ちょっと不幸なイッセーくん   作:高町廻ル

20 / 48
体育館を破壊しよう

「あと一時間ってとこか」

 

 イッセーは自室で心の準備をしていた。

 現時刻は午後の十時。十一時半には集まる予定になっており、一時間と少し経てば家から出なければいけない。

 

「ドライグ、ライザー相手に出し惜しみは無しだ。思いっきりやる」

『ああ、分かった。あの悪魔の小僧にドラゴンの力を見せてやれ』

「おうよ。調整もいい感じだし、普通に神器使うくらいなら問題なさそうだ」

 

 ゲームとはいえ上級悪魔のリアスすら上回る相手に神器のスペックを引き出さずに勝てると思うほど彼は無謀ではない。

 

「イッセーさん、入ってもいいですか?」

「どうぞ」

 

 ノックと共にアーシアの声が聞こえてくる。当然拒否する理由もない。

 

「シスター服?」

「はい。自分が気安い服でと言われていたのですが、私にとってはこれが…」

 

 アーシアの装いはシスター用のワンピースだった。彼女は小さな声で「悪魔ですけど…」と付け加えてちょっと沈んでいた。

 

「うん。いいんじゃないか、しっくりくるし」

「ありがとうございます」

 

 彼がそう褒めると相手は嬉しそうな笑みを。

 

「あ、あのっ、傍に行ってもいいですか?」

「いいよ」

 

 アーシアはそれを聞いてベッドに腰掛けていたイッセーの隣に座る。

 

「私…自分に出来る事が何なのか分かりません…でも…でも出来る事をやりきってみます…だってグレモリー眷属ですから」

「そっか」

 

 十日間ほど前に見せたこれまでとは違う自分の無力さと弱気さ。今の彼女は決してすべてを克服できたわけでは無い、それでも強くありたいと足掻いている。

 

「出来るよ。アーシアはきっと強くなれる…でも今日だけは俺に任せろ」

 

 その言葉を聞いてアーシアは体から震えが消える。

 

 

「言われた通りにしましたけど制服でいいんですか?」

「そうね。私達に共通のユニフォームみたいなものは無いから希望が無ければ駒王学園の制服が相応しいんじゃないかしら?」

 

 イッセーとリアスはオカルト研究部の部室内でそんな話し合いをする。そのやり取りは前よりも柔らかくなっているように感じる。

 リアスを含めたグレモリーチームは集合場所の旧校舎の部室に集まりレーティングゲームの始まりを待っていた。

 木場は部屋の隅で黙って精神統一、小猫は手にオープンフィンガーグローブを付けて本を読む、朱乃はお茶を嗜む、アーシアは黙って椅子に座って時間が経つのを待つ。

 

 開始十分前になって魔法陣が現れ光りだし、そこから銀髪メイドさんのグレイフィアが現れる。

 

「開始時間になりましたら個々の魔方陣から戦闘フィールドに転送されます。そこではどんな派手な事をしても構いません。使い捨ての空間ですので思う存分にどうぞ」

 

 その場から逸れて魔方陣を見せる。

 イッセーは魔力や魔術に関しては素人に毛が生えた程度なので違いを認知できないがなんか凄そうみたいな感想しか出ない。

 

「今回のレーティングゲームは両家の皆さまも他の場所からご覧になります」

 

 それは当然の話で婚約が決まる瞬間を見るためにこれを仕込んだのだから。

 上級悪魔になるためにもしっかりアピールはしとかないとなと気持ちを入れ直す。

 

「さらに魔王ルシファー様もこの試合をご覧になります。お忘れのないよう」

「へぇーっ!」

 

 イッセーは驚いた。一応悪魔としての教養は最低限叩き込まれていた為、魔王の立場というのは分かっている。それだけにたかだか御家の騒動の一つに首突っ込むのは違和感があった。

 だがその疑問に即座に答えたのはリアス。

 

「お兄様が…」

「えっお兄様?」

「うん。部長のお兄様は魔王様だよ」

 

 驚くイッセーに木場はすぐさま肯定する。

 魔王の名前にグレモリーは存在しない。少なくとも彼はそう教えられている。

 

