続航宙軍 2章 閑話 孤児たちの日常 014
この話は、孤児たちが王都から、コリント領に移って間もない頃の出来事です。
私は、カーヤ、そうあの使徒アラン様の奥様になられたセリーナ様とシャロン様が、私たち孤児を救ってくれた大恩人です。ベルタ王国の王都からこのアラン様の興された『人類銀河帝国の帝都ポラリス』で、元シャイニングスターのメンバーに入れてもらい、雑用係としてここで新しい生活が始まった。
さらに、読み書き出来ない私たちに、あの『精霊の雫』を頂き、その後、学校という場所に午前中通い、午後は、本人の希望の職の見習いとして仕事をしています。そう、私は、あのシャロン様の強さに憧れて帝国軍見習いの女子部隊に入り、毎日コリント流剣術、帝国式格闘術、魔法の訓練をしています。
私が、まだ精霊の加護の夜間学習を初めて体験した日の朝の話です。
「うぅ~、まだ、頭の中がキンキンと鐘がなっているようだよ」
「そうねえ。私もよカーヤ」
「ユーミ姉もそうなんだ。変な気持ちだよね。昨日までの自分じゃないみたいだよ」
「そうね。体はすごく快適というか、昨日まで風邪気味だったのに、今は本当に爽やか?でも、頭の中は疲れている?、、そんな感じね」
「それより、帝国軍の皆の食事の準備したら、今日から、初めての学校というところにいくんだよね。ちょっと、心配してるんだ。だって、あたいらみたな孤児だけでなく、どっかの商人の子や貴族の子も一緒に授業というのを受けるんでしょう?嫌がらせとかあるかも」
「そうね。でも、セリーナ様は、始めは孤児の子とか、貴族の子は分けて別々に授業して、その後成績順でクラス分けするって言ってたわよ」
「ユーミ姉は器用だし、ある程度読み書き出来て頭いいから、、私って、そういうの苦手で、唯一の取り柄が逃げ足が速かっただけだからね、付いていけるか不安だよ」
「まずは、行って見ないと始まらないわよ。シャロン様がよく口癖で、『女は度胸!』ってあれよあれ」
、、、[真実を、言えない]ナノムです。
こうして、初めての学校体験です。
「今日から、このクラスの担当というか、端末の使い方や、質問などを受け付ける係のテオって言います。宜しくな!」
「えっ、こんなガキが担当の係だって!」
と王都から来たリッツという男の子が文句言っています。そう、この子たちは最初に王都で、孤児の選抜隊のメンバーです。
「おい、リッツ、、小さいからって相手に対して失礼だろ」
と諫めているのがそう、王都からの孤児のメンバーをしているハロルドさんです。すでに17歳でD級冒険者ですが、18歳以下はこの学校に通わなくてはならないので、渋々やって来たんです。でも、流石はリーダーです。 何か感じるものがあったようです。
「なぁ、リッツ、このテオって子、お前よりきっと強いぞ」
「はぁ、何言ってんだよ、ハロルド兄、おれがあんなちびより弱いって」
と今度はハロルドさんに突っかかっています。
「リッツ、いい加減にしなよ。周りに迷惑がかかるよ」
とユーミが声をかけた。
「まぁ、皆の気持ちは、分かるよ。おいらも孤児だしな。2年前に母ちゃんが死んで、親父も1年以上前から戻ってきていない。そんな中でアラン様に拾ってもらったたんだ。
皆より1年くらいまえからシャイニングスターのクランに入れてもらって、最近では、漸く一緒に狩りや盗賊相手に戦えるまで格闘術を教わったんだよ。
この授業が終われば、この裏にあるシャイニングスターの練習場に来なよ。その時、相手してあげるよ」
と言って、端末の使い方など、注意点を言って前の教壇の横の机に自分用のテスト用紙をもって回答しだした。そう、各人用にすでに教室の机に名前とテスト用紙が配られていた。
一通りの説明を受けたあと、各自、自分の名前のある机に座り、その後回答が終わったら教室の前に設定された端末機にその解答用紙を入れて即座に採点されて戻される。
間違っていたところを直して、さらに端末にいれ、最終的に全部回答が合った時点でその日の授業は終わりになる。
さて、軽く昼食をとったのち、リッツ、ラスターとハロルドさんが校舎裏の練習場にやって来た。
「やぁ、みんな着たね。まずは、ストレッチからだよ」
とテオ君が、柔軟体操を始めた。
「なんだよ、その変な格好の踊りみたいなの、ださ!」
とリッツ君が早速文句言ってきた。
「まぁ、口で言っても分からないよね。はぁ~しょうがないね。そこの木剣をもってかかって来なよ」
と煽るように、手招きしてますよ。手のひら上にむけて、こいこいポーズしてます。
そんな様子を、物陰から見守る2人の女性がいました。
(あ~ぁ、あんなに煽っちゃって、、かわいそうに)とセリーナさん
(あぁいう輩は少し痛い目見ないと分からないんだよ、いいね、テオその調子だよ)
ってシャロンさん?止めなくていいの?
「な、なに~、これでもE級冒険者だぜ」
っていうなり、いきなり木剣を上段に構えて踏み込んできました。まぁ、神剣流のまねごとですけど。
(隙だらけだなぁ、まぁ、シャロン様なら、思いっきりやれっていいそうだよね。はぁ~)とテオは、溜息付きながら、振り下ろされる前に、足の脛、膝、あと剣を持っている手の手首に三連続コンボを放った。
「ぎゃぁ~、、痛てぇ~、、」
と悲鳴を上げて、木剣を手離してその場で蹲ってしまいました。
「は、はぇ~、剣筋が見えなかった」
とハロルドさんが驚いていますよ。
「はい、そこまでよ」
と手を叩きながら物陰から隠れていたセリーナとシャロンが出てきました。
「セ、セリーナ様、シャロン様」
といってテオはその場で剣を左腰に当てて剣先を後ろにして、左膝を立てて跪いています。(昔の侍の仕草?)
「いま、ちょっと待ってね。【ヒール】」
とセリーナさんがリッツ君を手当しています。
「なによ、セリーナ、ちょっと甘やかさないでよ。そのぐらいの打ち身なら2,3日で治るでしょう」
「まぁ、テオちゃんがそれなりに手加減しているけど、、あの手じゃ飯が食べれないでしょ、治りが遅いのよ」
突然のシャイニングスターの隊長さん、それも美人の双子って超有名人ですから、ハロルドさんやラスター君は、もう、そりゃ、棒立ちですよ。
「あ、あ、あの、セリーナさ、さま、シャロ、、ンさま、、、は、はじめまして」
と、もうてんぱってまともに話せなくなっています。
こうして、初日の顔合わせが終わりました。それで、テオ君は、次の日の朝。孤児の男子からは
「「「「「「テオの兄貴!おはようございます!」」」」」」」
と毎日、教室に入る度に挨拶され、お辞儀されるようになったとか、、
テオ君曰く、「おれが、なんで兄貴って呼ばれるんだよ」って照れながらも喜んでいました。