ようこそハイスコア狙いの教室へ   作:茶漬生活

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1月21日(木)『負完全』

Le Corps politique, aussi bien que le corps de lʼhomme, commence à mourir dès sa naissance, & porte en lui-même les causes de sa destruction.

 政治体というものは、人間の身体同様にその誕生から死に始め、自己崩壊の要因をその身に孕んでいる。

 Jean-Jacques Rousseau(ルソー)(1712-1778) Du contrat social(社会契約論)


 

 

 詰将棋、はーじまーるよー。

 

 4日目日曜が過ぎた後も、5日目のマラソンで啓誠が脱落するなんてこともなく、無事走り切れました。

 事前に体力鍛えさせていたのと、整理体操重視していたのはありますが、やっぱ一番はモチベの違いですかね? 恵の前でカッコ悪い姿は見せたくないでしょうし。

 昼食時間に遅れたら昼飯抜きになるルールは割とひどい気がします。

 

 あと6日目時点でも異性が恋しい発言は特になかったですね。

 一応女に元から縁のない男子以外は食事時間に積極的に絡めていますし、集団生活続けていたのがいいように作用しているようです。嬉しい誤算ですね。

 元から縁のない男子以外は。

 

 

 そして楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。

 混合合宿も今日がとうとう8日目。最終日です。

 

 『製作』の竹細工とかもっとやりたかったですね。

 竹を焙る電気コンロとか色々懐かしさを覚えます。あれも高育に持ってきてはいるけど結局触ってないな。申し訳なさで涙が出てくるわ……

 

 

 いつも通り朝食準備を片付けて点呼を済ませましたが、本日は清掃と座禅はありません。

 大グループごとに教室に送り込まれて今日の最終試験の内容が発表されました。

 

 ご存じの通り最終試験は『禅』『スピーチ』『駅伝』『筆記試験』の4つですね。

 

 1年生は第1試験は1年全体で『禅』。第2試験は3グループごとに分かれて片方は『筆記試験』、もう片方が『スピーチ』。第3試験は『駅伝』。第4試験が第2試験の逆ですね。

 原作でも「試験そのものは小グループもしくは学年ごとに行われる」とされており、座禅は全員集まってから開始、綾小路グループの筆記試験で「オレたちの他にも、1年の2つの小グループが合流した」となっていて、その後に駅伝、最後にスピーチですからまぁ納得です。

 

 『禅』は原作と違って小グループごとの壁とか一切なく、練習時から入り混じって座ってましたから、全員精神的な動揺はないと思ってたんですが、色々緊張しているようでちょいちょい動きが硬かったのがいましたね。

 清隆たちは流石に真面目にやっているようで、今日は警策の出番はありませんでした。

 よーしよしよし。

 

 

 第2試験は葛城グループ、綾小路グループ、橋本グループが『筆記試験』でした。

 英輔君は80点ぐらいで抑えてますが満点取れますし、ささっと解いた後は問題用紙に答えを書き記しておきました。

 

 試験終了後は自己採点なんてやっている暇はありません。

 全員で集まって各々の問題用紙に英輔君と清隆が読み上げる回答を丸写ししてもらいました。

 

 そして、問題用紙を持ったままバンに載って、駅伝の各スタート地点に移動────

 

 もうわかりますよね?

 

 

 

 

 『筆記試験』組は答えを書き写した問題用紙を『スピーチ』組に渡しました。

 走ってない間に問題と答えを予習してもらいます。前半と後半でテスト内容違ったらどうにもならんですが、付け焼き刃の詰め込みよりは役に立つでしょう。

 

 橋本グループと町田グループ以外どこが勝ってもいい体制にしているからこういう手段も使えるわけです。

 神崎グループ、龍園グループ、町田グループの『筆記試験』は格段に良い点が取れるはずです。町田たちは頑張りすぎると困りますが。

 

 駅伝は六助と清隆も含めて順当にペースを合わせて、神崎グループ、葛城グループ、綾小路グループ、龍園グループ、多少遅れて町田グループ、さらに遅れて橋本グループの順でゴールしました。

 

 

 最後のスピーチは「一年間の思い出」だそうです。

 隆二たちから聞いていた通りの課題なので筆記試験も同じでしょう。Vやねん!

