とはいえそこにいた自分達は、弾けに弾けた結果その世界における最上級の実力者――ぶっちゃけ時空を越えたり因果を操ったり世界を創り出したりするような連中ばかりだったので、然したる効果は無かった。そして同じ自分だからこそ話は早かった。ここに来た目的に理解を示し、そこに至るための道程を提示したのだ。そしてそれを見たノーカは、催眠術的なサムシングで色々とエロエロでオロオロウロウロする羽目になった。ゆるぼ:アロアロの使い方。
それから数分後、そこには完全に順応して炙りゲソを噛みながら管を巻く酔っ払いの姿が! 尚、酒を飲んだ訳ではなく
エミル・クロニクル・オンラインのプレイヤーキャラクターは魂に干渉する能力を持っているし、気軽に魂だけで抜け出して近くの物に憑依する。転生に関しても他人の助けを借りはしたが体験しているので解析可能な範囲。むしろ普段は死んでも蘇るし欠損は無効。時空や異世界に関しても、飛空城を解析すれば理論が立てられて自力で干渉する方法にも目処が立つ。神魔に師事するのも手段の一つだろう。そうやって
ネタ被りを起こした
まるで燃え尽きる直前に再度強く燃え上がる蝋燭の火を思わせる
尚、
今回はしっかり回復薬としてのポーションが降り注いだのだが、各地で起きた襲撃と続く戦闘では
なお、因果が収束でもしたのか、こっそり正史における死亡原因な少女の自爆でアーディが一乙していたりする。事前に少女と会話及び説得をした結果、
この時、姉にして団長であるシャクティは納得できない顔のまま見届けた後で、抱えたもやもやをぶつけるかの如く
そんなアーディだが、イベント後の【ステイタス】更新に伴い【ランクアップ】が可能だと判明して、物議を醸す事となる。具体的にはシャクティにお仕置きされると【ランクアップ】出来るのでは、と噂になった。自爆に巻き込まれると~でない事を喜ぶべきだろう。
何を馬鹿な事を、とシャクティは頭を押さえたが、今やアイドルのレッスンを受けると【ランクアップ】出来る事が常識になりつつあるこのオラリオではどれだけ突拍子もない内容であろうと頭熟しに否定できなかった。しかし試す気に等は到底ならなかったため、お仕置き希望者の列を前にして頭を抱える事となった。
余談だが、ガネーシャはその噂を聞いて色々と想像してしまいドキドキしたらしい。
ところで、正史では猛威を振るった
言うまでもなく
そのため、最初の不意討ち気味な自爆こそ巻き込まれる者が多発したが、その後は危険性を認知したギルド連合側が『
これにより
一方で、
「随分と腑抜けた。
「ザルド……ッ!!」
「才能が無いならば無いなりに足掻く……それだけの話だ。違うか、糞ガキ」
「う、うおおおおおおおっ!」
「そうだ、それでいい! 何度でも立ち上がって見せろ……何度でもだ!」
他ならぬ
「失望させる……アイドルとは名ばかりのひよっこでしかない。全く時間の無駄だったな。やはり期待を掛けるべきは向こうに置いて来た
「アルフィア、貴様は……」
「その見た目で
「
「きゃー怒ったわらばっ!?」
「アリーゼてめぇこのアホがはぁっ!」
どちらも
そして【アストレア・ファミリア】におけるアリーゼの株がごっそり下がった。何ならリヴェリアからの評価もちょっぴり下がった……
結局、今回の
そんなイベントを引き当ててしまったフィンはと言えば、名声に響かないかと気が気でなく、赤い目も血の涙も引っ込めて冷や汗を掻いていた。結果的には
余談だが、フィンと交代で飛空庭に足を踏み入れたロキは珍獣から駆付三杯と飲まされた完成品
そうして迎えた夕方の部である。直前に行われたアルマのライブでは、まさかの新曲が発表されて、ファンを熱狂の渦に叩き込んだのは記憶に新しい。
初見にも関わらず完璧なタイミングで合いの手を入れた