「いやでも名前が」

「先代の魔王様たちはすでに亡くなっているんだよ。魔王なくして悪魔はあり得ないから。強大な力を持つ悪魔の方がその名前を受け継いだんだ」

「なるほど…魔王ってのは役職名ってわけか」

 

 木場はそうだよとイッセーの認識を肯定した。

 本とか神話で語り継がれている魔王が死んでいると言うのは中々ショッキングな話だった。

 リアスは跡取りが本来であればいたのだが悪魔社会の情勢上、兄に代わって跡継ぎにならざるを得なかったという話だった。

 悪魔社会を背負う兄と、歴史ある名家を背負う妹。

 イッセーは先日聞いたリアスの小さな理想を軽んじるわけでは無いが、上の悪魔が跡継ぎに関して急かしたがるのも何となく理解できてきていた。

 一人しかいないグレモリーの跡継ぎなら早く身を固めて欲しい、貴族の血筋を絶やさない為に子をなして欲しいと焦るわけだと。

 彼は会った事は無いが現当主は周りの家や権力者からもせっつかれている部分もあるのだろかと想像してしまう。

 

「そろそろ時間です。魔方陣に」

 

 グレイフィアから告げられ皆がそれに乗ると辺り一帯が光に包まれる。

 

 

 光が収まると部室にいた。転移したはずなのに部室にいた。

 イッセーは転移が失敗したのかと不審げに思う。

 

『皆さま。グレモリー家、フェニックス家の「レーティングゲーム」の審判役をさせて頂きます。グレモリー家の使用人グレイフィアでございます』

 

 校内放送でグレイフィアの声が響く。

 皆が耳を傾ける。

 

『さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアスさまとライザーさまの意見を参考とし「駒王学園」のレプリカを用意いたしました』

「まじか」

 

 レプリカと告げられてもにわかには信じられない。いつもの部室と変わらない再現性だし、小物や家具の細かい傷も再現されている。

 しかし空を見ると空が黒く無かった。おかげでここが地球ではないと確信できていた。

 これほどの空間を一回の使い捨ての為に景気良く用意できる悪魔の技術力の途方もなさに寒気すら感じる。

 こうしてイッセーが驚いている間にも説明が続く。

 リアスの本拠地は旧校舎、ライザーの本拠地は新校舎の一部。勝利条件はどちらかの王を戦闘不能にする、もしくは降参をするか。兵士のプロモーション、つまり昇格は相手の本拠地で宣言をする事。

 

『ではゲームスタートです』

 

 チャイム音と共に始まる。

 

 

「さて最初はライザーの兵士を撃破しないと」

 

 リアスの号令と共に木場は何処からか学校の地図を長テーブルの上に広げる。

 

「じゃあさっそく新校舎に一撃」

「待ってちょうだい。そんな事をしたらいきなり乱戦よ。流石に保たないわ」

 

 リアスは一気に戦場に風穴を開けようとするイッセーを慌てて止める。

 

「部長。まずは体育館を占拠しませんか?」

 

 木場から会話の口火を切る。

 

「そうね。まずは体育館ね。旧校舎と新校舎を繋ぐここを取るわ。相手も兵士と戦車を配置してくるはずだわ」

「ですが、仮に占拠したとしてもそこを維持するのには人員が足りませんわ」

「そうね。なら体育館は放棄しましょう。守る場所を増やすくらいなら消した方が賢明ね。ここはイッセーと小猫に任せるわ」

 

 リアスの考えに皆が頷く。特に不満はないし、何より主の決断を信じている。

 

「裕斗と小猫はもう一つのルートの裏の運動場側の森にトラップを仕掛けてちょうだい。朱乃は空にと一体に霧と幻覚をしてその場に待機」

 

 三人は頷いて部屋から出ていく。

 イッセーはさっそく役立たずなところを見せてしまい申し訳なくなる、もっと意見の一つくらい口にすべきだったと。先日割とカッコよく決めたと言うのに締まらない。

 ここでふとライザーのハーレムを思い出す。

 