 

 清隆の感謝のスピーチとかちょっとウルッときました。

 涙もろくなっていかんね。

 

 そろそろ結果発表ですしちょっと早いですが頭を切り替えましょう────

 

 

 

 

 

 

 

「先に結果に触れることにはなりますが、男子生徒の全グループが学校側の用意したボーダーラインをすべて超えており、退学者は0というこれ以上ない締めくくりとなりました」

 

 ……チッ、2年も3年も1年が引き上げたボーダーに引っかからなかったか。

 

 見たことないおっさんの司会で始まった結果発表ですが、退学者ゼロという言葉に連合も胸をなでおろして……ないな?

 翔が緊張してますし、他のみんなもやっぱ何か起きるって察してるんですかね?

 

 しかし実際このおっさん誰やねん……校長じゃないし、教頭ですかね?

 外部の人間が退学者の通知するなんてことはないでしょうし。

 

「3年Cクラス──―二宮倉之助君が責任者を務めるグループ(神崎グループ)が1位です」

 

 あーあ。兄北やっぱり勝っちゃいましたか。

 

「2位は3年Bクラス石倉国男君のグループ(葛城グループ)、3位は3年Dクラス水木卓君が責任者を務めるグループ(綾小路グループ)、4位がCクラス堤篤弘君のグループ(龍園グループ)、5位がBクラス小杉優作君のグループ(町田グループ)、6位がDクラス奥野次郎君のグループ(橋本グループ)です。」

 

 事前に計算してるおかげでパッと出ますが、これで男子は星之宮クラスが307CP、茶柱クラスが11CP、真嶋クラスが116CP、坂上クラスが1CPの合計435CPです。

 

 兄北と南雲が話してますが、兄北はまだ気付かないか……原作通りですね。

 顔色見るに鈴音の方はもう気付いてるぞ。

 

「それでは次に……女子グループの発表をしたいと思います。

 1位のグループは、3年Cクラス、綾瀬夏さんの所属するグループ(朝比奈・堀北グループ)です」

 

 こういうことですね。

 原作と同じく、男女ともに3年の1位グループ責任者は3年Cクラス。

 朝比奈パイセンは無邪気に喜んでますねー。こわ。

 

 混合合宿は1位グループと2位グループで獲得CPがおおよそ3倍違う特別試験であり、3位以下はCPが貰えないどころか5位・6位はマイナスになる──―その上、責任者を務めたクラスは獲得CPが更に倍になる上に、責任者は露骨に足を引っ張った相手に対して「道連れ」が出来るので基本的に足を引っ張られることはない。

 

 言ってしまえば責任者を避ける行為は「大勝がないが大敗もない」どころかハイリスク・ノーリターンであって、責任者を引き受けたところでリスクは上がるどころかむしろコントロールが効くようになり、ただでさえ高いリターンが倍に跳ね上がる仕様です。

 3-Aで既に何人か退学者を出しているのでトラウマになっているのかもしれませんが、リスクを恐れすぎです。

 

 兄北の方は特別試験を体育祭の延長としか考えてないんでしょうが、個人の勝利よりクラスの損得を考えるべきでした。

 

 クラスのことを考えたら原作1年やここの3年B~Dクラスのように、一か所に人数を固めて責任者を引き受けるべきなんですよ。

 ましてや基本能力の高いAクラスなのに……

 

 

 南雲の裏の作戦は皆さんご存じの通り橘パイセンがらみですが、裏の裏は南雲を囮、3年Bクラスを捨て駒にして3年Cクラスを兄北クラスの対抗馬にすることだったというわけです。

 原作綾小路も南雲がネタバラシするのを聞いていれば理解したでしょう。

 綾小路はOAA導入まで他学年の顔を覚えていないので、この時点では気付けないのは仕方ないですが。

 

 

 こっちの鈴音が気付いたのは1年はCPの最大化を考えさせてたので、視点の違いでしょうね。

 

 

「えー……まことに残念なことではございますが、女子グループの中からボーダーを下回る平均点を獲ってしまった小グループが一つ存在します。まずは最下位のグループですが……3年Bクラス、猪狩桃子さんの所属するグループ(坂柳グループ)です。」

 

 ここまでは想定内ですね。

 体育祭同様に大グループのうち1年と2年が同じ思惑で動いているので当然ですが、問題は小グループの方です。

 1年生(有栖ちゃん)3年生(猪狩桃子)か────そこだけが問題です。

 

「そして次に、平均点のボーダーを割ってしまったグループは……同じく3年生──―責任者──―猪狩桃子さんのグループです。」

 

 しゃあっ! エンタメ要素のタメいらないって言ってるだろ!

