「失礼します」
リアスが駒王学園の会議室である部屋の扉をノックする。
そして扉を開けるとそこには大きなテーブルと、それを囲む各勢力の代表たち。
悪魔側はサーゼクスとセラフォルー、そしてメイドであるグレイフィア。
教会側はミカエルと側近と思われる天使の子。
堕天使側はアザゼルと白い龍であるヴァ―リ。
それぞれが正装を身にまとっている。
「私の妹とその眷属だ」
サーゼクスは真っ先に入って来たリアスたちの紹介をする。教室の端っこにはソーナとその女王がいた。
その紹介を受けてリアスは軽く会釈をする。
「先日コカビエルの件で活躍をしてくれた」
「報告は受けています。改めてお礼を申し上げます」
サーゼクスの説明にミカエルは礼を言う。
リアスは再度軽く会釈をするだけに留める。
「悪かったな、俺の所のコカビエルが迷惑をかけた」
アザゼルはそんな事など思って無さそうな軽薄そうな雰囲気でそう言った。
その態度にリアスは目を引きつらせていた。
「その席に座りなさい」
サーゼクスに言われて皆は壁の前に置かれていた椅子に座る。
「会談の前提条件として、ここにいる者達は、最重要禁則事項である神の不在を認知している。その認識のもとでこの会談を始める」
悪魔の代表としてその発言をする。
イッセーはソーナの方をチラリと見る。驚いている様子は無かったため既に知っているのだと分かった。
会談は順調に進む。
「という世に我々天界は―」「そうだな、その方が良いのかもしれない」「まあ俺らは特にこだわる必要もないけどな」
たまにアザゼルの一言が場を凍らせるのだが話し合いは順調に進む。
正直イッセーは話の大半を理解出来なかった。ただ前日にリアスに会談で覚えておいた方が良い事を教えて欲しいとお願いしたため、何とか話の一割は理解して頷く事に成功していた。
「……んっ?」
イッセーは突然自分の左手に何かが覆いかぶさる感覚が襲う。それはリアスの手だった、触れて分かる僅かに震えている感覚。
リアスとてこの場所に立つ緊張とプレッシャーを感じているのだ。
各代表はリアスを魔王サーゼクス・ルシファーの妹して、そして悪魔側の代表の一人として彼女に視線を送る。
その圧力は並大抵のものではない。
「さてリアス、先日の事件について話してもらおうかな」
「はい、ルシファーさま」
イッセーから手を離してリアスは立ち上がり報告を始める。その姿は先ほどまで見せた弱気を感じさせないものだった。
「以上が私リアス・グレモリーとその眷属悪魔が関与した事件の報告です」
「ご苦労、座ってくれたまえ」
「ありがとう、リアスちゃん☆」
魔王二人がそう言って下がらせる。
「さてアザゼル、この報告を受けて堕天使側の見解を聞きたい」
サーゼクスはリアスが座ったのを見てから堕天使の代表に問いかける。
「先日の事件はコカビエルが単独で行ったものだ、処理もこっちの『白龍皇』が行った。コカビエルのやつは軍法会議で『地獄の最下層』で永久冷凍の刑にした、もう出てこれねえよ。資料で渡した通りだ」
アザゼルは煩わしそうにそう言った。
その姿にミカエルは嘆息する。
「説明としては最低の部類ですが、あなたが我々と事を起こしたく無いのはわかっています」
「ああ、俺は戦争に興味ない。コカビエルだって俺の事をこき下ろしていたと、そちらの報告でもあっただろう」
アザゼルは面倒そうにそう言った。
実際にあの日現れた堕天使は明らかに組織の方針から逸脱した行動をとっていたし、組織の長を悪く言っていた。
