ダンジョンで料理人が有名なのは間違っていますか?   作:混沌の魔法使い

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メニュー26 じゃがまる君(コロッケ)

 

メニュー26 じゃがまる君(コロッケ)

 

ソロでの深層へのアタックも勿論鍛錬として申し分ない物であったが、カワサキに教えられる技術は経験値にはならないが俺にとって得難い経験だった。

 

「今日は面白い物を見せてやるよ。オッタル」

 

面白い物を見せてやると言ったカワサキはバンダナで己の視界を塞ぎ、俺と向かい合った。

 

「まさか目隠ししたまま組手をすると言うのか?」

 

「まさかじゃなくてそのつもりだ。ほれほれ、掛かって来い」

 

手招きするカワサキに馬鹿にするなと内心苛立ちながら踏み込んで右拳を突き出す。俺も見ている連中もカワサキに当ると確信していたのだが、カワサキは左手で俺の右拳を弾いた。まぐれと思い、今度は左拳を突き出すが、これも弾かれた。なら今度はと1歩下がり蹴りを放つが両手で蹴りを受け止められ、そのまま上へと跳ね上げられ、俺は後ろへひっくり返った。

 

「そのバンダナ、実は見えているのか?」

 

「いや、見えてねえよ? ほれ」

 

カワサキがバンダナを外し、俺へと投げ渡してくる。それを受け取って調べるが、厚めの生地で駆け出しの冒険者が無いよりはましと購入する頭の防具のバンダナだった。

 

「何故視界が塞がれているのに、俺の攻撃を防げた」

 

「気配だな、後は殺気を感じ取れば視界が見えなくても反応できるし、ほれこの通り」

 

話している最中に振り返ったカワサキは木の枝を振り上げていた子供の手の中の木の枝を掴んでいた。

 

「あ……」

 

「んん? アーディかアリーゼと思ったんだけどな……」

 

金髪の幼女を見て不思議そうにしてるカワサキはぽんっと手を叩いた。

 

「なんだお転婆だな。チャンバラに興味があるのか?」

 

「え、あ……あの」

 

「持ち方が良くないな。布を巻いてやろう」

 

「え、あ……ありがとう」

 

物凄い困惑してる幼女に布を巻いた木の枝を渡すカワサキを見て、俺は構えを解いた。

 

「そろそろ日課の時間だから今日は帰る。今度はその視界が塞がれても戦える奴を教えてくれ」

 

「悪いな。偶にはガキの面倒もみてやらないとな」

 

「俺が割ってはいっただけだ、気にしなくて良い」

 

また来ると声を掛けてダイダロス通りの広場を出るとカワサキに構って欲しかったのか孤児達の声が聞こえて来る。

 

(あの娘……確かロキファミリアの)

 

カワサキに殴りかかった子供は孤児ではなく、ロキファミリアで面倒を見られていた子供……確かアイズだったと記憶していたが……。

 

「あそぼー♪」

 

「え、あ……」

 

「グローブもあるからキャッチボールしようか」

 

「え、あ……はい」

 

孤児達に囲まれて、木の枝を取り上げられおろおろしながらも、子供達に紛れて遊んでいるアイズを見て、大人ばかりのロキファミリアにいるよりもカワサキや孤児達と共にいる方がアイズにとって良い影響になるだろうと思いながら俺はダンジョンへと足を向ける前にバンダナを購入した。

 

「物は試しだ。やってみる事にしよう」

 

殺気には慣れているので、モンスター相手ならばカワサキの真似事が出来るかもしれないと思い。俺はバンダナを購入し、中層のリヴィラの町の手前で試してみる事にしたのだが……。

 

「思うようにはいかんか」

 

中層のモンスターという事で致命傷にはならないから良いが、どうしても1挙動遅れ、カワサキの言っていた通り気配も感じ取れなくてはカワサキのような防御は出来ないと理解しつつも、気配と殺気を掴む鍛錬の為にバンダナで視界を塞いだままモンスターとの戦闘を続けるのだった。

 

「なぁ、あれ猛者だよな。なんであいつ目を塞いでモンスターと戦ってるんだ」

 

