続航宙軍 3章 討伐 010
現在、ダルシム元帥とフランク警護隊隊長の隊のメンバー200名にて、ルドヴィーク郊外にある反政府運動の拠点に向けて、装甲車両と大型トレーラ、上空には5機の攻撃機と偵察用ドローン10機で侵攻しています。
『こちら、D21より報告致します。現在、敵陣営にて、こちらの侵攻を確認したみたいで、偵察の部隊のものが陣地に急いで戻っているようです』
『報告、ご苦労さま。引き続き監視をお願い致します』
とダルシムさんがD21に丁寧な口調で応答しています。そうなんですよ。いまだイザーク様扱いなんです。
ナノム通信にて
『全軍に連絡、もうすぐ、敵陣営に突入する。各自、戦闘準備』
『『『『『『『『『了解!』』』』』』』』』
さぁ、戦闘開始です。大型トレーラにいた、約50名がスカイカイトで風魔法を使用し、空に向かって一斉に飛び出しました。
装甲車両は、敵陣営の堀の手前に停止し、堀の上に特製の伸縮式の橋を掛けています。今回の作戦に急遽用意したものでした。当然、敵陣からの砲撃が装甲車に降り注いでいます。その時、空より、スカイカイト組が煙幕弾と催眠ガス弾がが投下し、直ちに離脱しています。その直後に、攻撃機が高度1000mから、敵の砲台に向けて高温レーザーを照射しました。
敵陣からは、
「「「「なんだ、あの天からの光は、、ほ、砲身がと、溶かされているぞ、、うわぁ~」」」」
と、その光景に驚き、恐怖しています。
「「「天からの裁きの光じゃ」」」
「「「なんだよ、こんなの聞いてないぞ」」」
「「「や、やばい、皆殺しにされるぞ」」」
「「「「目が、い、痛い」」」」「「「「ごほっ、ごほっ」」」」
と完全に、混乱し、逃げ回っている者もいます。
「おい、お前が、絶対ばれないとか、見つかっても大した罪にならないっていって協力したが、なんだよこんなの聞いてないぞ」
と共犯者たちが首謀者に問いただしています。
「お、おれだって、まさか、こんなに早く見つかるなんて思ってみなかったんだ。最近、精霊様に問い合わせしても回答が無かったし、おかしいなって感じてはいたんだけど」
そうです。自分を過信していました。精霊の加護のもとなら何やっても良いみたいな。自分は選ばれた民だって。本来のルミナス様の教えとか殆ど知らないんですよ。むしろ、そういう方々の方が多いので、それまで虐げられていた分、他の人間にも同じことしても構わないみたいな勘違いを起こすんです。
そのうちに、装甲車両が橋を渡って、城壁を破壊し中に侵入しました。装甲車両に対して魔法攻撃や超音波振動による斬撃を加えても、捕縛ネット同様に表面に耐魔法、斬撃無効化の処置が施されており傷一つも付きません。さらに、捕縛ネットを打ち出して、次々と捕縛しています。捕縛ネットは、相手に接触すると体に巻き付くように絡みつきます。
こうして、数十分後には、全員が捕縛されました。双方に、多少の怪我人がいますが、死者はいませんでした。
そうして、ダルシム元帥が首謀者が捕まっている場所に向かいました。
「お前は、帝都ポラリスで精霊の加護を受けさらに地元の領土で大きく貢献したにも関わらず、元アロイス国の貴族と共謀し悪事を働いたことは、ルミナス様への反逆とみなし極刑にする。決して恩赦などないと思え」
と言い放ち、その者を叱責しました。
こうした、暴動が、各地に起こってます。
一度は、アトラス教会から各国に【使徒】降臨の知らせを伝えて、国教としている国に伝達して、人類銀河帝国の属国となる手続きを完了したが、内部では反発のある貴族が『精霊の雫』の下賜がされないことに対する不満と最新の技術の恩恵が得られないために生じる不利益を理由に暴動が勃発し、その鎮圧のため、帝国軍が対応することになり、思うように改革が進まなくなっている。
そもそも、何故【使徒】が降臨した目的を履き違えてます。【大いなる災い】に備え、人類が一丸となってこの災いに抗うようにとの神託に対して、各国や貴族たちが自分の私利私欲しか考えてないというより、他人ごとになっている。そう、【使徒】が居れば我らは安泰だと思い込んでいる節があるようです。
◇ ◇ ◇
アラン様の執務室にゲルトナー大司教様がお見えになりました。
「アラン様、この度、アトラス教会の関係国にて暴動が起きたことを陳情致したく、誠に申訳ございません」
と深々と頭を下げ報告に来ていました。
「正直、こうなることは予想していましたよ。信仰篤き信徒ばかりではないですからね。それに進んだ技術を伝えても、それを悪用する輩も無くなりません。
これに対する法の整備も出来ておらず、それを使うための本来あるべき道徳心が伴わないんです。これが人間の業の深さですからね。なんなんでしょうね。この遣る瀬無い気持ちが」
「はい、その通りです」とゲルトナー大司教も言葉を失ってます。
「むしろ、一番辛いのは、ルミナス様じゃないかな。最近、そう感じるようになりましたよ。全ての命を与えた存在がね」
「そうですね。まさにアラン様の言われる通りです」
「一番の理由として識字率が低いんですよ。精霊の加護を与えた人の殆どが読み書きから初めています。
そのため、道徳的な基本の教えが理解出来ていないんです。無理もありません。アラム聖国では上級の聖職者しか教えを知らず、それをいい様に解釈し、民を奴隷のように扱ってましたからね。それが、当たり前になっているんです。基本、下の者は考えないんですよ。これが良いことなのか悪いのかが判断つかず言われたまま行動するんです。
そして、最後は自分の欲望にしたがってしまうんです。権力者が民に知識を与えないようにしてましたからね。悲しいことです。逆に虐げられていた者は、そのことを知った場合は、当然怒りの矛先を同じ弱い者に向けるんです。それが悪だと感じていませんからね」
この世界にも、同じような国が存在しています。本当に悲しいことです。