ダンジョンで料理人が有名なのは間違っていますか?   作:混沌の魔法使い

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メニュー32 ダイダロス通りのモーニング 

 

メニュー32 ダイダロス通りのモーニング 

 

ダイダロス通りの子供達の元気な声が部屋まで響いて来る。その明るい声を聞いているだけでこちらまで元気になってくるかのようだ。

 

「また子供達に作らせるのかい?」

 

「そうだが? 何か問題でもあるか?」

 

卵に子供達が焼いたパン、それにデメテルファミリアから分けて貰った野菜と果物の確認をしているカワサキに問題があるかと言われても問題はない、問題はないのだが……。

 

「オラリオをもうすぐ出るつもりなのかい?」

 

学校を作り、引退した冒険者を教師として向かえ、そして子供達が自分達で生きる為の糧を得る為の術を教えた。このダイダロス通りを大きく改革したカワサキは最早オラリオでも易々と無視できる立場では無くなった訳だが、いつまでもオラリオにいるわけではないとカワサキが何度も口にしていた事を考えれば面倒なことになる前にオラリオを出るつもりに思えてそう問いかける。

 

「区切りがつくまではいるつもりだ。だから今はまだオラリオを出るつもりは無い」

 

「今はまだ……ね。子供達が泣くよ」

 

「だとしてもだ。俺には俺でやるべき事があるんでね、オラリオの改善が出来たら次があるのさ」

 

ゼウスとヘラの懐刀である可能性があるカワサキは確かに忙しい立場なのだろう。子供達には悪いが、引き止める事は出来そうに無い。

 

「さてと、婆さんもたまには一緒に作るか?」

 

「あたしゃ良いよ。こんな婆さんが混じるのも可笑しなもんだしね」

 

それに子供達がカワサキに教わって楽しそうに料理をしているのを見ているのも中々楽しい物なので、見ていることにしカワサキの家の窓から外に視線を向ける。

 

「まずはゆで卵から作るぞ、割らないように少しだけ皹を入れてから鍋に入れる」

 

「なんで皹を入れるの?」

 

「殻を剥きやすくする為だな。本当に軽くで良いぞ、これくらいだ」

 

「「「はーい」」」

 

「はい」

 

あれは確かロキファミリアの所の子供じゃ? なんでと一瞬思ったがロキの奴じゃまともに子供の教育が出来ないからカワサキの学校に通わせるようにしたのだろうと思って深くは考えないようにする。

 

「卵を茹でてる間にパンの耳を切り落とすぞ」

 

「切り落としたパンの耳でまたかりんとうを作ってくれる?」

 

「おう。また作ろうか、作ったら食べるか?」

 

「「「食べるー!」」」

 

「かりんとう?」

 

なんか1人だけ良く分かって無さそうだが、まぁ実際に目の前にすれば食べるようになるだろう。

 

「私達はどうします?」

 

「デメテルの所から良いとうもろこしを貰ったからコーンスープにしようと思うんだが、作り方知ってるか?」

 

さっとカワサキから目を逸らす冒険者達にカワサキはやれやれと言わんばかりに肩を竦めた。

 

「皮を剥いて、髭を取り除いてナイフでとうもろこしの粒を削ぎ落としておいてくれるか?」

 

「は、はい。分りました」

 

冒険者達が危なっかしい様子でとうもろこしの粒を削ぎ落としている隣で、カワサキは茹った鍋から卵を取り出してボウルの中へ沈める。

 

「水の中で剥くと殻が剥がしやすいからな。ゆっくりでいいから慌てずに剥くんだぞ?」

 

子供達の冷たいという声やきゃっきゃっと楽しそうにはしゃぐ声が広場に響き、少しずつだがこの広場に顔を出す連中がぼちぼちと増えてきた。

 

「殻を剥いたら今度は卵をボウルの中に入れて、フォークで潰す。ざっくりと潰したほうが美味しいぞ」

 

「分った!」

 

「美味しいパン作る!」

 

目に光があるだけでは無く、とても楽しそうに子供達はカワサキに教わって、おっかなびっくりという様子だが作業を進めている。

 

「これくらい?」

 

「そうそうそれくらいが美味しいぞ。そしたら今度はマヨネーズを入れて混ぜ合わせる。本当は玉葱も入れるけどどうする?」

 

