ダンジョンで料理人が有名なのは間違っていますか?   作:混沌の魔法使い

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メニュー18 豚汁

メニュー18 豚汁

 

オラリオを黄色いモンスターが徘徊しているという号外を見たメイド服を纏った薄鈍色の少女……シル・フローヴァはその顔を引き攣らせていた。そんなシル・フローヴァの手にしている号外を後から覗き込んだネコ耳の少女も引き攣った表情を浮かべた。

 

「経験を取得しないと痩せれないとかなんの嫌がらせニャ!?」

 

「ほ、本当だよね。アーニャ、私達みたいな店員には死活問題だよね」

 

アーニャの声にシルはそう返事を返したが、その表情はいまだ曇ったままだった。

 

「シル、アーニャ! アンタラいつまでサボってるんだい!」

 

厨房から大きな声が響き、号外を見ていたシルとアーニャは慌てて自分達が勤める店……「豊穣の女主人」の中へ慌てて戻った。

 

「すいません、ミア母さん。店の外にも号外が沢山落ちていて」

 

「号外? ああ、なんかモンスターが暴れてるってやつかい。拾ってきたんだろ? あたしにも見せておくれ」

 

シルとアーニャが拾っていた号外にサッと目を通した豊穣の女主人の店主ミア・グラントはふんっと鼻を鳴らし、手にしていた号外をぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に入れた。

 

「シル、アーニャ。ちょっとダイダロス通りにまで行って来ておくれ」

 

「ダイダロス通りにですか?」

 

「何でニャー?」

 

ダイダロス通りは現在のオラリオでは1番の危険区域と言える。そんな場所に行けと言われ、シルもアーニャも怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「ダイダロス通りで炊き出しをやってる極東の男がいるらしいんだよ。それがまたやけに美味いって市場で噂になってるんだよ。ちょっと様子を見て来ておくれ」

 

ミアの耳にもダイダロス通りで炊き出しをやっているカワサキの話は届いていた。本来ならばミアが直接行きたい所ではあるが、ミアの存在がこの周辺での闇派閥の抑止力となっているので出歩く訳にも行かず、シルとアーニャに様子を見に行く事を頼んだのだ。

 

「分かりました。えっとどんな味か確かめてくれば良いんですか?」

 

「それもあるけど、余裕があったらうちの店にも顔を出すように伝えてくれ、ちょいと話してみたいんだ」

 

「分かったニャー! シル行くニャー!!」

 

ミアの言葉に頷き、シルの手を引いて店を飛び出して行くアーニャの背中を見つめながらミアは大きく溜息を吐いた。

 

「どうもきな臭いんだよねぇ……この男」

 

号外に小さくダイダロス通りで無償で炊き出しをやっている男という話が載せられていたが、それがミアには引っかかっていた。

 

「どうしてこんな時にオラリオで無償で炊き出しなんか出来るんだい?」

 

今のオラリオは闇派閥の影響で物価が高い、それにいつ闇派閥に攻撃されるかどうか分からない中で好き好んでオラリオに腰を下ろす理由が無い。それに孤児にパンの焼き方などを教え、盗みなどをしなくて良いようにしているという話も聞いていたが、それが余計にミアにカワサキを怪しいと思わせる理由になっていた。

 

「あんとき……アルトの奴が口を滑らせていたしね」

 

特例でフレイヤファミリアからの脱退を許されたミアはそのままゼウスとヘラを探してオラリオを旅立った。それから半年ほどで運よく街道沿いに停車しているゼウスとヘラのエンブレムを掲げられた馬車を見つけ、顔を出したのだが……丁度飯時だったのかミアの姿を見て慌てて馬車に駆け込む姿を遠目に見たのだが……。

 

「確かカワサキって呼ばれてたねぇ」

 

明らかに人間ではないその人物をカワサキとアルトは呼んでいて、そして今オラリオにいる料理人の名前もカワサキ……。

 

「どうも怪しいねぇ」

 

夜の度に現れる黄色いモンスターと料理人カワサキに何か繋がりがあるのではないかとミアは疑いを抱いているのだった……。

 

 

 

シチューの入れ物を4つ腕から下げてダイダロス通りに向かいながら私は出発前にアストレア様に聞いた話を思い返していた。

 

「どうしたものかしらね」

 

経験値が増えていない男の冒険者は禿、女の冒険者は太ると言う料理をばら撒いていた人語を理解する黄色いモンスター。それはロキとフレイヤがゼウス・ヘラファミリアに戦争遊戯を仕掛けたときに出現したモンスターと同じ特徴を持っていたらしい。

