しかしある日の事、現れた第二の襲撃者がイヴェルカーナだった事で(実現不可能な)計画を台無しにされたキリンは……キレた。古龍同士の、しかもこっそり歴戦個体の戦いは非常に激しく、最終的にロアや御魂から喧嘩両成敗だと鎮圧されて決着を迎えたものの、迫力満点だったと留守番をしていたベル少年は興奮気味に語った。リリルカ少女は冷静に勝つための方針を考えて爆弾の利用を考案していた。そしてやはり報告を聞いたノーカは新大陸産じゃないですかーやだー!と泣き叫んだのだった。その報告を又聞きしていたラジルカは、絆原石を探し出し絆石を作り出す事を決めたので、ライダー概念が広まる日は近そうである。君も一緒に全身放電奴にしがみついたり砂やマグマの潜行に付き合ったりクック先生をどついてリバらせたりしよう!極まったライダーはある意味でハンターよりもずっとヤバい生物だと思います。
唐突に始まったフィンの熱唱。何故か当たり前に受け入れてやる気を漲らせたばかりか、大幅な強化まで施されて突撃して来た冒険者達。
普段は振り回す側の珍獣も、今回ばかりは困惑するしか出来なかった。むしろフィンが掛けているサングラスや、
「あれは私が席を離れた間に強く頭を打ったとか、そんな感じで?」
「いや、答えを見出したに過ぎん。この場における最善の」
「えぇ……実際に効果が出てオッタルさんも見違えるの納得いかないんですが」
「自分でも不思議な感覚だ。あのお方以外に心動かされるのは恥じる気持ちが強いが……な!」
「っく、おおぅ手が痺れるぅ」
極めて常識的な事に、キャラ崩壊を起こしたフィンが
手をぷらぷらと振りながら、珍獣はこの状況について情報を得るべきか――つまりアルマのライブと遠隔コラボさせるのもありなのではないかと――考え始めて、決め倦ねていた。即断即決出来ない辺りに、自分が二流止まりでしかない事を痛感しながら。
「そろそろ私も混ぜてもらおうか」
そうリヴェリアが発言した場所は戦場後方、フィンの隣である。王族が表立つ事でエルフ楽団の奏でる音色には一層強い感情が乗せられ始めて、珍獣の戦意を削る力となっていた。
「此処に来てデュエットォ!?」
地味に視界に入ったままだった歌声の発生源に、アイドル衣装に身を包んだハイ・エルフが並び立つ。予想される展開に珍獣が叫び、本人は挑戦的な笑みを返して手にしたマイクを口元に寄せた。
今更ではあるが、
尚、検問は何も見なかった振りをしたが、ギルド職員はエルフだったために卒倒しかけ、報告を上げられたロイマンは挨拶に赴こうと予定を全てキャンセルし終えたタイミングで血を吐いて倒れた。割と大事である。こっそり【ガネーシャ・ファミリア】が警護をしていたが、ライブ会場に詰め掛けたエルフ達に即バレして結構な騒ぎになった事はオラリオとしても記憶に新しい。どう考えても歴史に残る大事であった。
因みに、フィンの歌っていた――そしてリヴェリアが歌うであろう――楽曲は、アルマがライブで披露していた歌の数々をアレンジした物である。即興で合わせるエルフ達が地味に凄い。
それにより珍獣は、アルマの歌を背景に戦闘する後ろめたさを抱いていた。否応無しに厭戦感情を刺激されてしまい、本人でも気付かぬ内にアイコンが表示されないタイプの
「リヴェリア様の歌! これならば、私はどこまでも駆けて行ける!」
「おーやだやだ。これだからエルフってやつは……」
「馬鹿と鋏は使い様だ、上手く囮に使って一撃叩き込むぞ!」
「何だか良く分からないけどここは勢いに乗るべきね! リューに続き、いいえ追い越すわ! 一番乗りは私よ!」
「おいおいこっちもどうにかなったぞ」
「知るか。どうせ私達は最終的に馬鹿二人の尻拭いだ、覚悟を決めろ」
「あぁ、クソッ! いっつも貧乏籤なんだよなぁ!」
興奮気味に並行詠唱しながら走る末妹の姿を追いながら、抜け目の無い姉と確り者の姉とが溜息交じりに言葉を交わす。そこへ直感力に優れた――稀に大きく外す――
(そう言うお前も英雄の歌で『上がって』いる口だろうに)
そう声に出さず心の中でだけ毒突いてライラに白い目を向けた輝夜は、一人だけ乗り切れない事で微妙に拗ていた。
普段は生真面目でも気軽にポンコツ化出来るリューと違い、輝夜はどこまでも冷静で客観的な、一歩引いた視点で臨んでしまう。二番手と言う物は、どんな場合でも貧乏籤を引かされる星の下に在るのだ。
「うーむ、気分はゲペ何とか野郎。これはもう一緒に歌い始めて停戦する流れなのでは?」
五年後に絞って考えれば、単純な戦力で考えてもオラリオの面子に加えて開拓地で修行するベルとリリ、今この瞬間も万が一に備えてダンジョンを警戒してくれているザルドにアルフィアが加わる。同じくダンジョンの18階層の様子見と
