続航宙軍 2章 閑話 カトルの銀行奮闘記 015
コリント領に移って、早1年半、新しいアラン様の国が興りました。
そんな中、新たな商売などを商業ギルドの方々とこの国の経済活動を一手にこなしている人物こそ、あのゴタニアの商人タルスの息子のカトルさんです。
「カトルさん。すいません。今月の経費入出金管理表の確認をお願いします」
と部下の一人が書類を持ってカトルのいる執務室にやって来た。
「ああ、わかったよ。その書類をスキャンして、端末に入力してくれ」
「了解しました」
と手慣れた操作で、ある端末に紙からの情報を読み込んでいます。
「入力終わりました」
「ありがとう、早速確認するよ」
どれどれ、えっ、またサイラスさんからの出金依頼だよ。先月から、新しい酒造りに、各国の酒を取り寄せていて、その額だけで、300万ギニーもかかってるんだ。
まだ、試作の段階なのに、、始めは、二人で開発予定だったけど、他の業務が忙しくなったので、お酒造りはサイラスさん専属にしたんだけど。
はぁ~、どんだけの種類を集めればいいのか。結構出費が嵩んでいるんだよね。他にも樹海産の魔物の部位の売り上げが芳しくないよね。オーガー系はそれなりに需要があるんだけど、オークやグレイハンドはもう余りきってるよ。
魔石は軍で使うので、良いんだけど毛皮やオークの肉も一部は売れるけど、現在、家畜生産してる、クローンでの豚や牛の方が断然売り上げが大きいよな」
こうして、日々の業務の中、殆どはイーリス様からの指示で処理している。そんなある日イーリス様から、提案書が送られてきた。そう、『銀行』の設立に関しての資料だ。
以前よりアラン様が言われていた。硬貨による取引にて場所や輸送に手間が係るので、まずは帝国内には紙幣を発行し対応したらいいと言われてるんです。その細かな計画書をイーリス様が立てられました。
紙幣に関しては、偽造出来ないようように特殊な合成樹脂「ポリプロピレン」と天然の鉱物である「無機充填材」を使い、水にぬれても破けないし、折り曲げたり畳んだりも出来る、さらに特殊技術で「透かし」というものが入り、印刷するインクも特殊であるセンサーに反応する鉱物を微小ながら混ぜている。
これも全てイーリス様の元で制作し、開発され往来機で輸送してもらっている。行く行くは、地上に紙幣作成専用の建物を建てる計画だ。
今後、必要となる莫大な資金調達のため必要不可欠の設備だ。
今は、クレリア王女のいるスターヴェーク領内の復興を急ピッチで進めている。この帝都から王都とルドヴィーク領には、優先して魔石モータ列車のレールを作っている。なんでも、馬車100台分の物資が一回の輸送可能で、さらに1ヵ月掛かる日程をわずか1日で往復出来るとか。
兎に角、凄い事です。まぁ、当然なんだけど、その近辺の貴族が文句を言ってきているようだ。まぁあるよねこういうの。
クレリア王女からすれば、ルドヴィークから自分の親、家族を置いて、このポラリスに来ている方々の方を優先するのはごく当たり前の事だけど、あのロートリゲンに脅されていたとか、人質に娘をとられたとか、そらぁ~言い分もあるからね。
でも、悪いのはロートリゲンなんだから、それに加担した時点でダメだんだけど。過去の因縁がどうとか、前の王様にはこう尽くしたとか、、そんな対応に嫌気がさしているそうだ。わかるなぁ~
おっと、それより、この書類の立案書にサインしてっと、あぁ、これもあったよね。と毎日が追われるカトルさんでした。
ここは、アラン皇帝の執務室です。
「アラン様、先ほどイーリス様よりの届け物でございます」
とアラン皇帝の元にあの紙幣のサンプルが届きました。
『イーリス、、今通信してもいい?』
『はい、大丈夫です。届いたようですね。どうですか?質感とかデザインとか』
『うん、水に濡れても大丈夫だし、折り曲げも自在だね。でも、この紙幣の顔って、なぜ俺なの。出来ればルミナス様の方が良いと思ったんだけど』
『この紙幣にては地球の慣例を真似て、その国の貢献者や偉人を採用していたので、かん、いえ、皇帝陛下のお顔にしました』
いま、艦長っていいかけたよね。まぁ、イーリスも思うことあるよね。
『いやいや、この星の創始者というか創造者の方が今後、どの国でも知れ渡っているルミナス様の方がいいんじゃないかい?』
『いえ、クレリア王女が仰ってました。むしろそれだと折ったり出来ないし、皆がそのまま神棚に置かれるから実用的じゃないって言われました。恐れ多くもルミナス様のお顔に傷や、折り目がはいるなんて許されないって』
『そ、そうか。そういうものか、で、俺の顔は乱暴に扱っても気にならないって?
それはそれでなんか嫌だな。それにカトルが銀行名は絶対「コリント銀行」だって言い張るんだよ。人類銀河帝国銀行とかじゃだめだって、親しみある名で、コリント紙幣を扱うから、ってさらに貨幣の単位もギニーからコリントにした方がいいとか、、いやぁ流石にそれは認めなかったけど』
『そうですか、私は賛成しましたよ』
とイーリスさん?えっなぜ?、、なんかおれに恨みでもあるのかな?、まぁ、仕事量増えてるしね。イライラしているかも。
『じゃぁ、コンラート様の顔とか、、、まぁ、だめだよね。俺もコンラート准将の顔を粗末に扱えないしね、、あははは』
笑ってごまかすアランでした。
『それで、この内容でい、い、ですよね!』
ってやけにイーリスが強気で言ってきてます。
思わず
『はい!』って答えちゃったよ。、、
こうして、新しい紙幣が発行されました。銀行名も「コリント銀行」です。初代頭取には、カトルさんがなりました。これからは、カトル頭取と呼ぶようです。
因みに硬貨のデザインもその国の王様や王女の顔との事。クレリア金貨もみたいかも、、て言ったら、直ぐに紙幣になるから無駄な事はしないって、、、あははは、読まれてた。くそっ
最近、何故かうちの《かみさんズ》って何かと結託しているんだよ。何なんだろう、この疎外感、、
[日頃の行いに問題があるのではないですか?]
ってナノムにまでお説教されたよ、、
そらぁ、忙しいのは分かってるけど、皆で食事にも言ってないし、夜も、、たまにだし、、はぁ
この後、「神機捜索に、南の大地の調査に行くんで」っと言ったら。
「そう、最初はみんなで行きましょうとか」
でも、自分は「【神機】で移動するつもりだったから、皆にはお留守番」
って頼んだら、、逆に、皆から、別に神機じゃなくても、グローリアやドローンでもいいじゃないって、、あははは、やっぱね。
それに、イーリスまでも、あちらのAIの方が優秀ですからねって、、で、俺はどうすれば、、はい
結局、皆で竜達とドローンで調査することになりました。キャンプ用具もそろえて、、どうなるんでしょうね?