 笑ってるチンピラクソうぜーな……

 

「えー、一部お静かに願います。誠に残念ではありますが、グループの責任を取って、猪狩さんの退学が決定いたしました。また、グループ内で連帯責任を命じることも出来ますので、後ほど私のところに来てください。」

 

「続いて2位の女子グループを発表いたします。3年Dクラス、橋垣明日香さんのグループ(姫野グループ)。3位が3年Cクラス、仲根五月さんの所属するグループ(木下グループ)。4位が3年Bクラス、寺岡薫さんのグループ(田宮グループ)、5位が3年Dクラス、倉刈日出子さんの所属するグループ(一之瀬グループ)です。」

 

 はい、1年は全体で868CP獲得。

 2-Aは149CP、2-Bは37CP、2-Cは26CP、2-Dは47CP獲得。

 3-Aは59CP、3-Bは41CP、3-Cは278CP、3-Dは18CP獲得。

 

 そして3-Bは退学者発生で更に見捨てる(-100CP)救済する(-400CP)か。

 道連れになる3-Aも同様なので、救済措置が使われれば兄北クラスと石倉クラスは18CPほど差が開きますが、兄北クラスと二宮クラスは619CPも差が詰まるわけですね。

 

 

 兄北が南雲の言う通り棄権────つまり手を抜いていれば、二宮グループは1位になれないので差が埋まるのは綾瀬グループ分だけ、そして二宮グループのメインになっている二宮クラスと組んでいる2年がフォローするのでビリにはならず退学にはならない。

 兄北が南雲との勝負を捨てていれば、詰まる差もここまでにはならなかったわけです。

 

 兄北は南雲との個人勝負に勝ったようですが、兄北クラスは二宮クラスにボロ負けしています。

 

 体育祭のリレーで第5走者までが作ったリードを綾小路との競争のために投げ捨てた兄や、満場一致試験での発言を覆した妹、そしてこの混合合宿でクラス勝利より南雲との賭けを優先した兄や櫛田から苦言を呈された妹と、肝心なところでクラスリーダーとしての判断より個人的な都合を優先してしまうのが堀北兄妹の欠点であり、共通点ですね。

 

 南雲はこの調整をやるために2年の戦力を各グループで均等に分散させていたわけですね……どっちにしろ英輔君も同じ調整をしていたので変わらないでしょうが。

 

 まぁ、ここで南雲に嵌められてから改善されるようなので、兄北の欠点は今日まででしょう。

 

 二宮クラスと拮抗状態でPPを失い、生徒会長権限もなくなって、3クラスに袋叩きに遭うのにAクラス防衛するって今までどれだけデバフかかってたんだよ……生徒会長とかやらずにフェアに戦った方が絶対強いよこいつ。

 もはや兄北の覚醒はどうでもいいですけど。

 


 混合合宿 退学者(2名)

 3-B  猪狩桃子(3-Bから-100CP)

 3-A  橘茜  (3-Aから-100CP)

 

 暫定クラスポイント:1月1日時点+混合合宿(救済措置前)

 

 1-A. 4343 CP + 415 CP ⇒ 4758 CP

 1-B. 1000 CP + 339 CP ⇒ 1339 CP

 1-C. 1000 CP + 112 CP ⇒ 1112 CP

 1-D. 1000 CP +   2 CP ⇒ 1002 CP

 

 2-A. 1342 CP + 149 CP ⇒ 1491 CP

 2-B.  852 CP +  37 CP ⇒  889 CP

 2-C.  254 CP +  26 CP ⇒  280 CP

 2-D.   29 CP +  47 CP ⇒   76 CP

 

 3-A. 1160 CP -  41 CP ⇒ 1119 CP

 3-B.  848 CP -  82 CP ⇒  766 CP

 3-C.  527 CP + 278 CP ⇒  805 CP

 3-D.  121 CP +  18 CP ⇒  139 CP


 

 

 

 ベラベラネタバラシをしている南雲に食って掛かってる藤巻先輩と、道連れを宣言された橘パイセンと会話してる兄北は鈴音に輪をかけて沈鬱な表情をしていますが、2000万PPあるんですかね?

