続航宙軍 3章 閑話 商人の子 その2 018
ここは、ガンツの商業ギルドのギルド長室です。
「アリスタ様、先ほど、カリナ王妃様より先ぶれの使者が来ました。今日の午後に伺うとのことですが、どういたしますか?」
「えっ、カリナが、いえ、カリナ王妃が、わ、分かったわ。勿論、承諾よと返事して貰えますか」
「はい、分かりました」と受付の女性が、慌ただしく部屋を出ていきました。
ああ、久ぶりにカリナと会えるわ。でも、突然、どうしたのかしら?何か困ったことでもあったのかしら。兎に角、歓迎の準備をしないとね。
「誰かいる?」
「はい、アリスタ様」
「すぐに、歓迎会の準備をお願いできますか?」
「はい、分かりました。すぐに支度致します」
こうして、ガンツの商業ギルドにて、ささやかな歓迎会の準備をしています。
◇ ◇ ◇
ここは、カリナ王妃の執務室にて、カトルさんと打ち合わせをしています。
「ガンツに一緒に行く前に、カトル頭取にお願いがあります」
「はい、こんな私で出来ることならなんでも行います」
「そう。その言葉を聞いて安心したわ。今日の午後に、ガンツに向かいます。それで、私の付き人として一緒にアリスタ様にお会いしますが、今だアリスタ様が男性恐怖症なので、カトル頭取には女装してもらいます」
「えっ、今、なんて言いました。聞き間違いで、女装とか、、聞こえたんですが?」
「はい、女装です。あれ、さっき何でもしますって言いましたよね」
「あっ、は、はい。で、でも、、じょ、女装ですよね。ばれないですか?、変人に思われないですか?」
「大丈夫ですよ。カトルさんって、男性らしくないと言ったら怒られそうですが、体形がほっそりとして、なで方で、きっと、女装が似合いますよ」
「いえいえ、そ、そんな、、無理ですよ~~」
と言いつつ、アリスタ様と会うためには仕方がないということで、承諾しました。
数時間後、、そりぁ、見事な女性が、、完成しましたよ。お見せ出来ないのが残念です。
ガンツには、馬車でなく、魔石モーターカーで、約1時間で到着しました。
ガンツの商業ギルドの前です。
「ようこそ、お出で下さいました。カリナ王妃様」
と玄関には、元、同僚のナタリーさんが出迎えてくれました。少し、お腹が膨らんでいます。
「ナタリー、そんな仰々しくしないで、で、何か月なの?」
「はい、6か月目です」
「そう、もう安定しているわね。おめでとう」
と手を取り合って喜んでいます。
「勿体ないですわ。カリナ王妃様」
とナタリーも久々の再会に感動しています。
「もう、やめてよ、私との仲じゃない」
「そうは、いきません。公の場ですから。アラン様にも迷惑が掛かります」
「そ、そうね。ありがとう。私も、同じことをアラン様に言った事があるわ」
「まずは、応接室にご案内致します」
「ええ、宜しくお願いいたします」
と優雅にカーテシーで挨拶しました。カリナさんもこうした公の場も何度も体験して、この手の礼儀作法を心得ています。
応接室には、アリスタさんが待ってました。
「この度は、カリナ王妃様のご来訪、誠に感謝致します」
と、優雅に挨拶しています。
「こちらこそ、本当に久々にアリスタ様にお会い出来ました。こうして、今があるのはアリスタ様のおかげです」
「いいえ、カリナ様。私というよりは、このガンツがあなたが育てたのよ。私以外にも多くの仲間があなたを支えたの。私は、そんなガンツが好きなのよ。私自身、何の取り柄もなくて、カリナ様には本当にお世話になったのよ。あのドラゴンの競売だって、カリナ様がいたから出来たのよ。でも、もう、私では、このガンツを支えきれないの」
と、突然、涙を流しだしました。
「そんな事はありません。アリスタ様も、本当に努力していたのを私はずっと見ていました」
とアリスタさんの手をとって
「そんな、あなたに、紹介したい人がいるの。このガンツを前のように、、ううん、前よりも発展させてくれる人をね」
「えっ、そんな人がいるんですか?」
「ええ、いるわ。見た目は、ちょっとなよっと、ごめんなさい。一見頼りなさそうな感じだけど、商売に関しては、天才と言える人よ」
「そんな方を紹介、、、って男の人ではないですよね。、、私、、あれ以来、男の人が怖くて、アラン様は例外ですけど、、周りが、冒険者のむさくるしい男の人ばっかりだったから、、」
「えぇ、知っているわ。でも、この人を見れば、多分、変わると思うの、、その、、なんというか、男ぽくないというか」
「あの~、すいません。男っぽくなくて、、」と声がかかった。
「えっ?」とアリスタさんが、その声の主の方へ顔を向けたら、、そう、見事に女装した、、
「えっ、も、もしかして、、ぷっ」
と思わず、吹き出しそうになったのを必死にこらえてます。
それも、涙をためた目で、、、横にいたカリナ王妃も、堪えていました。
「そんな、ひどいですよ。アリスタ様も、カリナ様も、、」
とすっかり、気落ちしたカトルです。
「でも、凄く綺麗ですよ。本当に、カトルさん?」
とアリスタさんが声かけてます。
「はい、ガンツには、良いところがいっぱいあります。特に、シャイニングスターの発祥の場所の元クランがあった場所を、旅館というか、以前の使っていたままで、大々的に宣伝して、観光ツアーなんかもしたら、受けると思うんです。他にも、、、」
ってそう、女装したまま、もう、熱弁でした。
でもその姿にアリスタさんはカトルさんに、、一目惚れしたそうです。
そして、二か月後には、無事にゴールインしました。、、えっ、カトルの熱意に惚れたの?
それとも、、、それは、乙女の秘密です。
その後のガンツは、有名になっていきました。売り上げもそうですが、、女性ファッションの流行の場所になったとか、、えっ、それって、まさか女装のカトルが、、それも秘密です。
サイラスさんには、相当絡まれましたけど、、あははは。