自分のスリーマンセルについて弟にあれこれ語っていたオビトが一枚の写真をトビラに見せた。
「ほら、これが俺の班! 昨日撮って来たんだ!」
「ほぉ……リンとカカシと……この担当上忍、なんでしめ縄を首から下げている? そういう封印術か何かなのか?」
「さあ? 撮り終わったら写真屋の壁に戻していたから担当上忍はしめ縄下げて撮る掟でもあるんじゃねーの?」
「ぶふっ……!」
――そんな掟は無い!
いつの間にか発生していた謎掟にトビラはツボった。
「兄さんは聞かなかったのか?」
「だってまだそんな話したこと無いんだぜ。もしもガイのタイツみたいにこだわりあって怒られたらこえーじゃん」
「ぶふっ!」
――しめ縄を下げるこだわりってなんだ?! 写真屋の壁から借りただけなのに?!
「そういや、写真屋のおっちゃんにこのしめ縄のおかげでカッコよく映れましたって言ってたからオシャレなのかな」
「っっっ!!」
もはや声すら出ないほどにツボる弟をオビトは「やれやれ」と言わんばかりに見た。
「トビラぁ~ミナト先生がオシャレのつもりだとしたら笑うのは可哀想だぜ」
「ミナト先生? もしかして波風ミナトか?」
「え? 知ってんのかよ」
「ああ。名前だけな」
「へえ。ミナト先生、すっげー強いし優しいし、いい人だぜ! トビラにも会わせたいな」
――もう打ち解けているのか。カカシにとってもその方が良いだろう。
ツボ地獄から脱したトビラは色々な意味でホッとした。
任務終わりのトビラが歩いていると、後ろから聞きなれた声がした。
「トビラ! よぉ! お前も任務帰りか?」
「兄さんか。そうだ」
振り向くと兄がいた。
さらにはその班員たちも。
「トビラ、久しぶりだね! 任務頑張ってるってオビトから聞いているよ!」
「リンも医療忍者として精進しているらしいな。カカシも久しぶりだな」
「まーね」
嬉しそうなリン、やや不貞腐れ気味のカカシ。
さらには、
「ん! 君がオビトの弟のトビラだね。俺は波風ミナト! この子らの担当上忍だ。よろしくね」
ミナトもいた。
トビラは彼が思っていた以上に若かったので少し驚いたが顔には出さなかった。
「うちはトビラだ。あなたが“木の葉の黄色い閃光”か」
「俺のこと聞いたことあるのかな?」
「名前だけだ。由来までは知らないな」
「トビラ! ミナト先生、すげーんだぜ! ひらいしん? って術使ってビュンビュン飛んでるんだ!」
「飛雷神の術を使っているのか?!」
――俺の飛雷神を受け継ぐ者か!
トビラは大いに嬉しくなった。
だが、カカシはオビトを責めた。
「オビト! 忍の手の内を勝手に明かすなんて何考えているんだ!」
「でも、相手はトビラだぜ」
「身内であっても言ってはいけない情報なんていくらでもあるでしょ! お前、その感覚でペラペラなんでも話す気?」
「別になんの術を使うかなんて同じ里にいればすぐわかるだろ!」
「俺が言っているのはお前のその口の軽さ!」
「俺だって言っていいこととダメなことくらい分かるっての!」
言い合う二人をミナトが止めた。
「ん! そこまで! オビト、確かに秘伝忍術を扱う忍の場合、むやみにその情報を流されるのは良くない。その点に関してはカカシの言う通りだ。けど、オビトの言う通り、里にいればそのうち知られることではあるかな。飛雷神の術は確かにバレてもダメージはそこまでないし」
「へへっどうよ、カカシ!」
「兄さん、カカシの言うことには一理ある。情報は慎重に扱え。反省しろ」
「うっ……」
弟からストレートに叱られたオビトはしょぼん、と落ち込んだ。
「まあまあ、オビトはトビラに会えて嬉しくなっちゃったんだよね」
リンはとりなすように慰めたが、トビラはそんな兄は放っておいてミナトに目を向けた。
「飛雷神の術は誰から習った?」
「俺の師匠の自来也先生だよ。先生はあまり使えないから使い方だけね。その口ぶりだと君は飛雷神の術を知っているようだね」
――俺が作ったからな。
トビラの代わりにオビトが答えた。
「先生! トビラは昔っから読書家だからすげー頭いいんだよ。頭良すぎてジジくせーところもあっけどな」
「ん! 勉強家なんだね。知は力なり。良いことだよ。じゃあ、俺は火影様に報告があるからここで失礼するよ」
ミナトの姿が消えた。
すると、リンが元気よく言った。
「ねえねえ! トビラも任務終わりならみんなで一緒に甘栗甘に行かない?」
「おおっいいな、それ!」
「俺はパス」
「リンが誘ってんだから断るのは無しだぞカカシ! トビラ! このバカを捕まえるぞ!」
「くだらないこと言ってんじゃないよオビト……そんでなんでトビラも捕まえるんだよ。離せ」
「人との交流も忍には必要だ」
「ガキの頃に引きこもっていたお前に言われたくないんだけど。……はぁ、分かったよ」
観念したカカシを引き連れ、リンを先頭に一行は甘栗甘へと繰り出すのだった。
まじであのしめ縄なんなの?