「そう言えばライザーの眷属達がグラウンドを突っ切って来るとかありませんか?」

「そうね…可能性としては低いと思うわ。あったとしても弱い兵士を一人二人で罠がないかの威力偵察くらいね」

 

 リアスの意見を聞いて少し苦い顔。

 これはゲームであり競技で基本的に命を落とす可能性を排斥しているとはいえ犠牲というのは面白くない。

 プロスポーツの世界でも活躍して何億と稼ぐ人もいれば、活躍出来ずに他の選手の成績の肥やしになる人もいる。そんな風に割り切った方が良いのかと思う。

 

「うへぇ…まぁこっちより動ける駒が多くて本人が不死身だから出来るんでしょうけど」

「それもあるけど、ライザーはレーティングゲームでは気鋭の若手なのよ。個人的な考えになるけど、格下が相手であれば勝つのは当然で勝ち方にも拘るのよ。どれくらい下僕を動かしたのか、どれくらい陣地を占領したのかとかね。それも評価に繋がるから」

「そんなゲームみたいな、ゲームか」

 

 クリアの仕方に拘る。イッセーもゲームをする際にクリア時の評価を高くするように努める事はある。極力ミスを減らし、クリアに使ったタイムを短くする。

 

「それでプロモーションだけど…」

「まだ難しいです…」

「そうね…」

 

 プロモーション、兵士の駒が相手陣地に入った際に王以外の駒に変換されるチェスのルール。

 特訓中に兵士以外の駒の力を試してみたがどの駒の力も持て余してしまい、まともにコントロールが出来なかった。十日程度ではプロモーションと赤龍帝の籠手の力を合わせるまでに至らなかった。

 悪魔の体のままで通常の倍加を扱うのは何とか出来るようにはなった。プロモーションを使うと力を暴走させてしまう。

 

「ま、まぁ頑張りますよ…?」

「「…………」」

 

 イッセーのその一言にここにいる女性陣二人はそこはかとなく不安そうに。

 その後、木場と小猫の二名が返って来るまで微妙な雰囲気が続いた。

 

 

「空の色が同じならレプリカだってわかんないや」

「一応悪魔の目があるとはいえある程度の視界は確保できるようになっているんだと思います」

 

 イッセーと小猫は目的地である体育館の前に到着していた。

 この場所を占拠するために配置されているライザーの眷属を退けるのが任務。

 

「危なかったら直ぐに逃げてね」

「そういうわけにはいきません」

 

 イッセーのキザにも思える発言に相手は当然反論する。

 静かに見えて意外と熱血で仲間愛に厚い所があるのは小猫との短いつき合いの中でもイッセーは理解できている。

 

「カッコつけじゃないよ。小猫ちゃんは『戦車』だ、いざってときはキャスリングがあるから王の次に残らないと」

 

 イッセーはキャスリングという特定の条件で使える脱出技があると聞いていた。使う場面は限られるが真っ先に必要ないと決めつけて潰す択ではない。

 逆にライザーの眷属の戦車の娘を先に潰すことが出来れば、ライザーから逃げの選択を奪える。プライドの高そうなあの男がそれを使うかは微妙だが。

 仮に十人に取り囲まれたとして、二人で倒そうと二、三人道連れにするくらいなら一人が囮になって逃げる時間を稼ぐ方がいい場合もある。

 

「…………」

「なに?」

 

 彼は何やら不穏な視線を隣から感じる、元は小猫だ。

 

「…ドライなんですね」

「そうかな、でも実践と違って死ぬわけじゃないし。それに余計なこだわり持って勝てるほどライザーって簡単な相手じゃないだろうから」

 

 そう言い切られて小猫は静かな声で「はい」と不服そうながらも肯定の返事をする。頭では納得することは出来るが、心は納得出来ない。

 イッセー自身も心にもない事を口から漏らしているなという自覚はあった。だがこうやって心を凍らさなくてはこれからやる事に心が耐えられない気がした。

 どんなに傷ついたとしても致命傷になる前に転移され可及的速やかに治療が行われる。だとしても真剣な殺し合いの場でもないのに傷つけるというのは事実なのだ。仮にその後遺恨が無いとしても。