 兄北クラスに2000万PPがなければ橘パイセンが退学するだけで、3年Bクラスが勝手に落ちる残念な結果になりますが……

 

 鈴音はこっち睨んでくんなし。嘘は一切ついてないよ。

 

「さて、星之宮先生。今のうちにクラスにCPを再度移す契約書を結びますのでまた立会いをお願いします。」

 

 事前にやると説明してるので、全員スムーズに集まりますね。

 まぁ星之宮先生が「間違いはないか」と確認するだけの儀式なので問題はないですね。

 この再契約をさっさと終わらせておくのが大事ですね。立つ鳥、跡を濁さずっていいますし。

 

 騙されたと知った石倉先輩はガチギレして南雲に詰め寄ってますけど。

 

 こっちに向かって来てる兄北も南雲の裏の意図が分かったなら、英輔君の意図にも気付いたでしょう。

 目が座ってますし……腹括れたみたいですね。それでいい。

 

「鬼塚……恥を忍んで頼みたい。プライベートポイントを貸してもらえないだろうか。

 持っているのだろう。」

 

「貸すなんてケチ臭いことは言いませんよ。差し上げます。もちろん条件付きですがね。

 どちらにせよ携帯を受け取りに行きましょうか。」

 

 混合合宿が終了したので、救済措置の前に預けていた携帯の返却が始まりました。

 これがないとPPの利用が出来ないので2000万PPの支払いも出来ないですしね。

 

 

 

 それぞれが携帯を受け取り……おや?

 

 南雲に詰め寄っている石倉先輩が焦った顔になっていますね。

 何かあったんでしょうか?

 

 さて、アホどもは置いておいて英輔君のプライベートポイントはっと……

 

 

 

 

 41,657,690PP

 

 

 

 

 合宿前が42,130PPでしたから41,615,560PPの増ですか。

 

 さっさと連合のアカウントに振り込みなおしておきましょう。

 試験開始前が54,979,400PPでしたから合計96,637,090 PP。

 

 予想以上に貯め込んでましたね。

 原作2巻の茶柱の台詞から考えると7月時点では1200万PP以上貯めた生徒はいなかったはず。そう考えると半年弱で3000万近く巻き上げたわけか……ようやるわ。

 

「何をした鬼塚ァ!!!」

 

 チンピラもようやく事態を理解したようですね。

 イキってた顔が冷や汗ダラダラです。

 石倉先輩も顔面真っ青ですね。

 

 何をしたって一つしかないじゃないですか。鈍いな。

 石倉先輩にも「戦いは始まる前に決しているものだ」って教えたはずですがね。

 

 

 

 さて、ちょっとだけ私の出す問題を真剣に聞いて、答えを考えてみてください。

 

 問い1・原作3巻、無人島試験で「龍園翔」と「1-A」が結んだ契約の名義はどうなっていたでしょうか?

 

 

 2年生編2巻によればあの契約はあの場に居なかった坂柳を含めて全員が1人2万ポイントを支払う契約になっています。

 


「これに見覚えはあるよな? ()()()と去年結んだ例の契約書だ」


 

 龍園の葛城に向けた発言によればこれは葛城が結んだ契約書であって、葛城クラス全員が署名して結んだ契約ではありません。坂柳がいないから当然ですね。

 

 しかし、この契約書が坂柳を含めて効力を発揮したということは、これは「クラス」が結んだ契約であり、葛城はこの時クラスの「代表者」として契約を結んでいるわけですね。

 

 

 ここで大人の社会のお話です。

 

 重要な前提として、契約行為を行える、もっと言えば契約行為を行ったとして効力が認められるのは「自然人」──―いわゆる生物としての「人」──―と、「法人」──―法律上、疑似的に「人」として扱うということにした「枠組み」──―の2パターンがあります。

 

 後者は更に2つに分かれ、「会社」や「地方自治体」「一般社団法人」のように政府に「登記」されちゃんと「法人」として認められたものと、登記されていないが組織の形態などから実質的に「法人」としての形を備えているとみなされる「任意団体」に分かれます。

 一応、「内閣府」や「文部科学省」のように登記されていない例外はありますが今は関係ないですね。

 

