続航宙軍 3章 建国10年目 子供達その1 024
あれから、10年目です。子供たちの訓練が始まってます。
その指導の中心人物は、もうエラちゃんとは言えないけど、エラ特別講師様です。
エラちゃん現在14歳です。聖魔法も含め、各種魔法技能がA級、コリント流剣術2段
格闘術3段(シャロンの弟子)さらに、知識量は、高等技能まで習得していて戦闘機の操縦、装甲車両のメカニック技能も習得しています。
「今日は、2人一組での木剣での模擬戦を行います」
とエラ特別講師が声を掛けています。
「「「「「「「「「「は~い」」」」」」」」」」」
組み合わせは 以下の通りです。第1子は、8歳、第2子が7歳です。
全員が『女神の雫』を服用しています。
1組、マグニ(長男)VS オーディン(次男)
2組、ウル(三男) VS シン(4男)
3組、ビクトリア(長女)VS ピュラー(次女)
4組、アラル(五男) VS オグマ(六男)
5組、レア(三女) VS ルフタ(七男)
「はじめ!」と号令がかかりました。
勝敗は、先に相手に一撃を入れた時点で1本とし、3本勝負を行います。
特に、いつも1組の組み合わせの闘いが壮絶です。
その試合時間が30分が制限時間ですが、どちらも1本づつで、引き分けとなりました。
「くそっ、今日も引き分けだ」
とマグニが悔しそうです。年齢は同じでも、体格的にはマグニの方が身長が高く、同じ8歳児にはみられません。
それに比べてオーディンは小柄ですが動きが素早く、防御が上手です。
「あにきの斬撃は強烈だよ。後、数分打ち合ってたら、僕が負けてたよ」
とオーディンは兄の顔を立てています。
そんな、様子を、アランが見ていました。
オーディンは、周りに気を遣えているけど、マグニがちょっと心配だな。長男として誰よりも苦労し、陰で練習しているのを見かけています。そう、人一倍頑張り屋でもあります。でも、強さが問題ではないんです。【使徒】としての資質が問題です。
勿論、母親たちからの教育もされてますが、周りの環境が大きく影響するんです。なぜなら、オーディンの母親はクレリアです。
そう一国の王女です。そのため、家臣の者達から、皇子として扱われています。それに対して勿論、カリナは帝国では王妃ですから、同じ皇子ですが、母親の周りは商人が多く、扱い方が違うんです。それが、マグニからすると気に入らないんです。
(我が子ながら、正直、こんな年からこうした訓練をしていることの方が問題なんですけど)
[しかたないですよ。皆宿命を背負っているんです]とナノムが話しかけています。
(まぁ、しょうがないといえばそれまでだけどな)
さて、父親の出番です。
物陰から、様子を伺っていたので、みんなが一区切りしたときに顔を出しました。
「皆、頑張っているね」
と声掛けしたとたん、子供たちが、一斉に跪き剣を腰に据えて片膝立てて出迎えています。
「「「「「「「「「陛下」」」」」」」」」」」
「まぁ、かたっ苦しい挨拶は、、しょうがないか。で、マグニとオーディン。前に出なさい」
「「はっ」」と二人が、そろってアランの前に出てきました。
「今日から、1週間、マグニは、クレリア王妃の所と、オーディンは、カリナ王妃のそばで護衛をしなさい」
「「はい?」」
「これは、皇帝命令だ。口答えは許さん」
「「はい。承知致しました」」
横で見ていた、シャロンとセリーナが
「なるほどね、お互いのそれぞれの大変さを理解させるんですね」
と、暖かい目でみてましたよ。そうです。立場の違いをそれぞれの大変さを知らしめるために
そうしました。
こうして、二人の修行が始まります。
さて、マグニです。
「クレリア王妃。本日は、スターヴェーク領の南の領土のご視察に参ります」
と秘書から今日の日程を伺っています。
「分かったわ。高速艇の準備をお願い」
「承知しました」
「マグニいきますよ」と声を掛けています。
「は、はい。クレリア母様」
