続航宙軍 3章 喉元過ぎれば 009
建国して、漸く2年の月日が過ぎようとしています。ルドヴィーク領やスターヴェーク王都の復興が殆ど終わり、元の形ではないが、帝国首都ポラリス同様に直径20kmの円形状のドーム型居住区及び城のあった場所は、5階建ての円形の塔を中心に地下に100万人収容出来る避難シェルターを増設した。
来るべき災害時に全住民を保護出来るようにしてある。
帝都ポラリスとは、魔石モーターを利用した大型列車も開通させ、その線路を守るように電磁柵が設けられ、魔物は勿論、盗賊にも侵入不可能の対策を施している。
さらに列車には聖地テラより送られてきた戦闘用ボットも配備してあるので、敵襲にも即時対応出来る。
さて、そうやって、人がある程度生活に馴染んでくると、そう、色々な問題が生まれてくるんです。
ポラリスに移住して、『精霊の雫』の加護を受けた人々は、加護無しの方に比べてその知能、体力、技術など全てに秀でているため、その技量をもとに商売を始めた者は莫大な富を得ることが出来ました。それが原因で、とうとう、争いが勃発します。まずは、その話を、、
◇ ◇ ◇
ここは、ポラリスの帝国中央情報局(TCIA)の一室での会話です。
「局長、ご報告があります」
とユリアン捜査官官庁が局長のエルヴァン局長に書類を渡しています。
ここ数か月は、ユリアン捜査官が、各国やスターヴェーク国内での不穏な動きを調査していました。流石、元暗部です。さらに精霊の加護もあり、イーリス様の代わりに今は静止衛星上にいるAIタイタンより偵察用ドローンやビットからの情報を精査していました。
「やはり、アロイス国に従事していた元貴族が地下活動を始めて、暴動を起こそうとする予兆が見られます。それも、その中心人物は、帝都ポラリスにて、『精霊の加護』も貰ったメンバーがその莫大な資金力を得、力で他のまだ加護の貰えていない国や地域を自分の配下にしようとしています」
「そうか、やはりな。アラン様が言われていたことが現実になろうとしているのか。ほんとに人の業とは根深いのぅ」
「そうですね。あれほどルミナス様の奇跡を目の当たりに見た者達が、こうも、反逆してくるとは、最初は信じられませんでした」
「そうじゃな、儂らは、早々にアラン様のある意味怖さというか、その監視能力を身をもって体験しているからの、とても怖くてそんな真似が出来んかった。
そういう意味では良かったかも知れぬ。ドローンやビットの存在、さらには知神イーリス様がいつも我らを監視しているとは気づかんかったからな。して、その不届き者達の動きを、警備局に連絡し対処を依頼しよう」
「はっ、承知いたしました」
といって、その内容をAIタイタン及び、アラン様、ダルシム元帥に報告が伝わった。
ここは、アラン様の執務室です。
「アラン様、ダルシム及び、フランク警護隊隊長とも参上いたしました」
(そう、このフランクさんって、元暗部のエルヴィンの右腕と呼ばれた人です)
「よくきた。早速だが、ユリアン捜査官長よりの報告書の件にて、対応処理を行って欲しい」
「はっ、承知致しました。速やかに捕縛の準備を行っています」
「そうか、正直、残念だよ。せっかくポラリスにて実績を積んで、より貢献することを期待していた矢先で、、人は、本当に欲が深いんだな。地球の格言に「喉元過ぎれば熱さ忘れる」っていうのがあるんだけど、まさにそんな感じだな」
「そうですね。まだ、我らは、来るべき災いのバグスの残虐非道さを知らされていますが。一般の人間にはそこいらの魔物と同じと考えている節があります。この世界の最強のドラゴンですら倒せると自負する輩も現れていますからな」
「まだ、民間用には、武器やその他装甲車両の情報は秘匿しているが、見よう見まねで造ろうとしている国もあるようだからな」