 

「うーん……殺すつもりなら既に殺してる筈よね」

 

直接戦闘力も高い筈なのに、行なった事は嫌がらせに等しい何か……殺すなら殺せたはずなのにそれもしなかった事に何か意味があるのかもしれない。それに気になる事はまだほかにある……。

 

「闇派閥と邪神の殆どが意識不明の所を拘束されて入院……か」

 

闇派閥の団員とその主神が黄色いモンスターに襲撃され、今も意識不明でミアハファミリアとディアンケヒトファミリアに隔離状態で入院しているらしいが……夜のたびに現れるあのモンスターが何を考えているのかがまるで理解出来ない。何を考えているのかと考えながらダイダロス通りに足を踏み入れると小気味良い音が響いてきた。

 

「何の音かしら?」

 

周囲に響く音に首を傾げながらカワサキさんが炊き出しをしていた一角に行くとそこには何故かガネーシャファミリアのアーディの姿があった。

 

「よいしょおッ!」

 

アーディが振りかぶって白球を投げるとその白球は明後日の方角に飛び、それを跳躍したカワサキさんが手に嵌めた皮製の何かで受け止めるとまた小気味良い音が響いた。

 

「ヘッタクソだな、お前」

 

「へたくそって私初めてやるんですけど!?」

 

あんまりなカワサキさんの物言いに反論するアーディに思わず噴出すとカワサキさんとアーディが私に気付いた。

 

「あれ? アリーゼ? どしたの?」

 

「どうしたはこっちの台詞。アーディこそ何やってるのよ? あ、カワサキさん。これシチューの入れ物!ちゃんと洗っておいたわよ!」

 

「あいよ。ん、ちゃんと4つあるな。ちゃんと返しに来て感心感心」

 

カワサキさんは私が差し出した筒を受け取り、それを何時の間にか出来ていた屋根しかない簡易的な小屋の中に入れる。

 

「それでアーディはなにしてるの?」

 

カワサキさんが戻ってくるまでに改めてアーディに何をしてるのかと尋ねる。

 

「なんかカワサキさんがダイダロス通りの子供に遊びを教えるんだって、ほら。あっち見える?」

 

アーディの指差したほうを見るとダイダロス通りの子供達がカワサキさんと同じように革製の大きい手袋のようなものを片手に嵌めて白球の投げあいをしていた。

 

「あれが遊び?」

 

「んーなんかの練習みたいだよ。野球って言うんだって」

 

「野球ねぇ……聞いたことないわね? どんな遊びなの?」

 

どんな遊びかは分からないけど、白球を使う遊びなのはとりあえず分かったので、戻って来たカワサキさんにどんな遊びなのかと尋ねる。

 

「野球っていうのは9人対9人での勝負をする遊びだな、攻撃側は守る側のピッチャーが投げる球をバットで打つ、守る側は打たれたボールを取る。ほかにも細かいルールはあるが大体そんな遊びだ」

 

「物凄く雑じゃない?」

 

説明が余りにも雑である。説明を聞く限りではふんわりとしか理解出来なかった。

 

「やってるうちに分かるさ、ま、そうは言ってもキャッチボールすら出来ないんじゃ、野球なんてまだまだだけどな。どうする? アーディまだ続けるか?」

 

「もう良いよ。まだやることあるし、また今度お願いー」

 

アーディはカワサキさんに手袋を返して、ダイダロス通りを出て行き、カワサキさんは手袋を木箱の上に乗せると別の木箱からトンカチと釘を取り出して額にタオルを巻いた。

 

「今度は何をするの?」

 

「黒板を作るんだよ、黒板。読み書きと簡単な計算くらい出来るようにしてやろうと思ってな」

 

「学校を作るの?」

 

「んな大層なモンじゃねぇ。青空教室だよ、青空教室。最低限の読み書きと計算が出来りゃぁガキ共も出来る事が増えるだろ? だから教えるんだよ。おーい! そろそろ作業するから手伝ってくれ」

 

カワサキさんが声を掛けると怪我や病気で冒険者を引退した人達が出て来る。

 

「線を引いたからこの線に沿って木材を切ってくれ」

 

「了解っと」

 

「私は?」

 

「屋根をもう少し丈夫にしたいから、これ、買ってきた布を縫ってくれるか?」

 

