ミナト班での任務が始まり、オビトもトビラも一緒にいられる時間が少なくなっていた。
そんな折にできた修行の時間。
当然、二人が張り切らないわけもなく。
「火遁・豪火球の術!」
「火遁・豪火球の術!」
演習場にて向かい合うオビトとトビラ、両方の口から同程度の火が出て打ち消し合った。
さらに、トビラが複数のクナイを同時に投げた。
オビトは余裕の表情で避け、次の動作へ入ろうとした。
が。
「ぐふっ!」
複数のクナイを囮に死角へ入ったトビラからの蹴りが腹に決まり、鈍い声を出すオビト。
そしてそのまま吹っ飛び、地面へ。
勝負はついた。
「死角からの攻撃にも注意を向けろ、兄さん」
「くっそー!」
「だが、豪火球の術は完成されているな。俺と同じ大きさになった」
「まあな! そのうちトビラよりもデケーのを出してやるぜ!」
地面でじたばたしていたオビトの宣言を聞いていたトビラはふと視線を感じ、そちらを振り返った。
出て来たのは小さな子ども。3歳くらいだろうか。
「誰だ?」
「ん? あーっ! シスイじゃねーか! どうした? 迷子か?」
「違うよ。その人が前に言っていた弟?」
「そうそう! 弟のトビラ! お前がすんげーちっちぇー時に会ったことあるんだぜ! こっち来いよ、シスイ!」
起き上がったオビトが手招きする。
子供とオビトの会話で察したトビラは近寄って来たシスイに言った。
「うちはトビラだ。貴様はシスイだな。兄さんの言う通り、赤子のころに会ったことがある」
「そうらしいですね。うちはシスイです。俺もオビトからトビラさんのことは聞いています」
「ちょっと待ったシスイ! お前、なんでトビラにはさん付けでしかも敬語なんだよ?」
「その方が馴染む気がして……」
「何が馴染むんだよ! おかしいだろ!」
釈然としないオビトだが、シスイは気にする様子もなくトビラに尋ねた。
「今日はお休みですか?」
「ああ」
「さっき二人が放ったのは豪火球の術ですよね」
「もう知っているのか。貴様もそのうち使うようになる」
「俺はまだ使えませんけど、オビトがよく見せてくれます」
「よく見せてくれる? …………兄さん」
トビラがちらと兄を見れば、目をそらして誤魔化そうとするオビト。
はぁ、とため息を吐く弟にオビトは弁明した。
「ほら、俺らだってフガクさんに見せてもらったじゃねーか! シスイには兄ちゃんがいねーみたいだし、俺もうちは一族の年長者として教えてるだけだっての!」
「……そういうことにしておこう」
――本当はフガクの真似をしたいだけだろうが。それと子供相手に術を見せて自慢したいのだろう。
年下の者に術を継承すること自体は悪いことではないため、トビラはそれ以上の突っ込みはよしておいた。
「よし! シスイ! 俺がまた手裏剣術を教えてやるよ!」
「豪火球の術も教えてよ」
「ダメだ! お前まだちいせーだろ。あのな、そこのトビラはお前よりもうちょいデカい時にチャクラが枯渇して倒れたんだぞ! お前はまだ見るだけだ!」
「トビラさんが? オビトじゃなくて?」
「んだとゴラ!」
シスイはオビトによく懐いているようで、軽口を叩きながら嬉しそうにしている。
その様子をトビラは微笑ましく思った。
――兄さんは面倒見の良い性格だからシスイも話しやすいのだろう。こうやって兄さんを中心にうちはと里の融和も進むはずだ。木の葉は創設当初の一族中心の主義から少しずつ脱して来ている。
「トビラ! 的があるところに行くぞ!」
トビラに倒されたところをシスイに見られてしまったオビトとしては、良いところを見せたいようだ。
術を交えた修行は切り上げ、手裏剣術の修業に移った。
「いいか? よく見てろよ!」
オビトが五つの手裏剣を投げると、その全てが横に並んだ五つの的に当たった。
しかもど真ん中に。
「おおっ!」
「へへっ! ま、忍ならこんぐらいは出来て当然だよな!」
素直に感嘆するシスイに得意げなオビト。
――兄さん……
忍なら出来て当然なことを子供に見せて自慢する兄に恥ずかしさを覚えたトビラだが、それを指摘するのも大人げない気がし、小さくため息を吐いて見逃すことにした。
「ほれ。シスイも投げてみっか?」
オビトから一枚の手裏剣を受け取り、シスイが投げた。
トン、と小気味よい音がして手裏剣が的に当たった。
しかもオビトが当てた手裏剣の真横に。
「え……?」
「その年で当たるだけでなく、真ん中に命中させるか。良いコントロール力だ、シスイ」
「実は前にオビトから習った後に練習していたんです」
「この調子だとすぐに追い越されそうだな、兄さん」
「んなすぐ追い越されてたまるかよ!」
「ならば的が五つでは生ぬるい。十に増やすぞ」
トビラは持っていた布に目印を書き、演習場の各所に設置した。
彼は準備をしつつ、ウキウキとしていた。
――カカシに続きシスイも中々のものだ。それに、兄さんもチャクラコントロールを覚え、忍になってから益々動きが良くなった。良い忍が育っているではないか。
その後、トビラとオビトは任務の合間にシスイの修業に付き合うようになり、シスイもそんな双子を兄のように慕っていくのだった。