 そして「Aクラス」が有効な契約を結べたということは「任意団体」としての形式を満たしていたということです。

 

 つまり、「1-A」という「任意団体」の「代表者 葛城康平」が名義になっていたわけです。

 

 坂柳が「クルージングの間は葛城に任せる」とでも真嶋の前で宣言しており、39人全員が葛城を代表にすると同意していたから成立したんでしょうね。

 そして、この契約は真嶋が見ている前で結ばれているはずです。じゃないとそもそも成立しない無意味な契約書ですから踏み倒せてしまいます。

 

 加えて言えば作中で「龍園が退学」すればこの契約が無効になると考えられていることから龍園側は「1-C 代表者 龍園翔」ではなく「龍園翔」個人として結んでいるものです。

 

 つまりこの契約は「龍園翔」個人と「1-A 代表者 葛城康平」が結んだ契約ということです。

 

 

 

 問い2・クラス内投票で「龍園翔」が退学していた場合、「龍園翔」と「1-A 代表者 葛城康平」が結んだ契約はどうなっていたでしょうか?

 

 

 契約相手の龍園がいなくなれば契約はなくなる……と言いたいところですが、これには限定条件が付きます。

「龍園の持っている債権を相続する者・譲渡された者がいない」という条件がある場合のみです。あるいは破壊のドットバースが契約を破壊した場合。あいつ無法すぎない?

 

 ……7巻時点で龍園は「俺が退学になることで葛城と坂柳は契約無効を突き付けてくるだろうが、流石にそれはどうにもならねえな」と語っていますが、そんなわけがないですね。

 龍園が伊吹か金田あたりに債権譲渡していれば無意味です。

 

 常識で考えればわかりますが、これが通るなら債務者は債権者を始末してしばらくお勤めをすれば借金がチャラになるというヒャッハーな世界になってしまいます。欠地王が失地王にならない可能性が高い。

 

 「罪と罰」でも質屋(アリョーナ)を殺したあと、質草が警察に回収され、アリョーナに借りていた金を国に返さないと質草に入れた形見の時計が返ってこないので、金を持っていないことになっている強盗殺人犯(ラスコーリニコフ)担当刑事(ポルフィーリィ)に何度も会う羽目になり、その度に心理戦を仕掛けられる展開でしたね。

 また、証文を他人名義に変えて金で贖った夫(スヴィドリガイロフ)の謀反に備える女資産家(マルファ)も出てきますね。実にいじらしい愛です。相手がクズでしたが。

 千秋もさっさと英輔君みたいなクズは忘れてほしいものです。

 

 

 

 問い3・クラス内投票で「葛城康平」が退学していた場合、「龍園翔」と「1-A 代表者 葛城康平」が結んだ契約はどうなっていたでしょうか?

 

 

 2年生編2巻で坂柳は葛城がいなくなるのを知りつつ龍園から契約書を500万PPで買い取っています。

 葛城が1-Aからいなくなろうが契約は残るということです。でなければ買い取る意味がありません。

 まぁ「1-A 代表者」として「葛城康平」がサインしている時点で、「龍園翔」と「1-A」の契約になっているので当然ですね。

 トップが退職したので弊社が以前結んだ契約は無効ですなんてトンデモ主張が通るわけがありません。

 会社法に「表見代表取締役」なんて制度があるとおり、実態は実権がなくても外に対して実権があるように見せていればアウトになる場合もあるのが大人の社会の怖さです。

 

 

 ちなみに綾小路は「龍園にしてみれば、葛城の退学でも契約は破棄になっていただろうからな」と考えている通り、どちらが退学になっても破棄になると思い込んでいます。

 DNAェ……「罪と罰」を読んだはずなのに理解が浅すぎます。

 戸塚の方は龍園が退学する方が重要だと理解してるっぽい描写があるのに……

 

 まぁ、罪と罰は作品中の齟齬が多くて単なるガバと見るのか、視点主が記憶を捏造してる描写と解釈するのかみたいな部分を含めて難しい作品ですし、流し読みしかしてないんでしょう。

 

 儒学や仏教みたいに孔子や経典のガバを曲解して意味を持たせてきた文化圏もありますし。

 誤字やガバを予言扱いにされるとは孔子様でも思うまい。

 

 

 

 さて、そろそろ察した方もいるのではないでしょうか?