「アザゼル、なぜ神器所有者を集めている?我々悪魔、または天界に戦争を仕掛けるのかとも思ったが、そういうわけでもなさそうだが」
サーゼクスの発言にミカエルも頷いていた。
神器について嗅ぎ回るなら戦力増強かもと疑うのも頷ける流れだった。
「別にただの趣味だ。もう戦争に興味はない、今の世界で満足しているからな。何なら研究結果の一部でも送ってやろうか?部下には人間界の政治に手を出すなと言ってある。ったく…俺の信頼値は最低か?」
「それはそうだ」
「そうですね」
「その通りね☆」
アザゼルのセリフに対して皆が口を揃えてそう言った。
彼ばずるっとズッコケる。
「あー分かった分かった。和平を結ぼうぜ。元々そのつもりで来たんだろう」
『ッ!?』
その一言に誰もが息を呑んだ。
これまで表面上は冷静さを保っていたリアスも、鉄仮面のソーナもその表情を崩していた。
サーゼクスとミカエルのどちらかが切り出すとイッセーは思っていただけに、堕天使からというのが驚いた。
「私も和平を持ちかける予定でした」
最初に立ち直ったのはミカエルだった。
「これ以上争っても今の世界の害になる。神も魔王もいないのですから」
「ハッ!アレほど神!神!神!だったのにな」
「…失ったものは大きい、いないものをいつまでも求めていても仕方ありません」
アザゼルの煽りに対して薙のように受け流す。
「我々も同じだ。魔王が居なくとも種を存続させなければいけない。戦争をすれば滅ぶ」
サーゼクスも発言をする。
「そう、次戦争をすれば三勢力共倒れだ。俺たちは戦争を起こせない」
アザゼルもそれに乗っかる。
それは先程までのふざけた雰囲気から一変して真剣なものになる。
「神がいない世界は間違いだと思うか?神がいない世界は衰退すると思うか?残念ながらそうじゃなかった。俺もお前たちも今こうやって元気に生きている」
そして腕を広げてこう言った。
「神がいなくても世界は回るのさ」
イッセーはこれまで神様がいなくて困った事はなかったし、不自由などと感じた事はない。
神様がいないからといって世界が大混乱に陥った事もない。それこそ神話に描かれているような世界崩壊の話など聞いたことが無い。
その後、会談の内容は各勢力の兵力、各陣営の対応、ここからの勢力図に移る。
先程よりも緊迫感ともいえるものが薄まったように思える、互いに戦争継続の意思はないと確認が取れたからか。
「と、こんな所だろうか?」
サーゼクスのその一言で各勢力のメンバーはほっと息を吐く。
その流れでグレイフィアがお茶を給仕していく。
会議が始まって一時間ほど、内容も大分まとまって来ていた。
「はて、話し合いの方も大分良い方に向かって来ましたし、そろそろ赤龍帝殿のお話を聞いてもよろしいかな?」
ミカエルはお茶を一口したのちにそう言った。
その言葉で皆の視線がイッセーのもとに集まる。
「アーシア」
「はい?」
「アーシアの事を聞いてもいいか?」
天使に聞きたい事はアーシアの事だった。
彼の予定では階段が終わって後であり、この場所で質疑をするとは思っていなかったのだ。
「イッセーさんがお聞ききしたいのであれば構いません」
彼女は一瞬で快諾した。それが信頼とイコールであると感じさせる。
彼は椅子から立ち上がって話し始める。
「アーシアを異端にした理由を教えてください」
その質問に皆が何故そんな質問を?という疑問を浮かべる。
何故アーシアを見捨てる決断をしたのか。それは決してアーシアが望んでいる内容とは思っていなかった、これは完全に天界に対して許せない感情を発散したいだけだ。
