続航宙軍 1章 アロイス軍との戦闘 009
なんやかんやと、新拠点に移って漸く2週間が経ちました。家具職人たちは、ガラス材を貰って、まだ、入居がない場所に、窓枠の取り付け作業を行っています。
孤児たちや、18歳未満の子供たちは、【精霊の雫】をもらい、加護を受けて、夜のうちに、ナノム経由で知識の転送と、午前中は学校に行って、どれだけ知識を得られたかの確認テストを行い質問事項や疑問点は、専用端末を経由してイーリスが対応しています。午後は、なりたい職人や、冒険者、兵士など、それぞれの希望の場所にいって訓練や仕事を覚えています。
職人達にも、ルミナス様に忠誠を誓った者達は、【精霊の雫】を貰い、子供たち同様にナノム経由で新しい知識の伝承をしていく予定です。一度に膨大な知識を与えても、理解出来ないと使いこなせないんです。さらには、拒否反応が起きると、脳にダメージが加わり最悪は気が触れてしましますから、個別に対応が異なります。
ダルシムやエルナ、クレリアと一部の隊長クラスには、一段階レベルを上げて、魔石から、魔素の供給が出来るようになったので、専用の足や手にに魔石を触れさせて固定されるベルトを各人に合わせて制作しています。一人当たりオークの魔石なら100個まで持てるようにています。魔法の発動も無詠唱で、ファイヤーグルネード(爆裂魔法)が使えるようになっていた。
「アラン様、今、南門にエルヴィンと名乗るものが、ヘクスターという場所から約200名と見慣れない大きな荷物を持参して謁見の依頼を受けてきましたが、どうなさいますか?」
「おぉ、やっときたか、早速、謁見の間に通してくれ」
「はっ、かしこまりました」とサテライトの8班隊長のケニーが対応していました。
「これは、アラン卿。この度、新しい拠点にて我ら一同、身を粉にして忠誠しお仕えするため参上いたしました」
「はるばる、長旅、お疲れ様です。して、その大荷物は、あれか?」
「はい、お約束の『ギニー・アルケミン』です。ご確認下さい」
「随分、無理をかけたな、そのために同胞が減ったようだな、申し訳ない」
とアランが頭を下げると、、
「とんでも、ございません。もし、あの時のアラン様の恩赦がなければ、我ら一同命がありませんでした。さらには新しい領地で、農業が出来る環境を用意して頂いたと、ユリアンから報告が上がっています」
「そうか、まずは、ゆっくり休むといい。追って、指示を出す」
「はっ、畏まりました」
そういって、ヘクスターと他のメンバーが謁見室を出ていきました。その後、クレスタ達が、やってきました。
「アラン、遂に『ギニー・アルケミン』を手に入れたのね、凄いわ」
「まぁ、これからが、大変だけどな、当然、これを奪われた国からは、敵対行動をうけるからな、特にヴィリス宰相からは、何かしらの報復があるようだ。イーリスの調査では、すでにこちらに向かっている暗殺部隊がいるのと、さらにスターヴェークからの移民の所にアロイス王国からの追っての軍が約千名が向かっているという情報も得た」
「えっ、そうなの、移民の皆を守らないと」
とクレリアが今にも飛び出しそうです。
「大丈夫だよ、イザーク様を護衛に付けてるし、近づく前に、いや、近づいた時点でグローリアと一緒にアロイス軍を叩きのめした方がいいかな。その時は、リアや、エルナ、セリーナ、シャロンもグローリアの上から魔法を行使してもらうよ」
「え、イザーク様が護衛についているの」
「あぁ、そうだよ。そう指示しているよ」
「そ、そうなんだ。そうよね。使徒様なんだから」
「接触するのは、約3日後だそうだ。ここからなら、グローリアに乗れば1時間で到着できる」
「そのため、前にお願いしていた。複数人同時での合同魔法の練習をしていてくれないか?、風と火の複合魔法だ」
「えぇ、分かったわ。あれなら、強力よね」
「まぁ、アロイス軍の将軍たちに、こちらの強さを見せつけないとね。但し、アロイス軍といっても殲滅はしないからね。後に我がコリント軍になってもらう人たちもいるからね」
