ようこそハイスコア狙いの教室へ   作:茶漬生活

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6月23日(火)

Die Vernunft hat immer existiert, nur nicht immer in der vernünftigen Form.

 理由は必ず存在している、だが常にそれが合理的とは限らない。

 Karl Heinrich Marx(1818-1883)


 

 

 結論から申し上げます!

 どちらの模試も受験が認められました!会場はクラスではなく入学式で使った講堂になるそうです。調整はやいっすね。結果の返却も、結果に応じた報酬の提供も実施するとのこと。やったぜ。

 

 ……ただし費用は自腹でポイントを切れとのことです。そこは流石にダメだったかー。

 

 

 

 6月14日日曜に実施された高1全国模試が終わって即全員で自己採点をしましたが清隆と英輔君は多分満点で大丈夫でしょう。ミスはないはず。

 受験費4300PP×80人分は連合予算から出しました。あとは分析結果の到着と報酬待ちですね。こっちは7月16日予定。

 自己採点やってなかった六助は知らん、多分満点。そもそもなんで模試に付き合ってくれたんでしょうか?

 

 帆波ちゃんや隆二、堀北、幸村の優秀グループは平均80点台後半をキープできたようですが、普通の範囲から出ているのに解けない問題があったのは流石に堪えたようです。

 他の面々も解けなかった問題の答えを相談して、「そっちかー」とか「ど忘れした」だの悲鳴を上げています。

 

 ……連合の半分はDクラスじゃなかったですっけ?解せぬ。

 

 あと、平等性がどうこうとかいって、他クラスにも模試を周知して参加させたりとかあるかと思ってましたがそんなこともなかったですね。80人だけの試験でした。

 

 ついでに、なんかシスコンから結果を尋ねるチャットが来ていたので副会長として仕事してないことの謝罪とともに妹の写真だけ送っておきました。まだ結果出てねーよ。

 

 返信によると生徒会で一番仕事しているから構わないそうです。マジでなにもしてないんですがどゆこと?妹の様子送るのが仕事ってことか?

 妹がショートヘアに戻したの知って頭が沸騰してるようです。公私混同してないでチンピラの教育ちゃんとやれ!

 

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 

 本日6月23日火曜日。シスコンから呼び出しがあったので放課後生徒会室に。上司気取りですかね?って上司でした。眼つき悪いのに絡まれたくないのであまり行きたくないんですが……講座の方も遅れますし。

 副会長やらなくても済む方法考えとくべきだったかなー。でも布石と兄北がなー。

 

 橘先輩の不機嫌顔がお迎えしてくれました。ほっぺた突付きまわしたい。南雲はいないようですね。

 

「お呼びとのことで参りました。要件をお伺いします。」

 

「今は俺と橘だけだ。普段通りでいい。模試とは恐れ入った。」

 

「では失礼して、何の用でしょう?正直、講座で忙しいんですが。

 あといちいち妹の様子催促するのやめてくれません?副会長の仕事じゃないですよね?」

 

 むっとした顔から突如ギョッとした顔に変わるハム子ちゃんかわいい。

 

「……連絡しているのは文面通りであってそのような意図はない。鈴音の様子はお前が勝手に送ってくるだけだ。それより1年Cクラスの生徒からある訴えがあった。29日月曜に審議を開くのでお前も把握しておけ。」

 

 ファッ!?ドラゴンボーイ君??まだ6月ですよ!?

 

 しかもうちじゃない!?なんで?Aクラス狙って来るんじゃないの?返り討ちでついでにCPとPP巻き上げる手筈とか用意してたのに。

 

 

「情報としてはありがたいですが、同学年で競争相手の自分が関与するのは不適切でしょう。」

 

「言いたいことは分かるが審議はそうそうあるものではないからな。会長になる以上、特殊な業務だけではなく通常業務も把握しておけ。」

 

 特殊な業務(妹の報告)ですねわかります。詭弁がお上手ですねえ。南雲といい生徒会長ってこんなんばっかかよ。

 

「か、会長!まさかこんな子に次の生徒会を委ねるおつもりですか!?」

 

 橘パイセンは癒し。

 

「いずれな。今後大きく変わるだろうことは理解したが、副会長として最低限の事は学んでおけ。」

 

 ハムスターパイセン黙っちゃったよ。そこまで嫌われてましたか……って会長まだ完治してなかったわ。そりゃそうだ。

 