「さてさて、例の如くランダムイベントを決める時間がやって参りました。今回のゲストは
「フレイヤよ。よろしくね」
珍獣の挙げた名を聞いて、そして実際に姿を現したゲストを見て、視聴者からどよめきが巻き起こる。
然もありなん。現状は、言ってみれば美女と野獣ならぬ美女と珍獣。
今も主神を奪還すべく飛空庭を目指す眷族達が努力を重ねている最中だ。具体的にはヘディン指揮の下、アレンがアルフリッグ達を肩車した状態で魔法込みの加速を付けてからオッタルを足場にすると同時に全力で押し上げて……否、放り投げて貰っていた。空中で勢いが弱まるに連れて、肩車の下から順に足場となって多段ロケットの如く切り離されながら空を進んでいる。結局は庭まで届かずに落下しき、それなりの高度を記録したアルフリッグ達四兄弟は残機まで減らしていたが。因みにだが、ヘグニは
「いや、まさか立候補する方がいらっしゃるとは思いませんでした。しかもフレイヤ様にはトリを飾って頂く予定でしたのに」
「あら、繰り上がりで丁度良かったじゃない」
「うーん、前向き。それでは話を始める前にサイコロ行きましょうか」
そんなシリアスな笑いを提供している眷族に気付かないまま、フレイヤは渡された顔よりやや大きいサイコロを回転させながら繁々と眺める。
「……これ、全面
一通りサイコロの面を確認したフレイヤの台詞がそれだった。
今回のサイコロは丸印の数ではなく、アラビア数字が印字されているタイプだ。そして十面体ではなく六面体をしており、各面は同じ6の形が描かれていた。
「いえいえ、6と9が互い違いになってますよ。数字の下に線が引かれてますので、そちらで区別して頂ければ」
「……どちらにせよ選択肢は少ないのね」
珍獣の言葉を受けてもう一度サイコロを確認すれば、確かに数字以外にも線が引かれており、6か9かのどちらかが出る仕組みとなっていた。各面の上下に線が引かれており、目に映る形は6のみである点が非常にややこしい。
「いやぁ、折角なら全種類制覇とかしたかったものですから。丁度お昼が抗争らしい抗争でしたし、夕方のイベントはまったり料理を楽しんでもらおうかと思ってたんですよ」
「はぁ……そこに私が来たから苦肉の策でこのサイコロが作られたのね?」
弁明を聞き届けて、フレイヤは自分の行動が珍獣の計画を阻害した事を知った。思わず溜め息と弱気な言葉を吐いてしまったが、対する珍獣はどこ吹く風。
「事前の用意が足らないという非難は甘んじて受けましょう」
「それを言ってしまったら完全に私が悪者じゃない。今の時点でも計画を潰しちゃったわけだし」
「むしろそれに関しては英雄的行為として称賛を受けるべきでは?」
「……それもそうね!」
映像を眺めている面々は珍獣の意見に深く頷き、各々の心の中でフレイヤへの評価を一段階上げた。それはもう最後に一暴れ出来たし今回はもう解散してもいいかなと思っている
尤も、イシュタルに関しては先日庭に拉致された際の対話を通してフレイヤに対する嫉妬や憎悪を自己解決しており、現在では住み分けが可能な相手だとして好感度のリセットが起きた後なのだが。
「それでは気を取り直して、運命のダイスロールをお願いします」
「わかったわ……えいっ!」
その瞬間、フレイヤの掛け声と両手で抱えた大型サイコロを放り投げる仕草により、オラリオは
この時、半脱退な『豊穣の女主人』所属を除いた【フレイヤ・ファミリア】の面々は、記憶を失いながらも途徹も無く勿体無い事をしてしまった想いに捕らわれて、唯一人の例外も無く目と鼻と口とから赤い液体を流した。その姿を見た人々は、こいつらが今の最強派閥なのか……とドン引きしたらしい。
因みに、絶妙なタイミングでくしゃみをした事により魅了を回避したイシュタルと、そちらに『魅了』された眷族が居たりもした。美神の面目躍如と言って良いのかは判断が分かれる所である。