◇ ◇ ◇
それから、3日後の昼すぎに、我ら、初代シャイニングスターのメンバーでアロイス軍を撃退に行く。当初、ダルシム達が自分たちが行くような話をしていたが、結局、魔法合戦にてリア達の方が威力が上だと知らしめて、納得させた。俺抜きで、周囲500mを更地にしていたからね。
さあ、出発です。『イーリス、移動座標の指示を宜しく』
『はい、D2、D3の2機で、すでに、護衛のため現地にいますので、リンク映像と座標の確認をお願いします』
『了解』
『D2,リンクにて、座標転送宜しく』
『了解しました、座標を送ります』
『グローリア、座標確認。後30分で到着します』
そうです、グローリアも、だいぶ成長して出会ったときは、体長12mほどだったけど、今では15mほどに成長しています。そのため、飛行速度が格段に上がっていました。
『目標、目視確認。迎撃態勢に移ります』
『了解、拡声器用意』
「リア、アロイス軍への啖呵、、宜しく!」
「えぇ、わかったわ、まかせて!」
『我が名、クレリア・スターヴァイン也、我が民たちに不法を働く者達よ、これより、先に進むならば命がないものと知れ』
スターヴェークの移民たちからは、声援が飛び交っています。それに加えて、アロイス軍たちからは、
「何を、不法を働き、我が領土の民を勝手に奪わんとする暴徒に制裁をあたえる」
と、言って、一斉に、魔法や、矢が飛んできましたが、今いる高さまで、届くはずがなく魔法は途中で消え、矢も力なく落下しています。
『グローリア、竜の咆哮』
『承知』
といって、大きく、唸り声上げました。全ての動物は、その威嚇の咆哮を聞くと震えあがり、逃げ出すか、あまりの怖さに動けなくなると言います。案の定、アロイス軍の兵の馬たちは大きくのけぞり、乗っていた兵士たちが落馬しています。
スターヴェークの民たちには前もって、威嚇防止の耳当てを渡していましたので、影響はありません。
『複合魔法、ファイヤートルネード(火炎竜巻)』
そう唱えると、クレリア、エルナ、セリーナ、シャロン達の複合魔法が炸裂しました。直径100mの火炎の渦が高さ数百メートル上空から、まるで大蛇が大口を開けて獲物に襲い掛かるような様相で、アロイス軍の手前の草原を爆音とともに焼き払っています。そして、その後ろのアロイス軍に熱風が直撃しました。
「「「「「ぎゃぁー」」」」
「「「「「あちい、あつい!、、ぎゃぁー」」」」
と先頭にいた数100人が悲鳴を上げ、逃げ回っています。火炎の渦は、そのまま、数百m続き、その後を更地にかえています。
「「「「たすけてくれ~」」」」」
「撤退じゃ、、撤退!!」ともう、逃げ惑う兵士で混乱を極めています。
約千人いた兵士が、殆どが、固まって移動していたため、その被害は甚大でした。殆どの兵士がやけどを負い、さらに金属鎧を着ていた兵士はその金属が発熱したため、防具も剣も脱ぎ捨てて、逃げ出しています。中には、絶命したものもかなりの数がいるようです。数百度の熱風が数十秒吹き荒れるんですから、たまったもんじゃないですよね。
その火炎の渦が通り過ぎた後には、無残に逃げ遅れ焼け死んだ死体と、脱ぎ捨てられた剣や防具が散乱し、焼け焦げた異臭が漂っています。
その後、死者を葬り、けがを追った兵を介抱し捕虜にし、捨て去られた防具や剣は、移民たちに渡しました。逃げたアロイス軍には、追っ手をかけずそのままにしました。
「姫様、この度のご加勢およびご支援、誠にありがとうございます」と代表者の方が挨拶していました。
「当然の事をしたまでです。これからもイザーク様のご加護もありますから、安心してコリント領にお出でください」
「何度かグレイハウンドの群れをイザーク様に打ち取ってもらいましたよ、魔石だけ回収しました」
「そうですか、良かったです。ルミナス様のご加護があらんことを」
「ありがとうございます」
「それでは、私たちは行きますね」
こうして、一行は、グローリアに搭乗し、拠点に向けて帰還しました。