促すはずですが』
『まぁ、とにかくあの神機を止めないとどうなるんだ?』
『はい、【殲滅の黒炎】は、燃える物が無くなるまでずっと燃え続ける炎で、6000年前に南の大地で使用され、あの大地を全て灰にしました。それで、その後封印されたのですが』
『えっ、あの古代文明が崩壊した張本人があの神機なの』
『はい、そうです』
『もし、この大陸で使用したら、セリーヌ大陸全土が灰になるってこと』
『はい、最悪はそうなります』
『それって、チョー不味いよね。どうすれば、止められるの』
『使用される前に、別の場所に強制転移すれば。それも燃える物がなければそのまま中の人間が死に、神機は機動しなくなります』
『この【聖なる翼】で、その機体事転移出来る場所で、燃える物がない場所に移れる場所ってあるの』
『はい、一か所だけ、可能な場所があります。この惑星アレスの衛星セリーニなら可能です』
『よし、分かった。因みに奴の機体はこの神機と同じで戻ってくることが出来るんじゃないの』
『それは大丈夫です。あの機体には多次元移動の機能はありません』
『よし、早速、あの機体事、衛星セリーニ(この世界では月と呼んでいる)に移動しよう、
【多次元ワープ】ウイズ漆黒の翼トゥ衛星セリーニ』
その瞬間、2機の機体が一瞬でその場から姿を消しました。