Final Fantasy 15 Alter   作:ナタタク

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王都インソムニア
リード地方東部に存在するルシス王国の首都であり、周囲の高い壁で覆い隠している都である。
中央には王城が存在し、そこを中心に発展してきた経緯があり、建国時から一貫して首都として機能していたことから、2000年の都とも呼ばれている。
壁は魔法防壁というクリスタルを介してルシス国王が発動している障壁を補助しており、この存在のために帝国軍は首都への攻撃が未だに行うことができていない。
ただし、魔法防壁の発動および維持は王の心身に大きな負担を与え、レギス本人も本来なら50代であるにもかかわらず、身体年齢としては80歳以上の高齢と診断されるほど老化している。
この事実はノクトを悩ませ、幼少期の若々しく頼もしい父親が急速に衰え、王として成長する前に死んでしまうのではないかと思ったときには自暴自棄になるほどだったという。
王都の住民は皆が知らず知らずのうちに王の命を削って生み出されたゆりかごに守られ、恩恵を受けているだ。


第2話 ハンマーヘッド

「ハア、ハア、ハア…」

「ハア、ハア…疲れたぁ…」

「グウウ…もう、レガリアを押すのは、御免だぜ…」

「なんとか、夜になる前に、間に合ったな…」

ハンマーヘッドの駐車場に到着したとともに、アスファルトの上で4人が倒れこむ。

汗と砂埃と泥で全身が濡れ、下りつつある太陽がノクトの目に映る。

何はともあれ、夜になる前に到着できたことは彼らにとって幸いで、夜に備えて黄色いジャケット姿の作業員が出入り口に設置されているライトの準備に入る。

「おーい、待ってたよー。ごめんね、なかなか連絡繋がらなくて」

倒れる4人に女性が声をかけてくる。

明るい声な上にスタイルの良さが目立ち、そんな刺激的な姿がプロンプトの目に映る。

「ええっと、誰が王子様?」

ボーッと眺めるプロンプトに目もくれず、彼女は依頼人である王子を探す。

インソムニアの内と外では王族への認知度に大きな格差があり、名前を知っているならともかく、今では王の名前すら知らないという人物もいる始末。

シドニーに関しては王族の名前はあらかた知っているが、写真を見たことがないことからこの4人のうちの誰かはわからない。

みんな若い男性で、おまけに王族とは思えない汚れ放題な姿では誰も分からないだろう。

「ええっと…俺だけど…」

どうにか起き上がり、頭を掻きながら彼女に右手を挙げて合図をする。

とても王族とは思えない姿だが、レガリアの存在と結婚の話から彼で間違いないだろう。

「やあ、初めまして、王子様。結婚おめでとう」

「いや…まだだから…」

「君がルナフレーナ様の結婚相手かぁ…けど、こんな姿なんて見せてないよね?」

「遅くなって申し訳ない」

「ハハ、ガレージでじいじが待っているよ」

「で…あんたは…」

「私はシドニー、シドニー・オールム。シド・ソフィアの孫娘よ。ほら、ひとまず飲んで」

シドニーから500ミリペットボトルの水が渡され、レガリア運びで喉を枯らしていたノクト達はそれを飲み干していく。

ゆっくりと飲むイグニスに対して、それ以外の3人は浴びるように水を飲み込んでいった。

やがて、老人がやってきて、前方がボロボロなレガリアを見ていく。

「じいじ」

「さっさと運ばせろ、まったく…親父から言われなかったのか?大事に使えって。こいつは繊細な車なんだぞ」

目も当てられない姿のレガリアに老人はため息をつくと同時に、頭の中で修理工程を構築していく。

手帳を出して、一通りの手順を書き記していき、それをシドニーに渡した後でノクトの顔を見る。

「ノクティス王子か…」

「あんたが…シド?」

「…フン、親父の威厳をそのままふき取ったような顔だな」

「はぁ…?」

初対面でいきなりのシドの発言にノクトは目を丸くする。

イグニスの話から、レギスとシドは知り合いとは聞いていたものの、それでもこんなことは初対面の人間に言うものではない。

ノクトだからこの反応で済んだものの、それ以外の王族に対して言ったらどうなるかは火を見るより明らかだ。

そんな彼の反応を無視し、シドはレガリアに手を置く。

「いろいろ、控えた大事な旅だろ。もっと引き締まった顔ができねえもんかね。あと、こいつはすぐには直せねえぞ。ガレージへ運んだら、近くのキャビン行ってシャワーを浴びて、洗濯をしておけ」

