続航宙軍 3章 閑話 商人の子 017
ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある、見知らぬ貴女(あなた)と、見知らぬ貴男(あなた)~
懐かしい、フレーズですか?、、まぁ、知る人ぞ知る、、迷フレーズです。
ここは、カトルの頭取室です。今日も、書類の山の中に埋まっていました。(電子化されていない地方からは、紙で届きます)
カトルの呟き
(そういえば、ガンツの商業ギルドのサイラスさんって、最近、お酒造りに夢中で、肝心の商品とかは、アリスタさんが殆ど切り盛りしているんだよな)
[そうです。でも昔のガンツに比べてずいぶん売り上げが落ちているようです]
とカトルのナノムが答えています。で、続けて
[気になりますか?、アリスタさんの事]
(えっ、そ、そんな、まぁ、精霊様は、僕の気持ちも知られているから、嘘つけないよな。初めて会った時、素敵な人だなぁ~って思ったよ。それも商人の娘で、、)とすこし、顔を赤らめながら、ぼーっとした表情になってます。
[私たちは、そういうプライベートの部分には関与しませんし、報告もしませんよ]
(そ、そんなんだ)とちょっとほっとしています。
(でも、ガンツ区って、それなりには、帝都の恩恵を受けているからね。最新の設備も帝都と同じだし、だけど、前みたいに冒険者の街では無くなったよね。魔物の素材は帝都だし、冒険者もみな帝都に移ったからね。今のガンツの状況をイーリス様に聞いてみよう)
カトルの所には、専用のイーリス様との通信機が設置されています。
『イーリス様。コリント銀行のカトルですが、今、お時間いいですか?』
『ええ、大丈夫よ。何かしらカトル頭取』
『いやぁ、イーリス様から、頭取ってなんか照れ臭いです。カトルでお願いします』
『ふふ、相変わらずね。カトルさんは、そういうとこ、アラン皇帝とそっくりよ』
『えっ、アラン様と、、いや、それは光栄です』
『もう、それって良い意味での事じゃないわよ。それで、話を戻すわね、用件って?』
『はい、最近のガンツ区の売り上げなどが、こちらにある資料だと、全盛期の10分の一になってますが、そのあたり、何か理由をご存じかなって、お酒に関しては帝都管轄ですが、そのほかは、今までと同じだったんですが』
『そうね。魔物の素材では、もう、殆ど取引がないわね。今までは冒険者の街として繁栄していたけど、今は、これといった産業がないから、一部、昔の馴染みではあるようだけど、宿も殆どが帝都に移っていますし、帝都に入れない方々が仮住まいとしている程度ね。そのうち帝都の居住区が広がったら、こっちに移るみたいよ』
『そうですか、設備等は、帝都と変わらないんですけど、ガンツ区にいるのと、帝都にいるのでは、区別されているんでしょうね』
『そうね。ネームバリューが帝都在住とガンツ区では、違うみたいよ』
『そうなんですか。むしろ、ガンツ区を帝都~区にした方が良いのかな?』
『でも、それだと、多分、アリスタさんあたりが反対するわよ。ガンツという名に誇りを持っているみたいですからね。でも、カトル頭取は、ガンツの事より、他のことで気になるんじゃないの?』
『えっ、、あ、あの~、精霊様がなんか言ってましたか?』
『そういう。プライベートな事はナノム規定に反するからしないわよ。ふふ、ほんとそういうのもアランと似ているわね。アリスタさんの事なら、カリナ王妃に相談してみたら?彼女のことを一番理解しているのは、彼女よ』
『あ、ははは。そ、そうですね。カリナ王妃に相談してみます』
◇ ◇ ◇
こうして、カトルがカリナ王妃の館に伺っています。
「カリナ王妃様、ご機嫌麗しゅう存じあげます。本日は、ご多忙の中、ご面会の儀、誠に感謝致します」
とカトル頭取が、挨拶をしています。
「カトル頭取様、仰々しい挨拶は、要りませんよ。公の場ではないですから。先ぶれの使者からの伺い書には、ガンツの状況とアリスタ女史の事とかありました。今のガンツの状況を懸念していらしゃるとか、そう記載していましたが、その件での相談ですよね」
「はい、そうです。実は、イーリス様に相談したところ、この件には、カリナ様が適任というご助言を頂きました」
「ええ、私も、アリスタ様のことは、以前から気になっていました。むしろ、カトルさんが気にかけてくれて本当に感謝しています。私にとってアリスタ様は、大恩人ですからね。
孤児の私を分け隔てなく扱ってもらい、年上の私に接してくれたのですから。
だけど、あの事件以来、極度の人間不信というか、男性恐怖症になられて、、さらに、お父さんのサイラス様がお酒造りに熱中してしまいましたから、一人でガンツを切り盛りして、無理してましたからね」
「そうなんでね。そのことは前に伺って聞いていました。以前、近隣の商業ギルドの集まりにも参加されていませんでしたね。代理の方が出席していました」
「そうですか。もし、よろしければ、ご都合のいい時に私と一緒にガンツに行かれませんか?直接アリスタ様とお話したいでしょう?」
「えっ、一緒にご同行していただけるんですか、こんな自分なんかと」
「ほんと、アラン陛下とそっくりね、そういうところ」
「えっ、こ、光栄です!」
「もう、違う意味よ」
「えっ?、イーリス様にも同じような事言われました」
まぁ、カリナ様も薄々気づいているようです。カトルさんの気持ちを、それで正直に言えないもどかしさも。昔のアラン様といっしょだと、それとも自分の事も重ねて、、
こうして、カリナ王妃とガンツに向かうことになりました。いやぁ~一話では収まりませんでした。