「了解です。ちなみに訴えの詳細はどういうものです?」

 

 

 

 

 

 

 へえ───

 

 へえー

 

 へー

 

 へー

 

 へー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 坂柳と龍園、病院送りだってよ。

 

 どうして・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 訴えの内容によると22日月曜日、昨日ですね。Cクラスの龍園はBクラス橋本に呼び出されて、アルベルト・石崎・伊吹を連れて特別教棟に向かったそうです。

 現場につくと坂柳・鬼頭・橋本・神室のBクラスが待ち伏せていて襲撃を受け、結果的にB・Cともに鬼頭を残して全員倒れ、ラストマン・スタンディングな鬼頭は坂柳を保健室に運びこんで事件が発覚。坂柳は意識がなかったのでそのまま病院送り。龍園も左腕の骨を折っていて病院送りとのこと。

 Cクラスは自分たちは正当防衛で応戦した側だとして、襲撃してきた坂柳たちを即日訴えたという流れだそうです。

 ちなみにCクラスの主張では坂柳は鬼頭の攻撃の巻き添えで頭を強く打って意識不明とのこと。ついでに左腕骨折と肋骨に罅だそうです。実際は龍園かアルベルトあたりに思いっきり蹴り飛ばされたってとこでしょうか?アルベルトはないか。

 

 

 

 昭和の学校抗争かよ。やりすぎでしょ。令和やぞ。

 

 

 

 これ原作関係とか知ってると坂柳・龍園の会談か何かが決裂して、あとは須藤の暴力事件相当に繋がったんだろうなと察することができるんですが……嫌なコンボだな、刻命館かよ。なんで決裂したのか、コレガワカラナイ。

 

 少なくとも坂柳から仕掛けたというのはまず虚偽で間違いないでしょうが、原作須藤のようにCクラスが嵌めたなら龍園が参加してるのにも疑問がありますし、龍園自身が骨を折ってると言うのは体を張りすぎな気がします。

 教師が駆けつけてくるまでに自分で折った?ホントに喧嘩で折られただけ?自分が負けて訴えるとかも似合わないし……敗北後ならともかく序盤の彼はそんなキャラじゃないでしょうよ。

 

「審議って検察役はいないんでしたよね?」

 

「ああ、基本的に当事者同士で証拠や証言を集めることになる。」

 

 ……審議は6日後。ああなるほど。

 

「坂柳の意識は戻ってるんですか?」

 

「まだ連絡は来ていない。だがどちらにせよ参加は難しいだろう。」

 

「当事者不在の欠席裁判でいいんですか?」

 

「審議は訴えから1週間以内に開催することになっている。これでも猶予は最大にとっている。」

 

 そんなルールあったんですか……原作には出てなかったですね。そういえば原作も事件の8日後に審議とか言う理不尽なスケジュールでしたわ。

 事件翌日に訴えられたと考えるとシスコンなりに最大限期間を取ってたってのはそれっぽいですが、証人の上級生とかが特別試験で長期間不在になったタイミング狙って訴えられたらどうするんでしょう?

 

「なるほど。そのルールならCクラスの勝ちですね。被告側の頭脳役が退場してますし。刑事裁判なら検察が本当の経緯を突き止めるんでしょうが、審議って刑事案件だろうと民事スタイルですしね。巨大な警察組織・科捜研と捜査権を持ったプロの検察ですら年単位のスパンで挑むものを、生徒に一週間でやれというのは無茶でしょう。」

 

 フェアに判断すれば坂柳を物理的に退場させた龍園の作戦勝ちですね。天さんじゃ弁護に立っても勝てるビジョンが見えませんし、この後Bクラスをカモに繰り返されるのが目に見えています。戸塚とか狙い目ですし。

 痛み分けで終わってもCクラスが自爆覚悟でBクラスが0CPになるまで繰り返されたら葛城ではいずれ屈して隷属するでしょう。訴えた側が圧倒的に有利なルールである以上、再発防ぐには両成敗で長期停学にしてスパン稼ぐぐらいしか手はないです。隔離施設の停学にどれだけ実行力があるのかわかりませんが。

 

 それに坂柳が審議に出て来れたところで学校の介入がなければ龍園に勝てるとは思えません。

 原作を読む限り坂柳の強さは父親の権力であって、個人としてはお高目の学力と、強いらしいチェス、あとはモラルのなさぐらいでおつむも総合能力も相当残念な子ですし。まぁ前世じゃヒロインとしてこの子推しだったんですが……

 

 

 根拠はいくつもありますが多すぎるので他は別の機会にまわして二つほどわかりやすい例を挙げてみましょうか。この学校についても少しわかりますし。

 

 

 一つ目は1年目5月の原作Aクラス・BクラスのCPです。

 学級委員を制定したり自治活動が盛んなBクラスですら650まで減っていたのにAクラスが940CPで抑えられたのはなぜでしょうか?

