これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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マイト・ダイ大歓喜

 トビラとカカシが中忍になりしばらく経ったころ。

オビトを焦らせることが起きた。

 

「ガイ! アカデミー卒業おめでとう! すごいね!」

「おお! ありがとう、リン! これで我が永遠のライバル、カカシにまた一歩近づいた! 待ってろカカシ! すぐに追いつくからな!」

「うぐぐぐぐ……」

 

 ちょうど任務の報告を終えたトビラはアカデミー近くで兄たちを見つけた。

 熱き闘志をみなぎらせるガイ、祝福するリン、悔しがるオビト。

 聞こえて来た声とその様子を見れば何が起きたのかは見当がつく。

 

――ガイがアカデミーを卒業したのか。チャクラコントロールのコツを掴んだ途端に伸びたようだな。

 

 通りがかるトビラに気づいたリンが手を振った。

 

「トビラ! 任務は終わったの? ガイがアカデミーを卒業したんだよ!」

「そのようだな。兄さん、何を唸っている」

「うぐぐぐぐ……トビラとカカシの次に卒業するのは俺だったのに……くそぉ! なんでガイにも出来るチャクラコントロールが俺にはできねーんだよ!」

「焦ること無いよ、オビト。私たちだってまだできていないんだから。むしろ、ガイがあっという間にできるようになって先生も驚いていたじゃない」

「うぐぐ……ついこの前まで一緒に木の葉を頭に乗っけて鍛錬してたのに……」

 

 リンになだめられたことで少し呻きが収まったものの、まだオビトは悔しそうだ。

 そんな兄を見てトビラは思った。

 

――ガイのチャクラはかなり少ない。コツさえ掴めばコントロールもやりやすい。だが、兄さんの潜在的なチャクラは多い。子供の身体には手に余る多さだし、それを調整できるほど兄さんは器用じゃない。こればっかりは身体がチャクラの多さに見合うまで待つしかあるまい。

 

 思うだけで口には出さないトビラ。

 その間も唸るオビトはついに噴火した。

 

「うぎーー! ガイ! ぜってーオメーにも負けねーからな!」

「おお! いつでも勝負を受け付けるぞ! 熱き青春の同志よ! よし! 早速どちらが早く里を一周できるか勝負だ! 行くぞ!」

「あ、おいお前! 何の合図もなくいきなり走り始めるんじゃねーよ!」

「あの輝く夕日に向かって走るぞ!」

「今は真昼間だこの野郎!」

 

 騒々しく走り去る二人の背を眺め、リンはトビラに目を向けた。

 

「ねえトビラ。カカシは元気? 最近あまり見かけないけど……」

「中忍となり別任務も増えたからな。だが、任務を失敗したとは聞いていないからカカシはカカシで達者にやっているはずだ」

「そっか。もしもカカシに会ったらまたみんなで甘栗甘に行こうって伝えておいて!」

 

 リンの言葉に頷きを返し、トビラは走り去った兄は放っておいて帰宅した。

 家では祖母が待っていた。

 

「おやトビラ、おかえり。今日は夕飯は食べられそうなのかい?」

「ああ。任務は完了した。それに、何も無ければ明日は休みだ」

「そうかい、そうかい。最近のトビラは毎日忙しそうだったからね。どれ、それならトビラの好物の魚でも買ってこようかな」

「俺も一緒に行くよ、おばあ様」

 

 帰ってすぐに祖母の荷物持ちとして買い物へ出たトビラは、ちょうど警務部隊の仕事をしているフガクを見かけた。

 

「こちらへ来い」

「お、俺はなんも悪いことはしてねぇよ!」

「この写輪眼を誤魔化せると思うな」

 

 フガクが行商人の恰好をしている男をじろりと睨んだ。

 

――あの行商人……忍か……里に入り込み情報収集をしていたようだがどこの忍だか。

 

 行商人がとっさに構えた仕草に忍特有のものが出ていた。

 フガクのみならずトビラもそれを読み取り、事態を静観していた。

 初めは否認していた行商人も誤魔化せないと悟り、とうとう強行突破に出た。

 

「くそ!」

 

 突如立ち上る煙幕。

 だが、それは行商人ではなくフガクにとってプラスに働いた。

 

「ぐはっ!」

「だから言っただろう。写輪眼を誤魔化せると思うな、と」

 

 晴れる煙の中から、気絶させた行商人を担ぐフガクの姿が見えた。

 そして赤く光る写輪眼も。

 

「フガクさん!」

「こいつを警務部隊へ。油断はするな。他里の忍だ」

「フガクさんはどちらへ?」

「俺は他に仲間がいないか確認する」

 

 駆け寄る警務部隊の応援に行商人を渡し、フガクはその場を去った。

 

「何かあったのかしら……」

「行商人が暴れ出したんだが、すぐに警務部隊がどうにかしてくれたぜ」

「さすがうちは一族ね」

「でも最近、多くない? 戦争は終わったはずなのに……」

 

 店が立ち並ぶ商店街で起きたことだ。

そのため、一連の流れを見ていた里の者たちが口々に噂を始めていた。

 里の治安を守るうちは一族への称賛や怪しい人物が多くみられることへの不安などみな好きに語っている。

 

――うちは一族は警務部隊として里内から信頼を得ている。マダラ出奔直後に比べればだいぶ落ち着いてきている。そろそろ一族を超えた里との融和を進めるべき時かもしれん。そのためにも一族と里を繋ぐ存在が必要だ。

 

 店の外で待っていたトビラに買い物を終えた祖母が声をかけた。

 

「なんだか騒がしいね、トビラ。何かあったのかい?」

「いいや。警務部隊が仕事をしていただけだ。持つよ、おばあ様」

「ありがとうねぇ。おや、あれはオビトじゃないかい。お友達と頑張っているようだね」

 

 歩き始めた二人が見かけたのは元気よく走るガイと、ヘロヘロになりながらも必死に食らいつくオビトの姿だった。

 

「おいっ一周、って話は、どこへ行ったんだよっ!」

「まだまだ夕日は見えていないぞオビト! さあ、熱き青春へ向かって走り出すんだーーー!」

 

 なんだかガイがこちらを向く気がしたトビラは祖母の影に身を隠し、彼らが走り去るまでその場をやり過ごした。

 そうじゃないとトビラもガイに巻き込まれそうだったからだ。

 

「オビトもたくさん食べるだろうからお夕飯はたっぷり作ろうかね、トビラ」

「ああ。久々に俺も手伝うよ」

 

 その日、オビトは夕日が沈むまで帰ってこなかった。

 

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