ミカエルはその質問に対して真摯な態度で答え始める。
「それに関しては申し訳ないとしか言えません。神が亡くなったあと、奇跡や加護を司る『システム』だけが残りました。これを用いる事で悪魔祓い、聖具などの力を作用させています」
アーシアやゼノヴィアが偶にお祈りをしてダメージを受けるのもそれが理由。
「神が死んでそれに不具合が生まれたんですね?」
「『システム』は神以外が使うのは困難を極めます。私を中心に動かしていますが、神がご健在だった頃に比べたら加護も慈悲も行き渡っていません。残念な事ですが救済できるものは限られています」
それはコカビエルも言っていた事だった。
神を信じても裏切られる者は不可避に生まれてしまうのだと。
「そのため『システム』に影響を及ぼす神器や存在を教会から遠ざける必要があったのです」
アーシアの持っている『聖母の微笑』のような神が生み出すはずの力が悪魔すら治せる。
それが広く知られれば信仰というものに悪影響を与えてしまう。
神が不在の現状ではそれが大きな痛手になる。
「神の不在を知る者」
ゼノヴィアはそう言った。
彼女もまた神の不在を知った事によって世界に影響を与えてしまった人間の一人。
「ええ、そうです。貴方が悪魔になった事は痛手ですが、神の不在を知る者を本部に近づけると『システム』に悪影響が出るのです。申し訳ありません。貴方とアーシア・アルジェントを異端とするしかありませんでした」
ミカエルは立ち上がって二人に向けて頭を下げた。
その謝罪を向けられた二人は驚いていた。これまで敬っていた相手に謝られたら困ってしまうだろう。
「いえ、謝らないでくださいミカエル様。理不尽こそ感じましたし、後悔も無いわけではありません。ですが悪魔になった事で得られた事が今の私を彩ってくれています。これを言うと他の信徒に怒られてしまいますが…」
ゼノヴィアは謝罪する相手を庇うようにそう言った。それには彼女の本心も含まれているように感じる。
(悪い娘じゃないんだよなぁ…)
イッセーは最初こそ険悪だったし、今も常識はずれな行動をとるわで手を焼いているが悪党ではないと感じた。
アーシアもゼノヴィアに続いて立ち上がった。
「ミカエル様、私も今幸せだと感じております。大切な人たちが沢山できましたから。それに憧れのミカエル様にお会いしてお話も出来たのですから光栄です!」
彼女は手を組んでそう言った。そこにはやはり本心しかない。
「俺のところの部下がその娘を騙くらかしたらしいな。その報告も受けている」
アザゼルはここで茶々を入れてくる。
その配慮のなさに対してイッセーは頭に来た。
「あんたらが神器の所有者を殺して回るのは何でだ?そんなに神器が怖いのか?」
「将来敵になるかもしれない相手を始末するのは当たり前だ、組織として当然だろう?それに使いこなせない力は暴走して世界に害を与える」
その指摘と挑発に相手は乗らない。
本来であれば一人の下級悪魔がグリゴリのトップを挑発するなど許されないはずだが、アザゼルはそこは何も言わない。
「仮に今俺が謝っても後の祭りだ。だからこれは俺のやり方でお前たちを満足させてやるよ」
彼はそう言って辺りを見回した。
「さて、そろそろ俺たち以外に世界に影響を与えられる無敵のドラゴン様に意見を聞こうか?」
まずアザゼルは『白龍皇』であるヴァーリに視線を向ける。
「俺は強い奴と戦えればそれでいいさ」
そう言ってイッセーに彼は視線を向ける。
(いやだからね?)