 

 原作11.5巻で3月頭と学年末試験の結果を合わせた3月下旬の暫定クラスポイントが出ており、坂柳クラスは1131CP、一之瀬クラスは550CPとなっていますが、2年生編1巻の4月1日では坂柳クラスが1119CP(-12CP)、一之瀬クラスが542CP(-8CP)となっており、原因不明の変動が発生しています。堀北クラスに至っては-72CPです。

 これは何が原因か?簡単ですね。生活態度減点再びというわけです。1年だけに生活態度減点が課されているのなら2年3年が1年をカモにすればいいだけですからね。

 

 原作1年目でも2年3年がコンビニで暴れる須藤を見ていたあたり、1年の入学前に生活態度減点が再開したと理解させなければいけないので、3月から採点開始で4月1日に理解させるというのは納得です。1年との関係を考えるとむしろ経験者の2・3年の方がペナルティが重いと考えた方が自然でしょう。

 この抜き打ちre:サイレント特別試験でのCP増減が両クラスの素の態度の増減ですから、坂柳クラスは一之瀬クラスの1.5倍近く動物園だということです。

 英輔君が真嶋クラスじゃなく星之宮クラスを頼った理由がわかりますよね。

 

 この生活態度減点が1年目では-60CPと-350CPと完全に逆転していることからAクラスの940CPは生活態度のおかげではなくSシステムの裏に気付いていたからだということが分かります。

 

 葛城が気付いて広めていたのなら派閥抗争なんて起きるまでもなく葛城派の天下です。つまりSシステムの裏に気付かなかったが優等生の葛城派と、裏を広めたがハンディキャップ持ちの坂柳派で割れていたわけです。

 

 ……足が不自由で構内を調べて回るのが困難な彼女は一体いつ気付いていつ公表したんでしょうね?

 

 原作9巻によれば神室が坂柳のパシリになったのは入学1週間経った頃。そして神室が坂柳をハンデ持ちとしか認識していない描写からしてこの頃はまだ坂柳は公表してないでしょう。

 もちろん神室が信用できない語り手でもっと前から公表していた可能性は否定できませんが、教室内で得られる情報だけで裏を推察できて、それを納得させる形で公表していたなら葛城派なんて存在しないでしょう。

 そして、それまでに杖を突いた彼女が学校を調べ回って材料を集めていれば目立ちまくりますので体育祭初登場時のような反応にはなりません。つまり神室の最初の仕事は裏を公表するための根拠集めです。原作で坂柳についてる理由が不明な山村ちゃんが最初から陰で動いた可能性もなくはないですが。

 

 しかし、優等生揃いのBクラスと比較すれば、Aクラスは神室の弱みを握ったその日のうちに公表するぐらいでないと-60CPには抑えられないでしょう。箍が外れてからでは間に合いません。

 つまり神室の弱みを握った頃には教室からほとんど出ることもなく、示せるような根拠もないけれど、坂柳は裏を察していたというわけです。すごいですね~。彼女も転生者なんでしょうか?

 

 もうわかりますね。

 

 坂柳有栖はSシステムの裏を()()()()()()()()()()

 答えから逆算して途中式を作るために神室が必要だったわけです。

 

 

 

 二つ目は原作11巻の学年末試験です。ご存じの通り学年末試験最終戦は堀北(綾小路)vs橋本(坂柳)のチェス試合ですね。

 

 学年末試験は「引き分けがない競技」を選べ、普通の競技でも「引き分けがないようにしろ」ってルールなのに、強者同士の対局だと5割程度でステイルメイト(打つ手なし)での引き分けが発生する「チェス(()()()()()()()()()())」を選んでるんですよ。戦術の根幹にかかわるルールのステイルメイトを変更したらそれもうチェスじゃねーよって話ですね。

 

 ルール違反なことを理解して選んだのか、それとも10年近く続けてるのにルールも未だに理解できてないド素人なのか……橋本にチェスを教えられていたみたいですから前者しかないですね。

 

 そして、しかもそれが通ってるんですよ。不思議ですよね~。

 月城理事長代行が通した理由は介入するのに都合がよかったからとか理由は色々考えられますが、それは別の機会に譲るとして、そもそも坂柳は疑問に思わなかったんでしょうか?