 所詮は命のやり取りではないゲームなんだから気楽にいこう、そう言い聞かせなければ戦えない。

 

『小猫、イッセー。朱乃と祐斗はもう準備できたわ。お願いね』

「「了解」」

 

 待っているとインカムからリアスの声が聞こえて指示が入る。

 二人はまず体育館の裏口から入る。中は薄暗かったが、遠目に光が差している。恐らくだが平面上では建物の中央部分にあたるコートを照らしている。

 

「そこにいるのは分かってるわよ、グレモリーの下僕さん達!あなた達がここに入り込んでくるのは監視してたんだから」

 

 体育館の舞台袖にいる二人に話しかけてくる者が一人。

 出入り口は限られている、それにイッセーは上手く相手の索敵を躱せるような便利なスキルは持っていない。

 二人は視線を合わせて頷きあう。バレているなら隠れていても無駄だと。

 壇上に立った二人の視界にはチャイナドレスのお姉ちゃんとブルマの体操着を着ている双子、それと棍を持っている舞踏服の少女。

 仮に眷属の服装をライザーが指定しているとしたら、この状況はフェチコレクションを見せつけられている可能性がある。あるというかライザーはハーレムを見せつけてきたのだが。

 

(そうか。上級悪魔になったらこんな事もやりたい放題なんだ!)

「…エッチな妄想禁止」

 

 イッセーはその妄想でよだれが出てしまうが小猫はすぐさまそれをたしなめる。彼は指摘されて慌てて自分の服の袖でぬぐう。

 事前情報でライザーの眷属の特徴や得物は割れている。目の前にいるのは戦車一人と、兵士が三人。イッセーは思ったよりも戦力を割いてこなかったなと思った。兵士の実力は同じ駒の八人の中では弱い方の三人だ。

 

『気をつけろ。何の策もなく弱い駒を配置するとは思えん』

(そうだよな。コートの中に爆弾とか仕込んでるかも)

 

 部長の最初に立てた作戦では体育館内の敵を全員戦闘不能にして朱乃の一撃で建物ごと崩壊させる。最初から守り抜くのが難しいなら建物ごと破壊する。

 

「どうする?」

「私は戦車を」

「俺は兵士の子たちね」

 

 二人はそう言って壇上から降りる。そしてそれぞれの相手に向かい合う。

 

「いくぜ…ブーステッドギア!」

『Boost!!』

 

 赤色の籠手を出してその力を発動する。

 それを見るや兵士の三人も攻撃に出る。恐らくだが通常状態での神器の力が十秒ごとに持ち主の力を倍加するの知っているため早い決着を望んでいるのだ。

 彼の視界にはそれぞれチェンソーを持つ双子の姿と棍を構える武道服の娘が。

 

(集中!)

 

 事前の映像通りなら三対一でも簡単に勝てる相手。だが油断はできない、相手が仮に十日間の猶予期間の間に何かしらの技術のブレイクスルーを迎えた可能性がない話でもない。

 何よりレーティングゲームという特殊なレギュレーションを何度も経験している先輩でもあるのだ。

 

「解体しちゃいまーす♪」

「バラバラバラバラ!」

 

 二人はチェンソーのエンジンを吹かせると突撃して来る。そしてその背後に棍を持った女の子が迫ってきている。

 

「フッ…!」

 

 イッセーはまず双子を盾にしたつもりで油断しながら真っ直ぐ突っ込んでくる相手を標的にする。

 

「「え…?」」

「ガハッ!?」

 

 三人は一瞬イッセーの姿を見失う。それと同時にドン!と何か殴る様な鈍い音と道着を来た相手が血反吐を吐く声。

 

「なんで…」

「うそ…」

 

 背後からする悲鳴と衝撃音。それを耳で拾い、慌てて振り向くとイッセーがそこにおり、床に倒れこんで悶絶している女の子が一人。気が付いたら勝負は決していた。

 状況からして分かってはいる、二人の間を真正面に通り過ぎて仲間の一人を討ち取ったと。目で追えなかったせいで本当にそれが正しいのか分からない。

 

「…………」

「「……ッ!」」

 