イッセー的には戦うとかは勘弁してほしい所存だった。
そして次に視線を向けたのは『赤龍帝』であるイッセー。相手は短く「どうなんだ?」と問いかける。
「俺は和平で、魔王様にも前に伝えた通りで」
その返事に各勢力のお偉いさんたちはホッと息を吐いた。
「まだ私に聞きたい事がありましたよね?」
ミカエルはそう問いかける。
彼はアーシア関連も聞きたかったのだが、もう一つどうしても知りたい事があった。
だがその質問をする前にあの感覚が襲ってくる。彼は咄嗟にリアスの手を取って籠手を出す。
◎
「危ねぇ…」
彼が外を見ると雲は動きを止めており、世界の全てが止まっていた。
この力はギャスパーの持っている神器の力に間違いはなかった、だがイッセーの知っているものよりも明らかにスケールが大きい。
「おっ、やるじゃねぇか」
アザゼルは軽く口笛を吹いてそう賞賛した。
咄嗟に停止の力を察して防御、しかも主であるリアスを同時に守った対応の速さを褒めていた。
周りを見渡すと動ける者と止まっている人とで分かれている。
お偉いさんたちと『白龍皇』は動けるが、朱乃やアーシア、そして生徒会二人組は止まっている。
「眷属で動けるのはイッセーと祐斗そしてゼノヴィアね。そして私はイッセーが守ってくれたと…」
リアスは現状を確認する。
騎士の二人は自身の剣を取り出していた。聖なる力が停止を跳ね返したのか。
「時間停止の感覚は何となく体で覚えた。デュランダルを盾にすれば防げると思ったのだが、正解だった」
ゼノヴィアは何度かギャスパーが神器を使うのを見ていた為に出来たのだ。
木場も同じように聖魔剣で自分を守っていた。
イッセーはリアスから手を離して窓際に移動する。
「なんだ、ギャスパーがやったのか?」
そう言いながらも違うと頭では思っていた、あのヘタレがこんな危険な行動をとるとは思えないのだ。
「テロだよ」
イッセーの呟きに反応したのはアザゼル。
皆が外を見ると何やら怪しい武装やローブを羽織った人達がこの校舎に攻撃を加えている。今もこうして建物の振動を感じる。
上空にあるゲートのようなものから絶え間なく敵が入り込んでいく。この場所は特殊かつ強固な結界で守られており簡単に入り込める場所ではない。
「攻撃を受けているのさ。いつの時代もこうして和平を結ぼうとする奴らが気に入らない奴らはいるもんさ」
呆れたようにそう言った。
イッセーからすれば理解の難しい思考回路ではあるが。
「ギャスパーがテロリスト?いやあいつがそんな事をするやつとは…」
短いつき合いではあるが分かる、仮にテロを行えるような度胸があればあんな引きこもりにはなっていない。
何よりリアスに恩義を感じているならテロなどしないはずだ。
その疑問に答えたのもアザゼルだった。
「恐らくはあのハーフバンパイアの小僧を拉致して、力を譲渡する系統の神器を使って強制的に禁手状態にしたんだろう。一時的なものだろうが、こうして建物の中の奴まで止められるのはそれだけ潜在能力が高いのか。俺達トップ陣を止めるにはちと出力不足だっただようだがな」
イッセーは神器の力を聞いて疑問を覚えた。
「力を譲渡する神器?赤龍帝の籠手は世界に一つだけじゃ…」
当たり前だがドライグはこの世界に一人だけだ。
アザゼルは無知を笑うわけでもなく真剣に説明をする。
「譲渡する神器自体は別に存在している。それと同時に無限に倍加する力もな。だがそれを同時に併せ持つのはお前の持っている『赤龍帝の籠手』しかない。神滅具ってのは本来組み合わせてはいけない凶悪な力が合わさっている場合が多い。とにかく言ってしまえば譲渡する力は他に存在している」
「な、なるほど…」
正直分かりやすく教えてもらってありがたいなと彼は思った。
「つまりギャスパーが敵の手に落ちてテロに加担させられていると言うことね?どこで私の下僕について知ったのかしら…?この会談に利用されるだなんて、これほど侮辱される事はないわっ!」
リアスは怒りを露わにする。眷属愛の強い彼女からすれば許せない事だろう。
「因みに三すくみの軍勢もあらかた止められちまってる。全く、リアス・グレモリーの眷属は末恐ろしい限りだ」
アザゼルはやれやれとリアスの肩を叩くが、彼女はすぐさま払いのける。
彼は手を払われた後、手をかざすとグラウンド一帯に光の槍を大量に降らせた。
「マジかよ…」
なんの予備動作も前兆もなくテロリストに襲いかかるそれは次々と体を貫いていき、校庭を悲惨な景色に塗り替えてしまう。