これに関しては既に【マダ・ファミリア】や【イケロス・ファミリア】の協力により、順番やタイミングに関係なく効果が出る事は確認されている。当然ながら有用性は高い。副作用としてダメージや回復の数値が可視化されたり食事すると回復するようになったり装備の耐久値が減る音で精神的なダメージを受けたりレアスキルやレアアビリティが多発して効果の把握が難しくなる不具合を抱えてしまうが、強さと引き換えにするならば許容出来る範囲だと専らの評判である。
また、国外で発見した複数の次元断層を安定させれば
特に前科持ちの王国は強制である。王子は真面な性格で苦労症だったので、或いは彼を人質にする案を考えたが……それを口実に戦争を仕掛けて来る率が余りにも高いので却下せざるを得なかった。
肝心の戦そのものの内容に関してはお粗末なのだが、戦争するために動く場合であれば頭が働くのだから、アレスとは熟厄介な神であった。圧倒的強者であるオラリオの側で死者を出さぬ様にと心を砕いているために、王国側の民も軽く見ている部分があるので性質が悪い。
尤も、実際に全滅させよう物ならば、そのままモンスター被害を抑えきれずに何十万という人員と肥沃な土地を人類側が失ってしまうし、王国でも使われている魔石製品がモンスターの強化と繁殖に役立ってしまう。止むに止まれぬ、と言う訳であった。
「言葉の割に動きは余裕がねえな!」
「実際、無いですよ。私のメインジョブって農家ですし、サブは趣味で物理寄りもできる闇魔法使いですから」
ラキアについて考えている所にライラの声がしたので微妙に混線してしまい、ノーカは全ての思考を戦闘に向けた。
「それでこれだけ動くか、化物が!」
「その辺は仕様の違いですよ。同じ生まれ立てでも人間の赤ちゃんとダンジョンのモンスターじゃ戦いにもならないでしょうに」
況してやノーカの体は
ステータスを振り分ける仕様上、『
今も輝夜の小太刀――主力の刀は見切られていると納刀して、代わりに振るっているらしき二刀――を受け流して腕を掴み体の向きを変えてからそっと真横から斬り掛かってきたリューに押し付けつつ、同じタイミングで背後から斬り掛かってきたアリーゼの剣を翼で白刃取りした後に振り上げた足の踵で蹴飛ばす。これらの余裕に見える動作もハッタリが多分に含まれており、追加で煽る事により冷静さを奪ったりしてどうにか優位を保っている形だ。
「そもそも連携なら
「……おのれ【
「「「「酷い冤罪を見た」」」」
団子になった
思わず
「これ! 包囲を解く真似をしたらイカンと言っただろうに!」
凡ミスがあったらしくガレスのお叱りが飛んで来たが。これにはアイズもしょんぼり。
「注意一秒怪我一生、勝って兜の緒を締めよ。食らえ油断大敵を戒めるディレイボム!」
「いかん、アイズ!」
「……っ!?」
吹き飛ばされる珍獣の不吉な予言の締めと共に鳴らされた指パッチンの音が、BGMにも負けず良く響いた。ガレスが声を掛けるも、名前を呼ばれたアイズは対人経験が余りにも不足していたため、即座に動く事は出来なかった。直後、
ディレイボム。珍獣としても名前だけは記憶しているが実際使った経験を持た無いため最早想像上の演出であるが、早い話が地面に時限爆弾を仕掛けて数秒後に爆発させて範囲内の相手にダメージを与えるスキルである。珍獣としても声に出して言いたいスキル名ではあったが、実際に使ったのは今日この瞬間が初である。
そのために妙な満足感と感慨に耽りながら空中を吹き飛ぶ珍獣は、しかし此のタイミングで漸く意識を向けた
実際に歌っている本人すら内心では困惑しながらだったのだが、リヴェリアの歌そのものが詠唱となって先天性の魔法を発動させていた。更には歌声に合わせた周囲の演奏も全員で紡ぐ同一の詠唱となっており、膨大な魔力が一つの奔流を作り出していた。奇しくも演奏に参加しているエルフの人数は丁度百名。
神時代の到来で台頭した『
決して軽くない負担に違いない百名分にも及ぶ魔力の奔流を、しかしリヴェリアはまるで導かれるかの様にすんなりと収束させて、方向を調整、そして発射して魅せた。この瞬間、彼女は間違いなくアルマ達に並ぶトップアイドルだった。これには
そうして光の奔流に呑まれた珍獣は、その光が消えた後も外見上全くの無傷で原型を保ちながら、しかし力なくフラフラと弱々しく左右に体を揺らした後に力無く落下、
非常にシュールな光景であったが、地面の境界が透明なせいか恐らくは埋まっている臍から上もしっかり見えた奇っ怪極まり無い体勢を崩さない珍獣の体が淡い光となって消え始めたので、周囲は警戒を解かないながらも追撃する事もせず、固唾を飲んで見守っていた。
この間もリヴェリアの歌声とトランス状態で演奏するエルフ達の奏でる荘厳な曲は響いていたので、殊更に
アルトネリコ後二年で二十周年とか嘘やろ……ブリハマチとかの3ですら来年十五周年? 何を言ってるのかちょっとわからないですね。なおECOの正式サービス開始時期。