「いらにゃい!」

 

「あ、朝は良いかな」

 

「じゃあ玉葱はなしでマヨネーズだけで和えるか」

 

「あ、あのーカワサキさん。とうもろこしは削ぎ落とし終わりましたけど」

 

「ちょっと待っててくれ、すぐ見にいくから」

 

子供達だけじゃなく、自分も助けてくれと声をかける冒険者に待っててくれと返事を返したカワサキはあちこちを忙しく動き回りながら子供達だけじゃなく、冒険者達の面倒も見ているカワサキは忙しそうだが、その顔に嫌そうな色は見られずこの忙しい状況さえも楽しんでいるのが一目で分かった。

 

「働かざる者、食うべからず……牛乳でも買ってくるかねぇ」

 

パンを食べる時に飲み物があったほうが良いだろうと思い、牛乳を買う為にヴァリスを手に朝市に向かってあたしは歩き出すのだった……。

 

 

 

 

ロキとリヴェリアがカワサキの所に行っても良いと言っていたので、さっそくカワサキの所に来た私は朝ご飯の作り方を教えてもらっていた。

 

「それだと多過ぎです」

 

「そ、そうかな?」

 

「サンドイッチにした時にはみ出ちゃうよ?」

 

「じゃ、じゃあ減らす……」

 

ただ私はこれで2回目なので上手く作れずに皆にあれやこれやと注意されながらだったけど……。

 

「耳をこのナイフで切るんですよ」

 

「こう?」

 

「あんまりきりすぎると食べる所小さくなるよ?」

 

「……難しい」

 

食べるのは簡単だけど作るのはやっぱり難しいと思いながら少しずつパンの耳を切り落とす。

 

「お、上手に出来たな、アイズ」

 

「……出来てる?」

 

「出来てる出来てる。あとはこの卵ソース上手く塗るだけだな」

 

「ん……頑張る」

 

さっきは多すぎたので今度は少なめにして、でもあんまり少ないと味気ないので量を気をつけながらパンに塗って、耳を切り落としたパンで挟んで、ナイフで三角に切る。

 

「出来た」

 

白いパンに黄色の卵が良く映えていて美味しそうだ。

 

「良し良し、上手く出来たな」

 

上手に出来たと褒められるとちょっと嬉しい。

 

「次は何を作るんですか?」

 

「ハムチーズサンド。耳を切り落として、ハムとチーズを乗せるだけ」

 

「簡単だ~」

 

「そ、簡単だ。朝ごはんは簡単なほうが良い」

 

簡単なのは良い、私は料理初心者なので簡単な料理の方が嬉しいし、覚えるのも最初は簡単なほうが良い。

 

「ヨーグルトにドライフルーツを混ぜるの?」

 

「そ、甘くて美味しいぞ」

 

「……野菜も食べないと駄目?」

 

「駄目だな」

 

「どうしても食べないと駄目ですか?」

 

「駄目だな。ちょっとでも良い食べるようにしよう」

 

「「「はい……」」」

 

「良い匂い……とうもころしのスープ」

 

「これ甘くて美味しいのです」

 

「おじちゃん、机の上に並べれば良い?」

 

「ああ、皆で手分けして並べような」

 

料理というには簡単だけど、皆で作ると楽しいし、面白かった。卵サンドとハムチーズサンド、サラダとヨーグルトにコーンスープと牛乳。

 

「はい、手を合わせて、いただきます」

 

「「「いただきます!」」」

 

皆で手を合わせていただきますの挨拶をしてから自分で作った朝ご飯を見つめる。あんまり綺麗に出来て無い部分もあるけど……。

 

(頑張った)

 

自分で頑張って作った朝ごはんはどんなものだろうとワクワクしながら卵サンドに手に取り小さく齧った。

 

「美味しい」

 

「うん、美味しいですね」

 

「ふわふわ~」

 

パンがふわふわで柔らかくて美味しいのと、皆で潰して作った卵のソース……これが美味しい。

 

(凄く卵の味がする)

 

濃い黄身の味とまろやかな酸味、そしてフォークで潰したので荒い白身の食感がふわふわのパンに凄くあっていた。

 

「……むぐむぐ……」

 

「うー……むぐ」

 

「美味しいですよ?」

 

「苦手」

 

「うー野菜嫌い」

 