カワサキさんが指示を出すと引退した冒険者達は文句も言わず作業を始めるのをみて少し驚いた。

 

「驚いただろ? なんか数日ですっかり馴染んでねぇ。今では引退した冒険者だけじゃなくて、荒くれまで言う事を聞く始末だよ」

 

「それは凄いわ。リーダーの素質があるのかしら?」

 

ペニアも呆れたと言わんばかりの口調だが、その顔は楽しそうで口調ほど困っていないのが良く分かる。

 

「あんたもやる事が無いなら手伝って行きな。手伝えば飯を食わせてくれるし、また土産でも持たしてくれるよ」

 

土産……正直アストレアファミリアの家計は火の車なので、一食無償っていうのは正直ありがたい。

 

「良し、カワサキさん。私も手伝うわ、何をすれば良いの?」

 

「お? 手伝ってくれんのか? ありがとうよ、じゃあそこを押さえてくれ、釘を打つから」

 

「はーいッ!」

 

私もカワサキさんの指示にしたがい、ダイダロス通りの一角に学校を作るのを手伝い始め、太陽が頂点に近ずき始めた頃カワサキさんが手を叩いた。

 

「よーし、1回休憩にしようや。これレモン水用意しておいたから、これでも飲んで飯が出来るのを待っててくれ、今から特急で支度するからよ」

 

「タフねぇ」

 

1番動いていたのに、皆の食事の準備まで率先して行なうカワサキさんを見て私はそう呟きながら、カワサキさんが置いていった水差しの中身をコップに入れたのだが……。

 

「え? まだ全然でるんだけど!?」

 

「驚いたろ? なんかカワサキの魔道具らしくてな、水を出し続けてくれる水差しなんだよ」

 

「これ便利よねぇ。これがあるだけで井戸に水を汲みに行かなくても良いし、いつでも冷たい水を飲めるし最高よね」

 

いやいや、とんでもない魔道具を平然と置いていくカワサキさんは危機感が少し無いんじゃないかと心配になる。これ持ち逃げされたらどうするつもりなのだろうか?

 

(んーよく分からないわ)

 

良い人なんだとは思うけど、どうもちぐはぐな印象を受けるんだよなあと鼻歌交じりに料理をしているカワサキさんを見ながら私は首を傾げるのだった……。

 

 

 

ダイダロス通りの広場から漂ってくる香りにつられて1人の子供がダイダロス通りに入ろうとしてその足を止めた。子供にしても更に小さい、それも当然小人族の子供なのだから小さいのは当然だが、それに加えてその子供は小人族であっても更に小柄で、そしてその身体に纏う衣服もそして身体もボロボロだった。

 

「……お腹が空きました……」

 

小さな本当に今にも消えてしまいそうな呟きを小人族の少女……リリルカ・アーデは呟いた。ソーマファミリアの両親の元で生まれ、生まれてすぐ恩恵を刻まれたリリだが、ソーマファミリアの団員はソーマの作る「神酒(ソーマ)」に溺れており、ソーマを買う為だけに冒険者をやっている者しかおらず、リリの両親も同じ部類の小人であり、ソーマを得る為に無茶な冒険をし、あっけなく命を落とし、リリはソーマファミリアの冒険者に暴言や暴力を振るわれながら育った。

 

「……帰りましょうか」

 

何か良い匂いがするとここまでやって来ましたが、ダイダロス通りなんて恐ろしい場所に入るつもりは無く、踵を返して歩き出そうとした瞬間私は浮遊感を感じ、私の足は宙を切っていました。

 

「へ?」

 

「何処行くんだ? ガキ」

 

背後から聞こえて来た声に脅えながら振り返ると黒髪、黒目の男が私の襟首を掴んで持ち上げていました。

 

「あ、いや、そのですね!? ただ通り掛かっただけなんですよ、冒険者様!?」

 

その屈強な身体から冒険者だと思い、取り繕うように早口で喋ると私を捕まえていた男は首を左右に振った。

 

「生憎俺は冒険者じゃねえんだ、まぁ良い。おら、行くぞ」

 

「ど、どこへですか!?」

 

冒険者ではないのなら奴隷商かと脅えながら声を掛けるとダイダロス通りの方から子供が2人出てきた。

 

「おじさん、何処行ってたの?」

 

「ん? 腹減ったって声が聞こえたから見に行ってたんだよ。そしたら帰ろうとしてるからな、こうして捕まえたんだわ」

 

「おじさん、持ち方が酷いと思うの」

 

