続航宙軍 3章 多次元通信と調整者イーアペトス 023
ここは、聖地テラ・サーンクタでの、AI同士の会議です。
AIテラ
『サイアン人の開発した多次元通信に対しての仕様は以下の通りです。当然、送信側と同じ仕様が受信側に必要です』
AIイーリス
『それだと、現在の人類銀河帝国での受信設備が無いので、受けられません。そのため、そのサイアン式伝送信号に帝国軍の信号に重畳させて、あたかも帝国軍信号形式のFTL通信に似せて知らせる手段が無いでしょうか』
AIテラ
『そうですね。相手が、ノイズではなく定期的な信号がと認識すれば、解析するでしょうし帝国の信号にそのキーを組み込めば、暗号だと認識しますね。さらにQAMの搬送波として変調してあれば確実に調査するでしょう』
AIイーリス
『そうですね。その中に現時点での宇宙海図に合わせた座標を組み込めば、ここの場所が割り出せますね』
AIテラ
『問題は、どの方向にこの信号を送るかで変わります。人類帝国側に送るにも、多次元が不連続なので、最短進路を計算する必要があります。むやみに360度全方位では出力が足りません』
AIイーリス
『そうですね。明らかに、この方向と指示出来ればいいんですが』
そうです。相手の方向が明確に分からないと送れないんです。そのため難航しています。
こんな、AI同士の難しい話が行われている横で、アロンはまた、別の調整者の神託の件を考えていました。そういえば、他のリンクが切れないとだめだって言ってたな。
(ナノム、悪いけど、トランス状態にしてほしい)
[わかりました。トランス状態に移行します]
と、暫くすると
『また、話しかけらる状態になったね。イーアペトスだ。現在、この場所に帝国軍からの救援部隊が向かっている。
戦艦名は、赤色艦隊スピカ方面軍第238艦隊1番要塞艦ゼウスだ。
そして、サイアン帝国の多次元航行にて約60年後のバグスが来る前の年に、この宙域に到達する。
指揮官はあのイーリス・コンラートの実の娘たちだ。予定航路の情報を送る。
これをもとに通信システムを構築するといい』
と言って神託が終わった。
(ナノム、大至急この内容をイーリスとテラに送ってくれ)
[了解です。転送します]
『イーリスにテラ。たった今、調整者イーアペトス様から情報を貰った。この惑星に救援の部隊がくる。その予定航路のデータを貰った。この航路に信号を送ってくれ』
『『承知いたしました』』
AIイーリス
『凄いですね。すぐに情報が貰えるとは』
『そうだね。調整者としても、この宇宙の人類が滅亡されてはたまらないんだろう』
『でも、それなら、なぜ、外宇宙からの侵入を拒めなかったんでしょうか』
『そうだね。なにか理由がありそうだね』
『他にも、分からない事だらけだよ。アトラス教会では、アトラス様は聖人のような扱いだよな。でも結果、最初の古代文明を作っておいて、さらには何故、ここから逃げるようにいなくなったのかな? 魔道具を作り時にカーラさんに聞いてみたんだよ。
ルミナス様が魔法陣の文様をある国の王子に授けたって、これって、この魔素の使い方を人間にわざわざ教えたんだよな。
でも魔物にも魔素があるのは、この星自体に問題があるような気がする。もともと、僕らが他の星系から来たにも関わらず、魔素を扱えるということ、さらには、バグスもこの力を欲しているという事も、予め知られていないと此処には来ないよな』
AIテラが話しかけてきた。
『そのことは、過去、この地を訪れた調整者同士の争いがあったという文献があります』
『えっ、そんな文献があるの』
『はい、但し、詳細は不明です。まぁ、聞いても答えては貰えないかも知れませんが』
『そうなんだ。まぁ、分かったからといって今の状況が変わるわけではないからね』
『そうですね』
『今は、この脅威に抗ないとね』
◇ ◇ ◇
こうした、一連の話を《かみさんズ》にしました。
「それじゃぁ、本物のセリーナ・コンラートとシャロン・コンラートが救援にくるのね」
とシャロンがいうと
「シャロン。本物もそうでないもない。今のシャロンやセリーナは遺伝子的には同じでも、個人としては全く別の存在で、俺の愛したセリーナとシャロンだぞ」
「は、はい。そうですね。どこか、クローンというのにうしろめたさを感じてました。でもアランのその言葉ではっきりと自分の存在を誇れます。ありがとう」
とあのシャロンが少し涙ぐんでいます。気にしてたんでしょうね。
「そうですよ。私たちも同じです。セリーナにシャロンは私たちの同志で同じアランの妻です」
とエルナが声を掛けています。
「私もです」とカリナ
「勿論、私も」とクレリアが二人に寄り添っています。
こうして、迎えるべき者への準備が着々と行われています。
バグス到来まで、後61年