「知らん」

 

「というかあいつ少しずつ避けてないか?」

 

「「「「こわっ」」」」

 

リヴィラのならず者達は少しずつ動きが良くなってきているオッタルを見て恐怖を抱いていたが、オッタルはそれに気付く事も無く視界を塞いだままモンスターと戦い続けているのだった……。

 

 

 

 

ダイダロス通りに行けば強くしてくれる人がいるという話をベート達がしていたのを聞いて、こっそりとホームを抜け出してダイダロス通りに来たのは良かったけれど、強くしてくれる人はたしかにいたが、私を強くはしてくれなかった。

 

「良し、このエプロンとバンダナはお前にやろう。大事にするんだぞ」

 

「あ、はい」

 

話を聞いてくれないだけではなく、防具とは思えないエプロンとバンダナをくれただけだった。

 

「何をするのですか?」

 

「皆でコロッケを作るんだ。ほら、手を洗っておいで」

 

鍛錬をさせてくれないのなら帰ろうと思っていたのだが、帰れる雰囲気でも無く私も一緒にカワサキと呼ばれる人に教わりながら料理を作る事になった。

 

「まずはじゃがいもの皮を剥くぞ。ピーラーを使って皮を剥けば手を切る事はないからな、落ち着いてゆっくりと皮を剥くんだ」

 

「「「はーい」」」

 

ピーラーという手に収まるくらいの小さな道具には回転する刃がついていて、それをじゃがいもに押し当てて皮を剥いているのを見て、私もそれを真似してじゃがいもにピーラーを押し当てて下に向かって動かすと面白いように皮が剥けた。

 

「おお……」

 

料理になんて興味は無かったが、こうも綺麗にむけると面白くなって来る。皆で皮を剥けば小山のようにあったじゃがいももすぐに皮を剥く事が出来た。

 

「そしたらじゃがいもを4つくらいに切る。そこの包丁を使えば良い」

 

包丁だけど、刃物って感じがしないおもちゃみたいな包丁でじゃがいもを4つに切ると隻眼や片腕の元冒険者と分かる人達が私達が切ったじゃがいもを回収し、大きな鍋の中で煮始める。

 

「おじさんは何をしてるの?」

 

「ん? これか、玉葱と挽肉を炒めてる。玉葱を切ると泣いちゃうけど切るか?」

 

「いい……」

 

「はっはっは。もう少し大きくなれば玉葱も切れるようになるさ」

 

玉葱と挽肉を炒めているカワサキの周りには沢山の人がいた。愛想よく笑うその姿は親しみがあって、どこか懐かしい気持ちにさせてくれた。

 

「よっし、じゃがいもが茹で終わったからこれで押し潰すんだ」

 

「潰せば良いんですか?」

 

「そ、潰せば良い。でも潰しすぎると美味しくないからある程度形を残して潰すのがポイントだ」

 

「なるほど、分かりました!」

 

切って、茹でたじゃがいもを潰すのだというカワサキが渡してくれた棒を両手で持って、鍋の中のじゃがいもを押し潰す。茹でてあるからか、少し力を加えるだけで簡単に芋を潰すことが出来た。

 

「お芋を潰せたよ!」

 

「これくらいだよね」

 

皆がカワサキにこれくらいだよねと尋ねるので、私もじゃがいもの入った鍋をカワサキに向ける。

 

「……これくらい?」

 

ある程度形を残しつつも、綺麗に潰す事が出来ていると思う、それをカワサキに見せると頭に手をおかれた。

 

「なんだ、上手に出来てるじゃないか」

 

わしゃわしゃと力任せに頭を撫で回される。力任せで加減なんかされてないのに……それが何故かとても優しく感じた。

 

「次だ。潰したじゃがいもにこの挽肉と玉葱を一緒に炒めた物を加えて、じゃがいもと一緒に混ぜる。良く混ざったら、こうやって形を整える」

 

鍋から芋を潰した奴を取り出して丸く形を整えるのを見せてくれたので、それを真似して潰した芋を取り戻して薄っぺらく、丸く形をどんどん整える。

 

