それは早朝、朝早くから私、蓬莱山輝夜は
「今日も楽しくなりそうね!妹紅!」
「あぁ、今日もお前をぶっ殺してやるぜ!輝夜!」
あぁ、楽しい。
この命を刈り取るようなこの瞬間が、とても楽しい。
その時はそう思っていた。
数十時間にわたり殺しあっていた私たちは妹紅が死ぬことで決着がついた。
私はそのまま放置して空を見上げた。
あたりはすでに黄昏時で、私たちがいる竹林はすでに霧でおおわれていた。
「はぁ、楽しかった…ッッ!?」
刹那、凄く強い殺気と威圧感があたりを満たした。
私は元・月の姫で威圧や殺気は何度も感じたことがある。
月での刺客や暗殺者、権力者からも感じたこともある。
だがこれまでの殺気は…これまでの威圧感は感じたことがなかった。
パキパキと、竹がへし折られる音。
その竹藪から出てきたのは、一人の少女だった。
私はホッとして彼女に近づいた。
「貴女、人里の子供でしょう?ここは迷いの竹林よ。そこにぶっ倒れている案内人を叩き起こすから人里に送ってもら…「輝夜!」っ!?」
瞬間、妹紅が私と少女の間に割り込んだ。
「ちょっと妹紅!何す…ッ!?」
すぐに起き上がって見ると、妹紅が首を掴まれていた。
「げぇ…がぁ…」
私は急いで弾幕を展開する…が相手には殺傷能力がないのを忘れており、彼女は妹紅を離すと
「っぐ…!?」
腹部に強力な一発をお見舞いされる。
その衝撃で腎臓が破裂した。
「っぐぇ…」
忘れていた、この痛み。妹紅との勝負では『弾幕を当て続け死んだほうが負け。』というルールでやっていた。
だから死ぬのには慣れているが痛みには慣れていない。
「っあああああああああああああ!!」
妹紅が死ぬ気で炎をぶち当てた。
「輝夜!走れ!鈴仙でもいい、てゐでもいい!永琳でもいい!だからそいつらに伝えろ!」
「…わかったわ!」
私は走った。
「うどんげ!!」
「姫様!?どうしてそんなに血だらけなのですか!?」
「妹紅が…妹紅が…!」
「? 妹紅さんがどうかされたのですか?」
私はうどんげに話した。
妹紅との殺し合いの後に感じた殺気、竹藪から出てきた少女、妹紅に突き飛ばされ、妹紅が首を絞められていたこと。
弾幕を打ったが、殺傷力が低くこちらに標的にヘイトが向けられ、腹部の殴られ、腎臓が破裂したこと、妹紅が今もなお交戦中の事。
すべてを聞き終えたうどんげはこういった。
「姫様は中に入り師匠にお伝えください。私は妹紅さんを援護しに行ってきます。」
「だめよ!私も行く!」
「主にけがをさせることなどできません!」
そう口喧嘩になっていたら、中から永琳が出てきた。
「永琳!妹紅を助けて!」
私が言うと永琳は「泣くほどの何かがあったのか」とうどんげに聞いた。
うどんげは永琳に私から聞いたことをすべて話した。
「そう、それが厄災なのね」
永琳は納得したようにうどんげになにかを伝えた。
私には教えてくれなかったが。
すべてを聞いたうどんげは「了解しました」と一言だけ言うと走っていった。
永琳はイナバ達に弓と矢を持ってこさせると玄関前でキリキリと引いた。
そして放つ。
そしてこういった。
「さて、姫様、妹紅を拾いに行きましょう」と。
永琳と私は走りうどんげと合流し、妹紅を助けに行った。
「嘘…」
永琳が放った矢は確かに当たっていた。
だが、当たっていたのはその少女ではなかった。
「何故…妹紅にあたっているの?」
そう、妹紅にあたっていたのだ。
その矢には麻痺毒が塗ってあったらしく、しびれて動けない妹紅の腹を破き、心臓を弄って笑っていた。
「妹紅!!」
私は走って妹紅のもとへ行こうとしたがうどんげに止められた。
「鈴仙、波長を…」
「
うどんげは少女に狂気の瞳を使った。
少女がこちらに向かって来ようとしたときに、目と目を合わせたのだ。
うどんげの目を見たとたん、少女はもがき苦しんでいた。
「師匠、トドメを」
永琳はうどんげに言われ矢を放った。
だが、矢が当たる前に彼女は避けた。
否、消えた。
「っどこに!」
消えたと言おうとしたのだろう
だが、その言葉の先を言う前に
「けほっ…な…何で…」
口から血が出る。
誰がどう見ても重症だった。
うどんげが呆然とする。
その日の夜、八雲紫の式鬼がこちらに来なければ、みな死んでいただろう。
妹紅と私は心臓を弄られ痛みへの恐怖を植え付けられた。
永琳は出血多量、てゐは竹林で頸動脈を切られていたのを発見された。
うどんげは身体に別条はなかったが、目の前で行われたことがあまりにも凄惨だったために精神が崩壊し壊れてしまった。
永琳、てゐ、うどんげは八雲紫が能力で治療、うどんげはさとり妖怪が治療してくれたようだった。
だが、もう私と妹紅は殺し合いも、弾幕勝負もやらないだろう。
心の奥底に、痛みへの恐怖を植え付けられてしまったのだから。