「なんか逃げそうな感じだからな、捕まえといた方が良い」

 

やっぱり奴隷商に捕まってしまったのだろうか。逃げようにも完全に捕まっているので逃げる事も出来ず、ダイダロス通りに足を踏み入れると入り口の広場のほうには何時の間にか小さな小屋や椅子、机などが並べられていた。

 

「カワサキさん、どうしたの? その小人の子」

 

「なんか逃げようとしてたから捕まえたんだわ。あれだろ? ダイダロス通りの孤児だろ?」

 

「違うよ? 私達も見たことないよ」

 

「うん、私達の友達じゃないよ?」

 

「あ、あのですね、わ、私はちゃんと帰る……あ」

 

孤児と勘違いされているのならちゃんと説明すれば逃げれると思い説明しようとした時、お腹が大きく鳴り、思わず顔が紅くなった。

 

「腹減ってんだろ? 丁度良い、炊き出しやってるんだ。食ってけ」

 

「おじさんの料理は美味しいよ!」

 

「一緒に食べよう!」

 

「え、あ、は、はい」

 

勢いに押されて頷くと私を捕まえていた男……カワサキの手が緩んで、地面へと降ろされた私は孤児の列に何時の間にか並んでいた。

 

「ほいよ。大盛りな」

 

「あんがとよッ!」

 

カワサキという男は大鍋の前に立ちスープを椀によそいそれを配っている。

 

(こんな人いましたっけ?)

 

黒髪黒目なのでかなり目立つ容姿だが、私には見覚えの無い人物だった。

 

「はいよ、しっかり食えよ。お代わりは沢山あるから足りなかったら遠慮せずに来いよ」

 

「あ、は、はい! ありがとうございます」

 

私にもスープの入った椀が渡されるのだが、茶色の泥水のようなスープに思わず硬直する。

 

「味噌汁っつうスープだ。毒でもないし、泥でもない。ちゃんと食いもんだから心配すんな」

 

スープ……スープ……いや、でも食べれるだけありがたいと思い、用意されていた机に御椀をおいて椅子に座る。

 

「「いただきまーす」」

 

「えっと?」

 

「いただきますだよ? こうやって言わないとおじさんに注意されるんだよ」

 

「だからいただきますをしないと駄目なんだよ?」

 

「あ、はい、い、いただきます」

 

食事の挨拶なのだと思いおずおずといただきますと口にし、御椀に刺さっていたスプーンを手にしてスープを掬い上げる。さらさらしていて、茶色いスープに本当に大丈夫なのかという不安が脳裏を過ぎるが、自分の周りの子供達が笑顔で飲んでいるのを見て私も覚悟を決めてスープを口に含んだ。

 

「……美味しい」

 

「美味しいよね、おじさんの作ってくれる料理は見たことないのが多いけど凄く美味しいんだ」

 

「まえのかれーも美味しかったねー」

 

「僕はあれ、あの甘くてふわふわのがすきー」

 

子供達があれが美味しかった、これが好きと話している隣で私はスープを無言で口に運んでいた。温かい料理なんていつ振りかも分からない、それが凄く美味しいのなら尚の事、たっぷりの野菜と薄切りの肉がこれでもかとスープの中に入っていて……。

 

「美味しい……美味しい……」

 

美味しいと今にも消えそうな声で何度も呟き、目から温かい涙が流れるがそれを拭おうともしないで私は何度も何度も美味しいと呟き、スープを口へ運んだ。

 

「あ……」

 

だが形ある物終わりがある、空になった皿を見て思わず声が零れてしまった。

 

「おかわり貰いに行こう? おじさんもおいでおいでって手招きしてるよ」

 

「い、良いんですか?」

 

「良いんだよ! お腹一杯食えっていつも言ってくれるんだ! ほら、行こう!」

 

ひっこみ事案の私の手を引いて歩き出してくれた皆に小さくありがとうと私は呟いた。

 

「遊びに来ましたよー!」

 

「リリー、キャッチボールやろ!」

 

「はーい!」

 

ソーマファミリアに行き場のない私にダイダロス通りはいつでも私を受け入れてくれてる居場所になってくれるのでした……。

 

 

 

 

泣きながら豚汁を飲んでいる子供を見ながら俺は手にしていたお玉を鍋の縁に掛けて蓋を閉めた。

 

「悪いな、随分と待たせたようで」

 

「全然かまわないニャー! このスープ美味いニャッ!」

 

