続航宙軍 3章 帝国軍特級軍法会議 032
この審議は、要塞艦AIゼウスが一任されていました。法廷となる場所は、要塞艦ゼウスの審問室にて開催されました。
「これより、人類銀河帝国特級軍法会議を執り行う。被告人アラン・コリント、被告人席に着きなさい」
言われたまま、被告人席についた。この場は、軍関係者以外立ち入りが出来ない。他にセリーナ王妃とシャロン王妃、AIイーリス・コンラートが呼ばれています。
AIゼウスよりの判決文
「AIゼウスより、判決を言い渡す。
先日、戦艦イーリス・コンラートより、帝国暦2258年の行方不明時の状況と被害状況時の映像及び、その後のアラン・コリント中尉からAI権限にて、上級士官教育の実施及び准将への昇格等、一切の行動に軍規を逸脱する行為は認められなかった。
さらには、艦長に就任後、即座に”第一級非常事態”を発令し、戦艦イーリスの維持に関しての適切な処置を施し、さらに、不要セクションを全て自爆モードにて廃棄し、この惑星アレスへの被害も避けた行動にも問題なし。
その後、戦力維持のためと惑星に降下した艦長との連絡が途絶えた為に、サイアン帝国の技術を使い、帝国新教会でのこの艦の名にした英雄イーリス・コンラートの体組織を用いて2体のクローンを作成した。この行為自体は、帝国倫理委員会にては禁止されているが、今回、帝国新教会の元、このことはすでに了承済み行為とし、さらにその後発令された人類の最大危機の対応のため、すべからず行為ではなく、必要処理として認められた。
以上の内容をもとに、今後来るべき【大いなる災い】に対して、その2体のクローンは、予言の子とし、さらに、アラン・コリント准将を正式な調整者の【使徒】と任命する。よって特級軍法会議での判決は、”無罪”とする」
しばらくの静寂の中、ただ、すすり泣く声が聞こえた。そう。セリーナ王妃とシャロン王妃です。そう、最悪は死罪を覚悟していましたから、さらには、自分たちがクローンであること、その事実を、誰よりも気にかけていたからです。
そんな二人に最初に声をかけたのが、アランではなく、今回この任務を受けたセリーナ少将です。
「初めまして、我が母より生まれし、そう私たちの姉妹であるセリーナ王妃様とシャロン王妃様、我が母に代わって御礼を申し上げます。まさに、母様の亡くなられた時のお姿と瓜二つです。私たち姉妹は、どっちかというと父親似ですから、あまり母には似ていません。それだけに、こんなにまじかに、母そっくりの、、」
と声を詰まらせて、その場に泣きくずれてしまいました。
そんな、セリーナ少将を抱きかかえながら、セリーナ王妃が
「私たちこそ、姉妹と呼んで頂けるだけで、どれだけ安堵し、これほど嬉しいことはありません。どうかお顔を見せて下さい。あぁ、この体組織の本来のイーリス様がどれだけ、あなた方に会いたがっていたか、、、どれだけ苦しかったか、、今、知りました」
と同じように泣き出してしまいました。互いに抱き合い、、涙しています。その後ろで、シャロン王妃とシャロン少将も、、抱き合って泣いています。
副官テミス大尉さんが
「本当に、我が母にも見せたかったです。こうして、再び親子が再会しているんです。母もどれだけ悔しかったか、、」
そう、本来なら、親子で幸せな日々を夢見ていたのに、あのバグスによってその幸せを踏み潰されたのですから、、
◇ ◇ ◇
そうです。ある意味で、親子の再会を果たし、来るべき【大いなる災い】に向けての作戦会議が、戦艦イーリスにて行われています。お互いの戦力を説明したのち、アラン様から提案がありました
「今回、正直、今までのバグスの大群とは違う、かなりの戦力で現れると予想しています。
その為、このルミナス星系の最遠の惑星カローンに次元探査器を設置し、なるべく星系から離れた場所で攻撃をしかけたい」
AIゼウス
「確かに、その方が良いでしょう。我々の探査機能は、約2光年距離まで探査出来ますが、よほど、大きな空間歪でないと検知出来ません。過去、約三万光秒でいきなり現れましたから、その間の異空間での検知が出来ませんでした。但し、漸く近くの異空間の異変も検知出来るようになりましたから、それでも、よほど、近づかないと分かりません」
「えぇ、我々は、AIテラの多次元空間検知機能にて、相手がワープ中でも攻撃可能です。但し、かなりの大きさが必要らしく、スター級クラスなら検知できます。それでも、その時の空間の位置関係が複雑で、相手が別空間の非連続モードで時折ワープ領域から数秒でもずれると、攻撃が当てられません。但し、今回のバグスはかなりの大群で来ることが予想出来ますから、ある程度のダメージを与えられると思います」
「そうですか。やはり、今までのような、BG-X型戦列艦級よりも強力という予想ですな」
「はい、そんな予感がします。もしかしたら、要塞艦ゼウス並みかも知れません」
「そうですな。彼らも、年毎に技術が上がってきているのは事実です」
「さらに、怖いのは、物量に任せて分散されるのが問題です。もし、数千、数万隻の各100匹くらすの上陸艦で、地上に降りられたら、大規模攻撃が出来ません。
極力、この宇宙空間で撃退しないと、勿論、最悪のケースも考えて、この星の民たちにもバグスに対抗出来る術を与えましたが、正直、絶対とは言い切れませんので、、出来る限り、この星の住民を傷つけたくないですから」
「勿論です。我らもパワースーツ部隊にて対応することになっています」
「まだ、予言の日時が来年ですから、この星の力の使い方をその間に習得してください」
「魔法と呼ばれている、あのエリダー星系の第2サルサのエネルギーですな」
「そうです。もう、AIイーリスより、こちらには資料を提出しています。そのセンサーをナノムに作成してもらえば使用出来ます。そのアルゴリズムも転送してますので」
「了解した。まずは、この艦のもの全てがそれの習得を急がせよう」
「それから、まだ、我々も、サイアン帝国が開発した神機の解析がまだ不十分です。もし、強力願えれば、さらにパワースーツも改良出来ます」
「そうですな。これでもこのゼウスは、今の人類銀河帝国一の能力ですからな。是非ともお役に立ちたいです」
「詳細は、この星のAIテラに繋げて下さい」
「承知いたしました」
こうして、着々と準備を行っています。もう、まじかにその闘いの火蓋が切られようとしています。