幻想郷の厄災   作:みかん汁だったライター

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勇儀side


第二被害:地底 後編

 

 「あの…ヤバイヤツが来ている…?」

 

 私は信じたくなかった。

 

 「その可能性が高いです」

 

 「…さとりが言うのならそうかもな」

 

 私は彼女と関わりを持っていた。だからこそ彼女を信じる。

 

 

 彼女の前で嘘は通じない。

 

 まさに地底の名探偵だ。

 

 幾度も犯罪者を見つけてきた。

 

 それに彼女には人が感じた痛みの分かる優しい少女だ。

 

 たまに卑屈なときもあるが、顔見知りや好いたヤツの事を大切に思っている。

 

 彼女を信じる。

 

 それが私、星熊勇儀の決断だ。

 

 「勇儀さん…少々恥ずかしいです。」

 

 さとりは少し…いや、とても照れていた。

 

 「でも…ありがとう御座います。」

 

 そして、笑顔で笑った。

 

 

 とても綺麗な笑顔だった。

 

 「いやいや、本心を述べたまでだよ!」

 

 私も笑い返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやぁ!酒旨かったな!」

 

 「そうだな!あのつまみとの相性も最高だったぜ!」

 

 夜道を歩く鬼二人。

 

 

 「それで…」

 

 その談笑は続かなかった。

 

 「おい、どうした?」

 

 その目に写ったのは首から血を流す息子だった。

 

 「おい!おい!しっかりしろ!?」

 

 ふと、後から何かの物音がした。

 

 「誰っ!」

 

 

 その先もまた、言えずに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度は私の友人とその息子が死んだ。

 

 気の良い奴だった。

 

 酒とつまみの食べ合わせが良いもの、悪いものをよく知っており、私も彼に助けられたことがあった。

 

 そんな彼とその息子が、死んだ。

 

 私は嫌だった。

 

 これ以上誰かが死ぬのが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   さとりside

 

 その日は、地霊殿でお燐に紅茶をいれて貰って仕事をしていた。

 

 仕事が一段落し、ペット達の世話をしようと動物の間に行こうと廊下にでた。

 

 「…悲鳴?」

 

 第三の目(・・・・)でお空の心の声が聞こえてきた。

 

 私は走った。

 

 いつもは開いているはずの無い炉の扉が開いていた。

 

 中を覗き、お空に聞く。

 

 

 「お空!どうしたの!?」

 

 すると、心の声が聞こえてきた。

 

 『さとり様…逃げてください…!』

 

 「何故!?何があったの!?」

 

 『私が食い止めている間に…お燐と一緒に…!』

 

 「…!?」

 

 私が食い止めている間に?

 

 お燐と一緒に?

 

 「貴女はどうするのよ!」

 

 『私の事なんでどうでも…いいです…から…っがぁ…』

 

 刹那、お空の心の声が消え、炉が爆発した。

 

 私は吹き飛ばされ、お燐に受け止められた。

 

 「さとり様!どうしたんですか!?」

 

 「お燐、勇儀さんを呼んできて、至急よ!」

 

 「!?はいっ!」

 

 お燐に行かせて私が食い止める。

 

 お空はもう、息絶えてしまった。

 

 せめて、亡骸だけでも埋葬したい。

 

 「私に出来れば…ね」

 

 彼女が出てきた。

 

 幻想郷の厄災が(・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さとりside out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勇儀side

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が地霊殿に着いたとき、大部分が壊れていた。

 

 

 炉の周りに行くと、さとりが血を流して倒れていた。

 

 「さとり様…!さとり様…!」

 

 お燐は泣いていた。

 

 私も泣いていた。

 

 いくらさとりが妖怪でも、治療出来ない程の怪我だった。

 

 「お燐…勇儀さん…」

 

 「最後に聞いてください…彼女の心を読んだ所、彼女は…」

 

 そこで血反吐を吐いた。

 

 抱き抱える。

 

 「彼女の心の内(なか)で、彼女は…」

 

 刹那、少女が現れた。

 

 流れるような黒髪で、ぱっちりとした瞳。

 

 

 あいつだった。

 

 永遠亭の面々をを重症に追い込んだ。

 

 あの少女だった。

 

 

 

 

 「…」

 

 彼女はさとりに目をやると空中で手を振りかざした。

 

 

 そして何処かへ去っていった。

 

 「さとり、彼女は…何を思っていたんだ?」

 

 だが、その言葉に返答はなく

 

 

 彼女は死んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

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