だが結界を繋いでいるゲートのようなものから次々と敵魔術師らしき連中が入ってくる。
「恐らくだがこのままあのハーフヴァンパイアの力を高めつつ俺たちを足止め、そして完全に停止させてから校舎ごと屠るつもりだろう。さっきから倒しても次から次へと補充されるの繰り返しだ。テロの方法といい、内情に詳しい奴がいるな」
倒した敵に興味も湧かないのか、淡々と分析を続ける。
(裏切り者…)
イッセーはチラリとヴァーリを見つめる。
視線を向けられた相手は苦笑いだけして肩をすくめる。
「このまま脱出するのは?」
「ここから出るには俺たちの結界を解かないといけない。そうすれば外に影響が出る。案外、外に出して戦わせる事が敵の目的かもな」
「自分たちで作った結界に自分たちが閉じ込められるのかよ…」
イッセーのボヤキにアザゼルも苦笑いしかできない。
このまま待っていてもジリ貧なのは間違いない。
「仕方ねぇな…サーゼクス様」
「なんだい?」
「ギャスパーは俺が取り返します」
「ふむ…」
サーゼクスはその提案に対して思案する。
どちらにしろ現状一番の脅威はギャスパーの停止能力、それさえ止められれば策の取りようはある。
問題は彼一人に行かせるリスク、敵の人員も脅威度も不明、旧校舎までどれほどの罠があるかわからない。
相手とてそこを狙われるのは分かっているはずだ。
「しかし外は敵だらけだ。それに通常の転移も阻まれていると考えるべきだ」
「なら私も行きます。根城の部室に未使用の『戦車』の駒があります」
「なるほど、キャスリングか」
悪魔の駒の特殊な力の一つキャスリング、王と戦車の位置を入れ替えられる。
ある程度転移される事は対策しているが、突然キャスリングで現れれば相手の虚はつける。
「サーゼクス様の魔力を使えばもう一人分転移可能です。簡易式しか展開出来ないのでそれが限界ですが」
グレイフィアが提案をする。
サーゼクスはそれを聞いて頷く。当面の動きは決まった。
「赤龍帝」
「?」
「これを持って行け」
アザゼルがイッセーを呼んで、懐から取り出したのは二つの腕輪だった。
「これは神器の力を抑える力を持った腕輪だ。あのハーフヴァンパイアを取り返したらつけてやれ、それで力を抑えられるはずだ」
「二つ?」
「お前の分だ。『赤龍帝』の力、コントロール出来ないんだろう?それを使えば辺り一帯を更地にするようなことにはならないさ」
イッセーは受け取った腕輪をじっと見つめる。これを自分に渡す真意を図りかねる。
「いいか、格下なら赤龍帝の力を振るうだけで勝てるだろうが。本来、掌握できない力なんてのは、相手からしたら御しやすい代物でしかない。お前が勝ててきたのは運がいいだけだ、そのやり方じゃ近いうちに死ぬぞ」
「分かってるさ…」
抉るような言い方だが、忖度のない意見の方がすっと入って来る。
これまでコカビエルの様なイレギュラーを除けば一撃で倒せる程度の相手としか戦った経験がない。
「そんなことをするよりもあのハーフヴァンパイアをここから吹き飛ばした方が早いんじゃないか?」
これまで事態を静観していたヴァーリが口を開く。
当然その発言にイッセーは睨む。
「ヴァーリ、これから和平を結ぼうってのに物騒なのはやめろ。最悪の場合そうするが、魔王の身内だ。助けるに越したことはないだろう」
アザゼルは苦笑いをしながら嗜めようとする。
「お前は外で敵を撹乱してくれ、『白龍皇』が出てくれば多少あいつらの動きを乱せるはずだ」
「了解」
ヴァーリはため息を吐きながら神器を取り出した。背中に展開される光り輝く翼。
会議室の窓を開けて飛び出して行く。
「禁手化」
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』
白銀の鎧を纏って魔術師達の中に突っ込んでいった。
そして次から次へと送り込まれていく魔術師達を薙ぎ払って行った。
イッセーは改めてライバルと称される相手との力量の差を感じる。
あちらは完全に力を使いこなしていて、自分は三秒がいい所しか禁手が使えない。
「準備ができました」
話している間にグレイフィアが部屋の中央に魔方陣を展開する。
視線でイッセーとリアスに来いと告げている。
「ではイッセーくん、妹とその眷属を頼んだよ」
サーゼクスの一言で視界が白くなった。それは転移時に起きる現象。
ギャスパー奪還戦が始まる。