と剣を小脇にさし、近衛兵の鎧を付け他の従者の方々の後を付いていきます。そう、マグニは高速艇に乗るのが初めてでした。
スターヴェーク領までは、魔石カーなら2時間くらいですが、高速艇はわずか10分です。最高加速まではしませんが、マッハ2、3のGが加わります。
さすがに、クレリアは、何百回と乗ってますので、慣れたもんです。特に女性の方が忍耐強いですからね。それに比べ、マグニは、初体験です。当然、酔ってしまって、顔面蒼白です。
「マグニ、だらしがないですよ。これから、戦闘機などの訓練ではこれ以上のGが掛かります。それも、戦闘となったら、その急激なGに耐えなければなりません。攻撃力でなく、より耐久力も身に付けなければ先にいけませんよ。
オーディンは、6歳から、この高速艇に乗ってました。最初は、食べたものを全て吐き出してしまいましたが、それでも、あきらめず、ずっと耐え忍んできたんです。
正直、何度も下ろそうとしたんですが、彼はこう言ってました。
”自分がその苦しみを知らなかったら、誰がその苦しみを理解できますか、僕は、苦しみを理解出来る者になりたいです。父様のように”
と言ってました。おかげで、食が細くなり小柄ですけどね」
「はい、クレリア母様、今、弟の苦労を知りました。お、俺は、足りないあにきでした」
とその場で泣いてしまいました。
「いいんですよ。マグニはマグニの良さがあります。他の弟や妹の面倒もいつも率先してしていたのも知っていますよ」とクレリアがそっと抱きしめて慰めています。
さて、その頃オーディンは、
「そこの商品は、この棚にいれて、マグニじゃない、オーディンこっちのは、そこに移動して」
と倉庫内の商品の棚卸をしています。
「マグ、、じゃないオーディンそこの書類の品を調べて、数の確認して、、、」
と、右往左往し、訳が分からなくなっています。
そのうち、怒鳴り声が聞こえてきました。商品の引き渡しを行っている窓口から聞こえます。
そうすると、カリナ王妃は、すぐに、
「オーディンいくよ。ついといで」
「はい。カリナ母様」
「おい、この商品の値高くないかぁ、それにこの商品に傷があるじゃないかぁ、あぁ」
と柄の悪い商人が窓口の女の子を脅しています。
「なんだって、うちの商品にケチつけるんかい!、良い度胸だ、、あぁ」
とカリナ王妃が、その商人に向かって啖呵切ってます。その迫力が凄い!、さすが
あの冒険者の街のガンツで、あらくれ男たち相手に立ち回ってましたからね。強い強い。
「あぁ、なんだ、この婆は、」
って声の方へ顔を向けたら、、仁王立ちしているカリナ王妃がいます。さすがに、知れ渡ってますからね、、
「えっ、カ、カリナ王妃様、、、」
と突然、その商人が平服しています。こんなやり取りが、暑中あるようです。
「オーディン、なに、ぼけっと立ってんだ、マグニなら、真っ先にあたしの代わりにこういう輩の相手をしていたんだ。子供だからって相手にされなくても、受付の子が困っていたらすぐに助けにいってたよ」
そうです。マグニ兄様は、いつも弟や妹の面倒をみてくれて、お風呂で体洗ってくれたり、本当なら疲れて休みたいのに、相手してくれていたんです。
「マグニはね。いつも、自分が長男だからって気を張っていて、少し危なっかしいところがあるんだよ。考えなしで突っ走りやすいんだ。だから、誰かがしっかり見て支えてあげて欲しいんだよ」とカリナ王妃がオーディンに促すように語り掛けています。
「はい、カリナ母様。僕がマグニ兄様の支えになります」
としっかり、受け答えしています。
◇ ◇ ◇
イーリスから、AR通信で転送されてきた映像を見ながら、
いやぁ、、賢い、、賢すぎるぜ、、
『どうですか?、我が子の成長をご覧になって』
『嬉しいね。みんなが健やかに育っているのは、本当に嬉しいよ。だからこそ、あんな悲惨な戦場にはいかせたくないな』
『そうですね。私でも、そう思います』
それでも、やってくる災難に、どう抗えばいいのか。