続航宙軍 3章 エラちゃんの聖魔法訓練 019
少し、前にさかのぼります。
【女神の雫】を授与されてから、半年が過ぎようとしています。エラちゃんには、セリーナとシャロンから、基本的な戦闘訓練と魔法の基礎を、クレリアからは、一般的な教養と礼儀作法、カリナさんからは読み書きや、算術などの基礎を教わっています。
そして、今日が、最初のアラン様との訓練の日になりました。【使徒の従者】のための【聖魔法】の訓練です。
アランとしては、複雑な思いです。そう、こんな幼気な少女を戦火に巻き込みたくはないんです。でも、自分の身を守るためには、力が必要です。もしもの時、自分がいない状況でバグスと対峙したら、あっという間に全てを奪われてしまうんです。そう、思うと教えていて損はないということで、こうして訓練をしているんです。
兎に角、エラちゃんの、成長スピードが半端なく凄いんです。
「今日から、聖魔法の訓練を実施します」
とアランがエラちゃんに声掛けしています。
「はい。宜しくお願いいたします。アラン様」
とエラちゃんが返事しました。
周りには、《かみさんズ》が総出で見守っています。、、なんだろう、凄いプレッシャーがかかってます。この場所は、特別訓練室の中で、魔法防御が周りに施されています。但し、聖魔法の場合、普通の障壁では耐えられないので、手前には、特殊合金の壁を何十にも重ねた専用の壁も用意しています。
「エラちゃん。アラン様じゃなく、あにきでもいいよ」
って緊張しているエラちゃんに、声をかけてリラックスさせようとしています。
「はい、気を使って貰ってありがとうございます。出来れば、そのうち2文字を変えられたらうれしいです」
「えっ?、2文字を変える?」
ってアランの周りにはてなマークがいっぱい浮かんでます。(コミックならこんな感じ?)って
「どこをかえるのかな」
「はい、あにきの”あ”のあとを”なた”にしたいなぁ~」って、上目つかいで、言ってきてますよ。
「えっ、”あ”のあと、、、。いやいや、ま、まだ、早いよね、、、」
って超焦っているアランでした。
すかさず、外野のシャロンが突っ込んできました。
「もう、何焦っているのかな?、、エラちゃんにもう手玉にとられてるよ」
誰だ、エラちゃんにこんな事吹き込んだ奴は、、
[まぁ、想像つきますけど]とナノムが答えてます。
「ん?、、こほっ、冗談は、さておき、リラックス出来たようだから、魔法の訓練を始めよう」
って話題をそらせてます。
「ふふふ。もう、話題を変えようとしてますね」
ってエラちゃんから、何故か、余裕の態度?
『アテーナ、エラちゃんの魔素量ってどのくらいなの』
『はい、彼女の同じ年齢の子と比較したら、桁外れの魔素量です。女神の加護のおかげで
常人の大人の数倍は有ります。但し、一度に使用出来る魔素量に限界があり、まだ体がその魔素量の使用に耐えられません。ファイヤーアローが日に10本程度ですから、聖魔法のホーリアローが打てて1本です』
『了解。ということは、一回きりだね』
『そうですね。それが良いと思います』
「エラちゃん。今のアテーナとの会話は聞けたよね」
「はい。聞こえました」
「じゃ、ホーリーアローは1本で一回きりだ」
「はい、わかりました」
「今まで、セリーナやシャロンから、ファイヤーアローのナノムで照準器を指示して使かう事が出来るって聞いたけど、それで合ってる」
「はい、ナノカちゃんに準備してもらって、的をハート型にして、そのハートを射抜く練習をしてました」
「えっ、的がハート型って、、あははは」
(誰だ、こんな事教えたのは)とセリーナの方に顔を向けると、すかさず、目を逸らせてますけど、目が泳いでいますよ。、、、しょうもないこと教えて、、
「じゃぁ、今回用意した専用のあの金属の板の中心に、ホーリーアローの一本だけを思って
ナノムに[READY ホーリーアローX1]を準備させてみてくれるかな」
「わかった。やってみる。ナノカちゃんお願い」
と目をつぶって準備しているようだ、魔素センサーで観察すると、エラちゃんの胸のあたりに魔素が集中しているのが分かる。約30秒で準備できたようだ。
「準備出来たら、発動してみよう」
「はい、ホーリーアロー発射!」
と唱えると、専用の特殊金属の中央部分に光の矢が突き刺さり、次々と板に穴をあけている。10枚目でその光が霧散した。
「「「「「凄い!」」」」」とかみさんズが声を上げていた。
その後、エラちゃんの体が、少し揺れたので素早く抱きしめた。
「エラちゃん。凄いよ。一回で成功したね。それまでの魔法の練習が実ったね」
「よかった。成功して。アラン様に、誉めてもらいたくて、、がんばったの」
「そうか、よく、頑張ったね。今日は、俺が、エラちゃんの好きな食べ物を作ってあげるよ。
何か食べたいものあるかい」
「ほんと~、、エラ、嬉しい、、アラン様が作るのならなんでもいいけど、、プリンが食べたい、あとピザと、オムライスと、、、」
と言いながら、ゆっくりアランの方に倒れながら、寝てしまった。
そう、一気に大量の魔素を放出したのと、それまでの緊張が一気に溶けたので、、安心してアランにもたれかかって寝てしまった。
わずか、6歳の子が、大人でも大変なことを成し遂げたんです。わずか、半年で、、こうしてエラちゃんが、次代の戦士の中心となっていくのでした。