帽子で目元を隠したシドがガレージへ去っていき、そんな祖父の後姿にシドニーは思わずため息をつく。

インソムニアへ向かう前の最後の整備場であることから、インソムニアを出入りする車両が最後の点検に立ち寄ることの多いここはシドニーの愛想の良さとシドの技術で成り立っている。

どんな客に対してもこの態度だから、それに怒った客に謝るのもシドニーの仕事になっている。

「おい、お前ら。ライトの準備終わったら、この車をガレージに入れろ。スケジュールを話すぞ」

シドの声にライトの準備を終えた作業員たちがガレージへと向かう。

「ああ、キャビンはここの隣のレストランの隣ね。あと、一応これが請求書ね」

イグニスに手書きの請求書を渡したシドニーがガレージへ戻っていき、それを見送ったイグニスは請求書の金額を見てフゥとため息をつく。

「どうしたんだよ?」

「困ったな…かなりの金額だ」

「あれ…ギル?円じゃないの??」

「円が使えるのは王都だけだ。外ではギルがスタンダードだ」

奇妙な話ではあるが、ルシス王国では王都インソムニアとその外で通過が異なる。

インソムニアでは円が採用され、外では国際通貨となっているギルが採用されている。

元々はニフルハイム帝国で使われている通貨だが、国内外で大量に流通し、さらには現在のイオスでは最大の勢力を誇っていることから国際通貨と化している。

おかしな話に聞こえるが、他国では過去に金と銀とギルの3つの通貨が採用されたケースもあるらしい。

また、インソムニア自体がやや閉鎖的な都市といえ、食料生産も経済活動もインソムニアの中で完結していることが多いことから、普通の生活をするのであれば円のみを使用すればいいため、困ることはない。

なお、円とギルは変動相場制となっており、王都でのカップヌードルが現在1つ200円、ハンマーヘッドに併設されているアイテムショップのミニマートに置かれているカップヌードルが1つ55ギルであることから、1ギルが大体3円から4円くらいだろう。

財布を預かるイグニスは旅費を預かっているが、その旅費すべてがこの請求書1枚で吹き飛ぶことになる。

救いなのは、その請求書の中に今日のキャビンでの宿泊費が入っていることで、晩御飯と簡単な朝ごはんはつく。

とはいえ、これでノクト達は晴れて一文無しということになるが。

「ひとまず、早くキャビンに入ってシャワー浴びようぜ。あとのことは明日、考えるで」

「そうだねー、もうレガリアを押して疲れちゃったし」

「そうだな…あー、外の世界は厳しいぜ」

 

夜になり、昼間までは確かにあった車の音が聞こえなくなる。

静寂の中でイグニスは汚れた服をコインランドリーの洗濯機に入れていく。

外ではグラディオが大剣を振っていて、キャビンの中ではノクトとプロンプトが下着1枚でぐっすり眠っている。

「とんだ幕開けになっちまったな、今日の旅は」

洗濯が終わるまで外で待つことにしたイグニスに声をかけるグラディオはさすがに昼間の疲れが来ていて、手にしているトゥハンドソードが消える。

「そうだな、だが…インソムニアの中だけが世界じゃない。停戦後がどのような状況になるかはわからないが、少なくともノクトは外の世界を知っておかなければ…」

魔獣が存在し、整った環境が少ない外の世界こそが本来ルシス王国領の当たり前の姿であり、インソムニアがイレギュラーといえる。

そんなイレギュラーな空間でずっと暮らしてきたノクトにはここでの生活を実感する必要がある。

国王に就任したときに、インソムニア以外の地域を見ることができるかどうかはともかく、外の世界との交流の中でそうしたギャップを知っておかなければ、いらないトラブルが起こる可能性もあり得る。

この旅は結婚のこともあるが、外の世界を学ぶいい機会といえる。

「グラディオ、今日は仕方ないが…明日からノクトとプロンプトの訓練、頼むぞ」

「ああ…。しっかりやらねーとな」

ノクトについては当たり前で、4人の中で一番訓練が必要なのはプロンプトだ。

同行することが決まった後、プロンプトは王都警護隊で戦闘訓練を1か月の間受けていて、その中で銃の適正があることからハンドガンが支給されている。

訓練は受けたとはいえ、実際に魔獣と戦ったことのないプロンプトにはしっかりと鍛えてもらう必要がある。

イグニスもいざというときにノクトを守れるように、短剣と槍の訓練を定期的に受けている。

だが、魔獣相手ならまだいいが、それ以外の存在と戦うことになる可能性もある。

下手をすると、その存在と今日会っていた可能性すらあるのだから。

 