 では次の問題です。

 

 

 

 

 問い4・「3-A 堀北学」ではなく「()()()() 堀北学」と「鬼塚英輔」との間に債権・債務契約が結ばれていた場合、現在、その債務は誰が負っているでしょうか?

 


────では()()、二つ目はこれです。 


 

 

 

 

 

 

 もうわかりますよね?

 

 

 

 「現・()()()() 南雲雅」は「鬼塚英輔」個人に24億PPの債務を負っていました。

 

 

 

 より正確に言えば「生徒会」全体が「鬼塚英輔」個人に「所有するポイントを限度」に債務を負っています。

 

 「生徒会長 堀北学」から「生徒会」を引き継いでおいて「生徒会の負債」だけは引き継がないなんて通りませんよ。

 自分で選んで座った玉座ですから、債務も引き継いでいただきました。

 

 三つ目の契約書で南雲にこの債務を伝えないことと記していますし、煽り倒してそもそも引継ぎをさせない予定だったんですが、南雲自身が引継ぎを蹴ってくれて非常に助かりました。

 ちなみに前生徒会で生徒会側の契約書を管理していたのは英輔君でちゃんと後任の(副会長)に引き継いでいます。

 後任の副会長が新生徒会長に伝えたかどうかは知りませんがね?

 新会長が知らなかったとしても新生徒会内の問題ですから責任は免れません。

 新生徒会長と副会長の間に信頼関係が芽生えた可能性が微レ存。

 

 

 この無茶苦茶な契約を兄北に飲ませるために最悪鈴音の命を犠牲にする覚悟が必要だったわけです。ほんと悪かった。

 

 効いたのは「堀北学が生徒会長の間は請求を行わない」という特約の方かもしれませんが。

 

 

 英輔君が生徒会長になっていればこの債務をひっかぶるのは英輔君(債権者自身)になり、無意味になるので、兄北は英輔君が会長になるのを推していたということですね。

 

 莫大な遺産を継いだつもりが、実は隠れた債務があってトータルで大赤字の借金地獄になりましたとかよくある話なので、相続・継承するときは本当に得になるのか注意が必要ですね。財産調査やデューデリってホント大事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこの学校で「クラス」が「任意団体」扱いにされている以上、一般的な学校ですら「任意団体」扱いされ得る「生徒会」も同様です。

 

 「任意団体」は主に「組合」と「権利能力なき社団」に分かれますが、2年生編4.5巻の生徒会企画イベント宝探しのポイントが生徒会ではなく学校から出されていることを見れば分かる通り、ポイントに関しては学校が支出しており、生徒会自体の予算とは切り分けられています。あれトータルで考えると胴元が赤字ですし……

 

 そして原作で兄北が語っている通り生徒会のやれることは生徒会長個人に依存している……つまり生徒会役員の持ち出しがある────この学校の「生徒会」は「権利能力なき社団」ではなく、「生徒会役員」による「労務」や「プライベートポイント」を「出資」として「共同事業を営むことを約して」いる「組合」です。

 

 ありがたいことに「組合」が債務を負った場合、「組合員」は「組合」の債務に対して「出資」の範囲で有限責任を負います。

 そして原作4.5巻で兄北が語っているとおり、生徒会の通常運営は生徒会長個人の能力次第────生徒会長の個人資金も「出資」に含まれているということです。

 

 同じ「任意団体」であっても普通の生徒会のように「権利能力なき社団」の形を持たせていればこうはなりませんけどね。

 このアホな学校が作ったアホな生徒会は強い権限を持つ代わりに、生徒会役員が責任を負うという隠れた弱点があったわけです。

 

 

 つまり「生徒会」の負った債務を元に「生徒会長」である「南雲雅」個人に対して持っている資産の範囲で請求を行うことが可能なんですね。

 

 

 

 

 

 

 もうわかりますよね?

 何をしたって一つしかないじゃないですか。

 

 

 約束は守ってますよ?