 彼はゆっくりと振り返り固まる相手を見つめる。

 何をされたのは理解出来る、だが何度もゲームを経験して来てここまで手が出ないという経験はなかった。ここでの短いやり取りの中で勝てないの脳裏に刷り込まれた。

 相手の力量を何とか測ろうとしているとガシッと片側のチェンソーの取っ手部分が握られる。

 

「…………」

「悪いな」

 

 イッセーに自分の得物を掴まれたと思ったら思いっきり引っ張られてその動く刃をもう片方のチェンソーにぶつける。

 双子の武器は爆発する。一体に爆発の粉塵が撒き散らされて視界がゼロになる。

 

「えっなに?」「前が見えないよ!」

 

 双子が驚き叫ぶ。

 だが煙の中で「いたっ!」「あうっ!」という小さな悲鳴と小さな打撃音が響く。視界が晴れるとそこには痛そうに顔をしかめながら何とか意識だけは繋いでいる双子。

 

『Boost!!』

 

 イッセーは十秒ほどでライザーの兵士三人を制圧して見せた。

 彼は自分でも驚いていた。少し前までは悪魔の力もそしてそれに加算される神器の力も持て余していた。まだ使いこなすまでには程遠い状態だがそれでも一定の戦闘は出来た。

 

「…終わりました」

 

 イッセーが自身の神器を見ながらこの戦いの戦評を勝手にしていると、小猫が話しかける。

 どうやら小猫の相手は倒れていたが意識はしっかりとしていた。少し休めばすぐに戦線に復帰できる程度の負傷。

 

「怪我大丈夫?」

 

 戦っていたのが分かるくらいには戦闘痕があったため、彼はそう話しかける。

 

「はい、というかイッセー先輩は無傷なんですね…」

「小猫ちゃんと木場が教えてくれたテクでなんとかね」

 

 小猫は多少打ち身や服の一部が破れていたが、イッセーは戦う前と差は無かった。

 

「じゃあ出ようか」

「はい」

 

 二人はそう言うと体育館正面の玄関に走っていく。

 

「逃げる気!ここは重要拠点なのに!」

 

 相手の戦車の娘が遠ざかっていく背中に向かってそう言う。

 普通であればこの場の駒全員を全滅させて新校舎へと攻め入るための足掛かりの拠点にする。

 だが王のリアスと回復役のアーシアを除けば戦闘員が四人しかいないグレモリー眷属には体育館に人員を割く余裕はない。

 

「朱乃さん。体育館の破壊は俺がやります。空で援護をお願いします」

『えっ?しかし…』

『いいわ朱乃。イッセーにも考えがあるんでしょう』

 

 イッセーの提案に一瞬朱乃はどうしたらいいのか分からずに呆然とする、元の作戦では朱乃が実行する予定だからだ。その話を聞いていたリアスは変更を許可する。

 

『Boost!!』『Explosion!!』

 

 外に出ると倍加を止めて力を固定する。

 

「いけっ!!」

 

 倍加の力で増大させたドラゴンの力の塊を思いっきり体育館に向けて撃ち放つ。

 ―ドオオオォォォン!!!

 閃光と轟音が辺りを埋め尽くす。そして後に残ったのは体育館の跡地。

 

『ライザー・フェニックス様の「兵士」三名、「戦車」一名、戦闘不能!』

 

 審判であるグレイフィアの声がフィールド全体に響く。

 イッセーはそのアナウンスを聞いて一層気を引き締め直す。ライザーを倒すその時まで自分は決して倒れるわけにはいかない。

 

「成功したね」

「はい」

 

 小猫はいつもの無表情の時よりも幾分か表情がほぐれていた。仲間意識の高さと主への忠誠心の高いためか一定の達成感を感じているのだろう。

 相手の眷属を四人仕留めて、重要拠点を一つとったのは間違いなく序盤の小競り合いを制したと言っても過言では無かった。

 

「取りあえず木場と合流ですか?」

『そうね。取りあえず小猫とイッセーは祐斗と戦場を荒らして頂戴』

 

 そんな会話をしていると突然ドォン!!と何かが炸裂する音がした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。