「急に尋ねて来たのは私とアーニャですから」

 

揃いの制服を着た灰色の髪をした少女とネコ耳をした少女は炊き出しを始める少し前に俺を尋ねて来たのだが、炊き出しが始まるから今は忙しいというと食べながら待ってますというのでこうして待っていて貰った訳だ。

 

「なぁ、アリーゼ。あの子供いるだろ? なんか分けありっぽいけど、ソーマってなんだ?」

 

「……ソーマはソーマファミリアっていう酒の神様のファミリアよ。ただ主神のソーマが酒造りに没頭してて闇派閥予備軍になってるわ」

 

「ふーん……なるほどね」

 

ソーマファミリアか、次はそこを狙ってみるかと思いながら、目を細めている灰色の髪をしたシルと名乗った少女に視線を向ける。

 

「俺に何か?」

 

「あ、いえ、その珍しいなと」

 

「黒髪黒目は珍しいニャー!」

 

「ああ、これか。極東のほうだからな、オラリオでは珍しいだろ」

 

それとはまた違う感じの、俺を観察しているような視線だったが、まぁ良いだろ。大して気にするまでもないと思い、座っていた椅子から立ち上がる。

 

「おかわりー」

 

「あ、あのおかわりください」

 

「おう、一杯食えよ」

 

俺が捕まえた子供と一緒に来た子供達の差し出した御椀に豚汁をまた注いでやって再び椅子に腰を下ろす。

 

「炊き出しなんてやって大丈夫かニャー? ヴァリスは?」

 

「俺がやりたいからやってるんだ。金は問題じゃない、それにパンとかを売ってそれなりに稼いでるしな、あいつらが」

 

子供が作った物だから雑いが、それがかえって大人の涙腺に振れ、かなり売り上げは出ているから、材料費は十分にあるのだ。

 

「それであーっと豊穣の女主人か? そこに行けば良いのか?」

 

「はい、店長のミア母さんが話をしたいと、大丈夫でしょうか?」

 

ミア……ミアねぇ……ゼウスの爺さん達を探していたオラリオの冒険者だったなと思い出す。

 

(まぁばれないだろ)

 

俺の姿は見られてないし、人化の姿も初見だから繋がりなんかある筈もない。

 

「良いぜ、今日の夜にでも顔を出すよ。料理屋っていうんだからその味に興味がある」

 

「良かったニャー、ミア母さんにも伝えておくニャ! でもちゃんとヴァリスは持ってくるニャー?」

 

「分かってる、ちゃんと行くって伝えておいてくれ、それと豚汁持って帰るか?」

 

是非お願いしますと声を揃えるシルとアーニャに魔法瓶に入れた豚汁を渡して見送り、アリーゼの分の魔法瓶も4本用意する。

 

「カワサキさん、夜はあんまり出歩かない方が良いですよ? モンスターが出ますから」

 

「ああ。黄色いのか? 男は禿げて女は太るんだったっけ? 面白い事やる奴もいるよな」

 

「面白くないわ!? 女の天敵よっ!」

 

「お、おう、悪い」

 

まぁ嫌がらせなので嫌われても良いのだが、ここまでいわれるとちょっとビックリする。

 

「とにかくカワサキさんもあんまり外は出歩かないようにね!あと人通りが多いところを選んで、今日は私達が見回りをするんで大丈夫だとは思うけど、カワサキさんも気をつけてね!」

 

俺に気をつけるように言って魔法瓶を抱えて帰って行くアリーゼの背中を見送り頬をかいた。

 

「なんか悪い事をした気がする」

 

今日俺は豊穣の女主人にいくので襲撃は当然しない、そんなに日に見回りをする事になったアリーゼ達に申し訳無い気持ちになった。

 

「明日なんか差し入れするか」

 

アストレアファミリアの場所は聞いてるし、明日は差し入れでもするかなと俺は呟き、豚汁の追加の準備を始めるのだった。

 

 

メニュー19 カワサキさん豊穣の女主人にヘ行く その1へ続く

 

 




今回はリリとエンカウントしてみました。まだ擦り切れてないときなので、多分きっとこんな感じだと思います。そしてソーマファミリアをロックオンしたカワサキさん、麻婆豆腐が次に火を噴くのはソーマファミリアに決定しました。次回豊穣の女主人でダンまち世界の食事を食べるカワサキさんでお送りするので、次回の更新もどうかよろしくお願いします。

オラリオにアインズ・ウール・ゴウンのメンバーがいるのは

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