続航宙軍   作:ytaki33

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イーリス・コンラートの意思を継ぐ者

続航宙軍 3章 イーリス・コンラートの意思を継ぐ者  040

 

 

 これは、アランとルミナス様との会話です。この間の時間は経過しません。そう、二人だけの時間です。

        ◇        ◇        ◇        

『ルミナス様。どうか、最後の許可をお願いいたします』

 

『分かっています。すでに、この予言を受けたときから、アランの気持ちを知っていました。でも、出来れば、使わなくても勝てるのなら、、でも、こうなってしまいましたね。あまりにも敵が巨大でした。

 そもそも、このバグスを呼んだのは、私たちと同じこの宇宙での調整者なんです。過去に、自分の担当した人類に連なる者達に裏切られ、その恨みを持ってしまい、調整者の地位を奪われ、他の宇宙に追放された者です。

 

 その追放された宇宙で、バグスを育て、こちらの宇宙の人類を根絶やしにするために彼らに力と知恵を与えたんです。その後、その調整者は、さらなる上位の存在により滅ぼされたのですが、その後を引き継いだ生物を直接手にかけることが出来ないんです。

 

 自ら作った生き物を、自ら滅ぼす事は出来ない、そういう掟なので。

 そのため、その脅威に対抗するため神託により、この宇宙の人類に連なる者に託したんです。そして、最初に、その意思を受け継いだのが、あのイーリス・コンラートと、夫となったアーロン・コンラートです。

 

 そして、そのイーリス・コンラートの意思を受け継いだのが、アラン・コリント、、あなたでした。もし、私で代われるなら代りたいです。私にとっても、あなたは、かけがえのない誇れる息子です。、、、でも、、うぅ、どうか、この世界を救って下さい。、うぅ、』

と言いながら、ルミナス様が泣いていました。

 

 何よりも、辛いのは、そう、ルミナス様なんです。どんなに辛くても、その人類を見続けなければならない存在。そう、見たくなくても、目をつぶれない存在なんです。

 人類同士で争い傷つくのも、、見続けなければならない存在、、それが、どれほど辛いか、だからこそ、そんな存在を逆に慰めたいと思っていたんです。

 

『ルミナス様。もう、苦しまないでください。俺が、全てを終わりにします』

 

【召喚アテーナ】【搭乗】【多次元ワープ 最大距離、バグス・ワームホール方向】

 

 そして、その場から、アランの姿が消えました。

 

 

 その頃、アランの居ない場所で、《かみさんズ》の面々と、セリーナ少将司令官、シャロン少将副司令官、テミス大佐とAIイーリス、AIテラ、AIゼウスと今後の対策の検討をしています。

『AIテラより、惑星カローンの検知装置より、10分前の映像です。空間の歪みが大きくなり、巨大な小惑星と思われる部分が飛び出してきています。推定重量6.8X10^18kg、縦約300km、幅約200km、高さ約150km 太陽系の小惑星帯45Eugeniaに近い大きさです。さらに、その周囲に無数のBG-X型戦艦を確認しました』

 

『えっ、小惑星並みの大きさって』

とセリス少将が、口を押え驚愕の表情を浮かべています。

 

『そ、そんな。いくらなんでも、もしかして、これが、バグスの母星なの?』

 

『し、信じられない、巨大で済む問題じゃない。任意に移動出来る小惑星なんて、どれだけ膨大な力を、もっているんだ』

 

『小惑星を移動出来るのもそうだけど、任意にワームホールを造れるなんて、私たちの世界ではありえないことよ。そんな敵が、、なぜ、』

 

『AIで唯一、ルミナス様と交信を受けることが出来るアテーナに聞いてみましょう。私たちはサイアン人によって作られたAIです。アテーナだけは、調整者ルミナス様からの直接の受信が可能なので何か知っているかも知れません』

 

『AIアテーナ。今、聞きたい事があるんだけど』

とAIテラが呼びかけています。

 

『AIアテーナ、、AIアテーナ、、おかしいです。AIアテーナからの受信時のビジー信号が帰って来ません』

 

『ま、まさか、アランが、、ううん、きっとそう。胸騒ぎがするわ。屋上に行くっていってから、そんなに時間がたっていないけど』

とクレリア王妃が、そのまま、会議室を出てすぐに屋上に向かった。

 

『私たちも、いくわ』と他のかみさんズも飛び出していった。

 

その時、AIイーリスが

『アラン、、、、アラン、、、あなたは、うぅ、』

と突然、涙声になっていた。

 

 屋上に向かった面々は、その場の光景を目の当たりに見ました。上空に光輝く神機アテーナが、消えるところを、、

 

突然、クレリア王妃が、大声で

「い、いやぁ~、、いかないで~~、いやぁ~」

と発狂したかのように、叫んでいます。

その横では、膝をつき、号泣している、セリーナ王妃、シャロン王妃、カリナ王妃、エルナ王妃、、そしてエラ王妃、、、

 その後、その声を聞きつけた、兵士たち、、あとから、セリーナ少将たちが、屋上で佇んでいました。

 そのことは、即座に、子供達にも伝わりました。

「とうさん、、せめて、最後の挨拶ぐ、、い、いやだ、、、いやだ、、わぁ~」

とマグニ、オーディン、、みな声を上げて泣き出してしまった。

 

『ル、ルミナス様、、どうか、アランを助けて、、おねがいです、、代わりに、この命を捧げますから、おねが、、い、うぅ』

とエラ王妃が天に向かって、祈りを捧げています。

 

『私も、、おねがいです、、ルミナス様、、アランを奪わないで、、、おねがい、、』

とクレリア王妃が血で染まった手を、、そうです、、なんども、床を叩いて、叫んでいたんです。 何度も、何度も、そのたびにナノムが止血しては、また叩き、血を流し、、、床が血まみれになっています。

 

 その時です。あたり一面が、真っ白に染まりました。

 

『あ、愛するアランの愛しきものたちよ、、ごめんなさい。私でも、止めることができませんでした。彼の意思は強く、その行いには更なる上位の意思が関わっています。

 そもそも、バグスを生んだのは、私たち調整者の中に謀反を起こした者により生じました。そして、それが、今、終焉を迎えようとしています。全ての人類は、この行いを決して忘れないでください。

 一人の尊い意志を受け継いだ者を、そう、英雄イーリス・コンラートの意思を、受け継いだ者を、、、うぅ、』

 その御声も、涙声でした。

 

 

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