積帝雲とは、古くから偉大なる航路で発生する異常気象の一つであり、その表層は空島と呼ばれ、そこには多くの人々が住んでいる。
彼らの生活は、雲や貝(ダイアル)といったモノに支えられている。
雲はその性質によって「海雲」と「島雲」に分けられていて、空島の人々はもっぱら質量や実体のある島雲を加工して道具を作っている。 また貝(ダイアル)とは、10000m上空にある白々海にすむモノでその内部に音や風などを蓄えることができ、貝を使った道具の典型的なものがウェイバーという小型の船で、貝に蓄えた風を利用して海上を自由に移動することができる。
空島は島雲で出来ており、青海では当たり前の「土」が存在しない。 空島の人々は土(地面)を「大地(ヴァース)」と呼び、永遠の憧れの対象としている。 チリリリリリリリリィン、チリリリリリリリリィン、----部屋の中で目覚ましの音が鳴り響く。 部屋の広さは六畳ほどあり、ドアから向って右にベッド、左には机が置かれている。 散乱としている机の上にはキズだらけのランドセルがおかれており、その下にあるダンボールには、漫画がギッチギチといえるほど詰められている。 掛けられたフトンを地面に追放した人物は、目をさまし「グホッムギュウー・・・・・ムルスァッ!!」と奇声をあげながら目覚ましがあると思わしき場所へ這ってゆく。 無事目覚ましをとめた彼は、カベにとめてある時間割表を数秒間凝視し、床に落ちているノートを四つん這いになりながら拾い上げる。 そのときに拾ったノートにはでかでかと「 木原 翔太 」 と書かれており 名前から、彼の性別が男であることがうかがえる。 そして、ノートを開き固まった彼は刻一刻と青ざめていき、ついには「・・・・・先生がゴリラになればいいんだ」等、とんでもないいことを口走る。 ズゥゥゥゥゥゥンーーーと、途轍もなく重そうなものを背負っているかのような足取りで、彼はドアへ向かい、一大決心をするような表情でその取っ手を回し、この世のすべてのしがらみから解放されたかのような、・・・・・・・・・授業中に漏らしてしまった御仁のような表情で部屋から出た。 朝食の際、自らのコンプレックスである女顔を姉にからかわれたことにより、少年の繊細な男心はひどく傷つく。 沈痛な面もちの少年は、ゆっくりと玄関へ向かい歩きだし、外へ出た。 妙に熱っぽい視線を浴びせるOLの女性をかろやかに回避した少年は、学校へと通じる一本道へ向かおうと左角を回り、・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ちょうど一本道からやってきた車とぶつかった。 _________________________________________ ・・・・・視界が暗転した。 ・・・・・おかしい、僕はいったいどうしたんだろう。 確か、左に曲がった時に車が・・・・・・・・ ―――――――多分、ぼくはぶつかったはずだ。うっすらとだけど、その時の記憶がある。 たしか・・・・あのまま跳ね飛ばされた僕は、近くにあった電信柱に頭からぶつかって―――――― ~~~~~「バキョ!!」と何かが砕ける音を聞き・・・・・・・・・ あれ? これ僕死んでない?? ま、まってまってくれ!! 状況が・・状況が!? 不意に真っ暗だった視界に穏やかな日差しが差し込まれる。 なんだ?なんなんだ、なにがおこるんだ? そして、自分を握りつぶしそうなほど巨大な手が迫ってくる。 ハアァ!? え、ちょ、まっ、 彼は、おそれのあまり目をつむり、耳に感覚を集中させる。 そうすると、何やら複数人の話し声が聞こえる 内容はよくわからないが何やらとてもめでたげな雰囲気をかんじさせる。 なんだ?なんだなんだなんだ? もしかして、巨人が何人もいるのか? 彼は先ほどの光景を思い出し、必死に推理する。 ・・・・・・ひとまず目を開けないと、はじまらない。がんばるんだ!がんばるんだ木原翔太!! 少年は現実から逃げないよう自分を叱咤させる。 ここでやらないなんて男じゃない!、僕は、ぼくは、俺は!!!! 覚悟を決め気合の叫びをあげようとする。 やるんだ!!!!「ホギャアギャア!!!!」・・・・・・・・・・・・・・・・あれ? 自分の口から奇怪な声が漏れたことに思わず彼は目を見開く。 するとそこには、―――――――――――――――― 自分より遥かにでかい4人の巨人が、ぎらついた目つきで自分をみていた。