これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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シスイとのあれこれを書き忘れてたんで、
「おめでとう!」と「しめ縄先生」の間に追加しました。


心の穴

 新生ミナト班で任務をしていた時のこと。

 トビラは驚愕した。

 それは、ミナトが敵に使ったある技を見たからだった。

 

「螺旋丸!」

 

 印を結ばずに掌に集まったチャクラの集合体。

 その塊をそのまま敵にぶつけ、倒す。

 さらに飛雷神の術と組み合わせ、一瞬で相手に近づき、一瞬で相手を倒す戦術。

 その有効性にトビラは嬉しくなり、里に戻ってからすぐさまミナトへ術について尋ねた。

 

「ミナト、先ほどの螺旋丸とやらはお前が開発したのか?」

「ん! そうだよ」

「そうか! 見事な術だな」

 

 珍しくワクワクした姿を見せるトビラに一緒にいたリンとカカシは意外そうに見た。

 トビラとの関係が浅いミナトはそれが珍しいことだとは知らず、

 

――オビトもカッコイイって興奮していたなぁ。やっぱり兄弟だから似ているんだね。

 

 と思いつつ答えた。

 

「構想から出来上がるまで結構かかっちゃったけどね……それに性質変化を加えるところにまでは至っていない」

「ふむ……乱回転させたチャクラを圧縮する、確かにそれだけでも高難度な技術だ」

「ん! あの一瞬でそこまで読み取ったか。写輪眼の力で?」

「そんなところだ」

 

 本当は写輪眼を使わずとも推測できていたが、トビラは曖昧に頷いた。

 「写輪眼」の単語が出るとカカシが反応した。

 額当てで隠した左目に手を当て、言った。

 

「俺も早くオビトの目を使いこなさないと……隠したままじゃいつまでもオビトの目になれない」

「無理に使って倒れるなら隠しておけ。あと兄さんがお前の目になるんであってお前は兄さんの目にはなれん」

「そうだよカカシ。焦らないで少しずつ使えるようになろう。オビトもきっとそうしてほしいと思っているよ」

 

 リンが励ますも、カカシは悔し気に顔をしかめるばかり。

 ミナトはそんな班員の姿に眉を下げつつ、優しく言った。

 

「ん! カカシ。オビトのことで後悔しているのは分かる。だけど、いつまでも過去を振り返ってはいられない。俺らは前を向かないとね」

「…………」

 

 なおも後悔を滲ますカカシ。

リンが空気を変えるように言った。

 

「私はもっと医療忍術を頑張りたいな。これからのために」

「ん! いい心がけだ。そうだな、俺も今の螺旋丸をさらに発展させ、ゆくゆくは螺旋閃光超輪舞孔四式を」

「ん? なんと言った?」

 

 聞き間違えかと思ったトビラが聞き直すと、ミナトが親切に言いなおしてあげた。

 

「螺旋閃光超輪舞孔四式だよ」

「ぶふぅっ!」

 

 噴き出したトビラはわなわなと肩を震わせながら下を向いた。

 今は任務終わりなため、ツボッても襲撃の心配はない。

 

「トビラ、どうしたんだい?」

 

 首を傾げるミナトと返事もできないトビラの間にリンとカカシが入った。

 

「先生! トビラも任務終わりで疲れちゃったんじゃないかしら?」

「そ、そうそう。そういえば火影様への報告ってまだでしたよね」

「ん! そうだった! じゃあ、ここで失礼するよ」

 

 ミナトが姿を消したのを確認してからカカシが言った。

 

「トビラ! ミナト先生は真面目に名前を付けているんだから笑うのは失礼だろう!」

「お、俺とて戦場であれば我慢する……だが、あれは…………」

「うーん、確かにちょっと独特な名前だよね」

「ちょっとどころの話ではない……フー…………兄さんから聞いてはいたがやはりミナト……あやつは中々に天然だな」

 

 ようやく落ち着いたトビラにカカシは呆れた顔、リンは困り顔。

 ほどなくして三人も解散した。

 帰宅したトビラはガラガラと寝室の戸を開けた。

 

「おばあ様、具合はどうだ」

「ああ、トビラ……おかえり」

「無理に起き上がらなくともよい。台所の食器を見るに昼飯は食べられたようだな」

「シスイちゃんが今朝、持ってきてくれたんぞよ。お母さんが作ってくれたみたいでねぇ」

「そうか、シスイが……」

 

 トビラが生まれたばかりのシスイをオビトと見てから早6年。

 双子たち、特にオビトは成長していくシスイを気にかけ、シスイもそんな彼らを兄のように慕っていた。

 オビトの訃報にはショックを受けていたがシスイなりに受け入れ、むしろ立ち直れていないオビトたちの祖母を何かと助けてくれるようになっていた。

 任務で家を空けることの多いトビラにとっては大変にありがたいことだった。

 

「シスイちゃんはこの前、アカデミーに入ったみたいぞよ」

「もうそんな年齢だったか」

「私も年を取るわけだよ。トビラが帰って来たのなら久々に魚を焼こうかね」

「無理はせんでも……」

 

 布団から起き上がる祖母を止めようとしたトビラだったが思い直した。

 

――いや、少しは外に出した方が気がまぎれるか。

 

 祖母と店へ向かったトビラに声がかかった。

 

「あれ? 帰って来てたのか? トビラさん」

「シスイか。アカデミーは終わったのか?」

「先生たちもそんなに授業をしている暇がないから……おばあちゃん! 今日は外に出られているんだな!」

「シスイちゃん、今朝はありがとうねぇ。おや、そこの子は?」

 

 祖母の目がシスイの後ろへ向く。

 そこには6歳のシスイよりもさらに小さな男の子がいた。

 

「こいつはイタチ。フガクさんの子供だよ」

「なんと! 族長様の嫡男の……これはこれはご挨拶が遅れまして……」

 

 数年前、フガクの父が急逝したことにより族長も代替わりした。

 うちは一族の会合に参加していればもっと早くイタチの顔を見ているものだが、トビラたちの家は参加していないためこれが初めての顔合わせとなった。

 曲がった腰をさらに曲げようとする祖母にイタチが言った。

 

「同じ里の者なのですから、そのような気遣いは不要です。臥せっていると聞きましたがもう体調はよろしいのですか」

「ええ。久しぶりに孫のトビラが帰って来ましたからね。トビラは魚が好物だから焼いてあげないと」

「そうですか。シスイから話は聞いています。トビラさんですね」

 

 イタチの目線がトビラへ向いた。

 

「ああ。貴様がフガクの息子のイタチか」

「はい。トビラさんはアカデミーを飛び級で卒業し、上忍にもすぐになった天才忍者だと聞いています。それに最近は写輪眼を開眼したとか」

「天才かどうかはともかく他は事実だ。詳しいな」

「父が母と話しているのを聞きました。それとシスイからも」

「ほう。面倒見が良いな、シスイ」

「イタチに上の兄弟はいないから。それに俺も世話になったから。トビラさんと…………」

 

 口ごもるシスイが思い浮かべる名前。

 トビラはそれが誰だか分かっていた。

 

「俺とおばあ様はそろそろ行く。魚が売り切れるからな」

「そうですよね! イタチ、お前もミコトさんから頼まれたものを買いに行くんだろ。行くぞ」

「そうだな。……では、失礼します」

 

 ぺこりと頭を下げるイタチに手を振るシスイ。

 その背を見送ったトビラたちはまた歩き出した。

 

 戦争はまだ続いていた。

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