「はぁ、困ったものです。確かに精霊の加護持ちには、かなりの知識が流れていますからな」
「そうなんだよ。知りたい情報として望まれればそれなりに与えているからね。但し、武器は全てAIテラ様管理だからね。それを逃れて、同じ武器は作れないからね。
最終的な原理は非公開にしてあるし、例え、軍部の誰かがその武器をリークしてもすぐに分かる。全てのナノムの管理も出来るからね。
但し、その武器に近いものが出来ているようだ。電磁ブレードもどきと魔石を利用した魔導銃があるようだ。電磁ブレードもどきは、超音波振動にて斬撃力を上げて金属でも容易に切れるし、魔導銃及び魔導砲はかなり遠距離から狙撃出来るようだ」
「はい、ユリアン捜査官の資料にありました。それに我らのパラライザー銃の対策もされているようです」
「まぁ、あれは、電撃だからな。電気の特性を知っていれば対応処置出来るからね。聖なる硬直なら防げないけど。まだ、他の人間で聖魔法は使えるのがいないからな、まだ数年はかかるし、まだ、自分の子供たちが幼いからな」
「滅相もございません。本来はバグスに対抗するため御業を、このような輩に使用するには及びません。我ら、警備隊と軍にて対応致します」
「すでに、そのための作戦をタイタン様から伺っております。攻撃用ドローンと併用して、特殊素材の捕縛ネットを制作しました。
この捕縛ネットには電磁ブレードや超音波振動による斬撃効果を吸収停止させる効力があり、容易に切断出来ないようになっています。
さらに、上空から風魔法を併用したスカイカイトにて敵の陣地に空から奇襲を行います。彼らの陣地は要塞化されており、我らの装甲車が侵入出来ないように深い堀を掘って有り、容易に近づけない構造になっています。
そのため空か攻撃出来る対策を行いました。当然、彼らもそのあたりを考慮し、魔導砲を用意しているようですが我らには、それぞれに電磁シールドが装備されているので、対抗出来ます」
「ただ、この航空写真を見ると、昔のアラム聖国が持っていた火薬による砲台があるようだが、これに対してはどう対抗するんだ。自分のホーリーランスなら破壊できるが」
「はい、これには、空の上から攻撃機よりの高温レーザー砲にて、瞬時に砲台の砲身の先を溶かし使用不可にさせます。攻撃機はまだ、公表していませんからな。
高度1000mからなら天からの裁きの光ととらえるでしょう」
「でも、それだと、気づかないで使用したら、砲台が爆発して、死傷者が出るんじゃないかい。出来れば一人も殺さずに捕縛して欲しいんだ」
「はい、勿論そのつもりですが、下手に殺されないと知ると抑止力になりませぬ。基本は死罪という認識を示さないとこの手の輩には通用しません」
「そうなんだよな。確かに、昔の日本という国も『市中引き回しの上、打ち首、獄門』といって斬首した首を数日さらして見せしめにしていたらしいからね」
「そ、それは、いい考えかもしれませぬな」
とダルシムさん、、いやいや、そこに共感しないで欲しいです。
「まぁ、攻撃機を使用する時点でオーバーキルだよな。今回は、しょうがないか。そのあたりは任せるよ」
「はっ、畏まりました」
とダルシム元帥とフランク警護隊隊長が執務室を出ていきました。
少し、気が、滅入るな。そうだ。少しでも気晴らしに、馬にのって帝都の農場地区に行って見るかな。と愛馬シラーに乗って農場地区に行かれました。
最近は、こうした馬との時間も取れなくなっていましたから。農場には、穀物だけでなく、各種の花の栽培もおこなっています。そう、帝都内には、多くの公園や広場に木々を植えて安らぎの場所を作っています。
まぁ、うちの《かみさんズ》の提案なんですけど、、こうして、馬にまたがり農場を移動していると、この世界に来たばかりの事を思い出します。、、最近は料理もしてないしね。いつになったら、皆が安らげる世界がくるんだろう。