続航宙軍 1章 クレリアの胸の内 005
もうすぐ、ガンツに到着する。総勢約2650名もの者達が、アランの新しい拠点に向かっている。
正直、不安がいっぱいだ。こんな私を慕って、旧スターヴェークのものたちが、約1000名も集まった。さらに、数万人の者達が、追って合流するとの事だ。
スターヴェークがまさかの家臣の裏切りにより、父母と兄を殺され、命からがら追っ手から逃げ延びた矢先に、魔物の襲撃で自分の手足を失った。、、そんな絶望の中で、女神様から遣わされたアランと出会い、失った手足も戻った。その時は、もう、正直、このアランと共に生きていく新たな希望と、ほのかに芽生えた恋心が、そう普通の女としての幸せを夢見ていた。
しかし、近衛兵のエルナとの再会、さらには、近衛兵のダルシム隊長や、ルドヴィーク辺境伯のロベルト卿との再会にて、スターヴェーク奪還のための兵が集まって来た。
正直、困惑した。本当は、アランと二人での新しい人生と考えてた矢先に、、さらにアランには、美しい双子の姉妹が現れた。その二人の姉妹は、私と同じアランへの恋慕も感じている。でも、アランが、新しい国を興す際にこの、私との共同統治を持ち掛けられた。それって、この私と、、そう、アランと伴侶として生きられることが、嬉しかった。ただ、まだ、これから先のことは全く分からないが、アランについていけば、叶うような気がしてきた。そう、女神様に遣わされたもの、そう確信してきたのです。
だけど、アランの行動を見ていると、そう、一人の女性として、、まだ、見られていない気がしている。
初めて手足を失い、裸で川で汚れを落としていた時でも、彼は、私を、そう女性としては見ていなかったと思う。まぁ、確かに、手足をもがれた女性に、欲情は湧かなかったのかも知れないが、その後も、そう妹のような存在と言われた時には、、ちょっとショックだった。
さらに、あの共同統治の話のあとも、女性として扱われているそぶりが全くなかった。なんだろう、このもやもやした気持ちは、、正直、自分でもどう接していけばいいか分からなくなっている。
「リア様、どうされたのですか?何か、ぼ~となさっているようですが」
と突然、エルナから声が掛けられた。
「えっ、そう。色々考え事をしていたわ、、なにかあったの?」
「アランが、この先頭の馬車の約500m先にグレイハンドの群れがいるとの報告があったので、久々に練習がてら魔法を撃ってみたらって言れたわ」
「そう、そうね。久々に景気よく魔法をぶっぱなしましょう!、ちょうど、もやもやしていたからちょうどいいわ!」
「そうですね。いつもは、ダルシム達が処置してのですが、今日は、もうすぐガンツに着くので、リア様に景気づけで、慕ってくる新しい住民たちに、私たちの魔法を披露したほうがいいだろうって、声をかけてもらいました」
「わかったわ、準備しましょう」
そういうなり、馬車の御者台にお立ちになって、フレイムアローの複数同時を準備しました。王都を出る前は、一度に3本がやっとだったけど、この拠点へ移るまでに、練習して最大10本同時発射が可能になっていた。
エルナも同様に、ウインド・カッター5本同時撃ちが出来るようになっていた。
「リア、100m先に群れが13頭 10時の方向だ」
とアランが声掛けしてくれた。
「えぇ、わかったわ、まかせて」
後ろの、馬車からは、付いて来た孤児達や、職人たちが馬車を止めて見守っていた。
「フレイムアローX10」
続けて、エルナが
「ウインド・カッターX5」
と、続けさまに放ち、クレリアのフレイムアローは全弾追尾機能付きで10頭を、エルナは間隔を狭めた
ウインド・カッターが、残りの3頭を囲むようにして仕留めた。
「「「「「「おぉ~凄い!!」」」」」と見物していた人達から一斉に歓声が上がった!
「さすが、我らの王女様だ!」
「どの、宮廷魔術師よりすごいんじゃないの」
とクレリアを賛美する声があちらこちらに湧き上がっていた。
「リア、すごいじゃないか、10頭を追尾させて仕留めたじゃないか」
とアランが誉めたのに、すこし頬を赤らめて頷いた。良かった、うまく魔法が行使できて、、それよりアランが誰よりも私に声をかけてくれたことが、嬉しかった。
「エルナも考えたな、まさか囲むように四方から追い込んだのは、みんな本当に魔法が上達しているね」
さっきまで、もやもやしていたけど、また、アランとの新しい拠点での生活が待っている。そう、焦らず、着実に前を向いていこうと思った。そしていつか、アランの隣に一緒に並べて立てれるよう、もっと魔法も練習しようと思うクレリアだった。