「良し、ここからは俺の番だ。座って待っててくれよ」

 

皆で形を整えた物にカワサキが小麦粉を塗し、溶き卵を絡めてパン粉を塗してそれをたっぷりの油で揚げる。

 

「よーし、コロッケの完成だ。熱いから気をつけて食べるんだぞ」

 

完成したコロッケが配られ、机の上のフォークで小さく切って口へ運んだ。

 

「美味しいッ」

 

「ん~美味しいッ!」

 

「凄く美味しいですね!」

 

サクサクの衣にほくほくとした芋の食感に、その中にまじっている挽肉が食感を変えてくれるだけではなく、肉の脂と味が芋の味をずっと美味しくしてくれている。

 

「美味しい」

 

「はっは、なんだ随分とコロッケを気に入ったんだな?」

 

「ん、美味しい」

 

コロッケが美味しいのもあるけど、皆で作ったというのが余計に美味しく思わせてくれるのかもしれない。

 

「……これ持って帰りたい」

 

「ん、良いぞ。袋につめてやろう」

 

「ありがと」

 

上手に出来たからリヴェリア達にも食べて貰いたいと思ってカワサキに袋にコロッケを詰めてもらって私はロキファミリアのホームへと戻った。

 

「ダイダロス通りで作った」

 

「これをアイズが?」

 

「ん、頑張った」

 

「アイズたん……頑張ったなあ。よーし、うちももらおっかなあ!」

 

「うん、美味い。上手に出来ているぞ、アイズ」

 

リヴェリアやガレス達にも上手に出来ていると褒められ、鍛錬は出来なかったけど、ダイダロス通りに行って良かったと思うのだった……。

 

 

 

 

~7年後18階層~

 

「えっとですね。これその……お詫びのつもりで作ったのでよろしかったら皆さんで……」

 

「それで覗きが許されると思っているのですか」

 

「ヘルメス様が原因なので、ベルが悪いわけではないと思いますよ?」

 

ベルがヘルメスに唆され、知らぬ間に水浴びを覗いてしまったベルはお詫びを兼ねてコロッケを作っていたのだが、当然レフィーヤはそれで許すわけも無くジト目でベルを睨むが、アスフィの言葉に深く溜め息を吐いた。

 

「次はないですからね」

 

「そんなに気にすることないとおもうんだけどねぇ~」

 

「アルゴノゥト君ならあたしは気にしないけどね」

 

「ティオネさんとティオナさんはおかしいんですよッ!」

 

アマゾネス特有の貞操観念がおかしいと貞操観念の固いエルフであるレフィーヤは怒鳴りながらベルの作ったコロッケを頬張り、目を見開き硬直するのだが、誰も気付かずベルの作ったコロッケを口へ運ぶ。

 

「なんだいベル君。じゃが丸くんを作るの上手じゃないか!」

 

「本当ですね、売り物と遜色ないのではないですか?」

 

「美味しいよ、うん。あたしこれなら好きかも知れない」

 

「貴方は冒険者よりも料理人の方が向いてそうですね、ベル」

 

とベルが作ったコロッケ(じゃが丸くん)に舌鼓を打つ中、ベルが作ったコロッケを齧ったアイズはその目を輝かせ、ベルの手を両手で握った。

 

「ベル。これから私の為にじゃが丸くんを作って欲しい。出来れば小豆クリームを」

 

突然のプロポーズ染みたアイズの言葉に18階層に絶叫が響き渡った……。

 

 

メニュー27 薬膳料理へ続く

 

 

 




ロリアイズってこんな感じで良いのかな(?)と迷いながら書いて見ました。復讐鬼ではありますが、同年齢っぽい孤児達とカワサキさんで若干マイルドなアイズになってもらいました。後はコロッケの作成を手伝ったので普通のコロッケもある程度は食べる感じになったって感じですね。後は最後の7年後はおまけという感じで書いて見ました。次回は薬膳ということでミアハ達との話を書いて見ようと思います。その後でシュークリームのおまけで書いたヴァレッタを書いてみようと思っております。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

オラリオにアインズ・ウール・ゴウンのメンバーがいるのは

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