「ああーおいしー…」

朝になり、キャビン外のテントで4人は出された朝食を口にする。

コーヒーと目玉焼き、トースト、トマトサラダというシンプルな朝ごはんだが、もう金のない4人には大切な食事だ。

「あのさ、これからどうするの?例えば…お金とか…」

「シドニーに相談してみよう。値引きしてもらうか、もしくは借りるか…ノクト」

「ん…」

ため息をつくイグニスのサラダの皿にはノクトのフォークがあり、それにはキャベツやトマトが刺さっている。

高校時代から何度も野菜をとるように言っているが、彼の野菜嫌いは成人を迎えてからも治っていない。

その頃よりはましに放っているようには見えるが、まだまだ食わず嫌いの野菜が目立つ。

咎めるイグニスを無視し、野菜を移していくノクトにイグニスはため息をつくと、その野菜を口にしていった。

 

「あー…やっぱり、そう思うよね。私も言ったわ。相手が王族、車が特別性とはいえ、ふっかけすぎじゃないかって」

朝食を終え、仕事を始めようとしたシドニーに言いにくそうに修理代のことを聞いてきたノクトに彼女が困ったような顔でそんなことを口にする。

修理そのものはまだまだ時間がかかり、おそらくは今日中には終わらないだろう。

その間、ハンマーヘッドに宿泊することになるだろうが、そのための旅費はもうノクト達の手元にはない。

昨晩の金の話の中でシドが言っていた言葉をシドニーは思い出す。

「外の世界の厳しさを教えるって、じいじが言ってたけど、そういうことね…」

「そういうことって、どういうことなんだ?」

「つまりは、自分で稼げってことね。野獣退治とかで」

「野獣退治…ああ、俺ら向けだな」

納得したような顔を見せるグラディオに対して、プロンプトの顔は青くなる。

野獣を写真や動画でしか見たことのないプロンプトにとっては生の野獣は未知の存在であり、訓練の中で野獣相手に油断をしたら命を落とすなんてことも言われている。

ノクトもグラディオと特訓を幼少期から受けており、王族の力があるとはいえ、野獣と戦ったことがない点はプロンプトと同じだ。

「野獣退治が手っ取り早くお金を稼ぐ方法の一つね。依頼で指定された野獣を倒して、報告すればお金がもらえる。今は…そうね、最近近場で大量発生しているトウテツの討伐依頼があるわ」

荒野広がるこのリード地方で生息する野獣の一種として、トツテツが存在する。

ハイエナのような体に長い牙を持つその野獣は高い繁殖力を持ち、狂暴なことから多くに実害を住民たちに与えている。

だが、ある程度訓練さえしておけば倒せることから、トウテツ退治がハンターとしてのデビュー戦の相手になることが多く、始めた倒した野獣の証として牙を持ち帰る新米ハンターも少なくない。

最も、それは油断することなくトウテツを倒すことができた場合の話で、群れで活動することが多いことから油断して囲まれた上、食い殺されるなんて話もここではよくある話だ。

「トウテツなら、訓練で倒したことがある。ま、気を付けりゃあ死ぬことはねえ」

「詳しい話はダイナー・タッカのタッカに聞いて。彼はここでのハンターの仲介人をしてるのよ」

 

「よ、よぉ…ノクティス王子。お、俺が…タッカ・ブレイダム、だ」

「お、おう…」

たどたどしく、おびえながら挨拶をする中年の男、タッカに戸惑いながらもノクトも挨拶をする。

背丈はグラディオ並で、体つきもノクトやイグニス以上なのにどうしてそんな性格なのかと疑問を抱きながら、タッカから受け取った依頼書を読む。

ハンマーヘッド南の開けた場所の3か所にトウテツの集団および巣があり、これ以上の繁殖を抑えるためにもその集団の討伐および巣の破壊が依頼内容で、賞金は1000ギル。

キャビンでの宿泊が食事や洗濯、シャワーのサービス付きでちょうどこの値段になる。

「あ、あとよ…スマートフォンを出してくれ。ハンター…登録、しとく」

「わかった、ほらよ」

ノクトからスマートフォンを受け取ったタッカが慣れた手つきでハンターアプリをインストールする。

インストールを終えるとアプリを開き、そこに先ほどの依頼内容が書かれたページを表示して見せる。

右上にはランクが表示されており、アプリが入ったばかりなのかまだランクが1だ。

「今後も…ハンター、としての依頼を受けることが…ある、かもな…。ハンター協会に、加盟している店で…見せろ。依頼を…受けられる、ぞ。終わったら、俺に声を、かけてくれ…。報告、までが…し、仕事…だからな…」

