続航宙軍   作:ytaki33

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噫無情

続航宙軍 3章 噫無情  008

 

 

 ハインツ・エンデルス大将率いる、ルドヴィーク領の近隣のイルクナー領主暴動の鎮圧に向かった時のお話です。

 

「もうすぐ、ルドヴィーク領ですね。流石に、この大型トレーラーと装甲車は移動が速いですね。前なら、馬車で一か月かかる道のりがわずか2日で来られるなんて。この道も平坦で凄いです」

 

「そうだな、これも、「使徒」アラン様の成せる業じゃ。儂らにはこの移動する車両の原理もわからぬ。イーリス様やテラ様からは知識として動かし方を学んだが、これも神器としか認識出来ぬ」

「そうですね。まだ、実感として、わずか1年そこらでスターヴェーク王国が奪還できたなんて夢にも思いませんでしたからね」

とハインツ大将と話しているのがローマン少佐です。

 そう、あのベルタ王都に投獄に入れられていた近衛兵の人達です。

 

 漸く、目的地のイルクナー領に入りました。この領地は、ルドヴィーク領のすぐ隣の領地で最初のシャイニングスターメンバーの中にここの出身地のメンバーもいます。

 領主は、一度アロイス王国に加担し、そのまま領土を残してもらったのですが、王国奪還時には領主を子に委ね引退していました。当然、復興は後回しにされています。ここの出身のメンバーがいた為、取り潰しは無かったのですが。この領主の子がかなり横暴で、初期のシャイニングスターメンバーがここの出身と聞いて、あれやこれや要求してくるようになりました。

 さらには、ルドヴィーク領に送られる物資を傭兵を雇って強奪したり、ルドヴィーク領にも荒らしに来ていました。

 当然、この内容は全て偵察していたドローンが証拠を掴んでいて、最初は文書で抗議したが知らぬ存ぜぬとしらをきり、反省しないため今回兵を率いてこの地にやって来ました。

 ハインツ大将以下、100名の部隊です。

 今回は、対人用なので、パラライザー銃と剣のみで専用のポリマースーツですが、魔物護身用にA18Pレーザー銃も携帯しています。

 

 領主の館の前でハインツ大将が口上を上げました。

「ゲルト・イルクナーに告げる。ルドヴィーク領での数々の 不埒な悪行三昧の罪状にて捕らえに来た。直ちに出頭せよ」

 

領主の館からは、

「何を申す、謂われなき罪を着せて、アロイス王と同じじゃな」

と言い返してきた。

 ハインツ大将は、流石にこの言葉に、思うところあったのか、いきなり、鉄格子の門を電磁ブレードの大剣で一刀両断し、そのまま屋敷に侵入しました。

 

「全員を捕らえよ!」

 

「「「「「承知」」」」」

と他の兵も、一斉に屋敷に侵入し、頑丈な扉も、一瞬にずたずたにした。

 

 数分後、中にいた傭兵も含め、数十人がパラライズ銃にて麻痺状態になり、領主も口から泡を吹いて気絶しています。

 

「全員捕縛完了しました」

とローマン少佐が確認の報告をした時でした。

 

「ぎゃぁ~」と一人の兵士が銃を手にしたまま悲鳴を上げて倒れこみました。

 

そして、全員の脳内にメッセージが流れました。

『AIテラの権限にて、人間に対してA18Pレーザーガンの使用を検知したため、直ちに緊急停止措置を行いました』

 

「えっ、人間に対してA18Pを、だ、誰が?」

 

「報告します。現在悲鳴をあげ、A18Pを使用した兵を取り押さえました」

とローマン少佐がハインツ大将に報告しました。

 

 この兵士の名はジャンといってルドヴィーク領から来た移民から軍に志願したものでした。

 元は半農半兵の出でしたが、勤勉で、厳しい訓練に堪えて最近ローマン隊に配属されたメンバーで、ルドヴィーク出身とあってローマンさんとも気が合いっていた者でした。とにかく、そんな彼が、禁止されている人間に対して殺意をもって銃を使用したのは事実です。

