続航宙軍 3章 帝国新教会への神託 020
帝国暦2258年某日
ここは、アサポート星系第3惑星アデルの首都の帝国新教会の祈祷室です。
一人の大司教が、戦艦イーリス・コンラートが任務途中にて、向かうはずの星系からの定期連絡が無くなり、現在行方不明であると連絡を受けた。
そして、もしかして例の予言の件ではないかということで、祈祷に入られたとの事です。
数時間後、神託が降りました。
『我が名イーアペトス、敬虔な祈りに対して神託を下す。戦艦イーリス・コンラートは、銀河の端 赤方偏移 0.12 ルックバックタイム 1.286Gy 光度距離1.805Glyの距離にある
惑星アレスにいる。 この星にはエリダー星系の数千倍になるダークエネルギーに似た強力なエネルギーが存在し、それをバグスが狙っている。もし、このエネルギーのテクノロジーが奪われてば、この宇宙の人類が滅亡する。
今、その場所目がけてバグスの大艦隊が近づいている。直ちに救援に赴き、その星の【使徒】に協力せよ。移動にはサイアン帝国の残した多次元空間移動で行えば、約60年後には着くだろう』
この神託を受けた人物こそ、アーロン・コンラート大司教です。
祈祷室の扉が開きました。直ちに、近くにいたシスターに神託が下った旨を伝え、大至急関係各位に連絡を依頼しました。
◇ ◇ ◇
ここは、帝国新教会の大聖堂にある人類銀河帝国の全ての星の教会のトップと会談が出来る特別モニタールームです。
「この宇宙に最大の危機が訪れようとしています。【大いなる災い】にて、調整者イーアペトス様より、バグスの大群が、ある惑星に向かおうとしていると、もし、その惑星にある膨大なエネルギー技術が奪われたら、この宇宙の人類が滅亡するとの事です。
詳細は、先ほどお送りした資料に記載しています。我が帝国新教会より、すでに我が娘の率いる艦隊を向かわせました。最新の多次元空間移動技術でも約60年ほど掛かる場所です」
「それで、間に合うのかね」と他の星の大司教が問うています。
「分かりません。その星の文明がかなり遅れているためバグスを迎え打てるか分かりませんが、調整者ルミナス様にて、すでにその星には【使徒】様がおられるようです。そのための準備も行っているとのことですが、詳細はわかりません」
「そうか、でも、その星が奪われたらこの世界が終わるのだろう」
「その為の、神託です。調整者様も、そのために準備して、我が妻イーリス・コンラートの意思を継ぐ者を用意しています。しかし、予断を許されない事も確かです。出来る限りその災いに抗うしか我らには残されておりません」
「あい、分かった。そなたも多大な犠牲を払い、その愛する者を死地に送ったのだからな。我らからもその後の支援部隊を送る段取りをする」
こうして、緊急会議が終了しました。
◇ ◇ ◇
とある艦橋での内容です。
「座標設定完了。これより、数名の交代要員を残し、赤色艦隊スピカ方面軍第238艦隊1番要塞艦ゼウス 多次元航行に移る。私、セリーナ・コンラート少将及びシャロン・コンラート少将ならび総員は、60年のコールドスリープに入る。以下、AIゼウスの指示に従うよう。サインアウト」
と艦内放送が流れた。
そうです。救援に向かうのが、あのイーリス・コンラート准将の実の娘たちです。母が亡くなるときは10歳でしたが、あれから12年、わずか22歳で、総司令官になられた逸材です。
母の仇であるバグス殲滅作戦の総司令官になり、父アーロン大司教の神託を受け、まさに母の名の付いた戦艦の救援に向かいます。副官は、サーラ中将の娘のテミス大佐が乗艦しています。
サーラ中将は、あのイーリス・コンラートの旧友であり、あの自爆したスター級重巡洋艦[テオ]の副長をしていた方です。どれだけ、悔しい思いで、目の前で友の死に無念を抱いていたか、当然、娘のテミスはこの戦艦ゼウスの司令官セリーナ少将、シャロン少将とは親友の間柄です。
コールドスリープに入る前での3人の会話です。
「絶対、間に合わせる。そして、母の艦を守り、宿敵バグスを倒す」とシャロン少将
「ええ、天が味方していますから、母の仇も取りましょう」とセリーナ少将
「そうね、私も、小さい時から、母から聞かされていました。あの、最後のメッセージ、、母がどれだけ悔しい思いをしたのか嫌って程聞かされてますもの。必ず、宿敵バグスを殲滅しましょう」
こうして、銀河の果てに向かってギャラクシー級戦艦をはるかに凌ぐ、総員1万、ギャラクシー級戦艦を10隻、高速スター級重巡洋艦100隻搭載した動く要塞が救援に向かっています。
こうして、この物語は、前編を終え、後編に向かいます。
テミス大尉からテミス大佐に変更しました。