 混合合宿の間は君の邪魔をしていません。

 

 英輔君が動いたのは合宿前で、合宿中に動いたのは高育です。

 

 

 

強制執行(差し押さえ)ですよ。南雲生徒会長。」

 

 この兄北と結んだ二つ目の契約は星之宮先生の立ち合いで結んでいます。

 


────星之宮先生には()()()の立場で立会人をお願いできませんでしょうか。


 

 入学初日のこれが最初に打った布石ですね。

 

 公証人が立ち会った契約書は「公正証書」として扱われ、更に「強制執行を認める」との文言が入っている場合は「執行証書」と呼ばれます。

「執行証書」は「契約書」と異なり、裁判(審議)をすっ飛ばして「強制執行(差し押さえ)」が可能になるという人を嵌めるのに最適な性質を持ちます。

 大人が他人をカタに嵌めるのに使うのは唯の「契約書」じゃなく「執行証書」ですね。

 

 

 そしてこの「強制執行(差し押さえ)」は「売掛金」や「債権」「預金」のように本人の手元になく他人の手元に預けられている資産であっても対象に取ることができます。

 星之宮先生が「公証人」としての立場での立会いに同意した時点で、高育には強制執行を担保する必要が生じたというわけです。

 

 英輔君が星之宮先生に要求していたのは「南雲雅の個人PP」と「石倉先輩に預けられるはずの2000万PP」の「強制執行(差し押さえ)」です。

 3-Bが南雲から請け負った義務を果たすまでは「3-B」の金ではないので、混合合宿で預けている間なら奪い取らせることが可能。

 携帯を預けているので合宿期間中は差し押さえられたことに気付けないですし。

 

 石倉先輩は振り込まれていたはずの2000万PPが消滅しているので、南雲を問い詰めていたというわけですね。

 

 そして南雲君に至っては差し押さえを受けて素寒貧のオケラちゃん。

 

 

 しかし、「3-B」が橘先輩を道連れにして仕事を完遂すれば「南雲雅」個人は「3-B」に対して2000万PPの「債務」を負います。

 こちらは生徒会債務と違って、ないから払えませんではすみません。

 人を嵌める方法で行員(銀行員)に勝てるのは不動産業者か弁護士、詐欺師ぐらいなもんよ。

 

 

 そして、もう合宿は終わりました。

 合宿の間は南雲の邪魔をしないという約束も満期を迎えています。

 

 

「石倉先輩。2000万PPが欲しければ差し上げましょうか? もちろん条件付きですがね。

 

 

 

 『南雲雅』を2000万PPの詐欺で訴え、『審議』で退学させてください。」

 


「だがその生徒は結局2000万ポイントを貯めきることなく卒業前に退学になったんだが。退学理由は、その生徒がポイントを貯めるために大規模な詐欺行為を行ったからだ」


 

 

 

 

 問い5・『3-B』が『南雲雅』を訴えた場合、『審議』を担当するのは誰になるでしょうか?

 

 

 

 


情報としてはありがたいですが、同学年で競争相手の自分が関与するのは不適切でしょう。


 

 被告=裁判官役なんてアホなことはありえないので、当然南雲以外の生徒会メンバーが行うことになります。

 生徒会長に事故があった場合、生徒会業務の執行役になるのは当然、次席の副会長ですね。

 

 そして「3-B」と「2-A 南雲」の争い────3年と2年の紛争なので、判断を付けるには1年の生徒会役員が最適です。

 

 

 

 

 

 

 

 いましたよね? 1年生の生徒会副会長が。

 

 

 

「訴えるなら審議は副会長の俺が担当することになるな。

 猪狩先輩が今日中に退学になるかどうかの緊急性ってやつで審議はこの場で開催するぜ。

 会長様がベラベラ楽しそうに自白(ゲロ)ってたから準備期間はいらねぇだろ?」

 

 

 死刑執行人(次の布石)は1年生の生徒会副会長────龍園翔。

 

 

 

 

 選挙の必勝法は議席に剣を吊るしておく────というのが英輔君の答えです。

 

 ようこそ「真の実力主義」のギロチン(生徒会長職)

 

 副会長の一番大切な仕事は会長の寝首をかくことらしいですよ?

 

 

 

 

 

 

 




 色々調べたんですが、間違いがあったらすみません。多分あってるはず……
 原作描写の兄北の作戦から真面目に3年の構成と元のCPを考えると3-Cは混合合宿後に3-Aになっててもおかしくないんですが、流石にそれはないだろうと考えて3-Cと3-Bの元のCPは312以上の差を付けています。
 猪狩先輩のグループ構成が原作と微妙に違いますが、兄北クラス以外が勝負を捨ててたことになってしまうので前回示した通りの構成にしています。
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