カワサキが食べろと言ったのでサラダを頑張って食べたけど、やっぱりあんまり美味しくなかった。リリは美味しいと言っていたけど、私のように渋い顔をしている子が殆どでサラダを食べ終わった後に殆どの子がコーンスープに手を伸ばしていた。

 

「あまーい」

 

「美味しい! シチューより美味しい!」

 

「甘くて美味しい」

 

鮮やかな黄色のスープは滑らかで、舌触りが凄く良かったし、とうもろこしの甘さがして凄く美味しかった。とうもろこしを削っていたけど、どうやったらこんなスープになるのか凄く不思議だと思いながら、今度はハムとチーズのサンドイッチを食べる事にする。

 

「……ハムが美味しい」

 

「チーズも美味しいね~」

 

ハムとチーズのサンドイッチはハムの塩味と食感、そしてチーズのまろやかな味が凄く合っていた。卵サンドと違って軽く焼いてるので香ばしい香りもして食べるスピードが上がり、皆と話しながらも美味しく全部食べることが出来た。

 

「……普通に食べるより美味しい」

 

「ちょっと酸っぱいけど美味しいですね!」

 

ヨーグルトの中にドライフルーツを入れたものはドライフルーツの甘みと酸味が加わって、普通に食べるよりも甘みと酸味も深くなっていてちょっと苦手なヨーグルトも最後まで美味しく食べることが出来た。

 

「少し持って帰りたい」

 

「ん、そうか、そうか。じゃあもう少し作るか?」

 

「うん」

 

「あ、それならリリも作りたいです! ソーマさまは朝ごはん食べてくれないんですよ」

 

「ったく、ソーマはしょうがねぇ奴だな。俺が怒ってたって伝えてくれ」

 

「はーい、分りましたです」

 

リリと一緒にホームに持って帰るサンドイッチを作り、ホームへと帰った。

 

「カワサキの所で作った」

 

「こ、これをアイズが?」

 

「ん、食べる?」

 

「あ、ああ、貰おう。ロキはどうする?」

 

「貰う、貰うで! ありがとな、アイズたん」

 

「ん」

 

リヴェリアやロキ達にサンドイッチを配り、美味しいといって笑う姿を見て、少しだけ胸の奥が暖かくなるのを感じ、カワサキが料理を作るのが楽しいと言っていたその理由が少しだけ分かったような気がするのだった……。

 

 

 

 

 

~7年後~

 

それはとある日の昼下がり、ベルの作ったクッキーと紅茶で一休みをしている時の事だった……。

 

「ベルはどんな人が好き?」

 

「ぶふう」

 

「はい?」

 

「ベルはどんな人が好き?」

 

「いえ、聞こえてなかったわけじゃないんですよ、アイズさん」

 

「?」

 

「なんでそこで不思議そうな顔をするんですか?」

 

「ベルはどんな人が好きなの?」

 

何度もどんな人が好きなのかと尋ねるアイズと噴出したまま咽ているリリの姿にベルは困ったように頬をかいた。

 

「そうですね~僕の作ったご飯を美味しいって食べてくれる人が良いですね」

 

「ん、それなら私、私はべ「なーに言ってるんですかこの天然お惚け娘!」

 

「む、リリ。いくら友達でも言って良い事と悪い事がある」

 

「アイズは天然お惚け娘で十分です~」

 

「ならリリはチビッ子」

 

互いに気にしている事を言われたリリとアイズは互いの頬を引っ張りあう。

 

「むにゃむははむあにゃあ」

 

「いひゃいやああああ」

 

「り、リリもアイズさんも止めて、喧嘩しないで」

 

そしてベルはそんな2人を見て止めようとするが、どうすれば良いのか分らずおろおろとしているだけだったが、この何気ない日々もまたアイズがカワサキの元で得た大きな変化の1つなのだった……。

 

 

下拵え カワサキさん、戦いの野へ行く その1へ続く

 

 




ロリアイズ時代にカワサキの学校に通い情緒を学んだアイズですが天然は治らずですね、偶にこうぶっこんでリリと喧嘩したりと原作と異なり友人も多いやや社交的なアイズとなりました。アイズに必要なのは同年代の友達なのでこうして仲良く過ごせれば良いなと思っております。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

オラリオにアインズ・ウール・ゴウンのメンバーがいるのは

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