「ふぅ……申し訳ありません。即死して確認が遅れました。えーと、あ、ちゃんと9ですね。おめでとうございますとありがとうございますが合わさって最強に見えるランダムイベントの内容はモンスタークッキング~」
「テンション高いわねぇ」
「えぇ、まぁ、休憩よりは食べ歩きの方が楽しめるでしょうし。概要を説明しますと、うちの謎食材をうちの子達が料理しますので、たくさん買い食いして貰います。無料の炊き出しもありますので、金欠な皆様や避難生活で飽き飽きしていた皆様も奮ってご参加下さい」
魅了の代わりに即死する謎体質をしている珍獣が復帰すると同時に行った説明に、モンスターから人々が
そして、サイコロの目を確認したアルマ達がいそいそと即席の調理場を準備し始めたので、ファンクラブの情報網を通じて瞬く間にオラリオ中に広まり、メインストリートの一角に長蛇の列を作っていた。
本来であればその先頭に並んでいたはずのエレボスだが、先頭に居る見知った顔と言う事で
並びに来た神々からそんな状況をからかわれたが、エレボスが『なんでもクエストカウンター臨時スタッフ』と書かれた腕章を見せ付けると、神々は揃って目を灼かれたかの様に例の台詞を叫びながらよろめき、地面をのたうち回った。ン億歳になっても男子中高生のノリを卒業出来ない連中である。
「ところでフレイヤ様は料理をここに運んで貰うのと地上で食べ歩きするのと、どちらにします? お奨めは食べ歩きですが」
「あら、デートのお誘い? 高いわよ、私」
「オッタルさん辺りが支払うので問題ありませんよ」
「あら、悪い人」
珍獣の提案は、しかしフレイヤにとっては好ましい物であったので、揃って飛空庭を後にした。護衛のドラッキー・アルマも先行しての周囲警戒を始めている。
尚、話題に上がったオッタルはザルドに捕獲されてしまい、
景品に貰った『なんでもクエストカウンターオラリオ支店』で使える商品券は主神への捧げ物にするつもりだが、恐らくは女神の意向を受けて彼自身が店に赴き商品を受け取る事になるだろう。
「ローキーちゃん! 『お任せ』三つご注文なのです!」
「うむ、任せよ!」
さて、こちらはアルマ達『なんでもクエストカウンターオラリオ支店』の屋台。メニューそのものは先のモンスターフェスティバルの夏祭りとほぼ同じだが、その中で一番人気を独走しているのが今回のみの特別メニュー『ローキー・アルマのお任せ』である。特別価格100ヴァリスでのご奉仕だ。
このローキー・アルマ、幼い見た目からは想像も出来ない才色兼備振りであり、その腕は料理に関しても……と言いたい所ではあるのだが、何故かレシピ通りに作っても品物がランダム生成されてしまうタイプの料理下手だ。
その何が出来上がるか分からない部分も含めてアルマ達からも人気なのだが、今回は催しという事で存分にその腕を振るって貰う事が決められたのであった。本人も主の催しを盛り上げられるのならばと乗り気である。
今も巨大な手動かき氷機のレバーをぐるぐる回し、比較すると随分小さく見える簡素な容器に氷を注いでいく。
言うまでも無いが、『お任せ』が一番人気なだけで他のメニューもしっかり売れており、厨房はてんやわんや大騒ぎしていた。その様子もファンを喜ばせる一因となっており、大食い選手権の会場にも負けぬ熱いスポットと化していたのは間違いなかった。
そうしてモンスタークッキングが終了して、アルマを含む珍獣関係者が撤退した後は
そんなオラリオの街を、ノーカはクスクスと笑いながら眺めていた。誰にも気付かれないまま。
お陰でトラスーツを脱げとのツッコミが入る事は無く、大層残念な絵面を晒していた。毎度の如く色々と残念な奴である。