 

「さっそく狩りかぁ…バイトと違って、手っ取り早くていいけどなぁ」

「ハハ、不愛想な態度で接客してやがったからなぁ」

「うるせー」

高校時代に社会勉強の一環として、レギスにやれと言われたアルバイトはノクトにとってはあまりいい思い出がない。

釣り道楽という寿司屋でアルバイトしており、グラディオが冷やかしに来て、ニヤニヤと笑う彼に感情を押し殺しながら敬語で接客し、注文票を書いていた時のことが一番記憶に残っている。

そんな思い出話を口にしていると、急にイグニスが足を止め、制止するように腕を伸ばす。

「隠れろ、まずは数を調べる」

かがめば隠れることができそうな岩場に4人は隠れ、眼鏡を直したイグニスがトウテツの群れの数を確認する。

数は8匹、大柄のリーダーらしきものが1匹見える。

「まずはリーダーをしとめろ、統制を崩してから俺とグラディオで攻撃する。プロンプトは銃で援護を」

「わかった、ノクト…頼むよ」

「ああ…」

ノクトの右手にエンジンブレードが出現する。

16歳の誕生日にレギスからもらった剣だが、こうして実戦で使うことになるのは初めてだ。

グラディオは昨晩の訓練で使っていた大剣が出現し、プロンプトの手にはハンドガンが出現する。

ノクト達の手にあるこれらの武器は基本的にはレガリアの後部に備え付けられている専用の保管庫に入っており、ルシス王家の血を引くノクトと、彼と契約を交わしたグラディオ達の意思によって召喚される。

契約の証として体のどこかに痣が刻まれることになり、グラディオが右腕に剣、イグニスは左手の甲に槍、プロンプトは左胸に銃を模した痣が刻まれている。

「いくぞ…!!」

最初に飛び出したノクトが右手のエンジンブレードを大柄のトウテツに向けて投げつける。

剣がトウテツの頭に刺さると同時にノクトの姿がエンジンブレードの近くに出現し、同時にエンジンブレードから衝撃波が発生した。

ルシス王家の人間、そしてその人間と契約を結んだ者が使うことのできる魔法の1つのシフトは自身を空間転移させるもので、敵に向かって転移をした場合は武器から己の魔力を放出させて攻撃に転用するシフトブレイクを行うことができる。

遠距離であればあるほど意表を突くことのできる攻撃で、実際にその一撃でトウテツの牙が吹き飛んでいた。

いきなり出現したノクトと大けがを負ったリーダーに動揺を見せる群れに今度は銃撃が襲い、同時にグラディオとイグニスもとびかかる。

「プロンプト!俺らに当てないでくれよ!!」

「無理に前に出るな、今はどう戦うかを見て、感覚をつかんでくれたらいい」

「わ、わかった!!」

銃弾が襲い、大剣が魔獣を縦に両断し、投擲された短剣が急所といえる頭に突き刺さる。

4人中3人が初めての野獣との戦いとは思えないこの状況はトウテツの群れが全滅するまで続いた。

 




ハンターアプリ
ハンターとして生計を立てる外の世界の人々が必ず持っているアプリ。
ハンター稼業を始めるには、まずはこのアプリをインストールしてハンター登録を行う必要がある。
タッカをはじめとしたメルダシオ協会に加盟している仲介人にこれを見せることでハンターとしての依頼を受けることができ、依頼達成時にはハンターは成功報酬を受け取り、仲介人はその一部を手数料として受け取っている。
依頼を達成することでアプリにハンターとしての実績が記録されていき、その功績によって更なる高難易度・高報酬の依頼を受けることが可能となる。
ハンターはあくまでも野獣やシガイの討伐以上にその地域の安全と自然環境の維持が優先されているため、シガイはともかく必要以上の野獣討伐は禁止されており、仲介人が依頼を預かる際にはそのことを考慮に入れたうえで引き受けるか否かを判断することになる。
なお、本来このアプリをインストールするにはハンターとしての試験を受け、合格する必要があるものの、仲介人が試験無しでも問題ないと判断した場合、最初の任務における新米ハンターの生死に関して責任を負うことを条件にインストールすることが認められる。
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