 他にチェスが出来る人間はいないみたいですし他は気付かなかった、そして綾小路にとっては勝ちが拾えて都合がよかった/介入される可能性を悟っていたとも解釈できますが、坂柳にとっては考えられる可能性は三つです。

 

 (イ)月城体制でも自分のルール違反が通ると考えていた。

 (ロ)パパ柳を失脚させた側のはずの月城が許可してくれた不自然さに気付かなかった。

 (ハ)不自然さに気付いた上で月城が介入してくることまで想定していた。

 

 (ハ)は月城に煽られてぷんすこしていたので違うと推測できます。ぷんすこが演技の可能性を完全には否定できませんが、それを言い出すと坂柳はなんで綾小路とのチェスに拘ったんだという話になってしまいますしね。

 つまり高育でも親の権力を利用することを当然と考えているか、アホの子で力不足を親の権力や事前情報で補っているのどちらかというわけです。

 

 それに彼女はパパ柳の停職とか一体どこで知ったんでしょうね?ニュースで大々的に報じられたのなら綾小路や他の生徒も知ってたはずですのに。ホントクソみたいな学校です。

 

 (イ)(ロ)のどちらにしても本人じゃなくパパ柳の権力が前提というのがわかりますね。その前提を踏まえると学年末試験終了後の坂柳と月城理事長代行のやり取りが全く違う味わいを持ってきます。

 

『……挑発がお上手ですね、理事長代行。しかし──その代償は高くつきますよ?』

『たかだか高校1年生の子供が、随分と面白いことを口にしますね。お山の大将をしているから、気まで大きくなってしまいましたか。』

 

 そもそもチャオズちゃんはフィジカルクソザコナメクジなのになんで一々ちょっかいかけに出てくるんでしょうね?原作でも偏に彼女以外の生徒全員にモラルがあったからうまく回ってるだけでこの学校じゃ一番実力ないんだから首脳会談ぐらいリモートでやりましょうよ。襲われたら一人だけ逃げられないんですし。

 坂柳派でまとまっていようとも二人がかりかアルベルトあたりに鬼頭を抑えられたら橋本と神室じゃどうにもならんでしょうに……モラルを持ってくれる集団内で自分が優遇されることに慣れすぎです。教育失敗でしょうね。

 

 

「ところで、これで片方に得をさせたり温い処分で終わらせたら今後もっと大規模な抗争が起きるバイオレンスな学校になりそうですがそこはどうするんです?どう見ても刑事事件ですし警察呼びましょうよ。大学ですらないのに自治もないでしょう。」

 

「学校側からの判断で警察は呼ばないことになっている……俺も少し考えておく。」

 

 まぁ最初に呼ばなかった時点で今更呼んでも学校の隠蔽としてスキャンダルにしかならんですね。支給携帯だと外部との通話不可なので110番や119番できないですし。この学校クソわよ。

 理事長あたりはぶちギレ金剛な気がしますが、他の理事の手前、建前を崩せなかったってとこでしょうかね。『公平である必要はないが……少なくとも……公平感は客に与えねばならんのだ……!』って兵頭会長の名台詞が聞こえた気がします。

 

 約束された勝者のクラス(Classroom of the Elite)が好き放題やるために作られた慣例が自分の娘(約束された勝者)を縛ったわけですね。バカ親ここに極まれり。

 

 

 しかし最悪、龍園とやらなきゃあかんようです、連合に再度対策を周知徹底しておく必要がありますね。自分の腕折る覚悟持った初期の悪逆ドラゴンボーイとか面倒くさすぎます。やりたくねぇ……

 まぁ既に種は撒きましたし後は育つのを待つだけです。審議結果は兄北にお任せして佐倉の方を真面目に気にしておきましょう。

 

 

 

 そういえば、原作2巻の佐倉のストーカーも警備員が出てきただけで警察じゃなかったですね……あれストーカーはあの後どうなったんでしょうか?佐倉が退学してグラドル活動再開した後ストーカー行為再発するようにしか思えませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 この展開は4月1日(水)裏で既に示唆していたり……
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