 

「まずは、ジャンから事情を聴こう。最終判断はアラン様に委ねる」

とハインツ大将が語りました。

 

「わ、わかりました」

とローマン少佐が答えましたが、正直、かなりのショックを受けているようです。同じ出身で、気の知れたそう親友と呼べる間柄でしたから。

 

 

 場面は、ポラリスの審問室での内容です。

 

 

アラン様にハインツ大将からの報告です。

 

「この度、ルドヴィーク領での横暴を働いていたイルクナー領主鎮圧のさい、我が軍の兵士が禁止されている、殺意をもって人間にA18Pを使用する行為があり、テラ様の使用緊急停止措置が行われました」

 

「理由は、この報告書の記載に間違いないか?」

とアラン様が被告ジャンに問われました。

 

「はい、間違いありません。自分が銃を向けたのは、ルドヴィークにて、自分の両親を刺し殺したものがあの傭兵の中にいたので、、気づいた時には銃を向けていました」

 

「そ、そうか。わかった」

と言われて、アラン様が暫く目を閉じて思案している様子でした。

 

「ハインツ大将に聞きたい。この世界というかスターヴェーク国ではこの場合はどう処置していたのか?」

 

「はい、親の仇ということで、決闘という行為にてお互いを立会人のもと戦わせていました」

 

「そうか、確か地球という星の日本という場所では似たようね風習があったと記録にに残っていたよ。相手の傭兵の人にも聞いたよ。当時、アロイス軍に従軍していて税の取り立てで反抗していた者を上司の命令で殺したとね。

 自分の意思で殺したわけではないとね。彼にも家族があり妻やまだ3歳の娘がいるそうだ。もし、ジョンがその相手を殺していたら、その奥さんと娘さんから決闘が申し込まれるって事でいいか?」

 

「・・・・」そう、答えられません。

 

「この世界では、人の命が安易に奪われる。魔物によってもあるが人と人同士でも当たり前のようにな。

 勿論、人類銀河帝国でも法があり、死刑が存在する。但し、よほど凶悪でない限りは刑務所という監獄に数年から数十年の刑を服役すれば罪がなくなる。

 しかし犯罪ではなく、戦争という特別な環境下での殺人では、その首謀者は、戦争犯罪人として極刑になるが、一般の兵には罪が及ばない。

 まれに、敵に捕まった場合を除くけどな。ではもう一度問うぞ、もし、お前の妻や子が人質となり、命令で、目の前の老夫婦を殺せと命じられたとする。もし、逆らえば自分の妻子に害が及ぶ場合、どちらを選ぶ」

 

「そ、それは、、」というなりその場で蹲り泣き出した。

 

「なぁ、もうこんな世の中を終わらせないか?、勿論、今すぐは変えられないけど、いつかは誰もが信頼しあい、助け合える世界に変えたいと思う。

 それが、ルミナス様の願いだ。そしてこの俺も、そんな世界にしたいと思っている。勿論、彼には、相応の償いとして労役を与える。今回は、そこの領主は極刑だが、それに加担したものには何年かは労役を与えてそれを刑とする。それでいいか?」

 

「はい、わかりました」とジョンが答えてくれました。

 

 

 このもと傭兵は、5年間の労役の刑を、そしてジャンは、一階級降格と1ヵ月の謹慎を命じた。その謹慎期間に彼は、その傭兵の家族を探し出し、自分の給金から、その妻子に仕送りを続けている。そう、働き手を失ったので、その5年間を彼の知り合いという名目で送り続けたのである。

 

 

 

 

 




 難しい問題です。今でも、この世界では戦争で多くの罪なき人々が殺されているんです。さらには、自分の不注意や自己満足で事故や殺戮が行われています。いやなニュースばかりです。時に被害者でもあり、一歩間違えれば加害者にもなる。
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